東京お茶の水は神田川の谷とJR駅、地下鉄駅が交差し、道路は高い面にある。
この神田川を渡るのが有名な「聖橋」である。
建設は昭和2年、躍進日本を背負う気概が充満していた(設計者の名前も残り、土木屋にとって)良い時代である。川の交通もあった時代で、下から見上げて美しい景観を目標としたようである。
建設当時の写真や概要についてはウィキペディアに詳しいが、この橋が都民に親しまれ、今もって現役というのが素晴らしい。JR御茶ノ水駅に立つと、「下から見上げるという設計意図」がよく分かる。
こうした重厚な存在感を示す、鉄筋コンクリートアーチ橋を造ろうというロマンも気概も・・・予算もない、現代の土木屋・・・、ため息をついているのかも知れない。
本四連絡橋、大都会に掛かる長大吊り橋は現代技術の粋を集めた構造物だ。これはこれで美しい・・・、が、景観の中にとけ込む美しさではない。あくまでも、人間の自己主張が優先しているようだ。
なお、長大吊り橋の建造技術は高度なものだが、時代が変わると建設案件が無くなり技術の保持・伝承が困難になってくる。10年、20年すると日本ではこういう大型の橋を造れないという時代が来るのかも知れない。それも時代といえばそうだが、考えてしまう今日この頃である。