Dosemap_SouthIbaraki_geograph_ver2




















 
 
 茨城県南部およびその周辺域の放射線量マップを作成しました。市町村による校庭・園庭・公園広場での公表された測定値の数値を標高段彩図と通常の地図にプロットしたものです。6月半ばぐらいまでの全公表データが網羅されています。
 下記のサイトでpdf形式のマップファイルをダウンロードできます。ご利用ください。マップデータについてお気づきの点などありましたら、是非ブログのコメント欄にお知らせください。

 

1.放射線量マップのダウンロード

 下記のGoogle Docsサイトから閲覧・ダウンロード(PDF)できます。

(ダウンロードはサイト上のメニューバ左の「ファイル」から選択)

 

A 茨城県南周辺域放射線量マップ

 ・標高段彩図版(改訂ver.2) http://p.tl/FCC5
  ・地図               http://p.tl/xjMH
  
B つくば市周辺放射線量マップ
  ・標高段彩図版(改訂ver.2) http://p.tl/bgYC
  ・地図               http://p.tl/C-sy

 これらのデータは、対象地域内の個々の市町村が学校・幼稚園の庭、公園広場にて、高さ0.5ないし1mで測定した放射線量値で、そのリストが公表されています。
 ただし、各測定点の緯度・経度、測定数値は、「国・自治体による高さ1m0.5m計測を中心とした放射線量マップ」サイトからの転載です。

 

2.放射線量マップの特徴

 最近では、住民の放射線被曝から子供の健康を守りたいという要求や願いを受けて、関東地域でも市町村がつぎつぎと学校・幼稚園、公園などの放射線量値を測定し、公表している。

 これらの測定は、土面の校庭・園庭で、子供の身長にあわせて高さ0.5m、1.0mという統一した規格で測定しているため、標準的な線量値として、地域内、地域間の比較するために利用できる。市町村では,しかし、テーブルで、地点名と線量値を公表するだけであるため、空間的に放射線量の高低があるのかがわからない。


 その欠点を補うため、すでに、有志による測定値をプロットしたマップや測定値から作成した等値線図がネット上に公表されている。代表的なものに、このサイトでデータを引用した国・自治体による高さ1m0.5m計測を中心とした放射線量マップ」やそのほか,フクシマの放射線図」がある。


 前者は測定値をポイントデータとして示したマップであり、後者は等値線図である。
 ポイントマップは、測定地点とその値の傾向が理解できるが、点数が少ないと、空白地域の値は閲覧者に委ねられるため、時にわかりにくいという欠点がある。


 一方、後者は等値線図であり、空白域も補間されてわかりやすい.しかし,等値線の引き方はユニークではなく、特に測定点が少ない場合には、誤った解釈を招く恐れもある。等値線図は解釈を伴うモデル図というべきものだが、放射線被曝対策で全体を把握する上ではとても便利なものだ。

 今回編集した放射線量マップは、前者のポイントマップにあたるもので、特徴としては、放射線量の測定値を直接ラベルとして表示したこと、背景図に地形との関係がわかるように標高段彩図と今回新たに町の中でどこの地点かがわかるように,地図を背景にした図を付け加えた.

 従来のポイントマップは、色で値の高低を区別したものが多く、値の詳細をみたり、比較しようとおもうと、いちいち、マップ上の地点をクリックして確認しなければならず、けっこう面倒だった。マップ上に値の一覧表示をすることができないので、野外にもちだすこともできない。そういう理由があって、今回のポイントのラベルは測定値とした。値は小数点二桁表示で、三桁目を四捨五入してもとめたものである。

 背景図に標高段彩図で地形を表示したのは、放射線量の地域変化は、かなり地形およびそれに応じた土地利用の違いが反映されているように見えるからだ。ただ、現状ではデータは十分ではなく、今後1km四方に1点以上測定値を得られれば、その実態も明らかになるものとおもう。

 

3.放射線量値の地域性-つくば市とホット・スポットー

 放射線量マップを編集した地域内には、参考資料(1)の放射線量マップをみると、ホット・スポットと呼ばれる放射線量値が0.3-0.6μSv/hと周囲よりも高い線量値を示す地帯がある。その地域は、霞ヶ浦北西岸から東京低地東部にまで広がり、東北東西南西 40km、北西-南東 15kmほとの楕円状の形を示す。


 つくば市の行政区画は、北西-南東方向にのびた瓜状の形をしており、北西端の筑波山から南東端の牛久沼まで30km、横幅では北東端は桜川低地、南西端は小貝川低地東縁付近まで12kmほどにおよぶ。
 つくば市の範囲では、その南端が上記のホットスポット帯にあたる。この北西-南東方にのびた市域においては、南端から北西方に向かって、放射線量値が次第に低下する傾向が認められる。

