土木の風景

from civil engineers 築土構木、土木技術は社会生活の基盤をささえています。

三島スカイウオーク

日本一長い歩行者用吊り橋だそうです(拡大できます)。
径間400m。

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2017/6/10(土)の撮影です。
谷の深さは70.6m。

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公式ホームページ
http://mishima-skywalk.jp/

ウィキペディア記事
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%B1%E6%A0%B9%E8%A5%BF%E9%BA%93%E3%83%BB%E4%B8%89%E5%B3%B6%E5%A4%A7%E5%90%8A%E6%A9%8B

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人工知能のこれからと建設コンサルタント

人工知能のこれからと建設コンサルタント

私は東大の同窓会である東京銀杏会の幹事を務めており、本年のトップフォーラムを担当致しました。トップフォーラムとは、年に1回、時宜のテーマで、トップの方をお招きして、講演とディスカッションをするものです。本年は3月4日に、「人工知能のこれからと人類の未来」をテーマとして開催しました。

基調講演をお願いした甘利俊一氏(理化学研究所脳科学総合研究センター脳数理研究チーム特別顧問ならびにシニアチームリーダー、東大名誉教授)は、「人工知能の歴史と現状、そして未来への展望」という標題で話されました。現在は深層学習(ディープラーニング)を契機とした第3次人工知能ブームに突入しており、パターン認識や囲碁・将棋では人間以上の識別能力をもつに至っていることが述べられました。ただ人間の脳と違うのは、人間の意識では予測(先付け)と後付けのdual dynamicsになっているのに対して、深層学習では後付けを欠いている点にあると述べられました。社会への影響としては、格差の拡大と人類の家畜化を指摘されました。未来社会での政治経済社会制度の崩壊を人工知能が助けるのかどうかが課題であるとまとめられました。

コーディネーターをお願いした松尾豊氏(東大グローバル消費インテリジェンス寄付講座共同代表特任准教授、産業技術総合研究所AIセンター企画チーム長)は、「人工知能は人間を超えるか−ディープラーニングの先にあるもの」と題して講演されました。今後の日本のAI(人工知能)の方針として、眼を持った機械を実現し、(生物が急速に進化・分化した)カンブリア爆発に匹敵する大変革をもたらしたいと述べられました。現在のカメラは目の網膜のようなイメージセンサーとしての役割しか果たしておりませんが、その後段に脳の大脳皮質の第1次視覚野に相当するものを、ディープラーニングを用いて設けようという構想です。この部分については、英国ARM社のSpiNNakerコンピュータで対応する予定のようです。現状の日本の人工知能は決して世界の最先端というわけではなく、米国などに差をつけられているのですが、このようにハードの部分では外国の力を借り、その運用ソフトの面で勝負しようという方針のようです。日本は生産技術分野では世界のトップクラスですので、人工知能のこの分野での応用では勝てるかもしれないということです。

ここでディープラーニングという言葉が頻繁にでてきましたが、ここで定義しますと(フリーライブラリで学ぶ機械学習入門−堅田洋資他著、蟒和システム参照)、深いNeural Network(NN)+(機械)学習のことです。前段は隠れ層が2層以上のNNで、NNはパーセプトロンを積み上げたものです。学習で重みを更新して予測精度を向上させます。後段では、大量のデータを用いるなど様々な手法を駆使して、NNの重みの学習を行うものです。

早稲田大学政治経済学術院教授の若田部昌澄氏は、「期待を実現し、不安に備える:第2次機械時代の経済社会構想」という標題で、講演されました。現状ではAIの影響は、期待も不安も誇張されているようであり、当面は特に(人手不足の)日本にとって福音たりうるが、経済格差の拡大等に対し将来の備えが大事である。(負の所得税等)ベーシック・インカムなどを導入していく必要があると指摘されました。

作家で法政大学国際文化学部教授の島田雅彦氏は、「人工知能雑感」という標題で講演なさいました。人工知能がどんどん広がっていくと、人類には何もやることがなくなる?人工知能のペットとして養ってもらうか、野生化してイノシシや野犬や山猫みたいに暮らしていくことになる。後者は自給自足のきつい労働が待っているし、前者の場合には生産活動からは解放されるが退屈極まりない。しかし、遊んで暮らすことに馴れているホモ・ルーデンスや手作業や職人気質を好むスローライフ実践者は今まで通りの暮らしを続ければよい。このような人工知能のdystopiaを描かれました。

