GGG

プロレスを見て、適当に文句とか忠告をグダグダと書き綴っている、プロレス業界に偏った愛情を注いでいるブログ

「『好き』だけで、ずっと一緒にいられますか?」

夏の本場所こと新日本プロレスのG1は、飯伏の3連勝という劇的な開幕でプロレスファンを驚かせた。
PPVもある大阪大会での中邑との対戦は、大きな注目を浴びた。
そして、G1期間中に飯伏は週プロの表紙を飾った。

この飯伏の3連勝、そして中邑との対戦が注目されたことに何か違和感を覚えた。
飯伏と同じジュニア階級で、IWGPジュニア王者でありベストオブスーパージュニア全勝優勝者のプリンス・デヴィッドがセコンドの介入で勝利を拾う一方で、飯伏は実力で3連勝という結果だった。
これはプロレス的にありえない。
飯伏は他団体の選手だ。
ある程度のアップセットを起こすことはあっても、3連勝とは勲章としてあまりに大きすぎる。
特に優勝した内藤から勝利しているという点は見逃せない。
そもそも、飯伏と中邑の試合が一番注目されているみたいという話が、全くピンと来なかった。
アンケートの結果というが、それは本当だったのだろうか。

 DDT両国大会1日目、メインイベントは飯伏幸太と男色ディーノが大役を務めた。
飯伏の鮮烈で力強い技の数々に、ディーノは男色殺法を駆使して対抗した。
試合は飯伏の勝利で終わった。

 まだ荒い息のままで、試合後、ディーノがマイクを握った。
 彼は飯伏に語りかける。
「なんでプロレスやっているの?」
「楽しいから」
 奇遇ですね、わたしも一緒ですと返すが、彼が本当に聞きたかったことではない。
 リングを指差して、もう一つの問いを投げかける。
「なんで、DDTにいるの?」
「好きだから、大好きだからです」
 ほんの少しだけ間を空けて、それで全て聞きたいことを聞けたから話は終わりとばかりにディーノは観客との対話に移った。

DDT高木大社長は飯伏に他団体への移籍を勧めたことを公言している。
飯伏はそれに対し、連戦が肉体的にも精神的にも厳しいことやキャンプ場プロレスなどを優先したいので、移籍しないと答えたという。
全く、彼らしい回答である。

今年のG1での飯伏の3連勝と週プロの表紙は、新日本からの大きなラブコールだった。
新日本プロレスから見れば、他団体の、しかも飯伏とケニー・オメガ以外の選手を借りることがないDDTに対して、こんな譲歩は全く必要ない。
結果だけでなく、試合の中でも飯伏はDDTで見せない充実感を露わにしていた。
中邑戦での飯伏をDDTで見ることはできないだろう。
ストロングスタイルの象徴である中邑は、飯伏をその方面で一滴も残らずに絞りつくして見せた。

DDT両国大会でディーノは男色殺法で飯伏を追い込んでみせた。
その試合後に語りかけた。
「なんでDDTにいるの?」「好きだから、大好きだから」
ディーノの目が潤む。
しかし、この男色家はここで涙を見せる人ではない。
さっと両国国技館の天井に視線を移してから、観客に語りかけ始めた。

ディーノが「なんでDDTにいるの?」と聞いた時にはドキリとした。
G1のラブコールが頭にあったからだ。
飯伏が答えに詰まるのではないか、移籍を口にするのではないか。
そんなことが頭をよぎった。
実際はどちらもハズレだったが、ディーノがわざわざ大舞台のマイクでこんなことを言うということは、そこをはっきりさせないとダメだと(ディーノが、または団体全体として)思っていたからだろう。

実際と言えば、飯伏も実際のところ31歳の男性だ。
結婚したり、子供ができたりすれば、金銭面を考えてDDTから出ることを決断するかもしれない。
先のことはわからない。
今はドラマティックなドリームを味わっていよう。
それがうたかたの日々になろうとしても、この2日間、奇遇にもDDTを大好きな人達が両国国技館に集まった事実は永遠に残るから。

