土木の風景

from civil engineers 築土構木、土木技術は社会生活の基盤をささえています。

2009年10月

圏央道見学(5)真名トンネル工事-2 no.241

 真名トンネル工事の第二弾、トンネル工事工程の後半部分です。
 実際の工事進捗状況は掘削とインバート施工であるが、本格覆工のセントラルも用意されているので土木の風景としてエントリーするものです。
 
 掘削先行に続く施工はインバート工事、つまり底版部の分厚いコンクリート工です。

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 次に、上半部の覆工下地として補強鉄筋、防水シートの設置をしますが、そのためのシート兼鉄筋組み立て台車(L=6.0m)が控えています。

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 そして、覆工コンクリート打設のためのセントラル(L=10.5m)も抗口に控えています。この装置はなかなか迫力があります。

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 最後は余分な施設のようでありながら、最も大切なエアーダクトの紹介です。工事施工中は常時稼働が使命です。この為、坑内では防塵マスクが必需品というわけです。

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2.水道の普及率

 水道協会誌第899号(平成21年8月号)が届いた、毎年この時期になると前年度の統計資料が整理され発表されます。(※2009.9受稿当時)

 平成19年度の統計資料を見ながら、水道普及率など水道の現況や今後の課題等を考えてみましょう。


 

・水道普及率

平成19年度の総人口1億2789万6千人に対し、給水人口は1億2457万7千人で普及率は97.4%となっています。都道府県別では、東京、大阪、沖縄が100%で最高となっており、以下、神奈川、愛知、兵庫、埼玉と続き、低いほうでは、熊本、秋田、大分、が90%前後となっています。ちなみに、千葉県は、人口612万3千人に対し給水人口577万2千人で普及率94.3%となっています。

明治23年(1890年)に水道条例が施行され67年後の昭和32年(1957年)現在の水道法が公布され、幾多の改正を経て現在に至っています。この間、水道は自治体が責任を持って運営する原則が貫かれ、国民皆水道を目標とし普及率向上が図られてきました。
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【厚生労働省HPより】

1980年頃までは、急速な普及率拡大が読み取れます、しかしながら、その後は高原状態となり、直近の10年では、毎年0.1ポイントの増加にとどまっています。
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水道協会誌第899号より

この97.4%の普及率をどう捉えるかですが、日本人1000人のうち974人は、すぐそこの蛇口をひねると水道水にありつけると言うことです。この日本の水道普及率は、降雨に恵まれた国であることや先人達のたゆまぬ努力と評価できます。

 

一方、世界に目を向けると、水道普及率が、エチオピア24%、カンボジア30%、アンゴラ38%など水道年鑑2008に記載されていますが、調査さえままならない南アフリカの多くの国々は悲惨な状況となっています。

UNICEFの報告では、2004年の時点で、安全な飲み水を利用できない人の割合は17%となっています。国連ミレニアム開発目標では、2015年までにこの割合を12%(約7億6千万人)に引き下げる目標を掲げています。水運びを日課とし、このため学校に行けない子供達もこの地球上に沢山いることも現実です。

 



・給水量の推移

次に、給水量の推移を見てみましょう。
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水道協会誌第899号より

給水量は、1995年(平成7年度)をピークとし、右肩下がりが読み取れます。給水量の減少は、節水意識の高まりや節水機能の蛇口、洗濯機、トイレ等の普及が反映したものと考えられ、今後は人口減少が続くと思われるため、給水量の減少は当分続くと想定されます。



 

・管路延長

管路延長は、普及率と同様に毎年、僅かではあるが増加していますが、管種の分布では石綿セメント管が減少し、ダクタイル鋳鉄管が増加しており、布設替えが進んでいることがうかがえます
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水道協会誌第899号より


・今後の課題

今後の課題としては、普及率の向上の優先順位は低いように思われます。現在、多くの水道事業者の課題は、経営問題となっているようです、ハード的には老朽化対策、ソフト的には水質の向上や水道料金の低減化です、多くの水道事業者は、計画的な施設更新や業務のアウトソーシングの導入等に取り組み経営の効率化を図っています、また、最近では効率化の延長として集中化、広域化が表面化してきています。

 


