土木の風景

from civil engineers 築土構木、土木技術は社会生活の基盤をささえています。

2009年05月

海食台の風景 no.219

 ここは、おせん転がしで有名な勝浦の海岸です。
 典型的な浸食海岸であり、長年の波浪で少しずつ、少しずつ削られています。
 
 どれくらいのスピードなのか・・・、mm/年 以下の速度は人には見えません。
 第三系の泥岩(天津層)も、この勝浦地方では固い岩質と言えます。
 
 人間の時間スケールでは見えない海食スピードも、その痕跡を見ればよく分かります。次の写真にそれが明確に目視できるわけです。
 はるか太平洋を望むこの風景の中に波浪が立つ場所が分かります。ここが海食台(海蝕棚)の縁に当たるものです。

海食台

海食台2


 波浪より先の海は急激に深くなりますから足は立ちません・・・(笑い)。それより手前では足が立ちます。満潮では危険ですが、干潮になりますと歩けるわけです(でも危ないです・・)。
 
 ということは、昔陸地というか山だったところが波浪で削られて平にされたというわけです。悠久の時間が必要でしょうか、自然の力というのは、ものすごいものがあります。削られる方は、海蝕崖というのを作り、大変な崖が出現しています。おせんさんはこのような崖から身を投げたと言うことです。

海食台3


海食台4


 さて、
 千葉県は外海に接していますから、こういう地形がよく見られます。海食台は海草や魚介類の宝庫でもあります。
 
 山や海の恵みを受けて、房総の人たちは豊かです。あくせくしなくてもゆったりと生きてゆけます。これが、千葉県民(東京近郊の都市部を除いて・・)の特質を作っているのかも知れません。
 
 しかし長所短所は表裏・・・人がよいのは県民性としては心配も多くあるわけで、政、官、学、財の世界でなかなか勝てません。県民性として、お人好しは損をしているように見えるのです。
 
 しかし、本当は豊かな千葉県なのです、もっとアピールしながら元気を出していきたいものです。県知事も新しくなりました。宮崎県ほどでなくとも、全国に千葉県ここにあり!と宣伝をしたい・・・初夏の風です。

 参考記事はno.166 海蝕風景をどうぞ。

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安房中央ダム no.218

 南房総市丸山地区の丸山川上流に築造されています。
 国道410号線のすぐそばにあり。
 建設年代は 1972(昭和47)年、ずいぶん古いアースフィルダムです。
 
 農業用に千葉県農林水産部(当時;館山土地改良事務所)が灌漑を目的として建設したものです。均一型のアースダムとして、建設には随分苦労をしたと聞いています。
 
 さて、全景はこのような感じです。風景写真はクリック拡大できます。

安房中央ダム


安房中央ダム2

安房中央ダム3

安房中央ダム4


安房中央ダム5


 堤高32m、堤長110mは立派です。
 流域面積も広く、大雨の時は大変ですから洪水を速やかに排水する施設が必要です・・・それが余水吐(ヨスイバキ)といいます。
 本ダムでは側水路越流式を採用し、その長さ何と50mもあります。増水してくるとコンクリートの上を越流して放水路へ流れて行きます(200年確率最大流量Q=308.7t/秒)。

 豪雨の時は壮観で、一見の価値はあるかも・・・。

安房中央ダム6


 そして、農業用水は表層の温かい水を取れるようにフローティングタイプ(可動式取水塔)を採用しています。【→鴨川の可動式取水塔
 作りが古いけれど、当時は最先端の施設です。ここから取水して、館山市、南房総市の広大な面積(976ha)を灌漑しています。

安房中央ダム7


 以上の構造を模式的に示してくれているのがさび付いてきた案内板です。イメージとして見て頂ければ幸いです。

安房中央ダム8


 さて、本ダムはいろいろの施設老朽化問題があります。取水塔の写真を見て頂ければお分かりのように相当の錆が出ており、また用水路の途中施設も多くの問題を抱えています。
 
 
 一番の悩みは上流から流下してくる土砂、つまり堆砂問題です。ダム機能が次第に損なわれて行くわけで、浚渫排土するか、上流で止めるか、対応策の模索が続いています。さらに、予算不足は構造的な問題として、地元農家(安房中央土地改良区)に大きな負担を強いています。
 
 千葉県も新規事業(H18年〜)として努力をしているのですが、地元負担を考えると大規模な改修工事や対策を打ちにくい現状です。そして、もう一つ重要なことは農家の世代交代と耕作放棄、放棄水田の増加です。農家の意思統一も困難な状況になりつつあります(これは、全国的な話しです)。
 
 「自己負担をしてまで・・・」、そんな会話も聞こえてきます。
 
 農業の置かれた現状を縮図のように見せてくれる安房中央ダム・・・しかし貴重な先人達の遺産なのです。何とか守り抜き、後世に残して行きたいものです・・・農業が復活する時を信じて・・。
 
