土木の風景

from civil engineers 築土構木、土木技術は社会生活の基盤をささえています。

2011年11月

年季・・no.326

 人間の場合は年季が入ると。良いイメージが強いものです。
 最近少なくなりましたけれど・・・(笑い)。

 
 さて、土木の構造物も、「土木遺産」にあげられるようなものはそれなりに注目されるものです。
 しかし、一般の土木構造物は名もない設計者と工事社が黙々と建設したものがほとんどです。ネームプレートもはげ落ちてしまうのが実態でしょう・・・。

 
 建築屋と違って土木屋は控えめ、シャイで名を残す人間は少ないのです。
 建築の意匠と違い、土木は複雑なバックグラウンドが必要ですから、みんなで作る精神が旺盛なのかと感じます。
 
 それでも、社会基盤の整備に関しては土木の方が社会に多大の影響を与えるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。土木屋は自信を持って良さそうです。



 さて、千葉県の房総半島を横断・縦断するような国道410号線、未だ一部が完成形ではありませんが、ずいぶん時間が経過しています。
 
 その国道410号線から年季の入った構造物を紹介します。
 ただし、平凡なものです・・・が、誉めてあげてください(拡大できます)。

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 ○年季が入(はい)る    <広辞苑>
一つの仕事に長年従事して、腕が確かである。
    
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美林・・ no.325

 
 戦後の復興期、盛んに植林された杉です。
 外材に押され、いま、日本の林業はあえいでいます。

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 世話の手が入れられないのです。
 密植された幼木から次第に間伐され、最終的には立派な大木に成長するはずですが、木材としての競争力を落とし、林業は全国的な苦境にあります。
 
 林野庁も広大な国有林を抱え、必死の活動をしていますが若者が入ってきません。
 きつい、危険、・・・、安いと何重苦にもなる就労環境です。


 
 今回は、
 千葉市郊外で見た杉林を紹介します。
 周辺の杉林は荒れた状態が多くなっている現状です。
 
 『 森林組合に頼んでも、手間賃が出ない・・』と断られる、・・・切り出す事が出来ない杉林のおじさんが嘆いていました。おじさんは高齢ですから、自分で切るのは難しい・・・息子さんは・・・口をつぐんでおられました。
 
 まずは、おじさんの杉林ではありませんが、一般的な管理不足の杉林。

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 最近、高速道路や国道を走っているとフジの花(5月)を見ることが多くなっています。
 それだけ、杉の管理が出来ていない証拠です。

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 それでも、そんなに広くはありませんが、管理が行き届いた杉林もあります。
 個人でも、こうしてがんばっている方もおられるようで、うれしくなります。

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 最後は、林業へのエールです。
 赤と黒、いや青でした。

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東日本大震災被災地視察報告(8) 笹かまぼこ復活 no.324


 東日本大震災被災地視察・最終稿です。
 被災地のがれき撤去もそろそろ完了し、これから復興へ向けての計画立案、予算確保そして実行・・・何年かかることでしょうか。
 
 最低10年は必要なのかも知れません。
 
  
 最後の訪問地は港町・塩竃でした。
 港周辺は大きな被災を受け、市街地の奥深くまで浸水したと聞きます。

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 被災を受ける前のyahooの航空写真と
 被災後のgoogleの航空写真を並べてみました。
 
 建物の流失は少なかったそうですが、1階部分は壊滅的な被災だったそうです。

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 まだ、小型のボートが放置されていますが、この護岸を悠々と乗り越えてきたとか・・・。

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 さて、航空写真にも写っている笹かまぼこ工場は、必死の復活操業を早期に実現しています。女性のオーナー社長さんが、「被災した状況、その後の被災者保護収容、そして復活に向けての社員や経営者の意気込みなど」を語ってくれました。
 
 外国のメディアにも紹介され、観光バスも少しずつ寄ってくれるようになり、工場はフル操業だとか。工場周辺は未だ被災の跡が残っていましたが、うれしい復活です。
 
 ここの笹かまぼこは、関東で食べるものとおいしさが違いました。
 焼きたてだからではなく、持ち帰ったものもそうでしたから・・・。
 
 笹かまぼこの製造は至って簡略、手作業も含めてラインを紹介します。

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 8回にわたって紹介してきました宮城県北部の被災地訪問でした。
 見て頂いた方々に深く感謝を申し上げます。

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 宿に泊まり、おみやげを買うことしかできなかった視察でしたが、人の来ることが地元の復興には必要です。笹かまぼこ工場のように製品が売れ、観光客も来てくれることが地元経済には大きなプラスです。松島観光もしかり・・・です。
 