小橋建太は最後まで小橋建太でいてくれた

小橋建太の引退に伴い、久しぶりに記事を書こうと思っていた。
引退について書くのだから、やはり過去について書くことになる。
引退記念試合そのものは、さほど重要ではない。
そう思っていたから、書き出しも試合の前から考えていた。
「長い長いエピローグだった。この日が来ることは何年も前からみんな知っていた。」という書き出しだった。

腎臓ガンからの復帰後、どれほど小橋建太の動きが悪かったか。
テレビで、会場で小橋建太を見続けたファン達は知っているはずだ。
技を受けて腰が落ちたり、場外から戻って来られなかったり、一つ一つの動きがロボットのようだったりと小橋は、全く彼らしくないパフォーマンスしか見せられなかったのだ。
リングを離れていた1年半の間に小橋は大きな手術を受け、年齢を重ねることになった。
その小橋の試合に何かを期待する、というのは無茶というものだ。
だから、小橋の過去を中心に書こうと思っていた。

しかしながら、それは間違いだった。
この、小橋建太という稀代のプロレスラーが引退興行で情けない姿を見せるわけがなかったのだ。
1年半ぶりにリングに立った小橋建太は、まるで8年前に戻ったかのようだった。
映画館のスクリーンに映しだされた彼の動きには躍動感が蘇り、技を受けても場外で休むことはなく、技の一つ一つに説得力があった。
GHCのベルトを巻いて現れた小橋だったが、まるで絶対王者の頃のような動きを見せていた。

久しぶりに小橋建太を見た人達は「まだまだやれるじゃないか」ぐらいに思っただけだろう。
その通りだが、復帰後の小橋建太を見てきた人達は、それだけでないことをわかったはずだ。
復帰前であれほど動きが悪かったのに、復帰戦では全盛時の状態までに戻して来たのだ。
たった1試合のために、どれほどの練習と調整を重ねたのだろうか。
40分近い試合の中で、小橋は出過ぎるぐらいに出まくり、対戦相手のそれぞれの技を受けていった。
そして、自分の得意技を出していった。

逆水平チョップは凄い音がした。
ローリング逆水平チョップはヤバい勢いだった。
いつもより多めにローリングクレイドルが回っていた。
ハーフネルソンスープレックスは相変わらず危ない落とし方だった。
そして、最後にムーンサルトプレスはしっかりと決めてくれた。

小橋建太は、小橋建太のままリングを去った。
それは決して、簡単なものではなかった。
リングを離れている間に、一旦失ったものを取り戻して、最後にそれを見せてくれたのだ。
まさしくプロフェッショナルな仕事だった。

小橋建太は何度も何度も立ち上がる姿を見せてくれたプロレスラーだった。
最後にまた彼は立ち上がってくれた。
多くの人を勇気づけてくれた、その姿勢は最後まで変わらなかった。
最後まで偉大だった。

長い長いエピローグだった。
エピローグの最後はハッピーエンドだった。

GGGプロレス大賞2012

全く更新していませんが、これぐらいは書こうかと。

MVP・・・秋山準

今年の秋山は三冠戴冠を達成。
そして、大森さんファンの悲願だった秋山と大森の三冠戦を実現させた。
完全に時期を逸しているが、感慨深いものがあった。
ケアとの二度の防衛戦も素晴らしかった。
ベルトを落とした試合も、全く接点のない船木相手に合わせた緊張感溢れる中身の濃い試合で、何にでも対応できるというところを改めて見せつけた。
また、バラバラなノアのリングで、とりあえず軍団対抗戦路線でまとめる役割を担った。


最優秀ユニット・・・GET WILD(大森隆男&征矢学)

最高に面白かったのがこの二人だった。
まあ、記憶にも記録にも残る試合があったとは思わないのだけれど(笑)
よく東スポ大賞を受賞できたものだ。
それにしても、記者会見は毎回最高だった。


最優秀試合・・・葛西純 vs. MASADA(FREEDOMS 8・27後楽園ホール)