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このように人工知能の社会に与える影響は、特に長期的には大きなものがあるようですが、はたして本当だろうか疑う方もあろうかと思います。現状の人工知能ができること、できないことについて、ヤフーCSOの安宅和人氏がまとめられております(知性の核心は知覚にある、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年5月号)ので、紹介したいと思います。
『知的生産の本質は、何らかのイシュー(いま置かれた局面で白黒をはっきりすべき論点)にケリをつけること、答えを出すことにある。こうした課題解決には二通りある。一つが病気を治し健康にするようなタイプの課題解決(タイプA)。もう一つが、あるべき姿(ゴールイメージ)からして定める必要があるタイプの課題解決(タイプB)である。

タイプAの課題解決の場合、あるべき姿は明快であり、この場合で言えば健常状態である。ありうる原因を頻度と深刻さからチェックし、ロジックツリー的に原因を絞りこんでいく。おそらく世の中の課題解決の9割以上がこのタイプで、「ギャップフィル型の課題解決」と呼ぶことができる。
タイプBの課題解決の場合、そもそもゴールや目指すべき姿の見極めから、課題解決を始めなければならない。これは「ビジョン設定型の課題解決」と言われる。さらに、仮にそのような姿が見えたとしても、どのようにしたらそこにたどり着けるか自体も明確な答えが簡単には見つからない。このタイプの課題解決は、世の中の課題解決の1割もあるかどうかであると思われる。
現状の人工知能が対処できそうなのはタイプAに限られ、タイプBこそが、AI×データの時代に人間に求められる真の課題である。』

建設コンサルタントの業務はタイプBではないかと思われますが、タイプA的な部分も少なからずあるように思われ、そうした部分はしだいに人工知能に蚕食されると思われます。

では、遠い将来はどうなるのだろうか?
AI研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル氏は、2045年に「シンギュラリティ−」(技術的特異点)が起きると予言しています。人間の知能を上回るAIが誕生する時であり、AIみずからがさらに優秀なAIをつくり、進化を続けていくものです。もっとも有望なアプローチは、人間の脳のニューラルネットワークのアルゴリズムをベースにして、学習能力を持たせる技術です。その技術開発の壁は相当に高く、2045年までに可能になるとはなかなか思えないが、理論的にはいつか達成可能であるとされています。こうなると、タイプBの課題も人工知能が対処できるようになり、人間の優位性も危うくなります。建設コンサルタントも引退して、ベーシック・インカムをもらいながら、ホモ・ルーデンスとしてスローライフを楽しむということになる?

レイ・カーツワイル氏は、さらに先の進歩も予測しています。いずれは、コンピュータを人間の脳に接続できるようになり、脳の中にある記憶・考え方・性格・技能もすべてデジタルデータ化でき、それをAIにインストールすることも可能で、人間のコピーAIが実現できると言っています。それを搭載したロボットはコピー元の人間と同じ人格を持ち、思考し、行動する、と考えています。

しかし以上の点については、今日の脳科学ではまだ人間の「意識」や「質感(クオリア)」を解明できておらず、AIにどう実現するのか全く分かっていないから、これが人間の脳に残された最後の砦かもしれないという主張があります(前野隆司、「心の質感」が創造性の源泉になる、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年5月号)。人工知能でタイプBの問題の解決を図るには、その前に人間の意識や質感(クオリア)を解明し人工知能にビルトインすることが不可欠であるとされ、したがって当面、タイプBの問題は人工知能では対応できそうにないと言われています。この考え方でいけば、建設コンサルタントも、タイプBの業務で生き残っていけそうです。

いずれにしても、えらい時代になってきたようであり、こんな時代を生き抜く建設コンサルタントの課題は重いのかもしれません。
                                        2017.4.28 水谷潤太郎(千鉱E)

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荒れる山林 NO.466

千葉市近郊の里山です。
昔は杉が整然と林立していたものでしたが、荒れた山が多くなりました。

近郊の農家も高齢化が進み、放置された畑が太陽光発電の施設に変化しています。
時代と言えばそうですが、複雑な心境にさせられます。

農業を継ごうという若い人も少なく、林地の手入れなどできない相談なのでしょう。
日当たりの良い林縁部を雑木が占領して杉は後ずさりをする構図です。

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少しだけ奥に入ると倒木が多くなります。

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元気なのは野生のアケビとハエでした。

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暗い気持ちで終わるのは後味悪し・・・そこで、元気な林業の復活について一言。


