土木の風景

from civil engineers 築土構木、土木技術は社会生活の基盤をささえています。

2011年06月

3.11東日本大震災 被災報告(11)液状化・・農地調査 no.307

 ***農地液状化対策現地調査報告***

 千葉県農林水産部耕地課主導による液状化被災状況調査が実施されました。
平成23年6月15(水)16日(木) の二日にわたり神崎西部地区と香取市石納地区において大規模な液状化対策現地調査を行ったものです。
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千葉県農林水産部耕地課内に「液状化対策プロジェクトチーム」を設置し、(独)農村工学研究所の協力のもと、液状化のメカニズムや対策工法について検討を重ね、関係機関に呼びかけて実施される運びとなりました。

 参加人数は
 6/15(水);神崎西部地区  76名(89名)
 6/16(木);香取市石納地区 64名(87名)
参加団体は19団体に及び、それぞれを4グループに編成して調査活動を行ったものです。

 第一日目、神崎西部地区については神崎グリーンサービスライスセンターに参加者全員が9時に集まり、千葉県農林水産部次長 森田氏から調査活動の趣旨と意義が説明され、参加者全員への御礼とプロジェクトの開始が告げられました。

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次に今回のプロジェクトチーム総括責任者・耕地課基盤整備室長井上氏から今回の液状化調査の目的、意義、そして、本地区の地形的な特徴などの説明があり、グループ編成の発表、調査作業内容などの発表がなされました。

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kouzaki


神崎西部地区のグループ分けと作業内容は次のとおりです。

第1グループ(山口主査) 噴砂調査(4人)
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第2グループ(鈴木主査) 田面均平調査
2-1班(5人)2-2班(5人)2-3班(6人)2-4班(6人)

第3グループ(小関主査) 管排水、暗渠排水調査 
3-1試掘班(6人)3-2管排水・暗渠調査班(7人)3-3試掘班(6人)
3-4管排水・暗渠調査班(7人)3-5管排水追加測量班(6人)

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第4グループ(坂本班長) 天の川公園調査(6人)

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 なお、研究者や見学者もその都度作業に参加されていたのが印象的でした。
また、テレビ局、新聞社の取材も多く、今回のプロジェクトに対する関心の高さが伺えます。

 調査結果は液状化対策プロジェクトチームにおいてとりまとめられ、今後の災害査定及び本格復旧に向けて役立てられるはずです。 作業は各グループ、各班の進捗状況により随時解散、夕方まで作業を行いました。
*****


第二日目、香取市石納地区は石納ファームライスセンターに9時集合、本地区の地形的特徴や被災状況の説明があり、同様のグループ編成の発表、そしてグループ各班の作業部隊がそれぞれ現地に向かいました。

なお、本地区は茨城県と接し、関係が深いことから茨城県の関係者も参加しています。

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第1グループ(山口主査) 噴砂調査(5人)

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第2グループ(鈴木主査) 田面均平調査
2-1班(6人)2-2班(6人)2-3班(6人)

第3グループ(小関主査) 排水路、道路調査 
3-1班(5人)3-2班(5人)3-3班(5人)

第4グループ(坂本班長) 暗渠、パイプライン調査
  4-1試掘班(4人)4-2暗渠調査班(6人)4-3試掘班(4人)
4-4管排水・暗渠調査班(5人)

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 本地区は地下水位が非常に高いことから、管や暗渠掘削には排水ポンプを用意して行ったのですが、苦戦を強いられたようです。
最後に、今回調査の目的と調査項目は次のとおりで、二日間にわたり一斉調査として実施したものです。
【目的】  災害査定の資料及び今後の復旧方法の検討資料を得る
【調査項目】農地の褶曲状況、耕盤厚、暗渠の状況、用排水路及び配水管の状況、噴砂の塩分調査など

なお、今回の大震災による液状化被災は広範囲に及び、またその噴砂規模も甚大でした。農業施設、水田の復旧に今回の調査が大いに役立つことを願うものです。
こうした実践的な液状化対策現地調査を計画実施された千葉県農林水産部耕地課はじめ関係各位に深く敬意を表するものです。