膝の怪我で引退直前まで追い込まれた葛西が、膝に悪い試合形式で、難敵MASADAに勝利して、悲願のデスマッチトーナメント優勝。
デスマッチの神様が、葛西純をまだ見捨てていないことを証明した。
MASADAは来日の度に新しい痛そうな攻撃方法を見せてくれるが、この時も色々やってくれました。
この前のアブ小林戦も凄かったなぁ。


最優秀興行・・・大日本プロレス 7・15札幌テイセンホール大会

山川竜司の引退興行である。
ここ数年、山川は何度もしょっぱい身体で、情けない、恥ずかしい試合を札幌で見せ続けていた。
2011年にススキノの店を畳んで、横浜でプロレスに打ち込み、引退時期を発表。
本格復帰直後は情けない動きが続いたが、引退が迫るほど、山川は徐々に昔の輝きを取り戻していった。
この日の山川は、最盛期を彷彿とさせる動きを見せた。
登坂さんのスピーチも切なかったなぁ。
客入りは過去最高クラス、引退試合以外も素晴らしいものばかりで、文句なく最優秀興行。


最優秀団体・・・大日本プロレス

アブドーラ小林の試合はそれほど好きではないのだけれど、マイクで最後をしっかり締められるので、安心できるなぁという。
特訓も毎回笑わせてもらっているし。
ストロングBJの確立や全日本プロレスとの対抗戦、塚本のデスマッチ戦線参入など、団体が大きくなっているなぁという印象を受ける。


新人賞・・・成宮真希

この人がいなかったら、さくらえみ離脱後のアイスリボンに興味を向けることはなかったんじゃないかと思う。
そして、もっと若いうちにデビューしてくれればという。
ちなみに新人賞の次点は新田猫子。


最優秀マスメディア・・・KEN筆.txt

フリーペーパーを個人で出すという試みに敬意を表して。


最優秀ブッカー・・・全日本プロレスの人

今でもカズ・ハヤシがブッカーでいいのかな?
BUSHIを新日にレンタルしたり、秋山を三冠王者にしたり、扱いが難しそうな船木を上手く使ったりと大胆かつ破綻のない展開を見せてくれた。
しかし、大和のジュニア王者をあそこまで引っ張った意味はわからなかった。

大日本プロレス4・1テイセンホール大会観戦記

もう20日以上前だが、大日本プロレスを観に行った。
カメラを新しく買ったので撮影しながら観戦してみたのだが、撮影していると試合のことが頭に入らないということがわかった。
全く楽しめないので、今度から写真撮影は控えることにする。

第1試合は谷口さんと星野。
随分と下の方に戻された星野だが、休憩中は張り切ってDVDを売り歩いていた。
忸怩たる思いはあるのだろうけれど、そういうところは素晴らしいプロフェッショナルっぷりだと思う。
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第2試合は橋本、塚本 vs. 石川、大谷。
あ、塚本は目がつぶってしまった。
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ゴンタ顔の橋本。
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大谷は性欲強そう。
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石川はコールの前の写真がなかった。
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みんな、いい顔しているなぁ。
と言いたいが、石川はウザい髪で顔が見えねえええええええ。
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妙に大谷だけ上手く写るんだけれど、なんでじゃろう。
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ボコボコにやられていた塚本が勝利。
毎度、ボコボコにやられすぎだけれど大丈夫なのだろうか。
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この若手達はストロングBJ扱いだけれど、橋本と塚本はデスマッチをやってもいいんじゃないか。