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By:m.nakao


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霊峰富士 no.240

 土木の風景ではありませんが、富士山はあらゆる世界に関係しているものとして、エントリーです。
 
 富士山のリアルタイム映像はいろいろなサイトがあります。
 今回のサイトはNTTドコモが三つ峠にセットしているものの紹介です。
 
 
http://camera.mvkofu.com/cgi-bin/livecam.cgi
 
 天候によって、見られるかどうかは運次第でしょうか。
 秋の季節から冬にかけて、よく見えます。
 
 下の写真は2009.10.24 10時頃の映像です。
 厳しい経営環境の中、息抜きに覗いてみていただければ幸いです。
 → 拡大が出来ます。

霊峰富士

 なお、
 時代の流れというものは、あらがうと危険です。
 九十九里海岸には「離岸流」というものが存在します。泳ぎがどんなにスゴイ人でも、逆らって助かった人はいません。横に逃げるか、そのまま流されるか、冷静な判断が必要です。
 
 建設関連の業界は今、激しい離岸流の中にいるのです。
 こういう時こそ、ポジティブな発想と行動が要求され、また、高みから流れをしっかり見すえる冷静な判断が必要です。
 
 愚痴を言っている暇はありません。
 出来ることをじっくり、しっかり、地道にやるしかないのです。
 
 苦しい時は、富士山を見ましょう・・・!!

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6.土の物理的性質(その4)

《液性限界・塑性限界》


 土は含水比の違いにより状態が異なります。

 特にシルト粒子や粘土粒子を多く含む細粒土は、含水比が十分に高いと流動化を生じて液体と同様な性質を示す液性状態となり、含水比が低下すると力を加えた後の変形が残留する塑性状態に変わります。

 さらに含水比が低下すると、もろい半固体の状態を経て含水比が減少しても体積が変化しない固体の状態になります。

 このような状態変化による硬さや変形に対する抵抗の大小を総称してコンシステンシーといいます。

 コンシステンシーの各状態の変移点をコンシステンシー限界といい、コンシステンシー限界には、液性限界・塑性限界・収縮限界があり、次のように定義されています。


 液性限界ωL:土が塑性状態から液性に移る時の含水比をいい、試験方法では、流動曲線において落下回数25回に相当する含水比と規定している。

 塑性限界ωp:土が塑性状態から半固体に移る時の含水比をいい、試験方法では、土のひもが直径3mmになった段階で、ひもが切れ切れになった時の含水比と規定している。

  収縮限界ωs:土の含水量をある量以下に減じてもその
     体積が減少しない状態の含水比をいう。

 


 

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【図6.2 各限界の定義と実際の状態】

(出展:土質試験の方法と解説-93頁より)

 

 一般にコンシステンシー限界は、粒度や土粒子の形状、比表面積、粘土鉱物の種類と含有量、間隙水中の塩類の種類と濃度、有機物の種類と含有量、土粒子表面の荷電の強さと吸着水層の厚さなどによって影響を受けるとされています。

土粒子の粒径が小さく比表面積が大きいほど液性限界、塑性限界は大きくなる傾向にあります。
また、吸着陽イオンのイオン価数および塩類濃度の増加は土粒子の周囲に形成される電気二重層の厚さを減少させ、土粒子間の引力を弱めるため液性限界を低下させます。

さらに有機質土においては、有機物含有量が増加するほど液性限界、塑性限界ともに大きくなることが報告されています。



【表6.4 液性限界・塑性限界の測定例】
(出展:土質試験の方法と解説-103頁より) 

 

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圏央道見学(4)真名トンネル工事-1 no.239

 圏央道東金工区(茂原長南IC〜東金IC・JCT)は起伏の激しい区間であり、今回は、真名カントリークラブを横断貫通する真名トンネル工事の紹介です。

見学風景


 真名トンネルは全長927m、暫定2車線(下り線 W=9.0m)の施工中です。
 掘削工法はNATM(ナトム)工法、地質は上総層群笠森層の風化細粒軟岩、固結度は低く掘りやすいが崩壊しやすい岩質です。
 
 ナトム工法の基本はロックボルトなどの挿入によって掘削断面周辺を強化するもので、掘削断面に作用する土圧を「補強した厚い層」で受け持たせようと言うものです。
 
 たとえて言えば、砂山に穴を掘って、遊んだことを思い出して頂くと良いかも知れません。掘った砂山のトンネルはぼろぼろと崩れたり、山が高いとつぶれたりします。その時に、穴の周辺にマッチ棒などをたくさん差し込んでおくと崩れにくくなるのです。
 