参加団体は次のとおりでした(順不同)。
農村工学研究所、茨城県、神崎町、香取市、北総東部土地改良区、千葉県県土整備部、千葉県農林水産部(生産販売振興課、担い手支援課、農村環境整備課、耕地課)、千葉農業事務所、東葛飾農業事務所、香取農業事務所、海匝農業事務所、山武農業事務所、長生農業事務所、夷隅農業事務所、君津農業事務所、安房農業事務所、農村総合研究センター、千葉県土地改良団体連合会、NPOちば水土里支援パートナー、一般社団法人千葉県農業土木コンサルタンツ協議会
平成23年6月20日
一般社団法人千葉県農業土木コンサルタンツ協議会

 以上、千葉県農林水産部耕地課による「農地液状化対策現地調査」の参加報告でした。
 
 *****


 さて、
 本サイトは、「土木の風景」ですから、第一グループの液状化噴砂調査の断面写真を追加して、簡単に解説を行います。
 
 まずは、水田に発生した液状化噴砂口の模式的な形状です。
 完全な円形状をしていますから耕盤層及び作土層を「点」で突き破って噴出したものです。

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 そして、規模が大きくなりますと、線状に亀裂が入り、大量の噴砂をした場所があります。噴出した砂層が連続した姿を見せます。
 上が水田、下が畑です(農道ではありません)。

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 噴砂の激しかった麦畑の事例を紹介します。
 噴砂口は点状、線状複雑に発生していますが、砂が残っていない孔も見られています。

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 次は、円形の噴砂跡、模式的ですから断面調査が楽しみです。
 なお、以後の写真はクリックすると拡大できますのでどうぞ・・・。

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 中心部を慎重に掘り起こして行きますが、明瞭な噴出口の形状が見えてきません。その写真が次の写真です。ただし、赤白のピンポールは1.5mの長さがありますから、非常に軟らかい道筋があることは確かのようです(噴出口の探査にはピンポールが有効です。刺してみればすぐに分かります)。

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 また、堆積した砂層には腐レキが混入しており、かなり深いところから液状化・噴出したことを予測させます。本地区は旧利根川の川筋であった場所です。

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 これでは消化不良・・・模式的な噴出口の証拠写真を・・(笑い)。
 
 広いほ場をあちらこちらと歩き回り、らしい写真を撮ってきました。ただ、地下水位が非常に高いことに苦慮し、理想的な姿までは無理でした。
 
 漏斗を逆さまにしたような形が噴出口の断面です。噴出した砂がそのまま残る形になっています。

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 また、直接の噴出口ではありませんが、液状化したあと、作土層の下に空洞が出来、陥没している箇所もありました。

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 なお、噴砂堆積層は20cm以上の場所が広範囲に分布していました。浦安市では30cmと言いますから、今回震災は液状化の規模が甚大であったことが分かります。
 最後は、帯状噴出で規模の一番大きな断面を掲載して、本稿の終わりとします。
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 3.11東日本大震災 被災報告はひとまずお休みし、被災箇所の追跡調査を追々お届けしたいと思います。
 
 今後は通常の記事に戻る予定です。シリーズをごらんいただきありがとうございました。

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3.11東日本大震災 被災報告(10)液状化・・小見川地区 no.306

 前回と同じく利根川の旧河川域の被災状況報告です。
 利根川本堤が同じような被災でありました。
 
 まずは、例によって小見川地区の地図上の位置と旧利根川の状況写真です。

小見川



omigawa


小見川2



古地図


 古地図に見るように小見川大橋とその周辺は沼地のまっただ中にあります。
 軟弱な地盤が予想されるのは当然です。
 茨城県側、千葉県側ともに、広域の液状化被災を受けています。
 
 電柱の傾斜がそのことを物語っているようです。

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 小見川の団地もマンホールの浮き上がりや上下水道に大きな被害を受けています。
 周辺一帯が激しい噴砂現象が見られたとか。
 
 『 昭和40年代の鹿島臨海工業地帯の開発に伴い、小見川には住金団地が造成された<ウィキペディア>』というくらいにこの団地は古く、住民の方もおどろいたはずです。
 
 「とにかく、被災状況を見ていってくださいよ!」と、明るく言っていただいたおじさんに感謝! こちらが元気をいただきました。

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 さて、小見川大橋は堤防の取り付け部に段差が出来た以外は大丈夫のようです。
 『小見川大橋は、1973年(昭和48年)8月1日に開通。工期は5年8ヶ月間、総工費は21億円。6連のランガー橋である。』・・・鹿島臨海工業団地へのアクセス用でした。

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 利根川堤防の千葉県側の被災状況を紹介します。
 まずは、路面の陥没はあちらこちらで見られました。結果、通行止めです。