 つくばセンターから以北では、全体に線量が低く、0.1μSv/h以下の値を示す地点が多い。つくば市役所はその南縁付近に位置している。そのためか、行政にとって、つくば市は放射線被曝の問題はないとみなされている。しかし、つくば市内、放射線量値は決して一様ではない。
 実際、ホット・スポット帯から近辺にあたる地域、大通り沿いでは竹園以南、東谷田川沿いでは常磐高速以南では、放射線量値は、0.2μSv/h以上を示す傾向がある。0.3μSv/hを越える地点も認められる。 

 

4.放射線量マップの読み方、使い方

 

 放射線量値がプロットされた地点は、すべて、市町村がほぼ同一条件で測定した学校・幼稚園、公園の土の上であり、測定は、高さ0.5ないし1mで実施されている。測定機器にはシンチレーションサーベイメータの本格仕様のものが多いが、ポケット線量計クラスのものもあった。市町村境界をはさんで、測定機器の違いのため値に不一致があるようには見えないが、留意しなければならい点ではある。市町村が利用した測定機器については個々の市町村のホームページで確認していただきたい。

 

 マップ上の放射線量値は、その地点の値であり、それがどの程度の範囲を代表するかどうかについては、下記の点を考慮するべきであろう。
 これらの値は、校庭・園庭・公園広場の中央で測定されたものであれば、その地域について、土面の平均的な放射線量値と考えていいだろう。

 しかし、特殊な状況にある場合、例えば、周囲に植え込みが多く、芝生地がかなり広がっている状況であると、放射性物質は植生に固定されやすいため、その影響が受けやすく線量値は高くなる。一方、風通しがよい、あるいは雨水からの流水が表土を削りとりやすい状態では、削りとられる度合いに応じ放射線量値は低下する。こういった特殊な状況は、市町村の報告だけからは判断できない。


 さらに、考慮するべきこととして、マイクロスポットと呼ばれる高放射線量値を示す小スポットがある。それは、校庭の隅、歩道縁、排水溝近くの落ち葉や塵の集積層であったり、雨樋の下や水たまりができやすい凹地だったりする。そういうところは面積は狭いが、周辺の線量値の2-5倍の高さを示すこともよくある。

 そして、こうしたマイクロスポットでなくても、地表面の状態の違いで異なる。土よりも芝生や草地の方が一般に線量は高くなり、アスファルト舗装はだいたい土面と同じぐらいで、コンクリート面は低くなる傾向がある。このような地表面の状態による線量値の違いは、おそらく、放射性セシウムの安定度の違いによる。雨水や風で移動しやすい場所は低くなり、固定されて動きにくい場所は相対的に高くなると考えられるからだ。

 こうしたマイクロスポットは市町村の測定データには含まれていない。しかし、今回の放射線量マップを仔細にみると、周囲は0.1から0.2μSv/hであるのに、0.3以上の異常に高い値を示す地点、一方はその逆で、0.3-0.4μSv/hが卓越する地帯なのに、0.1台を示す地点が、少なからず認められる。前者は、ある発生源の影響を受けた校庭規模のマイクロスポットなのかもしれない。後者は人為も加わった除染地域なのか。いずれにしても、こうした問題は、放射線量値をマップにプロットしなければわからないことである。 
 前者については、さらに、マイクロスポットの起源になりうる恐れを危惧している汚泥浄化センター、クリーンセンターの位置とその周辺域の放射線量値を監視する意味でも、こうしたマップは重要であろう。マップには、利根と霞ヶ浦の両浄化センターの位置を参考にプロットしている。(以上追記、同日夜)

 

 以上のとおり、いろいろと考慮しなければならない点はあるが、地域の平均的な放射線量値として、今回、市町村が測定した校庭、園庭、公園広場の測定値を利用して、放射線量値分布の概要をとらえることは有用なことと考えられる。

 さらに、放射線対策を考えるならば、これらのポイントデータとしての放射線量値から、等値線を引いて、より平均的な値の分布を評価することも有用である。

 

 この放射線量マップが地域の放射線量値を考える際に参考になれば幸いです。

 なお、本マップ作成にあたっては、参考資料(1)のサイトのデータ利用によって、ポイントデータの緯度・経度情報を定める上で大変便利でした。また、図の編集にあたっては友人に手伝ってもらいました。以上の点明記して感謝する次第です。

 

参考資料(1):

国・自治体による高さ1m0.5m計測を中心とした放射線量マップ」サイト

http://www.nnistar.com/gmap/fukushima.html