 この原理を工学的に解明して、マッチ棒の長さや本数、方向などを解析して実際的な施工に生かしたのがNATM工法です。
 
 辞書の記事ではこうなります。
 【 ・・この工法は新オーストリア工法 New Austrian Tunnelling Method(略してNATM(ナトム)という)とよばれているもので、日本では1970年代後半に上越新幹線建設工事で初めて本格的に採用された。この工法は、在来の鋼製支保工では支えられないような強大な地圧が作用する膨張性地山や、未固結の軟弱な地山などの不良地質の場合にも適用できる。また、従来よりも大断面の掘削ができ、大型施工機械の投入による急速施工化、省力化を図りうる可能性を有しており、その適用範囲が拡大される傾向にある。】
 
 ということで、多くの実績事例があり、一般的な工法となっています。
 本地区の真名トンネルは掘削しやすい笠森層ですから、掘進速度も高いと聞いています。
 
 さて、トンネルの掘削完成にはいろいろな工程があります。
 大まかに整理をすると、次の手順です。
 
 1. 掘削のサイクル(1〜7段階)
 2. インバート掘削・コンクリート打設
 3. 補強鉄筋、防水シート施工
 4. 覆工コンクリート打設
 5. 舗装施工
 6. トンネル内諸設備施工
 7. 完成
 上記のうち1〜4は一つのサイクルとして順次進んでいきます。
 
 現在の真名トンネル工事は、掘削工が200m以上、インバート工事が70m以上という進捗状況でした。まだ、1、2の初期段階といえます。
 
 
 今回は、1.「掘削のサイクル」が主題です。
 その工程を写真で追ってみました。
 
  〃〆錙
 切羽の掘削は、上下半掘削で上半部が先行し、下半部は遅れた形になります。一挙に全断面を掘削しません。
 ツインヘッダー、リッパー使用。

ツインヘッダー


 ◆,困蠕僂濆み・運搬
 ホイールローダー、10tダンプトラック
  一次吹き付けコンクリート
 見学の日はこの工程作業中でした。

吹き付け

吹き付け2

吹き付け3


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 ァ〕論楸睫崟瀉
 Α‘鷦/瓩付けコンクリート
 とりあえずは、これで安心、安全です。

支保


 А.蹈奪ボルト施工
 長尺鋼管フォアパイリング工法(AGF)

ロックボルト


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 なお、トンネル工事は、昔から難工事が多く、人命に係わる危険な作業が多かったようです。そのために、必ず掘削坑口に写真のようなお守りが付けられるとか。監督員の説明では、鳥居をイメージして頂ければ・・・と。

お守り

圏央道見学(3)県道交差 no.238

 見学会とは別の番外編・圏央道建設風景です。
 高速道路の建設にはいろいろの障害があります。その中でも、主要県道や鉄道との交差部は平面交差というのができませんから、上越し(橋梁など)や下越し(トンネルなど)をすることになります。河川の場合も同じです。
 
 ここ長柄町岩川地区は南北に圏央道が縦断し、主要県道市原茂原線と一宮川の上流部を横断します。交差部だけが上越しし、水田部などは盛り土工による計画です。
 
 工事の進捗としては、まず構造物を構築しておき、その後、盛り土部の施工となるのが普通です。構造物が終わった段階ですが、土木の風景としてエントリーしました。
 
 位置図の番号と写真の番号が一致します。

位置


圏央道2


圏央道3


圏央道4



圏央道5



圏央道6



圏央道7


圏央道8



圏央道9


圏央道10



圏央道11



圏央道12



圏央道13

 関連記事
 
http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/51261036.html 圏央道見学(1)小野橋工事
 
http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/51265475.html 圏央道見学(2)茂原北インターチェンジ