最近の林業は機械化が進み、昔のような過酷な労働からは解放されつつあるそうです。大きな機械で杉の根元をつかみ、そのまま切断して所定の場所に寝かせられるのです。枝払いやカットも運搬も機械でできます。(→高性能林業機械)

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林野庁より拝借

 

従事者に聞くと「昔と違うわい!」ということのようです。

若い人が戻っていると聞けばとてもうれしい気持ちになります。
サラリーマンのような社員を抱えた山の会社・・・、明るい笑顔が林業の将来を想像させます。

国内産の杉や檜が加工技術も含めて競争力を増しているそうです。九州南部では高級材として韓国当たりへの輸出も盛んだとか。林業の復活は最近の日本に明るい話題を提供してくれています。

やはり、どのような組織にも若い人が入ってこなければ組織の未来はありませんです。

最後の一枚はメンテナンスの良く効いた東京電力送電鉄塔です。
荒れた山林を睥睨しています。
湾岸で発電した電気を大東京に送る重要な施設なのです。

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とんび岩 no.465

銚子漁港の南端部、黒生地区にとんび岩という奇岩があります。
鳥のトンビに似ているから付けられたそうです。

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上の写真の黒っぽい岩も、いかにも古そうに見えます。
一体、いつ頃の時代でしょうか。

地質図naviで調べてみますとK1(190)=中生代・白亜紀前期となり、約1億〜1億4600万年前の時代です。また、付近に観察されるすべすべした黒い岩は溶岩の固まったものとか・・・古銅輝石安山岩というそうです。

カモメが群れていますので見にくいですが、礫岩と黒い岩とは明らかに違います。

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なお、犬吠埼付近の愛宕山にはもっと古い、中生代・ジュラ紀(1億6100万年〜2億年)の岩石が観察され、昔は石切場でした(今はお寺さんになっています)。

愛宕山



さて、おまけは海岸に群れるカモメたちです。
のんびりとした時間が過ぎてゆきます・・・。

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古銅輝石 こどうきせき <大百科全書より>
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斜方輝石の1種で、頑火(がんか)輝石のやや鉄を多く含む変種。柱状結晶で、安山岩や玄武岩中に斑晶(はんしよう)としてよく産する。結晶表面や劈開(へきかい)面が青銅(ブロンズ)色にみえることがあるため、この英名がつけられた。〈松原 聰〉

あんざん‐がん【安山岩】 <広辞苑より>
(もとアンデス山系で発見され、andesite に由来する) 火山岩の一。暗灰色で緻密。斜長石・角閃石・黒雲母・輝石などを含み、板状・柱状等の節理がある。広く土木・建築に使用。

https://gbank.gsj.jp/geonavi/geonavi.php 地質図navi


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犬吠埼 no.464

久しぶりに犬吠埼に寄ってみました。
快晴、しかし風冷たく強し、そしてうねりあり。

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弓ヶ浜から長崎鼻方面へ移動しました。
まずは、弓ヶ浜からの逆光写真です。

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そして、犬吠埼灯台はいつものように白くまぶしい存在でした。

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長崎鼻方面から見た犬吠埼灯台と白い波の風景です。

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打ち寄せる波はかなり沖の方から砕けており、強風にあおられて霧状のしぶきが上がります。太陽の方向がうまく合えば虹が見られるのですが・・・今回は残念でした。

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そこで、2014年10月の証拠写真を付けてみました。

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八ッ場ダム工事現況 no.463

ダムサイトの基礎工事が急ピッチで進んでいます。

国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所のサイトではリアルタイムで分かるように定期的な現況写真を掲載しています。一枚拝借しました。

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上の写真は2017/1/12のコンクリート打設の現況だそうです。



さて、秋の八ッ場ダムです(撮影は2016.11.04)。
昨年・11/4(金)の現況写真は次の通りです。

拡大して見ていただければ幸いです。

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http://www.ktr.mlit.go.jp/yanba/index.htm 八ッ場ダム工事事務所のサイト
11/4写真提供by maeda

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白川郷・合掌造り no.462

 現在の写真ではありません。
 雪に埋もれた白川郷の魅力は有名ですが、普段の姿から見ると生活に密着した住居であることがよく分かります。
 大昔、それはそれは厳しい生活であったろうと推察します。