第3試合は残念ながら本当のバカ兄弟 vs. アジアタッグ王者の関本、岡林。
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岡林(使用前)。
さらに大きな画像が欲しいという方はご連絡を。
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関本と岡林に花束を渡した女性に「ブス」などの罵倒を投げかけるバカ二人。
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まあ、こうなりますね。
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しかし、こうなります。
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岡林(使用後)。
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関本はマンガみたいな表情するよねぇ。
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すげえ筋肉だぜぇ。
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岡林は目が光りすぎ。
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バカも頑張ったが、関本のジャーマンで沈んだ。
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第4試合は山川と伊東のシングルマッチ。
この写真が欲しい方はご連絡を。
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気合いが入った山川。
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試合が開始して少しで画鋲をかぶる伊東。
何故、画鋲をかぶる必要があるのか。それは誰も知らない。
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試合は当然のように伊東のペース。
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山川も返していく。
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リバースタイガードライバーも決めた。
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けれど、勝てるわけもなく、轟沈。
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しかし、倒れたままではない。
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今の山川は立ち上がる。
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引退まで3ヶ月、山川は走り続けるしかない。
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休憩中に志田光が妙なハイテンションでアイスリボン大会をアピール。
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第5試合はBJWタッグ選手権試合。
ヤンキー二丁拳銃と義人、忍。
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フライングメイヤーをこういうタイミングで写した写真ってあまりないと思う。
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試合に集中するため、撮影は控えめだった。
これはイサミがパンチをしようとしているところ。
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勝利した後、義人が忍を抱きしめに行ったところ。
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メインは小林、葛西、邪鬼 vs. 佐々木貴、WX、竹田。
貴の満足そうな表情が面白い。
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力を込めて小林の額を切り裂く貴。
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こんなに楽しいことがあるのかという表情で竹田は小林の額に蛍光灯を突き刺す。
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ふーん。という表情の葛西。
最近は中途半端な位置だけれど、ファンから見ても一番上まで走っていくのか、それとも教祖としてやっていくのか見えてこないなぁとは思う。
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最後は小林のバカチンガエルボー。
さすがに調子が落ちてきた感の小林であった。
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うん、このスタイルだと作成が楽だ。
ていうか、全く文章書いていないからね。
今更書こうとしても、内容はほとんど記憶にないから無理だけれどね。

写真を撮るのは楽しいけれど、試合に集中できないのが問題。
大日本プロレスだと場外乱闘に巻き込まれたりとか水がかかったりすることを頭に入れないとダメというのもあるし(笑)
なかなか上手くいかないものだ。

今回の大日本プロレスは少し当たりが弱かった。
前は頭がおかしいぐらいハードヒットだったけれど、さすがに自重したのか。
大怪我をしない範囲でこれからも頑張ってもらいたい。

GGGプロレス大賞2011

あけまして、おめでとうございます。
2011年は全く更新しておりませんね! だめですね!
今年もあまり更新しませんが、twitterではバンバン呟いております。
https://twitter.com/#!/gonai

それでは、2011年版GGGプロレス大賞の発表をどうぞ。

◎最優秀選手
棚橋弘至(新日本プロレス)

今年が棚橋のキャリアの最盛期だった。
MVPを与えるなら今年しかない。
全てのタイトルマッチが高クオリティで、IWGPヘビー級の価値を大幅に向上させた。
それらの試合後のファンのリング近くへの集まり方がまたすごい。
相当な数のライトなプロレスファンをディープなプロレスファンに転向させたのではないだろうか。
2011年の最優秀選手は棚橋で決まりだ。


◎最優秀試合
TAKAみちのく vs. 外道(新日本プロレス5・28ディファ有明大会)

ベストオブスーパージュニアBブロック公式戦で実現した初のシングルマッチ。
出発地が同じだった二人だが、ユニバーサルの解散から全く別の道を歩き続けてきた。
しかし、同じ山の頂点を目指した二人は今年、その頂点で出会った。
まさしく頂点としか形容ができない、プロレスのお手本と呼べる試合がこれだ。
この試合を全てのプロレスファンは見るべきだし、プロレスラーは目標にするべきだ。


◎最優秀タッグチーム
バラモン兄弟(フリー)

CIMA・リコシェ組も捨てがたいが、バラモン兄弟を最優秀タッグチームとした。
今年は色々と立ち位置も難しかったと思うが、変わらぬ活躍を見せてくれた。
相変わらずゲテモノだが、試合の構成力が恐ろしく高まっているため、しっかりとした試合を見せられるようになっている。
二人は目指していた到達点に至ったように見える。


◎新人賞
愛川ゆず季(スターダム)

胸囲の脅威の新人、ゆずポン。
今年は連続ドラマに出ながら、胸骨にヒビが入りながら試合に出場し続けた。
ゆずポンはグラドルにも関わらず見事な受けっぷりと強烈な蹴りを見せるが、そのスタミナも並々ならぬものを見せる。
練習量をそれほど増やせない中で、試合でスタミナ切れを起こさずに最後まで動き続けられることに驚きを隠せない。


