2012年08月16日


台地の地盤と谷では、どこがどう違う?

前回、「やや高い地盤」を知るの中で、谷(谷底低地)について若干触れましたが、今回はその谷を、台地の中の「やや低い地盤」として改め
てを取り上げてみます。
同じ台地にあっても、一般的な台地地盤と谷地盤では、様子がだいぶ異なります。地盤の高さとしては、谷地盤のほうが相対的に低く、一般
に5〜10mほど地盤が低くなりますが、場所によっては15n以上の段差がある場合もあります。しかし谷地盤は、台地地盤に比べてただ低いと
いうだけでなく、地下の地層、地質が両者では根本的に異なり、地震時に揺れが増幅されるといった、防災上とくに注意を要する地盤になり
ます。

下の図をご覧ください。これは、一般的な台地地盤(左図)と、谷地盤(右図)を実際のボーリングデータで見たものです。いずれも、東京メト
ロ「麹町駅」付近のものですが、両者は距離的に100mと離れていない場所にあります。それぞれの図の右側に、地盤の強さを示すN値データ
も併記しましたので、合わせてご覧ください。

      一般的な台地の地盤             台地の谷地盤  
麹町駅周辺/台地地盤麹町駅周辺/谷地盤

まず、一般的な台地地盤(左図)を見てください。上から表土(青緑色)、ローム層(エンジ色)、ローム性粘土(薄いピンク)が三点セットにな
って、地下10m付近までを占めています。以下は硬い岩盤(灰色の砂層など)になりますが、これが台地地盤のごく一般的な地下地層になりま
す。

では、問題の谷地盤(右図)はどうでしょう。表土の下にあるはずのローム層、 ローム性粘土がこちらにはありません。ご自分でボーリング
データから、谷地盤の有無を知るには、まずこのローム層、 ローム性粘土の有無を知ることからはじめます。次に、ローム層がない代わり
に、谷地盤に特徴的に見られる地層「腐植土」の有無を調べます。図中では、腐植土層は黄緑色で表現されているので、すぐにそれとわかる
はずです。厚さは図から5m近いと判断できるので、これは文句なしのウルトラ軟弱層(※軟弱層よりさらに軟弱)になります。

多少の補足説明をしますと、腐植土は、以前にここに川が流れていて、その川が上流から運んできた植物などの有機物が土質化したもの。ま
た、腐植土層の下にあるシルト層(水色)は、かつてこの場所が浅い海面下にあったことを示します。 左図の台地地盤には、川が流れた跡も、
浅い海面下にあった跡もありませんが、谷地盤にあたる場所では、かつて川が流れ、浅い海面下に浸かっていた時期があったということにな
ります。そんな過去の環境を考えれば、地下の様子が違ってくるのは、むしろ当然といえるかもしれませんね。

今回は、実際のボーリングデータを見ながら、意外に知られていない谷地盤の地下をご紹介しました。谷地盤を知るためのヒントになれば幸
いです。なお、ここで説明したボーリングデータの見方、谷地盤に関しては、当ブログ「住宅地盤の見方」でも詳しく紹介していますので、
そちらも参考にご覧ください。

・ボーリングデータの見方に関しては、(8)「ボーリングデー
タで見る」
・谷地盤に関しては、(5)「地層・地質で見る」




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geologistyouna202 at 10:19コメント(0)トラックバック(0)住まいの地盤を知るコツ  

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2012年08月07日


地盤の高さは、住まいの地盤を知るための第一歩、大事な目安にもなるものです。地盤の高さがわかれば、地盤の成り立ちや軟弱性など、さ
まざまな推測も可能になりますが、その件に関しては次回以降ご説明します。今回は、この地盤の高さを簡単に知る方法をご紹介します。

ネット上で地盤の高さを知るには、国土地理院「電子国土ポータル」による方法などが、最も一般的でしょう。ただし、この方法では地図上
で標高を読み取っていくため、精度は高いのですが、多少の煩雑さを伴います。そこで、精度については保証できるとは言い兼ねますが、一
般的に知るには十分と思われるものを以下に列挙してみます。