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 現在でも居住して生活されておられるようですから「観光地」とはいいながら大変です。維持管理はいかばかりかと・・・。

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 なお、位置関係を見てみると白山連峰のまっただ中、岐阜、富山、石川、福井に囲まれるような辺境の地です。昔は中部から富山への白川街道が主要な道でした。地形を見るとこの場所を通過するしか道がないようです。

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 現在でも国道や東海北陸道などが通過する重要な地理的要素を有しています。
 白川郷ICもできて、観光にはありがたいことであります。

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 ここは白山に源を持つ庄川の上流部ですが、次の航空写真を見ると河川が形成した河岸段丘が発達し、その平坦地に集落が発達しているように見えます。

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 いつまでもこの美しい景観が続くことを祈ります。

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 *写真提供by shitara

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謹賀新年 2017

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

新年はやはり富士山です、房総からの眺望です。

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平成28年度地すべり技術研修会報告 no.461

平成28年度地すべり技術研修会報告 no.461

 先の平成28年12月7日(水)千葉県安房合同庁舎大会議室(午前中)及び鴨川市の地すべり対策工現場(午後)において千葉県地すべり研究会と一般社団法人千葉県農業土木コンサルタンツ協議会共催の平成28年度地すべり技術研修会が開催されました。
 本年度も参加者が多く、千葉県県土整備部、農林水産部、市町村、協会、建設コンサルタントなど97名のエントリー、そして現地へ81名の参加でありました。
 座学研修に入る前に千葉県県土整備部安房土木事務所・吉田良治所長から代表挨拶があり、出先事務所の地すべり概要やこうした技術研修会の意義についてお話しがありました。

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  安房土木事務所吉田所長


 
 座学の技術研修は3人による講師陣で以下の研修内容でありました。

1)全国及び千葉県の地すべり概要と課題 10:00〜10:40
 千葉県県土整備部河川整備課 海岸砂防室副主幹 酒井 康行氏
 
 〜〜地名に隠されたメッセージ〜〜 として地すべりの概要や千葉県の特徴、さらには地名の由来や意味するところを詳細に調べて行くと、地すべりに関連する地名が全国にたくさんある事を紹介され、印象的な興味深いご講演でありました。

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  県土整備部河川整備課海岸砂防室 酒井副主幹


2)地すべり工事事例紹介  10:40〜11:00(休み5分)
 千葉県県土整備部安房土木事務所 建設課課長  矢代 信博氏
 安房土木事務所管内の地すべり工事の実施事例を抑制工(水路工、地下水排除工、排土工、押え盛土工)から抑止工(鋼管杭工、グラウンドアンカー工)まで多岐にわたる工種を具体的に紹介され、理解のしやすいご講義内容でありました。

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  安房土木事務所建設課 矢代課長


 
 
 最後は、長年地すべり業務を担当されてきた建設コンサルタントのベテラン技術者による専門的な地すべり解析について講義がありました。

3)地すべり機構と解析の事例紹介  11:05〜12:00
 国土防災技術株式会社千葉支店  支店長 近藤 昌志氏
 
 以下のような内容でした。地すべりに関する知識が比較的少ない聴講者には少し難しかったかもしれません。
 
 1.地すべり調査・解析の流れ
 2.精査計画の立案
 3.調査結果の整理と留意事項
 4.地すべり機構
 5.すべり断面の判定
 6.地すべりブロック区分と地すべり断面
 7.安定解析

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  国土防災技術株式会社千葉支店 近藤支店長

 以上の講義の最後に午後の現場見学会案内解説ご担当の安房農業事務所鴨川地域整備課本忠課長の紹介があり、また主催者を代表して千葉県地すべり研究会の中村代表幹事より御礼のあいさつがあり午前中の座学を終えました。

 

 その後、鴨川市の鴨川北部道路;地すべり区域西条中地区(鴨川市粟斗地先)の現地へ乗合で個々に集合し、現場見学会が始まりました。
 
4)現場見学  14:00〜15:30(現地集合・現地解散)
 案内解説 千葉県農林水産部安房農業事務所鴨川地域整備課
    課長 本忠 正一郎氏

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  安房農業事務所鴨川地域整備課 本忠課長


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 A、B、C の順序で徒歩にて移動しながら説明を受けました。
 
