2012年06月27日

台地と谷のこと (2)ー目黒川流域のつづき


前回取り上げた台地の谷「目黒川流域」のつづきを、もう少し。

台地の谷の問題は、ごく簡単にいえば、その谷の地下にどれくらい軟弱な堆積物があるかに尽きます。この問題に対しては、一般に谷の上流
よりは下流、谷の両岸では谷の中心(つまり谷底)に近いほど軟弱な堆積物が厚く溜まっている、と説明しました。

■実際の谷の地下は、場所によって複雑に変化

しかし、実際には理屈通りにことは運んでくれません。理由はいくつか考えられますが、大きな理由としては、谷をつくった川が滑り台を流
れ落ちるように真っすぐではなく、カーブや蛇行を描きながら、かなり不規則に流れ下っていること。また、川の本流に対して、周辺から小
河川やミニ河川が流れ込んでいるため、場所によって土砂などの堆積が複雑になることなどが挙げられます。

川がカーブや蛇行している場合はどうなるのか、少し説明を加えてみます。たとえば、川が進行方向に向かってカーブしている場合、カーブ
の内側ではより重い堆積物(粗砂、レキなど)が溜まり、外側ではより軽い堆積物(細砂、粘土など)などが溜まりやすくなります。わかりやす
くいえば、谷の中では、進行方向のカーブの内側の方が外側より地盤はおおむね良好、ということになります。お住まいが目黒川の谷の中に
あり、地盤に不安がある方は、一度お住まいが谷のカーブのどの辺にあるのか調べてみてはいかがでしょう。谷地盤を知る、簡単な目安には
なると思います。

■谷の合流点付近は、軟弱堆積物が溜まりやすい

こんどは、川の本流に対して、周辺から小河川やミニ河川が流れ込んでいる場合です。この場合、問題になるのが両河川の合流点付近です。
合流点付近では、川の力が複雑にからみあって川底が削られるため、ここに軟弱な堆積物が溜まりやすくなります。また、本流に比べれば、
小さな河川が運んでくる土砂の量はたかが知れていますが、合流点付近では、そのエッジ部分に土砂や、枯れ枝、枯れ葉など有機物の遺骸も
溜まりやすく、予想をはるかに超える多大な軟弱堆積物、腐植土などが蓄積してしまうこともあります。

目黒川流域の谷の話から、やや脱線してしまいましたが、谷の地下を知ることがいかに難しいか、多少なりともおわかりいただければ幸いで
す。さて最後に、”理屈通りになっていない”目黒川流域の地下の様子をご紹介しましょう。下の図をご覧ください。
目黒川/谷底低地/縦断断面図

■目黒川流域の谷を、縦割りスキャンしてみると

これは、前回グーグルマップ上で示した目黒川流域の谷を、ボーリングデータを使い縦断断面図として表現してみたものです。わかりやすく
いえば、谷の地下を凹部分(硬い洪積層)と、凸部分(軟弱な沖積層)の2層に分け、場所によってその凸部分の軟弱堆積物の厚さがどう変化し
ているかを表現したものです。
ご覧の通り、全体としては、谷の地表面も谷底も同じように東京湾の出口に向かって下降しますが、谷の凹部分が場所により大きく変化して
いる様子がおわかりいただけると思います。また軟弱堆積物については、これまで説明してきたように、谷の出口に近くなるほど堆積物が多
くなることもわかると思います。堆積物の厚さは、池尻大橋駅付近で8m、中目黒駅付近で6.6m、五反田駅付近では12.6m、谷の出口に近い
新馬場駅付近では15mにも達しています。

ということで、理屈通りにはならない目黒川流域の谷を紹介しました。次回も、引き続き台地の谷を取り上げ、その地下の様子などを紹介し
たいと思います。


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geologistyouna202 at 15:32コメント(1)トラックバック(0)東京の地形・地盤  

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コメント一覧

1. Posted by フェンディ 財布   2013年04月25日 20:26
東京地盤ノート:台地と谷のこと (2)ー目黒川流域のつづき

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