● 国土交通省「標高図」で知る

国土交通省のハザードマップポータルサイトに、地盤の高度だけをカラー表示した「標高地図」があるので、これを使用します。知りたい場
所をスクロール表示し、縮尺を最大の4までUPさせると、その場所の高さが色分けで表示されます。任意の場所の高さをピンポイントで知る
というより、周辺も含めた相対的な高さを知りたいときなどに便利です。
国土交通省「標高図」は、こちらから

●「Mapion」で知る

地図検索で知られる「Mapion」ですが、この「Mapion」でも標高が簡単に調べられます。地図上の任意の場所を右クリック(Winの場合)す
ると、その場所の住所などに加え、標高がバルーン表示されます。簡単な操作で、標高がピンポイントで表示されるので、とりあえず知りた
い方にはおすすめの方法です。なおMacの場合は、地図上の任意の場所をcontrol+マウス長押し。
「Mapion」のホームページは、こちらから

●「グーグルマップ」で知る

グーグルマップ上の任意の場所を指定するだけで、その場所の緯度、経度、標高がワンクリックで調べられる便利なサイト「Google Maps 
標高」です。「SRTM版」「V3 API版」の2タイプあるようですが、基本的な内容は同じです。なお、このサイトには携帯版も用意されてい
ます。
「Google Maps 標高」は、こちらから

●「グーグルアース」で知る

その(1)
グーグルアースが使える環境であれば、カーソルを該当場所に近づけるだけで、その場所の経度、緯度、高度がピンポイント表示される機能
があるので、まずはこれがおすすめです。設定は、ツールバーの「ツール」に「オプション」があるので、これをクリック。出てきた画面内
に「高度を表示」の項目があるので、「メートル、キロメートル」にチェックを入れればOK。

その(2)
グーグルアースを使う点では同様ですが、こちらはグーグルアース上に描かれた正確な等高線から、地盤の高さを読み取るもの。Webサイト
「東京地形地図」から配信されているものですが、航空レーザ測量による「基盤地図情報5mメッシュ(標高)」をもとにつくられているため、
精度の良さが大きな魅力です。地盤の高さも、精度も気になる方にはおすすめの方法です。
「東京地形地図」は、こちらから





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geologistyouna202 at 12:10コメント(0)トラックバック(0)住まいの地盤を知るコツ  

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2012年07月31日


「やや高い地盤」の住まい
 
(2)やや高い地盤/成城学園前駅周辺



住まいが台地側にある場合は、その大半が、こうした「やや高い地盤」の場所になります。実際の高さ(標高)は、東京ではおおむね20〜35m
です。やや高い地盤は、その成り立ちから主に3つに分けられます。第一は、もともと高かった地盤が”市街地化”などを理由に、高い地盤を
削って平坦化した場所。第二に、元々の自然地盤でほとんど手が加えられていない場所。第三に、周囲と比較してやや低いため、人工的に盛
土して周囲と高さを合わせた場所、となります。

やや高い地盤は、東京では主に武蔵野台地(目黒台、豊島台、本郷台)と呼ばれる台地になりますが、一般に先の「高い地盤」(淀橋台、荏原
台)に次いで安心できる地盤になります。若干の高低差、坂道を伴う小さな谷などがありますが、第一、第二の場所に限れば、軟弱地はあま
り見られず、暮らしやすい地盤といえるでしょう。

しかし第三の場合は、少し注意が必要です。谷を埋めてつくった谷底平野(谷底低地ともいう)の場合があるからです。谷底平野は、本来は川
が台地をけずり、運んできた土砂を堆積した場所ですから、軟弱地盤の可能性が出てきます。
やや高い地盤の場所で、そこが谷底平野かどうか判断するには、まず周囲に目を向けてみます。周囲に小高い丘が見え、自分の住まいが比較
的平坦で広い土地にあれば、谷底低地の可能性が大きくなります。なお、住まいが谷底平野にあるかどうかを正確に知りたい場合は、「土地
条件図」などを使って確認してみることをお勧めします。

 住まいの地盤の「高さ」に関して 
 さらに知りたい方へ 

当ブログ「住宅地盤の見方(1)ー標高図で見る」で、より詳しく、実例を挙げて解説しています。
さらにお知りになりたい方は、こちらからどうぞ。

※「土地条件図」で住まいを確認したい場合はこちらから。

 




