土木の風景

from civil engineers 築土構木、土木技術は社会生活の基盤をささえています。

2011年04月

3.11東日本大震災 被災報告(3)液状化・・浦安地区no.299

 東京隣接、交通の便は最高のベイタウン・・・高層マンションからの眺望は最高です。浦安市は不動産価値も千葉県内では最高クラスでした。
 
 その近代都市が思わぬ伏兵に苦しめられています。
 ハザードマップにも、また一般にも言われていたのですが、いざ発生してみると恐ろしい災害であることが分かったのです。
 
 その被災状況写真を紹介します。
 まずは3/17(木)、直後ではありませんが、風にあおられ砂漠状態・・・。

浦安市明海地先2


浦安市富岡地先5



 次は、3/23(水)の写真です。復旧工事も急ピッチで進んでおりました。とにかく、上下水道を使えるようにする工事です。本格的な復旧工事は後にして仮復旧が先となります。

23 059



DSC_0130



 3/23(水)の被災現場写真は次のとおりです。

浦安


浦安9



浦安2




23 060


23 063


23 077



浦安3



23 078



23 083



浦安4



23 041



 近代に入ってから埋め立てた海岸の土地は全国同じような条件を抱えています。元々の地盤は海浜の細砂やシルトを主体とした地層のため、液状化しやすいものです。また、埋め立てた土砂も浚渫土と山砂が多く、地下水位以下にあればどうしても液状化してしまいます。
 
 たまたま、地震発生前の2月、浦安海岸の護岸検討の一環として対象となる砂層の粒度試験を実施していました。3試料のデータしかありませんが、参考にはなりそうです。
 
  ┸偲截苅蹇 嶌什じり粘性土(シルト)」
 ◆┸偲截苅蹇 嶌充素汗土(シルト)」
 ;深度4m 「細粒分質砂(微細砂)」

09 006



IMG_0001


IMG_0002



 むかしシルトは液状化しにくいとされていましたが、今回の浦安は、最近の研究通り激しく液状化したものです。

 噴出してきた砂は粒径のそろった形で見られますが、シルト分は噴出水とともに流失したものと考えられます。また、風によっても運び去られています。

浦安5



23 028



 なお、都市のライフラインの重要性は寸断されて初めて体で理解できるものです。普段全く考えない災害について徹底して論じるよい機会ではないかと感じます。今後、現況復旧ではなく、よりよい形の復興を成し遂げたいものです。
 
 
 浦安には東京ディズニーランドがあります。この施設は、駐車場などの広い場所を除き、地盤改良を行っていました。被害も最小限に出来て早期の再開を果たしています。液状化現象も、投資をすればある程度は押さえられます。
 
 しかし、一般の個人住宅ではなかなか難しいことです。道路についてもすべてを地盤改良するだけの予算措置は不可能です。と言うことは、災害を完全になくすという発想から、被災を少なくする工夫と、被災への事後対応をしっかり作っておく方が現実的です。
 ハード面で災害を押さえ込むのではなく、ソフト面での整備をしておくことが重要ではないかと考えます。その意味では、現在の法的な整備は中途半端であると聞きます。
 
 知識人やリーダーたちの見識に期待したいと思います。
 
 
 なおまた、原子力発電のあり方も、推進ありきの強引なものだったのかもしれません。責任が一企業に行くようなお粗末な幕引きはして欲しくないのです。誰が主導したのか、知る人は知っている・・・と考えます。
 
 社会の基礎基盤を担う各種組織は襟を正し、真剣にその役割を担う必要があります。われわれ土木の業界もまったく同じです。

  <土木の風景TOPへ>

 

3.11東日本大震災 被災報告(2)液状化・・船橋地区no.298

 液状化という言葉がこれほどメジャーになるものか・・・地震災害の時、必ず発生する自然現象です。
 
 この液状化という現象が土木・建築関係者に衝撃を与えたのは昭和39年(1964)6月、新潟地震の時でした。がっしりとした箱状のアパートが転倒し、また大きな橋が落橋するなどの大被害をもたらしたものです。
 
 その後、研究は進歩し、基準や指針も対応策も発展しています。
 しかし、構造物に対する対策を行うことは普通となりましたが、埋め立て地全体を改良することは不可能なことです。お金がいくらあっても足りません。
 