◎最優秀興行
センダイガールズ10.27後楽園ホール大会
団体対抗Flashトーナメント

本当にほぼ全団体を集めてしまった里村。
各試合が団体らしさと今の状態を如実に表しており、マッチメイクが絶妙だった。
試合内容も素晴らしく、最後まで統一感が崩れずに興行が進んだ。
女子プロがまだ終わっていないことを証明した。
次点はG1クライマックス決勝。


◎最優秀団体
新日本プロレス

各タイトルマッチ、ベストオブスーパージュニア、G1クライマックスと全てのシリーズが大当たりだった。
2011年は新日本プロレスだけを見ていても満足だったのではないだろうか。

◎最優秀マスメディア
FIGHTING GIRLS(FIGHTING TV サムライ)

確か第8回までが放映されている女子プロ格選手のドキュメント番組。
第7回のRENAと神村エリカの対決にスポットを当てた回は、RENAがどれほど一戦に情熱を傾けたのか、神村エリカが負けてどれほど悔しかったのかが伝わってくる素晴らしい番組だった。
次点はクイズ☆タレント名鑑 史上最強ガチ相撲トーナメント。
書籍では『1993年の女子プロレス』を挙げたい。

2011年のNOAHについて考えた

当ブログがあまり更新がないことは実は良いことである。
というのも、褒めるより貶す方が記事を書きやすい。
更新がないということは、すなわち2011年のプロレス業界は順調であったということだ。

と言っても、今のNOAHが順調であると感じている人は少ないだろう。
札幌の二連戦は小さな会場のテイセンホールとプロレス初進出のコンベンションセンターだったのだが、テイセンホールは満員と言えるか微妙な入りで、コンベンションセンターの入りは酷いものだった。
最終戦の有明コロシアム大会も6000人に満たない入りだった。
テレビ中継がないことは如実にNOAHから集客力を奪っている。

2011年のNOAHはKENTAの独壇場だった。
小さな体でハードに攻め、それ以上にハードに受けていた。
死にかねないほどヘビー級の選手の技を受ける姿は殉教者のようですらある。

それほどKENTAが身を粉にしても、NOAHはどうにも面白くない。
理由はいくつもある。
いや、試合内容以外全てが悪いと言ってもいいかもしれない。

プロレスは以下の要素を一つ以上をストーリーに取り入れる必要がある。
・若手選手のトップ戦線に入るまでの成長過程
・ライバル同士の争い、結託
・ベビーターン、またはヒールターンの過程

上からNOAHに当てはめていこう。
若手選手の成長を谷口(35歳)を例に見てみよう。
いつの間に彼はトップ戦線に入っていたのか、全くもってわからない。
もちろん、現実的に考えると人はある日突然強くなるわけではない。
少しずつ努力が実を結ぶ。
しかしながら、プロレスでそれを見せる必要はない。
長州力の言葉を借りれば、ワインのコルクを抜く時を作ってやらなければならないのだ。
テクニシャンタイプのレスラーなら「何となく、いつの間にか上でやっていた」ということも悪くないが、見るからに不器用そうな谷口が大きなきっかけを見せずしてトップ戦線に入ることはファンに受け入れづらい。

ライバル同士の争い、というのも特にない。
KENTAが率いるNO MERCYの相手として鼓太郎や青木がいるが、ライバルかというと明らかに違う。
GHC王者の潮崎にも特にライバルはいない。
KENTAには丸藤が、森嶋には力皇がいたが、今はライバル関係というものを維持している選手達がいない。
それぞれの選手が自分との戦いとして試合に臨んでしまっている。

ベビーターン、またはヒールターンがあっさりしていることもNOAHの弱点だ。
NO MERCYの結成は高山参加も含めてあっさり過ぎる。
しかも、メンバーに意外性がない。
ブッカーと発案者がしっかりと協力できていないせいだろう。

