土木の風景

from civil engineers 築土構木、土木技術は社会生活の基盤をささえています。

2005年11月

no.20 せせらぎを創る・・都市公園

isi

 

 

 

 

 千葉市土気地区に「創造の杜」という公園がある。
 洪水時の調整池を兼ねており、良くできている・・・。

 
 大きな石をふんだんに使ったのは、設計者や行政、地元(区画整理組合)の”汗”と”涙”の結晶である。近隣の住民が良く散策したり、走ったりと大いに活用し、貴重な「共有財産」になっている。
 
 建設費が大変だったろうと推測するが、バブルの頃はできた!
 色々とやり玉に挙げられるが、その当時の良さも残っているのである。
 現在であれば、こんな贅沢な設計はしないであろう・・・。
 
 社会資本整備は、経済性ばかりを強調するやり方では、良いものはできないのではないのか。
 昔の人が造った重厚な建造物が、最新の建造物より耐震性があったり(新潟地震・万代橋)都市の景観を深いものにしてくれているのである。
 今後、耐震構造偽造が出るような近視眼的発想ではなく、長期的に子々孫々、末代まで考えて計画したいものである。

no.2 耐震構造偽造事件

 捜査が進み、事件の全貌が見えて来つつあるが、
 自分なりに問題を整理をしてみた。
 
  1)逃げの実態
  2)緊急課題
  3)システムが問われている
  4)技術力の低下
  5)責任の所在
  6)最後に
  
 1)逃げの実態
 それぞれが責任回避を必死にやっているように見える・・・。
 
 死者を鞭打つ非情は許せないが、それでも「死」を選択するのは「逃げ」ではないのかと考える・・・事件の核心部にいた人である・・・。
 
 責任を死者に押し被せ、事件をうやむやにすることは歴史上良くあることである。今回、物言わぬ人間に、多くの責任を帰することがないように願うのみである。
 
 また、自殺という覚悟も持てない当事者の一部が、「倒産」という卑怯な逃げを打つことは絶対に許せないことである。
 さらにまた、政治家を使い、国に圧力を掛けるに至っては「なにをかいわんや」である。
 
 ごまかした結果は、社会を揺るがす問題提起と大きな負債を残すことになった。
 個人や一企業で修復できるほど簡単ではないところに事件の深刻さがある。さらに、こうした偽装工作が確信犯であると聞くと、どうにもやりきれない・・・。
 
 
 2)緊急課題
 こうした時、やはり国や自治体が指導力と権力を使う以外に道はないし、関係機関が奮闘しているのがよく分かる。
 各種の調査、既存物件の構造計算見直し指示、危険建物からの退去命令、などがそれに当たる。
 
 原因究明は正確無比、今後の対応策に十分役立つ形で行われなければならないが、補償や移転などの諸問題はより緊急の課題である。
 
 苦労は多いが賃貸マンションの人は、まだ移転ですむ。だが、購入マンションの人たちは悲劇である。何らかの早急な対応・援助が必要であろう。ただし、責任追及は別問題である。
 
 
 3)システムが問われている
 こうした被害者の方々は、建築の構造専門知識があるはずもなく、社会のシステムとしての建築業界を信用した結果なのである。
 
 今回の事件が示した根本的な問題は、「建築業界そのものが問われている」と言うことである。
 
 建築基準を作るのは学界、政界・官界、業界の専門家集団、そして基準に基づき設計するのが設計事務所(意匠、構造、設備など)、その設計図書を審査指導するのが国、地方自治体、民間機関である。
 最後に施工するのが建築業者で、施工時の監理は設計事務所、監理会社が行う。
 
 この一連の流れの中で、なぜ、こんな「ひどい構造設計」が最後までチェックできなかったのか・・・これがまた、大きな大きな問題である。
 
 テレビに流れた配筋図を見て、「ウ、なんかおかしいなあ・・・スカスカだ」と感じた人がきっといたことと思うが、現実にはすべての工程を”素通り”してきたのである。
 
 審査機関はろくに図面を見ていないか、見ても分からない人間が審査したのであろう。また、構造専門ではない意匠設計事務所も最低限の常識として、配筋図くらいは理解すべきものである。
 またそして、施工する建築会社の現場技術者の技術力をどう言えばよいのだろうか・・・。なかには気がついた現場技術者もいたというが、「図面がそうなっていたから・・・」とは、無責任にも程がある、と考える。
 
 土木の世界では、『責任施工』という言葉がある。
 
 設計図書や図面が間違っていようと、それをチェックできない会社は「施工能力なし」という厳しい見方があるのである。
 建築の世界でも、ほとんどの会社が同じ精神と真剣さで施工しているものと考える。
 
 本当に、一部の不心得者が引き起こしたこの事件は、すべての建築業界を「疑惑の業界」として奈落の底に落としてしまった。
 
 ミスや不具合が一つあると10倍、100倍の原因と現象があるという。その意味では官も民も含めた業界の「システムそのもの」が問われるのは当然のことかも知れない。
 
 
 4)技術力の低下
 分かる人間が見れば、簡単に指摘できる単純な偽造を「ノーチェック」の状態にしていた責任は、システム全体と個々の人間性を含めた技術力の低下にあると考える。
 