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geologistyouna202 at 13:42コメント(0)トラックバック(0)住まいの地盤を知るコツ  

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「高い地盤」の住まい
 
(1)高い地盤/麻布十番暗闇坂付近


「高い地盤」の住まいとは、一般に坂の上、高台などにある家を指します。眺望に恵まれ、街を見下ろせたり、場所によっては海も眺められ
るなど、高い地盤の住まいに惹かれる方も少なくないことでしょう。地盤は高いほど年代的に古く、堅い地盤になりますから、住まいの地盤
としてはひとまず安心です。

しかし、古くて堅い地盤のある場所には、注意すべき点があります。傾斜地や坂の途中などに住まいがある場合、また高台の中でも中程では
なく端に近い場合では、その古くて堅い地盤が、逆に災いすることがあります。

古くて堅い地盤は、本来は強くて安心な地盤なのですが、外気に触れている部分は別です。長い年月風雨にさらされつづけ、風化、老化も進
んでいるため、危険な”脆さ”がひそんでいるためです。この外気に触れている場所が、高台の端や坂道に面したところになります。とくに注
意したいのが、地盤が高く、高台にいたる坂の途中にあるような住まい。地盤の風化や老化だけでなく、坂の傾斜角度により、地震などの揺
れで地盤災害が起きやすい場所にもなります。

一般に、こうした急な斜面、坂道での地盤災害に関しては、法律で「急傾斜地崩壊危険箇所」として指定され、防護対策が義務づけられてい
ます。ハザードマップとして、最寄りの自治体ホームページでも閲覧できるようになっていますから、心当たりのある方は、一度ご覧になっ
てはいかがでしょう。

 住まいの地盤の「高さ」に関して 
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当ブログ「住宅地盤の見方(1)ー標高図で見る」で、より詳しく、実例を挙げて解説しています。
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geologistyouna202 at 13:33コメント(0)トラックバック(0)住まいの地盤を知るコツ  

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2012年07月25日


震災後、千葉県で多発している地震に関しては、マスコミでもたびたび報道されているので、地元千葉県の方はもちろん、千葉県と接する東
京でも不安を感じている方が少なくないと思います。そこで、いま千葉県で起きている地震が、具体的に千葉県の”どの場所、どの地域”で起
きているのかにポイントを絞り、現在の千葉県の地震状況を見てみることにします。

その前に、千葉県で地震が起きる場所「震央」が、気象庁でどう区分されているかを「千葉県の地震震央地名」で見てみることにします。下
の図をご覧ください。これは、気象庁の同図をグーグルアース上に忠実にオーバーレイ処理したものです。
 
千葉・茨城県の震央地名


この図を見ると、千葉県では、他県と比べて地震発生場所がずいぶん多いことがわかります。千葉県では陸でも海でも地震が起き、とくに海
域では3つのプレートが重なり合っていることなどが大きな理由ですが、この地震発生場所の多さが、場所に関する混乱、間違いを起こしや
すい原因にもなっているので、くれぐれも注意してください。

■地震発生場所は内陸、日本海溝沿い、相模トラフ沿いの3地域

千葉県では、内陸でも地震が起きますが、まずは影響力が大きくて、気になる海域の地震から見てみることにします。
国の中央防災会議によれば、千葉県の海域で起きる地震の発生場所は「相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近」「関東地方
東方沖合〜福島県沖にかけてのプレート境界付近」の2つのエリアに大別されています。言い換えれば、千葉県が乗る北米プレートに対して、
前者はフィリピン海プレートが沈み込むところ、後者はフィリピン海プレートを挟んで太平洋プレートが沈み込むところ、となります。

前者の「相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近」は、かの関東地震やその前の元禄地震の2つの巨大地震(M8クラス)が起き
た場所として良く知られている場所です。つまり、相模トラフ沿いです。「相模トラフ」は巨大地震の巣ともいえる怖い場所ですが、ここで
はさらに「相模湾」「房総半島南東沖」と東西に二分されることもあります。いずれも、地震の直撃を受ける震源域が陸に近く、そのため津
波の発生が地震発生後、短時間で来襲する要注意エリアにもなります。今後起きる地震を知るためにも、この相模トラフはしっかり頭に入れ
ておきたい場所の一つです。