 最後に、ダムサイトの脇から周辺農道につながる長いトンネルがあります。農家の軽四輪が通過できるだけの大きさです。
 
 農業の未来を予測しながら・・・最後にエントリーします。


安房中央ダム9


安房中央ダム10


安房中央ダム11


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土の種類(その4)

《まさ土》

 まさ(真砂)土という名称は古くから文学的表現に用いられており、それは海岸の砂や川砂のようなきれいな砂を意味しています。

 しかし、土質工学的にみると語源は明らかではありませんが、おそらくまさ土地帯の現場で用いられていたものが一般化したものと推定さます。


 まさ土とは、花崗岩質岩石が風化してその場所に残留している残積土、あるいはこれと同質の崩積土を意味します。

 しかし、どの程度の風化状態の花崗岩から残積土とするのか、明確な定義はなく、土工に利用できる風化度範囲をまさ土と呼んでいるのが現状です。

 一般には、リッパーで掘削し、機械的に細粒化できる程度の風化花崗岩をまさ土と呼んでいるため、かなり岩的色彩の濃い風化岩までを範囲に含めています。

 その結果、一口に「まさ土」と言っても、風化の程度に応じて風化岩から砂質土、粘性土と様々な性質を示すものがあり、それぞれの風化段階で著しく異なる物理・化学・工学的性質を示します。

 さらに、様々な風化層を形成し、不均質な風化状態のものが多いため、多種多様な性質を示します。
このことが、まさ土を特殊土とする最大の理由となっています。

 
 まさ土になりうる母岩は各種の花崗岩、花崗閃緑岩、閃緑岩・花崗斑岩、片麻岩などの結晶性深成岩あるいはこれと同質の変成岩などです。

 これらの鉱物組成は一次鉱物である石英、正長石、斜長石、黒雲母、角閃石と、これらからもたらされたカオリナイト、ハロイサイト、イライト、バーミキュライトなど、粘土鉱物の種々の組合せからなっており、地域によってあるいは同一地域でも採取場所によって鉱物組織が異なっています。


 まさ土が花崗岩の風化物である以上、その分布地域は花崗岩質岩石の分布する地域となります。

 

 

 20090518151203_00001

 

 

4.3 花崗岩とまさ土の分布図

(出展:土質試験の方法と解説-762頁より)
 



 図4.3のように花崗岩は北海道から九州まで分布していますが、とくにまさ土が目立つのは中国、近畿地方です。

 特定の地域に多く分布することは、まさ土の分布が種々の条件によって支配されることを意味します。
以下にその条件を示すと、

 

・岩質:粗粒で酸性よりも中性の岩質のところは風化されやすい。

・地形:平坦な場所で準平原などに多い。

・地質構造:断層破砕帯付近はとくに深部まで風化している。

・地史:地質時代のうちで長時間風化を受ける機会があり、しかも新しい堆積物で覆われて保護されているところに多い。

・侵食度:地形が平坦で、雨量が少なく侵食の機会が少ない所


 以上のような条件のそろったところは、中国地方と近畿地方です。

この地方は一般に地形が平坦で、一度準平原化した所であり、雨量が少なく、風化層が侵食されずに残存している所です。

 したがって、まさ土が存在するかどうかはまさ土の生成条件と侵食の相互関係で決まるもので、生成の条件としては岩質や地質構造、侵食は地盤変動の歴史や気候条件によることになります。

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畝作り no.217

 これから作物を植えるための、畝(ウネ)が仕上がりました。
 何を植えるのでしょうか・・・ここは千葉県北総台地で、関東ローム層が広く分布する地区です。

うね


 最近の農業は種々の道具立てが盛んです。人が耕して畝を作る・・・それは家庭菜園の延長でしかありません。都市近郊の野菜農家でも機械化が進んでいます。
 
 この地区は農業で生計を立てている人が、まだ多くいます。
 この畝作りも機械作業です。
 トラクターを走らせればこの畝が連続して完成していきます・・・何とも便利な話しです。もちろん、トラクターと畝作りの装置、そして専用のビニールシートが必要です。
 
 残念ながら作業中の写真がありません。
 
 さて、何の作物でしょうか?
 
 この畝の利点は、
  〆酩佞韻靴笋垢ぁ
 ◆〇草の抑制になる。
  畝間の雑草取りが楽である。
 ぁ“地面の保温効果がある。
 そして、
  ツルの根付きを抑制する。
 マルチング栽培というそうです。
 
 以上で、栽培作物が分かった方は農業に通の方です(笑い)。
 
 
 なお、作付けはツルの先端20cmを切った苗を、挿し木状に植え付けます(斜め植え)。ツルは生命力旺盛、根を出し、定着してきます。夏になるとツルと葉っぱが畑一面を完全に被ってしまいます。
 