 
 本路線は工事施工中に何度も地すべりが発生し、歴代のご担当者は随分苦労されたようです。全線に多くの対策工が施されていますが今回の見学は時間の関係で上記三箇所としています。特にA地点は開削後すぐ(三週間後)に地すべりが発生し、対策が後手となって最終的にはアーチカルバートと盛土で支える対策となっています。法枠を押さえるグラウンドアンカーのヘッドがいかにもというゴツさを見せているのが印象的です。多くの工種が集中し、先達苦心の跡が見て取れます。
 
 なお、地元農家の話では昔から代々「この山は触るな」という言い伝えがあったそうです。「粟斗」という地名にその意味が込められているのかもしれません。

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  掘削直後と崩壊状況(蛇紋岩の地層)


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 なお、今回の技術研修会は千葉県県土整備部河川整備課海岸砂防室並びに安房土木事務所成田調整課長はじめ関係各位様にご協力をいただき、また、見学現場につきましては安房農業事務所鴨川地域整備課本忠課長にご配慮をいただきました。有意義盛大な技術研修会となりましたこと、この場を借り御礼申し上げます。
 
平成28年12月7日
千葉県地すべり研究会/一般社団法人千葉県農業土木コンサルタンツ協議会(中村)

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風による自立型煙突の振動(その2)-(2)no.460

風による自立型煙突の振動(その2)-(2)no.460

【4】3次元模型による風洞実験
4.1 実験諸元
対象とする実物模型の形状および板厚を図―4に示し、設計諸元を表―1に示します。2次元バネ支持実験結果の検証を目的に、以下の3次元模型による実験を行いました。

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図―3 螺旋板の高さの影響


風洞は最大風速:20m/s、気流の乱れは1%以下であります。筒身頂部における流の3次元性が風洞壁(天井)によって影響を受けないためには、模型の高さが有効な測定部高さの80%以下であればよいと言われています。このことから、模型の幾何学的縮尺は1/45としました。模型の動的な相似条件については、模型と実物の間で、次元解析から求まるつぎの三つの無次元数を一致させることが必要です。
なお、減衰については実物煙突の実測を行っていません。しかし、実験の目的は螺旋板も制振効果を検証することであり、螺旋板を取り付けない状態で模型が十分不安定な状態になる程度に減衰を小さくしておけば、特に問題はないと考え、δm=0.02としました。

(fp×Dp)/V_p =(fm×Dm)/Vm    (1)
Mp/(Dp^3 )=Mm/(Dm^3 )      (2)
δp=δm                 (3)

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図―4 実物煙突    図―5 三次元模型図

ここで、 f:固有振動数   V:共振風速
M:質量      δ:対数減衰率
D:筒身径

添字p、mは実物および模型の値であることを示します。模型の剛性は断面中央のアルミ棒で相似させ、幾何学的形状は補剛棒の周囲に木製(バルサ材)の外皮を取り付けて満足させました。外皮は剛性を受け持たせないために全体を8分割し、互いに接触しないように作製しました。図―5は3次元模型の説明図を示します。
表―1に実物と模型の諸元比較を示します。対象とする振動モードは1次振動で、2次振動は共振風速が設計風速以上になるので問題にはなりません。計測は頂部の振幅を光学的非接触変位計を用いて行いました。変位計は風洞天井(アクリル製)の外側に設置しましたので、気流への影響は与えません。

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4.2 実験結果
図-6は螺旋板の高さと取り付け長さの振動応答に及ぼす影響を求めた実験結果を示します。螺旋本数は4本、ピッチ角は40°であります。d/D>0.075の螺旋板を頂部30%の部分に取り付ければ、制振効果の大きいことが分かります。

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図―6 螺旋板の取付長さの影響


実験は一様流中で実験しており、気流の鉛直分布の相似は考えていません。
図―6の結果からも明らかなように、煙突頂部の30〜40%の部分の空気力が振幅に大きく寄与し、境界層近辺の風速はそれほど振幅に関係していいません。このことから、気流の鉛直分布は螺旋板の制振効果にそれほど大きく影響しないと考えられます。
図―7は3次元模型の共振風速を示します。螺旋板を取り付けたときのストローハル数は
S=(fm×Dm)/Vm =(0.39×0.089)/2.8=0.20

