土木の風景

from civil engineers 築土構木、土木技術は社会生活の基盤をささえています。

2010年04月

防護ネット no.265

 がけ面の防護工には、いろいろな工法があります。
 一番簡単で安いのは切土のまま・・・、次は、モルタル吹きつけ・・・植生工も安そうです。その先は、コンクリートなどの構造物・・・。
 
 さて、そうした防護工も時間が経つに従い、劣化してきます。
 大規模な崩壊が予想される時は、本格的に計画施工をするのですが、簡単な落石や破片が落ちる程度ならばネットで抑えるのが楽のようです。
 
 落石などを完全に抑えるのではなく、「受け止める程度で大丈夫・・」、という発想です。別に新しい工法ではなく、大昔から、経済性を重視して行われてきました。金食い虫といわれる土木工事ですが、土木行政は、社会の安全・安心を見えないところで支えています。
 
 「築土工木」、土木屋は縁の下の力持ちなのです。

防護ネット


防護ネット2



防護ネット3



 ここは、夷隅郡大多喜町・国道297号線です。
 コンクリート吹きつけ工がなされてから30数年は経過していると思われます。
 劣化部から破片が落ちたら大変です・・・、上の写真はその工事風景でした。
 
 完成後は、こういう形となりました。

防護ネット4


防護ネット5



防護ネット6



防護ネット7


 さて、国道297号線の終着点は勝浦市です。

 こちらは切り立った海岸線が連続し、こちらのがけ面も大変な防護工を施工しています。その防護工にも時の流れで劣化し、アンカー工の追加、ならびに同じような防護ネットが施工されました。

防護ネット8



防護ネット9


 ネットといっても、ただの金網で大丈夫なのか!?
 という疑問は当然出てきます。

防護ネット10


防護ネット11





 そこは土木屋です。
 落石片の予想をし、落下速度を計算し、それを受ける強度を決定しますから、計算上は安全になっています。もちろん、予想外の大崩壊ですと対応することは出来ません(笑い)。
 
 この工法は、100%の抑止を考えないところが偉いのです。
 お金をかければ、何でも出来ますが、そういう時代は終わりました。
 
 少ない予算で最大の効果をねらう・・・これが土木屋に求められている社会からの願いです。知恵を出し合い、工夫をしながら土木の価値を社会に訴えていきたいものです。
 
 最後に、気分直しの勝浦市・おせんころがし風景です。
 拡大をしてみてください。
 平成22年度の風景が見られます・・・(笑い)。

おせんころがし

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7.日本の水道の歴史(その5)

水道の歴史シリーズも今回で、区切りにしましょう。

平成の20年間の水道は、「質の向上」の時代と云えるでしょう。

 

* リスク管理の導入

 この平成の20年で思い出されるのは、平成13年(2001年)9月11日の米国同時多発テロではないでしょうか。
一方、我が国での最も大きな出来事は、平成7年(1995年)1月19日に発生した阪神淡路大地震ではないでしょうか。6400人を超える尊い命を奪った大災害でした。応援給水活動中の写真を何枚か紹介しましょう。
(アナログ写真の複写)
 IMG_1859-2
 
 写真1:倒壊店舗(東灘区)

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 写真2:橋脚の座屈(東灘区)

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写真3:給水車に並ぶ市民(東灘区)

地震国日本でこのような被害が発生し、技術立国日本の自信が揺らぎ、インフラ関連のすべての分野で、耐震や免震等の対策強化がはじまりました。

以前は事故が起こった後の対応として、緊急連絡体制やマニュアルの整備、訓練などの危機管理対応が中心でしたが、ISOの影響もありリスク管理の考え方が導入され、事故の発生確率から、事故の回避や被害を低減化するリスク管理の重要性が指摘されました。リスク管理を実践するためには、どこまでリスクを許容するかで異なりますが、それなりの費用を必要とします、水道に限らず、優先順を定め、取り組みが始まりました。

 

       安心・安全の水道

我が国では、水俣病やイタイイタイ病のような甚大な災害(人災)の経験があります。国民の健康被害は絶対に避けなければなりません。健康意識の高まりや水道水質への不安から、ボトル水や家庭用浄水器が普及しました。

国は、日本の水道水は、直接飲用に差し支えない「安全な水道水」とし、厳しい水質基準を定めています。このため、水道事業者は、水質基準に適合する水質管理を行い給水を行っています。