 今回の巨大地震は東京湾岸の千葉県側に甚大な被害を及ぼしました。液状化現象のもっとも厳しい被害を受けたのが浦安市です。テレビや新聞で大きく報道されており、一度は見られたことと思います。千葉市側も幕張メッセを中心とした埋め立て地がやられています。

湾岸



 今回は、少し専門的な用語も出しながら液状化現象について船橋海岸を紹介します。
 
 船橋市は海岸寄りの地区で噴砂がたくさん見られました。道路や駐車場の沈下は液状化によるものです。風が吹くと砂漠のような状態がしばらく続きました。

船橋


 現在は砂の片づけが終わり、道路や構造物の修復待ちの状態です。

015 004


 さて、ふなばし三番瀬海浜公園の道路を挟んだ反対側の空き地に液状化現象噴砂跡を発見しました。全くそのままの状態です。地面の割れ目に沿って噴砂したもので、模式的な形状をしています。

015 008


015 013


015 016



015 017



 さて、液状化現象とはなんでしょうか・・・
 簡単な説明は<ウィキペディア>の記事を。
 【 液状化現象(えきじょうかげんしょう)とは、地震の際に地下水位の高い砂地盤が、振動により液体状になる現象。これにより比重の大きい構造物が埋もれ、倒れたり、地中の比重の軽い構造物(下水管等)が浮き上がったりする。単に液状化(えきじょうか、liquefaction)[1]ともいう。 】で、いかがでしょうか。
 
 ただし、噴砂(ボイリング)については上記の説明では不足です。
 
 そこでまた、<ウィキペディア>の記事を。
 【 下層の地盤が砂質土で表層を粘土質で覆った水田等で液状化が起きた場合は、液状化を起こした砂が表層の粘土を突き破り、水と砂を同時に吹き上げるボイリング(噴砂)と呼ぶ現象を起こすことがある。1964年の新潟地震では県内の各地でボイリングが観測された。】
 と言うことで、液状化した層が過剰間隙水圧(一時的な高い圧力)を発生し、逃げ場を求めて噴出してくると理解して頂く方がわかりやすいかもしれません。
 逃げ場で一番近いのが地表面というわけです。都市部の場合は舗装やコンクリートが地面にふたをしていますからその隙間や舗装を破壊して噴出してくるわけです。
 
 噴砂直後の周辺一帯は一面の海となります。砂は水と同じように動き、粒子が大きくて重いものが噴出口近くに堆積し、軽いものは遠くへと流されます。今度は護岸近くの噴砂跡をもう一度見てください。

015 030



 公園から海岸の護岸近くに行くと同じような液状化現象が異なる被害をもたらします。がっしりとした構造物も、支えている地盤そのものが流動化すると変状を来してしまいます。構造物は、支えのない方向に動く・・・ごく当たり前の変位をするのです。
 
 まずは、この付近の液状化現象はこのようになっています。

015 018



 護岸から遠いと公園近くの噴砂と同じですが、護岸に近い場所では地割れを起こし、構造物を押し出す動きとなっているようです。この場所では地割れの深さが最大60cm、延長は30m位でした。
 
 この水平方向への砂の流動(側方流動)が護岸構造物を押しだし、また液状化による噴砂で地盤に空隙が生じて地盤や構造物の沈下を起こしています。
 
 以下、船橋港護岸(大型ブロック積み擁壁・トライアン型)の被災状況を紹介します。
 明らかに護岸が張り出し、また傾いているのが分かります。

015 034


015 090



 さらに、護岸裏のコンクリート舗装は液状化現象によってがたがたの状態です。もちろん、大きな空洞も発生しています。

015 047



015 046



 最後は、破壊の激しい場所です。

015 020


015 021


<ウィキペディア>記事
 液状化のプロセス [編集]
緩詰めの砂粒子が振動によって液状化する様子(模式図)砂を多く含む砂質土や砂地盤は砂の粒子同士の剪断応力による摩擦によって地盤は安定を保っている。このような地盤で地下水位の高い場所若しくは地下水位が何かの要因で上昇した場所で地震や建設工事などの連続した振動が加わると、その繰り返し剪断によって体積が減少して間隙水圧が増加し、その結果、有効応力が減少する。これに伴い剪断応力が減少して、これが0になったとき液状化現象が起きる。この時、地盤は急激に耐力を失う。また、この時間隙水圧は土被り圧(全応力)に等しい。この状態は波打ち際などで水が押し寄せるまでは足元がしっかりとしていても水が押し寄せた途端に足元が急に柔らかくなる状態に似ている。また、雨上がりの地面 を踏み続けると、地面に水が吹き出てくる状態にも似ていると言える。