となります。ただし、高さ方向にテーパーがあるので、高さの2/3の位置における直径を代表径とした。

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図―7  三次元模型の共振風速


4.3 螺旋板を取り付けたときの抗力係数
以上の実験によって渦励振に対する螺旋板の制振効果を確認することができました。しかし、螺旋板を巻くと抗力が大きくなるので、風洞実験によってその場合の抗力係数を求めておくことが必要となります。
螺旋板を取り付けたときの抗力係数:CDはつぎのように定義されます。
CD=F/(1/2×ρ×V^2×A)          (4)

ここで、 F:抗力  ρ:空気密度  
V:風速  A:螺旋板を取り付けない筒身の見付け面積

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図―8 抗力係数の実験結果

図―8はピッチ角:40°、巻き付け本数:4本として螺旋板の高さを変えたときの抗力係数を示します。風洞の特性上、レイノルズ数はRe>1.5×106の
範囲にあります。ただし、螺旋板を巻くとはく離点の移動が阻止されますので、レイノルズ数の影響はそれほど大きくはありません。d/Dの値が大きくなると抗力係数が大きくなり、d/D=0.1では約1.2となります。


【5】設計諸元の比較
最後に本煙突と既往の煙突について設計諸元の比較をしてみます。図-9は既往の設計例について、煙突高さとライニングを含めた総重量の関係を整理したものであります。図中X印は本煙突の場合を示しています。この結果から明らかなように本煙突は著しく重量が小さくなっており、このため共振時の振幅が大きくなったものと考えられます。
ただし、既往の設計例はすべて鋼製煙突であり、用途的には火力発電所の煙突が75%を占めています。これに対して、ここで問題としている煙突は化学会社内の排ガス用煙突であり、用途的に見た場合の影響が存在するように思われます。
図-10は煙突高さと共振風速の関係について同様の整理を行った結果であります。図中、データにかなりばらつきがありますが、これは発現風速の観点からではなく、排ガス量から断面が決定されているとも考えられます。本煙突の場合、共振風速はかなり低い値となっております。

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図―9 既往の設計における高さと重量


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図―10 既往の設計における高さと共振風速


図-11は煙突高さの代表径に対する比(H/D)と煙突高さ(H)との関係について整理したものです。本煙突のH/Dは既往の設計に比較してかなり大きいことが分かります。H/Dは煙突の高さとともに増加する傾向にありますが、一定の値以上には大きくなっていません。これは高さに応じて直径を大きくすると、煙突が一定高さ以上になったとき、不経済な設計になることを示しています。
しかし、螺旋板を取り付けることによってH/Dの大きな設計が可能となり、高さの高い自立型煙突が比較的経済的に設計できるものと考えられます。

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図-11 既往の設計における高さとH/Dの関係


【6】まとめ
1)自立型煙突に取り付けた螺旋板のカルマン渦による振動防止効果を調べる目的で、バネ支持2次元模型による風洞実験を行いました。その結果、螺旋本数を3本以上、螺旋板の高さが筒身径の7.5%以上であれば制振効果が大きく、ピッチ角は10°〜30°の範囲では制振効果にそれほど大きく影響しないことを実験的に確かめました。
2)風によって大きな渦励振を起こしている自立型煙突の振動抑制を目的に、3次元模型を製作して2次元実験で得た制振効果を3次元実験によって確認しました。
3)風洞実験結果を実物煙突に適用するに際し、制振工事前後の実物計測を行いました。これによって、螺旋板の制振効果を自然風中で確認することができました。
4)既往の鋼製煙突の設計例について、総重量、共振風速、断面径を調査し、本論で取り上げた設計値と比較しました。その結果、螺旋板を取り付ければ経済設計が可能になることを示しました。


(参考文献)
1) 島田忠幸、原 公、石崎溌雄:自立型煙突に用いる渦励振抑制用螺旋板の効果に関する実験的研究、日本建築学会構造系論文報告集、第341号・昭和60年8月
2)C.Scruton: Note on a device for the suppression of the vortex-excited oscillations of flexible structure of circular or near-circular sections, with special reference to its application to tall stacks, NPL Aero Note 1012
3)Robert D. Blevins : Flow Induced Vibration, Van Nostrand Reinhold Co.,1977
4)C.Scruton: On the wind-excited oscillation of stacks, towers and mass, NPL, Paper 6
                                                     (文責 島田忠幸)


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http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/51909426.html その1

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