それぞれの選手が自由にやって客が入るなら、誰も文句は言わない。
だが、何年も同じことをやって、同じような集客しかできないレスラーには変わってもらうようブッカーが働きかけなければならない。
丸藤正道はもっと考えぬき、そして嫌われ者になるぐらい選手達に指示を与えなければならないだろう。
みっともなくても試行錯誤するべき時期が今だ。
新日本プロレスだけでは業界は大きくならない。

後期ハイスパート・スタイルの始まり

よく言われることだが、プロレスは見続けるほどに面白くなっていく。
歴史や科学と同じく、どこまでも続く広大な世界が拡がっているからだ。
時にはマクロの視点で、時にはミクロの視点で世界を眺め、その壮大さと繊細さに我々は心を打たれる。

2011年のG1クライマックスは中邑真輔の優勝だった。
G1というシリーズを新日本プロレスは2つの使い分けをしている。
一つは蝶野や天山、後藤洋などに当てはまるパターンだ。G1を勝ち抜いた選手をメインイベンターに昇格させるために、箔をつける。
もう一つには同じく箔をつけるのでも、団体のエースであることの再証明として箔をつけるパターンだ。
95年の武藤や2000年の健介、2007年の棚橋がこれに当たる。
誰もがエースと認めても、G1を制さないと地力がないように見られる。G1を制すことで選手は新日本を引っ張り続けるパワーを持っていると証明するのだ。
そして、中邑はそれを見事にやり遂げた。

中邑真輔というプロレスラーはイビツな存在だった。
手足が長く、優れた頭脳を持ち、総合格闘技のバックボーンを持つ。
何よりデビューから二年目でIWGP王者になっているという異色のキャリアがイビツの最たるものだ。
大きな栄誉は避けられぬ歪みを中邑に与える。
デビュー直後から総合格闘技の練習に集中させられ、総合格闘技の試合で結果を出し、その報酬としてIWGPという栄誉が中邑に与えられた。このIWGPが歪みを与えた。
歪みが彼から何を奪ったか。それはヤングライオンというキャリアだ。
ヤングライオン時代に新日本プロレスの新人はタックル、エルボー、ドロップキック、ボディスラム、逆エビ固めだけで試合をする。繰り返し同じ技を使うことで、全てのレスラーが一定の動きができるようになる。
その機会を中邑は失うことになった。
サーキットに参加するようになった頃の中邑は新人ではなく、IWGP王者だった。
カードが上になれば、タッグマッチが多くなるうえにタックルやボディスラムだけで試合が組み立てることもない。
ドロップキックや逆エビ固めは新人を脱すると使わなくなるので使えなくても問題ない。
一方でエルボーはメインイベンター達も使い続けるので、身につけることは必須となる。
中邑の歪みはエルボーに如実に顕れた。エルボーが下手なのだ。それはもう、最初はひどく不格好なエルボーだった。
さらに言えば、サーキットに参加したりしなかったりの頃の中邑はエルボーではなく張り手を使っていた。
彼は賢く、謙虚だ。
自分がやれること、やれないことを理解していた。
アントニオ猪木が新日本プロレスを売り飛ばすと、中邑は自由の身になった。
体重を増やしたり、垂直落下系の投げ技を必殺技にしたり、中邑の自分探しが始まった。真の意味でプロレスラーとして生まれ変わろうとした。
元IWGP王者が一からやり直すことは許されない。コツコツと試行錯誤し続けるしかなかった。
少しずつ歪みを修正していく。
やがて、中邑真輔というプロレスラーはイビツに見えなくなってきた。
彼は自分のイビツなキャリアを無かった事にせず、そこを土台として新たなキャリアを積む方法にたどり着いた。
歪みの象徴だった下手糞なエルボーは年を追うごとに綺麗に、力強くなっていく。
2009年頃からは誰と比べても遜色ないエルボーを打つようになった。
中邑真輔は時間をかけて元IWGP王者の栄誉に恥じないプロレスラーの実力を身につけたのだ。
その実力は三度目のIWGP戴冠という実績に結びついた。