 
 半年が経過し、被災地は落ち着いてきているのですが復興への足がかりは未だついていない状況でした。
 石巻市ではまだ全壊と思われる家がたくさん残っていました。ある程度の期限までは行政が無償で処理をしてくれるのですが、踏ん切りがつかない人たちも多いそうです。
 
 岩手県でも仮設住宅よりは、残った二階に住む人が多いと聞きます。
 若い人は新たな再建エネルギーが湧くのかもしれませんが、年配者には厳しい現実です。
 
 しかし、復興に向けての気力がなければどんな補助を受けても本物の「地元の復興」にはなりません。厳しいようですが、その気力を振り絞る勇気とエネルギーを持つことが大切ではないかと思います。
 
 そして、われわれも普通に儲けてしっかり税金を払う、それが復興財源として生きてきます。普通の生活をすることが結果的に被災地の役に立っているはずです。萎縮したり、遠慮することの方が復興を遅らせます。
 
 出来れば東北へ旅をし、おみやげを買うことが復興の一助になるはずです。被災しなかった観光地も温泉地も、7割8割減の状況が続いたとか聞きます。
 
 未曾有の大震災は日本のどの地域に発生してもおかしくないのです。関東、東海、南海沖・・・列島全体が活動域にあることを忘れてはならない日本国です。
 
 日本全体として、
 復興支援を致したい、平成23年秋です。

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東日本大震災被災地視察報告(7) 悲しみの体育館 no.323

 東日本大震災被災地報告の続きです。
 ほんとうに気の重くなるような、東松島市の被災でした。
 
 
 石巻市と同じような位置関係にありますから、浸水地域も広い範囲に及んでいます。
 平地部にあるところは全てさらわれてしまった・・・そんな印象です。

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 そして、大変なことに陸地がなくなっているのです。むかしの海岸線は遠く・・・途方に暮れる風景といえます。

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 平地部の現在は次のように、何もない風景を見せています。こちらはがれき撤去がすでに終了していますが、石巻と同じ被災状況です。

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 さて、この周辺の地形状況を見てください。
 平地の裏に山がせり出しているのです・・・そこに悲劇が生まれました。

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 ここの小学校は避難場所に指定されていました。

 大勢の住民が歩きで、そして車で避難してきたそうです。
 子供(生徒)たちもたくさんいたのですが、ここで問題が発生しました。
 
 『 避難場所の指定は体育館であり、本校は指定されていない!! 』
 校長の命令が発せられ、4階建ての本校は閉鎖されたとのことです。
 
 汚されたり、荒らされたくない・・・これが学校管理者のそのときの本音だったと聞きます。

 
 しかし、相手は津波です。
 知っている人は『 高い場所へ!! 』 当然の行動だったのですがかなわず、体育館に集まり、残りは車の中にいたそうです。
 
 津波の高さは次の写真です。

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 体育館の狭い二階にいた人たちは助かり、大勢の人が津波に呑まれてしまった・・・本校を開けていれば!!・・・誰もが思った瞬間だった。
 

 裏山を見て思いました。
 これでは登れない・・・厳しい崖面がありました。

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 線香を上げさせていただくのが精一杯のこと・・・。
 女性の校長先生は今、苦悩の中におありだと聞きました。
 

 
 
 ここで思うのです。
 個人に責任はあるのかもしれませんが、
 その前に、
 こんな場所を避難場所にした責任は誰にあるのか、また、体育館のみを指定するなど論外です。行政が津波の恐ろしさを認識していなかった・・・また、住民も、また校長先生も同じです。
  校長先生は津波を知らなかったけれど、職務には忠実だったのです。
 
 とっさの正確な判断を誰もができるとは思いません。被災後、そして原発事故後の政府、官僚の不甲斐なさはあきれるばかりでしたから・・・。
 
 
 我々だって、大きなことは言えません。
 普段の危機管理意識がいかに重要か・・・安穏な生活にどっぷりと浸かった日本人に衝撃的な神の鉄槌が下ったのかもしれません。

 
 個人を責める前に、我々日本人が大いに反省すべきことを思います。

 

 なお、
 悲しみの体育館を後にして仙石線・野蒜駅にきました。
 
 仙石線は廃線になり、山の方に新設されるそうで、バス会社の社長さんも参加してボランティアの皆さんが草刈り、片づけ、耕して花を植える活動をしている姿でした。

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 日本も捨てたものではない・・・うれしい光景を見ながら海岸線を離れ、北上・・・ぽつりと残された電車が「がんばるぞ!」と語ってくれるようでした。

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