■相模トラフ沿いの房総半島南東沖が、なぜか気になる

ところで最近、同じ相模トラフ沿いですが、専門家の関心も高い「相模湾」に比べてやや地味な場所だった「房総半島南東沖」で気になるニ
ュースがあります。産業技術総合研究所によれば、「房総半島南東沖のプレート境界が、単独で滑り、数百年間隔でM8級の地震を起こす可
能性のあることが判明」、また「房総半島南東沖が、単独で地震を起こすことは想定されていないが、相模湾と連動すると大規模な元禄型関
東地震が発生する」とあります。

一般に、東京や南関東を襲うといわれる海溝型大地震は、関東地震タイプか元禄地震タイプかのいずれか、ただし地震発生は当分まだ先きの
話、というのが通り相場になっています。この両者の大地震が起きる場所が相模トラフの「相模湾」ですが、先のニュースによれば、この
「相模湾」の先の「房総半島南東沖」でも単独で大地震を引き起こす可能性があることになります。また、「相模湾」と連動して、元禄地震
タイプの巨大地震(M8以上)を引き起こす可能性も出てきますから、穏やかではありません。

■房総半島南東沖とは、具体的にどこなのか?

では、この房総半島南東沖とは具体的にどこなのか、先の気象庁の震央地名地図で確認してみましょう。しかし、千葉県南東沖はありますが、
房総半島南東沖が見当たりません。房総半島南東沖が相模トラフ沿いにあることから、ここは千葉県南東沖=房総半島南東沖と思われますが、
表記の違いに戸惑いを感じる方もいるのではないかと心配になります。

震央地名地図をもう一度見てください。相模湾も、房総半島南東沖も、言葉による説明ではわかりずらいのですが、地図上で見るとイメージ
がはっきりするはずです。ご覧の通り、相模湾も、房総半島南東沖も、どちらも相模トラフ沿いにあり、複雑なシワ模様も確認できると思い
ます。
これは、陸の北米プレートの下に沈み込むフィリピン海プレートが、自らも太平洋プレートに沈み込まているため、より複雑な力を受け、沈
み込み方が複雑になっているためです。いずれも、相模トラフに起因する大地震が懸念される場所ですが、房総半島南東沖は、これまで話題
になることもなく、比較的馴染みの薄い”地震の空白域”になっていた地域。気になる地震発生場所の一つであることは、いうまでもないでし
ょう。

■房総半島南東沖で起きた地震、起きてる地震

こんどは、この房総半島南東沖で実際に起きた地震を見てみましょう。過去に南東沖で起きた地震の記録は、意外なことに”ない”のです。千
葉県では、千葉県東方沖や房総沖では過去や最近でも比較的大きな地震が発生していますが、房総半島南東沖では地震の記録がなく、多少気
味の悪さを感じさせます。

とはいえ小さな地震を拾ってみると、大震災以降ここでも地震が増えていることがわかります。下のグラフは、過去半年間の千葉県で起きた
地震回数を、震度4以下と4以上に分けてグラフ化したものです。マスコミでもたびたび報道されているように、東方沖が突出していますが、
房総半島南東沖でも地震が起きていることがわかります。その意味するところは不明ですが、これを機に房総半島南東沖にも監視の目を向け
たいものです。

 過去半年間の千葉県で発生した地震回数(地域別) 
千葉県で過去半年間に起きた地震回数


※千葉県で発生した総地震回数 214回 2012年1月1日〜6月30日





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geologistyouna202 at 10:39コメント(0)トラックバック(0)東京と地震  

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2012年07月24日


震災後、とくに関東地方で、地震活動がどう動いているかは誰にとっても気になる問題ですが、さる5月31日、「関東の一部、地震活動活発…
震災後に多く観測」と題した記事が読売新聞に掲載されました。記事をご覧になった方も少なくないと思いますが、気になるのは、「千葉県
・銚子付近や茨城・福島県境など関東地方の一部地域で、東日本大震災後から現在にかけて地震活動が活発な状態が続いている」のカ所。
”やはり…”といった思いを抱いた方も多いのではないでしょうか。