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圏央道見学(2)茂原北インターチェンジ no.237

 茂原北インターチェンジは主要県道・五井本納線と圏央道が交差する場所にあります。丘陵部と沖積谷が入り組む複雑な地形であり、切り土、盛土が大規模に発生しています。
 
 まずは、計画図の全景は案内用パネルを見て頂きましょう(相当使い込んでいるような・・)。NEXCO東日本の地区責任者の説明です。

図面


 圏央道は、南西方向(長南町)から北東方面(大網白里町)に抜けて行きます。主要県道・五井本納線を直角から斜めに横切る形です。

全景


切り土ルート


 暑い日差しの中、千葉県耕建会のメンバーも一生懸命に説明を聞いておりました。技術屋の集団ですから、厳しい質問も多かったような・・・。

見学風景


 さて、切り土、盛土があるということは扱い得る(使える)土質でなければなりません。圏央道は基本的に土を搬出しない方針でやっていると聞いております。茂原北インターチェンジ付近の地質はどのようになっているでしょうか。
 
 そこで、茂原地区の地質図(<千葉県地質図>抜粋)を見てみますと洪積層の地蔵堂層と笠森層の層境にあります。ということは、両層が観察され、また、切り土盛土の対象土層であるわけです。ちなみに、地蔵堂層が上位に当たります。

地質図


 まずは、上位にある地蔵堂層(下総層群最下部)の切り土断面は、時間差を加えて、切り土直後の還元状態と、その後の酸化状態断面を並べてみました。
 ただし、上の写真は南西斜面で走向傾斜の下流側、下の写真は北東斜面で上流側ですから、酸化のスピードが違います。また、下の方は、もともと酸化していた可能性があります(直後は見ておりませんが、新しい切り土断面です)。還元状態は暗青灰色、それが酸化してくると褐色系に変化してきます。

切り土断面


切り土断面2


 次に、下位にある笠森層は洪積層でも最も古い部類ですから、安定した微細砂で、がけ面も自立しています。盛土区間のすぐ東側の自然断面です(もちろん、むかしの人は作用しておりますが・・・)。

笠森断面


 なお、本工事カ所では盛土用土が不足しておりますので、東金区間全体(NEXCO東日本工区)での土量バランスを図っているとか。真名トンネル工事や大網、東金方面からの発生土搬入でまかなっているそうです。
 
 盛土部の一部全景とおまけの写真を最後にエントリーします。高盛土になりますから、排水用ドレーンの設置と、転圧回数8回というのがうれしくなる土木の風景であります。

盛土

盛土2

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   関連記事 圏央道見学(1)小野橋工事 no.235

小糸川鉄橋 no.236


 小糸川下流域に千葉県工業用水道の人見取水堰があり、そのすぐ下流にJR東日本外房線の小糸川鉄橋があります。
 
 位置関係は次の通りです。人見浄水場についてはこちらに記事があります

地図


人見取水堰


 どこにでもありそうな、何の変哲もない平凡な単線の鉄橋です。
 
 外房線の電車もそんなに本数は多くありません。
 横須賀からの快速は木更津、君津で終着ですから東京からの館山行き特急、千葉からの普通がここを通過します。
 
 この平凡と思われる小糸川鉄橋を撮ってみました。

小糸川鉄橋


小糸川鉄橋2


 しかし、よくよく見ると、橋脚の作りに感心してしまいます。いつころの築造でしょうか。懐かしい煉瓦と石の橋脚は芸術作品のように、輝いて見えるのです。
 
 現代の土木屋が忘れてしまっている「時間を掛けた丁寧な仕事」、そして確固たる意志が伝わってくるのです。
 
 長い年月を乗り越えても安定感抜群、しっかりとした姿が印象的です。先達の土木屋に敬意を表するものです。
 
 こういう時代が、また来るのでしょうか・・・永遠に来ないとしたら、哀しく寂しい現代文明であります。

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小糸川鉄橋5


 橋は、上から見るのではなく、下から見たいものです。スマートな電車が通るにしても下から見た方がどれほどかっこよいことか・・・(これは、土木屋のつぶやきでした)。

小糸川鉄橋3


 最後に、川縁で、数人の子供達が釣りをしていました。
 むかし、よく見た風景です。
 
 危険だから、怪我をするから・・・と、危険なことから子供を離そうとする親たち・・・。都会の子供達はどんどんひ弱になって、危機管理能力がなくなって行きます。自分で自分の身を守る術こそ教える必要があると思うのです。
 
 富津市青堀、小糸川の子供達に表彰状を贈りたい秋の風・・・。

小糸川鉄橋6

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