 技術力とは、工学的な技術力と人間力を掛け合わせたものではないのだろうか。
 人間力のない技術屋は使えない! どんなに優秀でも、使えない者は使えないのである。
 
 今後、5,6年間で団塊の世代が退職していく「2007年問題」が控えている。技術力のある熟年組が大量退職し、技術の伝承や実際的な現場の混乱が心配されている。こうした世代の活用方法をも含め、審査指導、監視機構の確立・システム化を行うことが緊急の課題である。
 
 最近の技術屋はエンピツを持たない・・・。
 すべてをコンピューター・CADシステムがこなしてくれる。人間が行うことは考えること、条件設定と結果の吟味、そして総合的な評価である。技術に習熟していないと、人間様が電算の下請けになってしまうのである。
 
 そうした意味で、技術のあり方を知らない設計者、審査技術者が増えているのではないかと危惧するものである。細部の技術も重要だが、図面をパッと見て(大局に立った総合的な)判断ができる技術者を育成していくことも、業界の重要な課題である。
 
 
 5)責任の所在
 今回のデベロッパー(不動産会社、建設会社等建築主)、設計事務所、建設会社、審査会社そして行政は、姉歯構造事務所に勝るとも劣らない責任を負っている。
 強くそのことを自覚すべきである。審査会社の担当者は、ほとんどが役所のOBであったという・・・。
 
 行政は、審査機関に任せているから・・・と責任を回避したいであろうが、監視は違う意味で必要なものである。すべてを民間に・・・、というのはどこかおかしい。
 
 しかし、この事件によって、「だから、民間に任せるとダメなのだ!」という論調が強くなることには、大いに危惧するものである。
 
 役所だから安心?
 失礼ながら「とんでもない・・・」である。
 
 審査・監視・・・かかりすぎるコスト、かかりすぎる時間、取りたくない責任・・・結果は見えている・・・許認可行政の継続だけである。
 ”監視のポイントを抑える効率的なやり方”でないと、時代に逆行してしまうことになるのである。
 小さな政府(地方も含め)を創ることは人口減少の社会では必須の緊急課題であり、官も民もシステムと技術力のアップを真剣に考える必要があろう。
 
 
 6)最後に
 既に、国交省からマンション等の構造計算見直しの指示が出ており、古いビルもチェックを始めている模様である。また、審査会社の調査にも入っている。
 こうした監視、指導は国でなければできないことであり、どんどんやるべきものであろう。
 
 今後、審査機関をどのように構築し、指導・監視をしていくのか、調査や補償同様これからの重要な課題である。団塊の世代の有効活用を含め、よりよいシステムを構築してもらいたいものである。
 
 最後に、日本の社会は、まだ健全であると信じたい・・・。

幻想 

 千鉱エンジニアリング株式会社中村 雄兒

no.19 ため池洪水吐き

余水吐き

 

 

 

 

 

 千葉県大原町小網谷地区

 ため池
 シュート式洪水吐き
 
 規模は小さいが、洪水時の満流水を
 ボックスの内部に飲み込む。
 階段部に用水取水栓が並んでいる。

防潮護岸工

防潮

 

 

 

 千葉県和田町白渚地区
 館山方面から和田町の市街地を見る。
 
 太平洋に面した直線区間に構築された。
 コンクリートの組合せブロックである。
 
 左側、波返しの裏は国道128号線。

no.1 耐震構造偽造事件と技術

 同じ技術屋として、暗澹たる思いを持たされる。
 
 技術を持つ者と、その技術を如何に使うか決定する者と、責任は同じである。また、チェックする者も大きな責任を負っている。
 
 この事件は、これまでのコスト優先がもたらした結果であり、経済性万能という価値観の限界を示している。こうした技術者、建築事務所、建設会社の関心事は「自己の繁栄」であり、お客のため・社会のためという本来の目的を忘れているのである。いや、忘れていると言うより、意図的に捨て去っているようにも見える。
 
 技術は、社会のため、人間のため、もっと言えば自然環境を守るためにあるのではないのか・・・。
 
 彼らは、生き方や経営の理念が間違っているのであり、技術屋としてのあり方の前に、人間としての本質をはきちがえていると思う。
 こうした技術者が技術の核心部をねじ曲げ、その結果がどのような大事故を起こすのか、考えると空恐ろしい話である。こんなことは常識的には当たり前のこと・・、誰が考えても分かることである。
 彼らの麻痺した神経には慄然とせざるを得ない。
 
 だが今回の事件を、一技術屋の責任に帰すると問題の本質をはずすことになる。この建築士が最初からごまかす行為を行ったわけではなく、コスト低減の圧力を受け続けた結果なのである。
 
 しかし、技術屋には「絶対に、してはならない妥協」というものがあるのだ!!
 