 その間、ツルの返し(ツルから地面に付いた根をはがす)は一、二回位でしょうか。それをしないと収穫の主役が大きくなれないのです。
 
 
 北総地区のローム土壌に適した作物、
 それは「石焼〜き、イモ〜」の材料でした。

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都市の風景 no.216

 千葉市中央区中央三丁目に高層住宅が建ちました。
 どれほど入居しているのか、まだ不明です。

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千葉都市モノレール


 アメリカの金融バブル崩壊は世界的な不況をもたらしていますが、都市のマンション市場にも大きな影響を与えています。
 
 千葉市内都心部にはまだ建築中の中高層マンションがあります。
 これは、全国的な話しと聞きます。
 売れる見込みは分かりませんが、工事をやめるわけにはいかないのです。
 
 何の業界でも同じですが、好調、最盛期の時に後追いで事業を始めると、大きな痛手を被ることがあります。大手不動産と中堅以下の業者とでは資本力も違い、また、これが特に重要ですが、先読み力の違いがあります。
 
 前の土地バブルが崩壊した時、大手や先読みできる業者は引き上げたあとでした。ババを引くのは中小業者と一般の人・・・株でも同じだと聞いたことがあります。
 
 中小零細企業は好景気の波が一年遅く来て、不景気の波は一番早く来ます。あくまでも大手有利の経済界であることを感じます。しかし、上場の大手企業も倒産する時代です、安閑としておられるほど世の中、そして時代は甘くありません。
 
 
 さて、この高層マンションを横切る鋼鉄製のレールは千葉都市モノレールです。千葉県と千葉市が共同で建設し、現在は千葉市が管理者となっています。


千葉県庁周辺


 
 最終計画まで延伸できておりませんで、経営は苦しい状況です。計画当初は地上にするか地下にするか・・・という議論もあったようですが、経済性で地上になったとか。
 
 市内の幹線道路沿いに、景観を切る形でレールが横に走ります。
 これは、見方によっては評判がよろしくないということでしょうか。ただ、景観に関する議論は主観的なものですから、人によりそれぞれです。
 
 首都高速道路と同じで、景観にとけ込むのは無理があるような気もしますが、いかがでしょうか。

土の種類(その3)

《しらす》

 「しらす」は白砂を意味する鹿児島地方の方言であり、地質学的には火砕流堆積物の非溶結部と定義されています。

狭義には、火砕流堆積物の中でも約2.4万年前に姶良カルデラを起源とする入戸(いと)火砕流堆積物の非溶結部を示すことがあります。

「しらす地盤」とは、火砕流堆積物の非溶結部であるしらすを含む地盤のことです。

一般にしらす地盤は表層に完新世(1.1万年前〜現在)に供給された火山噴出物とその風化物や腐食物からなる表層土、その下にはしらすや火砕流堆積物の溶結部である溶結凝灰岩、更新世(200万〜1.1万年前)や第三紀(7000万〜200万年前)の火成岩(安山岩、花崗岩など)や堆積岩から構成されています。沿岸域の沖積平野では、後背地の一次しらす(しらす台地を形成しているしらす)が浸食・運搬作用を受けた二次しらすが数十mの厚さに堆積しています。



 しらすが特殊土としてとりあげられる理由は、ひん発する災害のためであり、これまでに大小さまざまな災害が起きています。

しらす地帯に災害が起きやすいのは、斜面が極端に浸食されやすいこと、地震時に斜面が崩壊しやすいこと、沖積層におけるしらすが液状化しやすいことが主な要因になっています。


 しらすの分布域として、広く知られているのは以下の図4.2に示す九州南部地域の姶良カルデラを噴出源とするものや阿蘇カルデラ形成に伴うものですが、他にも北海道道東の屈斜路カルデラに由来するものや道央の十勝岳周縁部、関東北部〜北西部の浅間山、那須岳周縁にも狭い範囲で見ることができます。

 

20090507110328_00001

      4.2 九州南部地域のしらすの分布

      (出展:土質試験の方法と解説-779頁より)


 しらす粒子は火山噴出物であることに起因して多孔質であり、土粒子の密度が他の砂質土のそれよりも小さく、したがって、土粒子自身の強度が小さく、粒子破砕を生じやすいです。

粒子破砕を生じやすい土からなる地盤は破砕性地盤といいます。

すなわち、しらす地盤は破砕性地盤の一つとみなすことができます。

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荒れる屏風ヶ浦 no.215

 4月末の風景です。
 浸食海岸である屏風ヶ浦は現在、テトラポッドによる防護工により安定しています。しかし、風強く波浪が高い場合は崖面まで波が達します。
 
 一つの風景として、また浸食海岸の現状を雰囲気として感じて頂ければ幸いです。
 なお、土木の風景の過去関連記事は次の通りです。
 
 no.61  屏風ヶ浦-防護・浸食 。
 no.194  海岸浸食 。
 no.203  地形の妙・・屏風ヶ浦 。

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屏風ヶ浦

屏風ヶ浦2

屏風ヶ浦4

屏風ヶ浦5

屏風ヶ浦6

屏風ヶ浦7

屏風ヶ浦3
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