■「震災後、 関東の一部で地震活動が活発化」のニュース

そこで、ここでこの読売新聞の記事のニュースソースになった予知連の第195回会の定例会における活動報告から、記事になった問題の箇所
を以下に取り上げてみます。活動報告の議事録の文章(原文)は下記の通りです。

重点検討課題「プレート境界に関するわれわれのイメージは正しいか?
(その3)「相模トラフ周辺・首都圏直下」の検討

関東地方の今後の短中期的な大地震発生の可能性、首都直下大地震や相模トラフ沿いの巨大地震の規模と繰り返しについて議論が行われた。
これらに関して、2部に分けて検討が行われた。

第1部 東北地方太平洋沖地震後の関東の地震活動と地殻変動

太平洋プレート、フィリピン海プレート、陸のプレートが互いに接する境界付近で地震活動が活発化した領域が見られる一方、太平洋プレー
ト内の二重地震面の下面では活発化が見られないことが報告された。福島県浜通りから茨城県北部・銚子付近などでは地殻内での地震活動が
活発化していることが示された(気象庁・斎藤誠地震情報企画官資料)。
 
■茨城県北部、栃木県と群馬県の境、銚子付近などで地震頻発

関東地方の地震を考える場合、最も気になるのがかの関東大震災を引き起こした「相模トラフ」の動き、また懸念される「首都直下地震」の
2つでしょう。今回の活動報告に、相模トラフの動きや首都直下地震の可能性を直接うかがわせる説明はありませんが、3つのプレートが互
いに接する境界付近で地震活動が活発化した地域があること、福島県浜通りから茨城県北部、銚子付近などの浅い場所(北米プレート内)で地
震活動が活発化していること、の2点が報告されています。

そこで、その報告内容(気象庁・斎藤誠地震情報企画官資料)を具体的に見てみましょう。まず、下の図を見てください。これは、報告に添え
られた地震の発生場所を示す図。左が陸の比較的浅い場所(深さ30km以浅、つまり北米プレート内)で起きた地震、右が深い場所(30〜120km、
つまりフィリピン海プレート内 、太平洋プレート) で起きた地震を表しています。
 
地震活動が活発化した領域


左の図をよく見ると、福島県沖を別にすれば、陸域では福島県浜通りから茨城県北部、茨城県と福島県の境付近、栃木県と群馬県の境付近、
また千葉県の銚子付近を含む千葉県東方沖で、赤いが密集していることが一目瞭然です。一般に陸域で起きる地震は、深さ30km以浅のもの
が大半を占めますが、東京や南関東に住む人にとっては、千葉県東方沖の地震の頻発、その行方は、大変気になるところになります。

■茨城県南部、千葉県北西部の地下深部で、地震活動が静かにすすむ?

次は、大地震を引き起こす可能性があるフィリピン海プレートの動きです。右の図を見ると、フィリピン海プレート内で地震が頻発している
のは、千葉県の北西部、茨城県の南部辺り(緑色で囲まれた2の範囲)です。両地域は、これまでにもたびたび地震が発生してきた地震の巣と
もいえる場所ですが、予想通りここでも地震が頻発しています。
太平洋プレート内の地震を見てみましょう。まず目を引くのが、福島県沖から茨城県沖にかけてのおびただしい地震の数です。大震災後の、
まだまだ覚めやらぬ余震なのか、新たな地震への動きなのかはわかりません。また千葉県東方沖では、その陸域の浅い地震の引き金になって
いると思われる地下深部、太平洋プレート内の地震が見られますが、こちらはちょっと気がかりです。

この千葉県東方沖では、過去に1987年12月17日のM6.7の地震(九十九里浜付近、深さ58km)、1996年9月11日のM6.4の地震(深さ52km)の
2つの地震が海域(※千葉県東方沖は一部陸域も含む)で起きています。とくに前者の1987年の千葉県東方沖地震は、フィリピン海プレート内
で起きた地震で、千葉県を中心に被害が発生し、関東地方で戦後初の被害者を出した地震としても注目された地震なので、ご存知の方もいる
と思います。なお、後者の1996年の地震がどのプレートの、どの部分で起きた地震かは不明です。

■プレート内の地震の変化は、大地震のバロメータ?