地震や建設工事などで連続した振動が砂地盤等に加わると前記の液状化現象が生じる場合があり、地盤は急激に支持力を失う。建物を地盤に固定する基礎や杭の種類は地質や土地の形質に合わせて多種にわたるが礫層や岩盤等の適当な支持層に打ち込む支持杭と異なる摩擦杭等では建物を支えていた摩擦力を失い、建物が傾く不同沈下を生じる場合がある。重心の高い建物や重心が極度に偏心した建物ではより顕著に不等沈下が生じ、阪神・淡路大震災による中高層建物のように転倒・倒壊に至る場合がある。

地震に伴って液状化が発生しうる地点の震央距離R(km)とマグニチュードMの関係はlogR=0.77M-3.6 で表す事が出来る[2]とされている。


 また、より詳しい解説を知りたい方は、吉見吉昭氏 東工大名誉教授の記事をどうぞ。

     <土木の風景TOPへ>


3.11東日本大震災 被災報告(1)津波・・釜石地区no.297

 一ヶ月近くの休稿でした。
 3.11東日本大震災から一ヶ月を過ぎています。
 
 被災された方々、死亡された方々、行方不明の方々に深く哀悼の意を表させて頂きます。一日も早い震災復興を願わずには居られません。
 
 まさに、未曾有の大災害というこの現実に、落ち着きを取り戻す余裕すらありませんでした。北は北海道から南は神奈川県まで被災し、何という広いエリアでしょうか、自然の脅威にただただ驚き、畏敬の念を覚えてしまいます。
 
 今回はまた、福島原発が天災と言うより人災に近い形でくすぶっています。周辺住民の方々や世界に与える影響はそれこそ甚大です。こちらは出来るだけ早い収束を願いたいものです。

20110311144600_acmap

 
 さて、
 千葉県も大きな被害を受けており、その結果も整理して報告をいたしたいと考えてきました。
 
 東北三県や茨城県の被災地から比べると比較的浅いとはいえ、東京湾岸の埋め立て地は都市の弱点をさらすことになってしまいました。また、東部九十九里海岸では想定外の大津波が押し寄せており、13人の死者(行方不明者2人)を出しています。さらに、利根川周辺の軟弱地盤では激しい液状化が発生し、死者こそ少なかったのですが、壊滅的な被災を受けています。
 
 こうした千葉県の被災状況を土木の風景として少しずつ紹介してゆく予定です。次の地図におおよそのエントリー予定場所を記入してあります。回数は未定です。

13




 ただし今回は、第一回目ですから千葉県ではなく、釜石市の被災状況写真をエントリーしました。仲間が釜石出身のため、3/19(土)から一時帰郷していたものです。自宅も大破、町全体がやられています。親類の方もなくなっています。
 
 
 リアス式海岸の弱点は津波が二倍三倍になるという地形構造です。近代的な防潮堤も効果が少なかった自然の威力でした・・・。
 
 震災当日から約10日経過している写真です。
 解説は無しにしてエントリーすることにしました。
 
 水位や死亡者発見箇所、場所については写真の中に注記をしています。
 釜石市の中心街です。
 
かまいし



釜石市



kamaisi



IMG_0370






IMG_0368


IMG_0367



IMG_0365


IMG_0333



IMG_0334



IMG_0322



IMG_0337


 なお、最後に
 昨日(4/13)には、新日鐵釜石が操業再開といううれしいニュースが流れていました。
 震災復興に向けて元気を出して頂きたい釜石の町・・・。

    <土木の風景TOPへ>



Recent Comments
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード
Archives
  • ライブドアブログ