 その一線を越えたところに彼の弱さ、犯罪性を見るのである。また、使った方も社会基盤の整備という”使命感”を無くした同罪者である。
 
 今、こんな技術屋・経営者が出るという、まさにこの現象こそ、世の産業構造が基本のところで問われる根源である。多くの大企業や政府系の組織でも「タガの弛み」が多く噴出してきている・・・。「氷山の一角」「まだあるのでは・・・」等々・・・メディアの論調も、「これでもか!」と追い打ちを掛けて来る・・・。我々は、この風を十分に認識すべきである。
 
 厳しい経営環境の中、建設業界が苦境にあるのは、紛れもない事実である。
 激しい生き残り競争の中、コスト力をすべてとする経営が横行しているのかも知れない。
 だが、経営は多くの経営要素があり、複雑に絡み合いながらバランス良く運営していくものである。コスト競争のみを追うのではなく、「顧客のため」を真の意味で実践し、革新的な経営を目指すべきものではないのか。
 
 結局、経営の本質をはずすと、結果的には自己の存在そのものを問われるような、大きな「ツケ」を払わされることになってしまうのである。
 
 我々技術屋は、今回の事件を他山の石として襟を正し、技術の本来的あり方を真剣に考えることとしたい。

雑草

 

名も知らぬ雑草一輪

千鉱エンジニアリング株式会社 nakamura

no.17 落合川・落差工

落差工

 

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 千葉県大原町長志地区
 夷隅川支流、落合川中流域にあり。
 河川の落差工
 
 魚道を十分に考えた形式。
 自然を意識した設計は好もしい。

丹生橋と富浦トンネル

丹生橋

 

 

 

 

 千葉県安房郡富浦町
 富津館山道路
 
 富浦トンネル(L=580m)出口と
 丹生橋(ニュウと読む L=32m) I 型の鋼橋

no.15 法枠工

noriwaku

 

 

 

 千葉県安房郡三芳村、北ノ谷地区
 
 切り土法面の保護工。
 コンクリート法枠工は
 斜面形状に合わせて施工できる。
 枠の内部には植生の種子を吹き付けている。

no.14 向畑隧道

向畑隧道

 

 

 

 

 

千葉県安房郡和田町、向畑地区
 
 古いトンネル形状がおもしろい。
 いにしえの素堀を思わせる。
 対面交差は難しい。
 
 和田町の市街地を館山方面に抜け、
 海岸の国道128号線から登ってすぐにある。
 地元の人が利用している。

no.13 大利根用水機場

sasagawa

 

 

 

 

 利根川下流域、千葉県東庄町
 
 海匝農林振興センター
 大利根土地改良区
 干潟土地改良区
 の管理。
 
 国営・大利根用水の起点である。
 千葉県東部、東庄町・干潟町・海上町・飯岡町・旭市・八日市場市・光町・横芝町・蓮沼村を灌漑している。
 
 『利根川の水を黒部川に導き入れ、東庄町笹川の笹川揚水機場で取水し、九十九里平野の2市7町、約7,200haの水田に水を送っています。昭和10年から工事が始められ、戦争による中断がありましたが、 昭和26年に完成しました。』(利根川下流工事事務所 )

no.12 丹生川の用水ゲート

丹生川ゲート

 

 

 

 

 千葉県富浦町の丹生川の流末
 
 用水取水用ゲートである。
 手前の小さいゲートの方向に水を導く。
 水門のすぐ下流は大きな落差工。
 水門のゲートの高さが特徴的。
 現在は農閑期、開放している。

no.11 苔むす重力式擁壁

koke2

 

 

 

 

 千葉県大原町と勝浦市の境付近の山中にある。
 
 時が経てば、自然に同化していく。
 コンクリートむき出しの美もあるが、
 自然にとけ込む姿もまた良し・・・。

no.10 開削工完成

開削工

 

 

 

 南総広域農道[茂原・夷隅線]
 夷隅町地区のトンネルを開削した。
 維持管理が楽になる・・。

no.9 法面保護工・・

蛇篭法面

 

 

 

 

 長狭街道(県道鴨川保田線)・鋸南町山中、
 擁壁(蛇篭仕様)の一種。
 
 いずれは、緑で被われる・・。

no.8 館山道とみやまトンネル

とみうらトンネル

 

 

 

 トンネル延長 1,439m 木更津側の出口である。
 
 正式名称は、
  有料道路名 富津館山道路
  路線名  一般国道127号
  区間 安房郡富浦町深名〜富津市竹岡
  延長  約19.2km

    設計基準 第一種第3級
    設計速度 80km/h
    幅員及び車線数 3.5m×2車線

no.7 水田用水栓

水栓

 

 

 

 

 撮影地は海匝地区、万才挟地区の水田。
 
 ほ場(水田)の用水は昔、
 ”命のやりとりをしたくらい”重要なことであった。
 
 しかし今、土地改良事業によりパイプラインが整備され、栓を開ければ水が出てくる。

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