水質基準では、重金属や大腸菌群など、検出されてはならない項目や、毎日飲み続けても健康被害を起こさない項目の基準値を定めています。また、健康被害の可能性のある物質が新たに発見された場合などは、水質基準の改正を行っています。最近では、トリハロメタンや塩素酸の例があります。トリハロメタンは、発ガン性物質とされ、水処理中の有機物と消毒用の塩素が化合して発生します、汚染が進んだ河川を水源とするような浄水場では、塩素消毒の仕方を工夫して、発生を低減化したり、オゾンなど他の消毒方式を採用するなど、浄水場ごとに、取り組んでいます。

水道水を直接飲まない、あるいは、飲みたくない人へのアンケートでは、水道水への不満として、多くの人が塩素臭やカビ臭を上げています、オゾン処理や活性炭処理や生物処理を組み合わせた高度浄水処理によるカビ臭原因物質の除去の外、塩素濃度の低減化なども行われるようになってきています。また、高性能の膜の開発が進み、中小の浄水場で使われるようになりました。

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 写真4:膜処理浄水場(今市市)

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写真5:膜の展示品(今市市)

       安心と安全の違い

安全性は、基準値を定め基準値内を安全としています。

水道水質基準について、簡単に説明しましょう。水質基準値は、厚生労働省の厚生科学審議会・生活環境水道部会・水質管理専門委員会で改正等も含め審議決定されています。例えば、化学物質であれば、WHOの飲料水の基準設定を参考に、生涯に渡る連続的な摂取をしていても人の健康に影響が生じない水準として設定されます。閾値がある物質については、*1日に飲用する水量を2リットル、*人の平均体重を50Kg(WHOでは60Kg)の条件で値が算出されています。

安全性は、科学的に説明されますが、安心は概念のため基準では説明できません。イギリスの医師ジェンナーの種痘や胸部X線なども当初はリスクが過大評価されましたが、現在は社会的に受容されています。社会的受容は、時代や地域によって変化し、基準のように数値化できません。

安心は、長期間の信頼の上に構築されるものです。信頼の構築には何年もかかりますが、失うのは1回の事故で充分です。水道の安心も同様です、水道水は、関係者の不断の努力を経て家庭の蛇口に届けられています。

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by:m.nakao


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水管橋風景 no.264

 日本全国どこを歩いても目に付くのが水管橋です。
 国道にも、県道にも・・・・田舎の農道にも、水路を横断する時にはどうしても構築する重要施設です。
 
 普段は見えない地中の管路は水路横断部で日の光を浴びることになります。
 その姿は、いろいろ・・・ですが、先日見つけた千葉県水道局のかわいい水管橋をエントリーしてみました。

水管橋1


水管橋2



 生活用の配水目的のφ75mmかと思いますが、立派に全ての機能を備えています。
 まずは、がっちりとした橋台、直線のパイプビームの力強さ、そして、空気弁が設置されています。
 
 水管橋は、地中部から一段と高い位置になるため、管路内の空気が集まってきます。通水に支障となるエアは速やかに排除する・・・水道管の基本です。
 
 また、人間が入らないように鋼製の防護柵、これも基本通りです。
 とはいえ、この姿にはある種のユーモアがありそうな・・・(笑い)。
 
 さて、かわいい水管橋で嬉しくなったついでに、「土木の風景」では過去6回の水管橋をエントリーをしておりましたので紹介します。
 
 それぞれの記事はリンクを張っておりますので、時間がおありの方は見ていただき、ここでは代表写真を並べてみました。説明は、写真の中に入れるようにしてあります。
 
 ? 鴨川市 吊り橋の水管橋

水管橋3


水管橋4



 ? 長南町 ガス管

水管橋5



 ? 佐倉市上水道 高崎川水管橋

水管橋6



水管橋7



 ? 南房総導水路 大多喜町

水管橋8


水管橋9



水管橋10



水管橋11



 ? 南房総導水路 勝浦市

水管橋12



水管橋13





 ? 千葉県工業用水 富津市 関山水管橋

水管橋14



水管橋15



水管橋16





 なお、関連記事はこちらです。
 no.51 ?南房総導水路 勝浦市
 
http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/50504933.html 
 
 no.111 ?長南町 ガス管
 
http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/50974399.html 
 
 no.134 ?鴨川市 吊り橋の水管橋
 
http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/51032026.html 
 
 no.193 ?南房総導水路 大多喜町
 
http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/51134092.html 
 
 no.223 ?千葉県工業用水 富津市 関山水管橋
 
http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/51216168.html 
 
 no.224 ?佐倉市上水道 高崎川水管橋
 
http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/51218306.html 
 
   
     
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都市の風景・・千葉市 no.263


 千葉市の風景から二題・・・。
 好みは、人それぞれ・・・です。


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