大震災が、従来の地震を引き起こす力関係を変えたといわれますが、プレートにはその変化が何らかのかたち(例えば、プレート内での地震
頻度など)で現れてくるはずです。生活の場である陸のプレートでは、福島県浜通りから茨城県北部、栃木県と群馬県の境付近、銚子付近を
含む千葉県東方沖で震災後も地震が活発化していることは見ての通りですが、気がかりなのは、こうした陸のプレートに地下から力を加えつ
づけている二段重ねのフィリピン海プレート、太平洋プレートの動きです。海溝型の巨大地震にもつながりかねない問題だけに、こうしたプ
レート内で起きる地震の発生場所、頻度などにも目を向けることが大切でしょう。

もちろん、こうしたプレート内でいま何が起きているかは知る由もありません。ただ今回の報告から、フィリピン海プレートでは主に茨城県
県南部、千葉県北西部、太平洋プレートでは、千葉県東方沖、また地震の空白地域といわれる千葉県南方沖などに活発な地震活動が見られる
点などにはとくに留意し、今後の推移を注意深く見守るようにしたいものです。

最後に、今回の報告書のまとめとして、大震災後、地震活動が活発化した地域の現状をプレートごとに整理したものがありますので、ご覧く
ださい。ご覧になる際は、とくに”継続”の2文字に留意してください。

関東地方の地震活動のまとめ 










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geologistyouna202 at 10:09コメント(0)トラックバック(0)東京と地震  

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2012年07月13日


 南青山 

南青山-1/Gアース南青山-2/Gマップ


南青山といえば、都内でも屈指のオシャレな町、流行の先端をゆくセレブの町といった雰囲気があります。その青山のランドマークになって
きたのが「青山ツイン」(新青山ビル)です。ビルの地下が東京メトロ銀座線「青山一丁目駅」にもなっているので、ご存知の方も多いと思い
ます。その昔、ツイン西館に仕事で何度か訪れ、顧客の方とビル内のカフェラウンジで商談まじりにコーヒーを啜ったことがありますが、ヨ
ーロッパの有名陶器ブランドや直輸入ブランドを並べたビル内の店舗、またビル全体から醸しだされる優雅な雰囲気に新鮮な驚きを感じたも
のです。

■かつての南青山のランドマークも、いまは昔?

しかし、当時モダン超高層ビルの先端を走った感のある青山ツインも、もはや30歳(1978年竣工)。そのすぐ南に、南青山初の天を仰ぐよう
なタワーマンション「パークアクシス青山1丁目タワー」ができたこともあり、かつての青山のランドマークも、最近ではその陰に隠れがち
になったようです。

南青山では、このパークアクシスタワーを別にすれば、前回、前々回取り上げた赤坂や麻布十番などと比べると、タワーマンションの数は意
外にも少なくなります。むしろ、周囲の住宅街に溶け込んだ低層のセレブなマンションが目立ちます。詳しい理由はわかりませんが、タワー
マンションとは相容れない雰囲気が、南青山にはあるのでしょうか。ちなみに、南青山界隈では、ここを東京の”迎賓地区”にしようとの町再
興運動、また平成20年から3年がかりで、青山通りの全面的リニューアル計画が進行中といいます。とくに青山通りの全面的リニューアルで
は、歩道は天然御影石、街路樹はケヤキ、街灯なども青山らしい洗練されたものになるとか。この先どうなるかは、お手並み拝見といったと
ころでしょうか。

■浅い谷がつくりだす、ゆるやかで心地よい南青山散策

さて、その南青山を、まず古地図(東京図測量原図)で見てみましょう。この図を見て、まず気がつくのは、南青山には赤坂や麻布で見られた
湿地や河川が見当たらないことです。青山通り(かつての大山街道)沿いには民家が並び、南側の現在の南青山1〜7町目にかけては、その高台
に当たる場所に寺社や富裕層の邸宅などがところどころ見られる、台地ならではのごく穏やかな町並みを形作っています。図の南端に「埋葬
地」の文字が見えていますが、これは現在の青山霊園。青山を語るには欠かせない存在ですが、明治初期(正確には、明治7年日本初の公営墓
地として、雑司ヶ谷、染井、亀戸、谷中の各墓地とともに誕生)にはすでにこの地にあったことになります。