さて、実のところ、筆者は2011年のG1が始まるまで中邑に対して残念な気持ちを抱いていた。
どうにも彼の静けさがつまらなかったのだ。
特にCHAOSの存在意義が薄れていくにも関わらず何も動かないことに苛立ちを覚えざるをえなかった。
今年のG1が中邑の優勝であると予想はしたが、今のままでは誰の得にもならないのではないかと思っていた。
だが、しかし、そんな杞憂は見事に裏切られる。
2011年のG1において、彼の試合は全て「当たり」だった。どの試合も好勝負・名勝負だった。
身体をくねらせたり、手足をブラブラさせたりする演出も見事に怪しい雰囲気を作り上げ、中邑真輔らしい試合を提供した。
特に天山、カール・アンダーソン相手の試合は素晴らしかった。
相手に引っ張ってもらわないと試合にならない時代を終え、今では中邑自身が試合を作れるようになった。
G1決勝戦、相手は後輩で試合巧者の内藤だった。
中邑は先輩らしく試合を引っ張り、そして後輩を蹴落とした。

でもって、ここまでが前フリである。
長い、実に長い前フリであった。
G1の中邑の試合を見続けて思ったのだが、彼の試合の作り方は永田や棚橋と同じだ。
つまり、永田→棚橋→中邑のように試合の作り方が継承されているのだ。
新日本の永田とNOAHの秋山はシングル戦における試合の組み立て方をパターン化している。
(試合終盤でエルボー合戦をよく見る気がするのは気のせいではない)
それ故に後輩達はそのパターンを意識的か無意識にか学んでしまう。
棚橋は永田にタッグパートナーとして教わり、中邑は観察の中で身につけていったのだろう。

試合のパターン化が顕著になったのはフォールによる完全決着が半強制になってしまったことが大きい。
終わりが決まってしまえば、途中経過も似通っていくことは必然だ。
90年代前半は蝶野が長州力からSTFで、三沢がフェイスロックでジャンボ鶴田からギブアップを奪った。
劇的な番狂わせの決まり手がギブアップということは今では見ない。
時代は変わった。
そして、両者リングアウトやクイック(丸め込み)の連発はそもそも完全決着でないので避けなければならない。
(今回のG1では内藤がやっていたけれど……)

さて、中邑は現在31歳で、身体が大きく、体重のコントロールに優れ、コンディション作りも上手い。
膝や肘に無理に負担がかかるような動きもしないので、あと10年はトップ選手でいられる。
(飛びまくっている内藤の方が先に引退しそうだ)
中邑を手本にする若手レスラーもたくさん出てくるだろう。

筆者は中邑のスタイルを「後期ハイスパート・スタイル」と呼ぶことになるかもしれないと考えている。
初期ハイスパート・スタイルは長州や天龍達のことを指す。
中期ハイスパート・スタイルは初期のスタイルからバリエーションを増やし、さらに完成させた90年代新日本ジュニア、三銃士、四天王を指す。
後期ハイスパート・スタイルは中期のスタイルの試合展開をパターン化し、それを上手く活用した世代を指す。

パターン化は決してネガティブな話ではない。
例えば、ハリウッドでは脚本を書く際に物語を定型に当てはめることが求められる。
それにより脚本に足りなかった要素が補われ、質の向上につながる。
プロレスも同じく試合の質が向上すれば、塩分過多の試合が減る。
そして、パターン化するからこそ、セオリーを綺麗に裏切ることができるようになる。

NOAHでは秋山の試合の組み立て方を継承している選手は少ない。
だから、筆者の予想は外れるかもしれない。
しかしながら、完成されたハイスパート・スタイルを見てプロレスファンになった世代が新たなスタイルを生み出すのではないかと期待していく。
プロレスはまだまだ変わり、素晴らしくなっていくに違いないのだ。
過去ログ
管理人について
御内密書ん(ごないみっしょん)
重度のプロレス好き。主にWWEとメジャー団体を愛するが、大日本の観戦も大好き。格闘技を見るのは好きだが知識はない。最近はマッスルに傾倒している。
ゲーム大好きで、洋ゲー大好き。
Civ4とHALO3で遊んでくれる人は常に募集。
プロレス話をしながら、COOPするのが夢。
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