一番簡単で安いのは切土のまま・・・、次は、モルタル吹きつけ・・・植生工も安そうです。その先は、コンクリートなどの構造物・・・。
さて、そうした防護工も時間が経つに従い、劣化してきます。
大規模な崩壊が予想される時は、本格的に計画施工をするのですが、簡単な落石や破片が落ちる程度ならばネットで抑えるのが楽のようです。
落石などを完全に抑えるのではなく、「受け止める程度で大丈夫・・」、という発想です。別に新しい工法ではなく、大昔から、経済性を重視して行われてきました。金食い虫といわれる土木工事ですが、土木行政は、社会の安全・安心を見えないところで支えています。
「築土工木」、土木屋は縁の下の力持ちなのです。



ここは、夷隅郡大多喜町・国道297号線です。
コンクリート吹きつけ工がなされてから30数年は経過していると思われます。
劣化部から破片が落ちたら大変です・・・、上の写真はその工事風景でした。
完成後は、こういう形となりました。




さて、国道297号線の終着点は勝浦市です。
こちらは切り立った海岸線が連続し、こちらのがけ面も大変な防護工を施工しています。その防護工にも時の流れで劣化し、アンカー工の追加、ならびに同じような防護ネットが施工されました。


ネットといっても、ただの金網で大丈夫なのか!?
という疑問は当然出てきます。


そこは土木屋です。
落石片の予想をし、落下速度を計算し、それを受ける強度を決定しますから、計算上は安全になっています。もちろん、予想外の大崩壊ですと対応することは出来ません(笑い)。
この工法は、100%の抑止を考えないところが偉いのです。
お金をかければ、何でも出来ますが、そういう時代は終わりました。
少ない予算で最大の効果をねらう・・・これが土木屋に求められている社会からの願いです。知恵を出し合い、工夫をしながら土木の価値を社会に訴えていきたいものです。
最後に、気分直しの勝浦市・おせんころがし風景です。
拡大をしてみてください。
平成22年度の風景が見られます・・・(笑い)。

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