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 次の写真は、歩道部に敷設されている光ケーブルの埋設部です。
 施工が云々という問題より今回の地震動の巨大さ、振動時間の長さ、そうした事実が浮き彫りになるような被災状況でした。

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 最後は側道部の崩壊状況です。
 堤体下部は液状化し、本堤も円弧状に崩壊したものです。各所で同じような被災を受けています。

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3.11東日本大震災 被災報告(9)液状化・・香北地区 no.305

 利根川を渡り茨城県側に香取市香北地区があります。
 本来ですと茨城県に含まれるのでしょうが、歴史的な経緯があるようです。
 
 まず、その地理的な状況を見ていただくと一目瞭然、大昔は霞ヶ浦などとつながっていた内海と見なすことが出来ます。現在は干拓により豊かな水田地帯が広がっています。

kahoku


kahoku2



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 この付近一帯、激しい液状化現象が発生し、茨城県側も大きな被災をしています。
 今回は、画像を600picに縮小していますが、クリックで拡大できるようにしております。
 
 こういう被災写真は、拡大すると大地の巨大なエネルギーを感じ取ることが出来ると考えたものです。一部、茨城県側の写真も含まれています。
 
 
 なお、今回の被災で大きかったのは、地下埋設のため目に見えない農業用パイプラインです。復旧にめどが立たないという現実に、休耕を決意された農家の方々が多かったと聞きます。
 
 また、千葉県農林水産部では液状化被災の現状把握を大々的に行う予定です。実際に掘り起こしてみるという単純なことが簡単にできることではありません。
 
 この結果は、取材し、本報告にアップの予定です。

 
 それでは、解説なしで大きな画像を14枚をアップします。

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3.11東日本大震災 被災報告(8)液状化・・香取新市街地区 no.304

 香取市の被災は小野川を代表するように激しい液状化に見舞われたものです。
 
 その液状化の被災範囲は小野川でも述べましたが、旧利根川の河床に立地した地区です。これは、神崎地区も全く同じ条件といえます。
 
 まずは、航空写真や古地図を見てください。

香取


佐原


古地図

 上に見るように、国道356号線より利根川沿いは現在市街化していますが利根川旧河床であった地区です。もっと言えば、JR成田線から北側は地盤条件はよくないと判断せざるを得ません。
 
 今回の液状化被災地区はJR成田線ではなく、国道356号線より北側の利根旧河床にあった場所にあたります。
 この地区に、市役所、利根下流河川事務所、多くの家屋、そして、十間川があります。
 
 次の順序で被災状況を紹介します。
  々畆荵毀鮟蠎辺
 ◆〕根本堤防と利根下流河川事務所
  橋脚浮き上がり
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  々畆荵毀鮟蠎辺部の被災状況
  建築物はしっかりした基礎構造を持っていることから、建物の沈下や傾斜は起こっていません。それ故に、周辺地盤の沈下が目立つ事になります。
  
  箱物が大丈夫でも、上水道、下水道などのライフラインが損傷すると使えなくなります。これは、都市部の被災でも同じ状況が発生しています。

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 ◆〕根本堤防と利根下流事務所の被災状況
  利根川の本堤防はあちらこちらで損傷を受けています。通行止めの区間も発生しました。香取地区では甚大な被害にはなっていませんが、大きなクラックが入り、円弧滑り状の破壊が見られます。砂地盤の液状化が原因です。

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 そして、香取市役所と同じく利根下流河川事務所の建物周辺と敷地が大きな被害を受けています。

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  橋脚浮き上がり被災状況
  十間川と市役所の通りに掛かる小さな橋梁に異常が発生しています。
 液状化によって中央橋脚部が浮きあがっています。橋台も動き、損傷していますが、基礎から浮上しているのかどうかは確証を得られません。橋脚に残った痕跡から見ると浮き上がったようにも見えます。
  
 凸状に上がっている路面ですが、支障なく通行していました。

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  小野川合流部から西へ歩きました。
 コンクリート矢板の上下移動や傾斜、倒壊が見られ、また噴砂の激しさがよく分かります。小野川と違って、河川としての役割は低い公園的な水路ですから、浚渫排土は最低限に施工されていました。
 
 なお、両側の住宅や建物が離れていたのが不幸中の幸いでした。

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  枚数が多くなってしまいました、ご容赦を。

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