次は、標高図で見てみましょう。標高図は、その場所の地形を直感的につかみやすい地図ですが、この図を見ると、青山通りに沿って東西に
長く延びる南青山では、1丁目の南側に青山霊園の両側、また2丁目から7丁目にかけては、青山通りに直行するように小さな谷が見られます
が、いずれも比較的浅い谷(緑色が薄いほど、谷は浅い)になっています。青山通りはいわば尾根道で、周辺で最も高い場所になりますから、
ここを川の最上流部と考えれば、当然のことながらここでは小さな谷しかできません。
南青山2丁目から7丁目にかけては、落ち着いた雰囲気の住宅街の中に、モダンなブティックやレストラン、また風雅な白塗塀の根津美術館な
どが点在し、そぞろ歩きにはうってつけの場所になります。一般に台地の高台では、一方で急な坂道がつきものですが、南青山では、土地が
ゆるやかに起伏しているため、アップダウンの刺々しさもなく、ゆるやかな起伏をまたいでゆくような心地よさがあります。これも、2丁目
から7丁目にかけての浅い谷によるところが大きいように思えます。

■かつて青山霊園の両脇を流れていた笄川

ところで、先に青山を語るには欠かせない存在が青山霊園といいました。もう一度、標高図をご覧ください。青山霊園が、そのすぐ南側にあ
る低地に対して舌状に広がる大きな台地上にあることがわかると思います。実はこの青山霊園には、以前その両脇の小さな崖に沿って川が流
れていたことがあります。名前を笄川といい、現在は暗渠になっていますが、いかにも南青山らしい高台の台地をつくりだした主役の川です。

この笄川には、南青山の小さな谷をつくりだした小さな川が、寄り道することもなく、そのまますべて流れ込んでいます。台地では、川の流
れが複雑に変化するため、変化に富んだ谷ができやすく、軟弱堆積物の心配も出てくるのですが、少なくともこの南青山ではその心配はなさ
そうです。
とはいうものの、一カ所だけ心配な場所があります。下の「急傾斜地崩壊危険箇所と腐植土地」をご覧ください。先の青山霊園の両脇を流
れていた笄川の合流部分に大きなグレーの部分、またその周辺に黄色い円で示された部分がありますが、それぞれ泥炭地、腐食土地になりま
す。これは、二筋に分かれて流れ下った笄川がここで合流していたためで、こうした合流地点では泥炭や腐植土など、きわめて軟弱な堆積物
が溜まりやすくなります。

■青山霊園の南端部周辺は、軟弱地の可能性が大

さて、最後に断面図で見てみます。断面図A〜Bは、南青山の青山霊園の北あたりを東西に見たものです。青山霊園の東側に、大きく凹んだ
谷が見られますが、軟弱な堆積物は見当たりません。では、断面図C〜Dはどうでしょう。こちらは、先に取り上げた青山霊園の南端部辺りを
東西に見たものですが、こちらはだいぶ様子が異なります。谷の下流になるため谷はさらに刻まれ、凹部分もできますが、気になるのは図の
右側に見られる谷に溜まったグレーの部分です。この凹部分は、まさに青山霊園の南端部、先にも触れた笄川の合流部分に該当しますから、
断面図で見ても青山霊園の南端部の危うさがわかると思います。

なお、青山霊園の南端部辺りは南青山ではなく、西麻布地区になります。今回のテーマ地区からはやや外れましたが、これもご愛嬌というこ
とで。



古地図(東京図測量原図)
          標高図            急傾斜地崩壊危険箇所と腐植土地
南青山-2/古地図南青山-3/標高図(2kmM)南青山-5/急傾斜、軟弱土(2kmM)

断面図A〜B              断面図C〜D

南青山-6/断面図(上、2km)南青山-7/断面図(下、2km) 
 


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geologistyouna202 at 15:28コメント(0)トラックバック(0)  

