2012年05月29日

タワーマンションの建つ街 (3)ーお台場 


 お台場界隈 


Gアース/台場台場/Gマップ


「東雲」から西へ約3km、りんかい線で東雲駅の二つ先がお台場エリアの中心「東京テレポート駅」です。先月4月に大型商業施設「ダイバー
シティ」が完成し、武蔵野大学(有明キャンパス)も開設するなど、話題には事欠かないお台場エリアですが、ここが湾岸エリアの中でも最も
旬な場所であることは誰もが認めるところでしょう。
テレビ局があるという場所柄もあるせいか、大手企業の高層オフィスビルが多くなりますが、その中に混じり、お台場海浜公園やその周辺に
は印象的な外観のタワーマンショもちらほら目につきます。では、その「台場界隈」の地盤をまず断面図で見てみましょう。

■お台場エリアの大半は、堅固な海岸段丘の上

台場地区は、本来はかの”ペリーの黒船”を迎え撃つため、東京湾を大急ぎで埋立てて砲台を据えるため造られた人工の島ですから、当然のこ
とながら地盤は軟弱、地震による液状化は、はじめから諦めるしかないと思っている方がいるかもしれません。

ですが、この断面図を見ると必ずしもそうはなっていません。まず見ていただきたいのが、図の中央の地表付近にまで迫っている濃いグレー
色の砂層(先端はシルト)。これは、「豊洲界隈」でも紹介した浅い海岸段丘の延長部分に当たりますが、比較的良く締まった砂層(N値15〜30)
なので、台場の地盤はイメージとは裏腹に意外に強固です。この断面図は、お台場エリアの北側のもので、北側には小さな谷があり、西の大
きな谷に向かって谷が深くなるため、断面図の左側(西側)半分が大きく落ち込んでいますが、お台場エリアの大半は、先の地表付近まで海岸
段丘が迫る地下構造と考えて差し支えありません。下の図(右)の地下段丘分布図をご覧ください。お台場エリアを薄いブルー色(海岸段丘)が
ほぼ覆い尽くしていますが、この図からも、ここが浅い海岸段丘であることがわかると思います。

■「台場駅」あたりから、しだいに埋没谷へ

こんどは、沖積層の厚さを見てみましょう。お台場海浜公園より南側ではごく薄いブルー色で10m以浅、西側では次第に厚さを増し、ゆりか
もめ「台場駅」あたりから急に厚さを増し、その先で(画面にはない)かつての日比谷の入り江に通じる谷につながりますが、この沖積層10m
以浅の場所は、住宅地盤(戸建住宅)としては比較的良好と考えて良いでしょう。また、お台場エリアをほぼくの字に横切るように、薄いピン
ク色の沖積層の比較的薄いエリア(厚さ10〜15m)が見られますが、こちらも厚さ10m以浅の場所に準じて地盤が良好といえそうです。

さて、タワーマンションなどの大型建造物の地盤としてどうかを、これまでと同様、断面図で見てみましょう。図の東側で、青く示された層
(レキ層)が地下20〜25mに見られますが、ここが固結ポイント(岩盤)になります。西側では、厚いシルト層の下に レキ層が見られますが、こ
ちらの固結ポイントは約40mとグンと深くなります。
ひと口にお台場エリアといっても、ご覧の通りお台場の地下の様子は、場所によってだいぶ異なります。お台場では、今後も居住用の高層、
超高層マンションが計画されているといわれますが、その際固結ポイントが地下何mにあるかは、地盤を知るための大事な目安になります。固
結ポイントの問題は、取りも直さず建物を支える支持地層の問題ですし、建築の際の杭の長さ、数量に関係し、建物の価格にも跳ね返ってくる
問題です。実際に購入を検討されている方であれば、知っておくに越したことはないでしょう。
 


断面図                沖積層分布図            地下段丘分布図
台場/断面図
台場/沖積基底台場/埋没段丘 




         断面図の凡例はこちら       沖積層分布図の凡例はこちら     地下段丘分布図の凡例はこちら



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geologistyouna202 at 00:08コメント(0)トラックバック(0)東京地盤スケッチ  

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