誰もが見ている、植物の生命力とたくましさをご紹介。
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ここは、千葉県長柄町の町道です。
道路はアスファルト舗装ですが、縁の方は転圧も不足し、舗装厚も薄いようです。

一度出てきたスギナの新芽は次々とアスファルトを破り、いずれはアスファルトがあったのかどうかさえ分からなくなります。拡大写真は次です。

一般の歩道舗装などでもよく見られる現象です。
普通に考えれば、スギナの新芽が舗装を持ち上げるなどあり得ないように見えます。
なぜでしょうか。
それは植物成長のスピードにあります。
氷が流れるというのは氷河で経験的に知っていることですが、岩盤が流動すると言って信じる方は少ないのです。しかし、地球の地殻は薄いですが岩盤で出来ています。
褶曲や断層が複雑に作用した岩層はアメのように動いた痕跡を残しています。プレートテクトニクスの理論もマントルが流動するとしていますが、水のような流動体とは違います。流動の速度があまりにも遅く、岩盤を流体のように動かすわけです。
つまり、人間感覚で固体と思われる物体も、その実態は流動するというわけです。長い長い時間を掛けて、ゆっくりゆっくり動けば、個体も流動体になります。鉄のように硬い物質もクリープ現象を起こし、変形します。
山岳氷河などは一年間に数メートル動くと言います。
仮に2m/年とすれば、<200cm÷365日=0.55cm/日>となりますが、これは大変な速度なのです。谷を削りながら川のように流れる・・・しかし硬い氷です、これが氷河の実態でしょう。
さて、アスファルトですが、こちらも岩盤と同じで流動的な動きをする物質です。植物の生長は浸透圧の上昇によりますが、そのスピードが極端に遅い場合は氷河の動きと全く同じ現象で、アスファルトを流動体のようにして圧力を掛けると考えられます。
舗装が厚いと浸透圧は勝てません・・・。
そして、もう一つ重要な要素は、植物の種類によることです。
アスファルトを持ち上げたり、突き破っている植物をよくよく見るとスギナやヨモギ、アシ、スカンポ(イタドリ)、タケなど、根茎が横に連続していたり、広範囲につながっている種類なのです。
普通の植物ではアスファルトを持ち上げるだけの体力とスタミナが続かないものです。根茎のつながった植物たちは体力とスタミナが並はずれていると考えて良さそうです。

この写真はスギナ自然の姿です。休耕田は一面のスギナ繁茂ですが、連続した仲間達と言えます。上のアスファルトに生えたスギナと比較してみれば明かですが、栄養満点、力を蓄えています。こういう仲間がいてこそのアスファルト持ち上げでした・・・。
最後におまけの「ツクシ誰の子、スギナの子」です。