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2012年07月12日


まず、百聞は一見にしかず。下の東京駅周辺のグーグルマップと古地図を見比べてご覧ください。東京駅のすぐ南を走る「外堀通り」が、か
つては水路であったことが理屈抜き、一目でわかると思います。

 東京駅/Gマップ東京駅/古地図


■土地や地盤を調べる手段として「古地図」が話題に

では、今回の本題です。最近、自分が住む場所の土地や地盤を調べる手段として「古地図」の活用が話題になっているようです。首都圏の自
治体や図書館では、こうした古地図の閲覧希望者が倍増しているといわれ、書店でも「これから家を買う人が現在の地図と比較したい」とい
った理由から、古地図を購入するケースが増えてきているといいます。

ところで、この古地図とは、いわゆる「江戸切絵図」のような歴史的な趣味、一部の好事家のための地図ではなく、もっぱら土地や地形の過
去を知る上で参考になる地図のこと。主に、明治時代以降につくられた古地図になります。この明治時代以降につくられた古地図は、きちん
とした測量に基づいているため、現代の地図とも重ね合わせて見ることができ、防災の実用面でも役立つことが期待されているのです。

■防災に役立つと期待される明治時代初期の「迅速測図」

そこでここでは、防災に即役立つと思われる古地図として明治時代初期につくられた「迅速測図」を取り上げてみることにします。
迅速測図についての詳しい説明は、国土地理院のホームページでも紹介されていますので、ここでは省略しますが、その主な利点を挙げれば
以下の2点に集約されます。
(1)測量に基づいたわが国初の本格的な地図で、現代の地図とも重ね合わせやすい。
(2)現代の地図では示されない昔の池、沼、湿地、旧河道などが記されているので、液状化や地盤沈下などの地盤災害の可能性を知る手がか
りがえられる。

古地図を防災面で利用しようとする場合、まずそれが現在のどの場所になるのかが問題になります。その点、 迅速測図は江戸時代の絵図な
どと異なり、正確な測量をもとに作成されているため、現代の地図とも縮尺、距離、位置、いずれの点でも比較的良く符合します。ちなみに、
迅速測図の縮尺は2万分の一で、国土地理院が広く一般に提供している基盤地図の縮尺2万5千分の一ですから、比較的重なりやすいといえ
るでしょう。
とはいうものの、現在のGPSを駆使してつくられた高精度の地図に比べれば、粗さがあるのは致し方ありません。数十mの誤差も許容範囲の
内、目をつぶるしかありませんが。

■昔の池、沼、湿地、旧河道などの危うい場所が一目瞭然

さて、迅速測図の一番の利点が、(2)の昔の池、沼、湿地、旧河道などが記されている点です。液状化や地盤沈下などの地盤災害は、その地
下に伏在する水(水域)とも深く関わっている問題ですが、迅速測図ではこうした水域が水色(湿地などは薄い緑色?)などで示されているの
で、一目でそれとわかります。また、地図中に記された土地利用を示す文字などから、その場所をある程度推測でき、地盤の軟弱性を知るこ
とも可能です。たとえば、「水田」であれば湿地、「畑」や「茶」であれば水はけが良く、斜面上の土地といった具合です。
迅速測図に関しては、これ以外にもいくつか利点がありますが、後は本人の目的と慣れしだいです。幸い、江戸時代の古地図のように表現上
の決まり、約束事といった面倒なこともありませんから、誰でも気軽に利用できるはず。一度、ご覧になってはどうでしょう。


「迅速測図」を閲覧、利用したい人のために

迅速測図のオリジナル版は、国土地理院から提供されていますが、関東地域に限っては「関東迅速測図」として、農業環境技術研究所から
「歴史的農業環境閲覧システム」としてWeb公開されているので、関東迅速測図がどんなものかがわかります。
また、実際にダウンロードして利用する場合は、Google Earthとの重ね合わせができるKML(KMZ)ファイルへのリンクも用意されているの
で、Google Earthが使える環境であれば、こちらの利用がおすすめです。


農業環境技術研究所「歴史的農業環境閲覧システム」の
関東迅速測図の閲覧、ダウンロードはこちら




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geologistyouna202 at 23:18コメント(0)トラックバック(0)東京の地形・地盤  

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