土木の風景

from civil engineers 築土構木、土木技術は社会生活の基盤をささえています。

2012年06月

鋸山 no.351

 三浦半島久里浜港からフェリーで金谷へ・・・。
 船上から文字通りノコギリ状の山形が見られますので一度はどうぞ・・・。
 
 いろいろな見所がある観光名所であります。
 
 この地区の特徴は山がそのまま海に没しているという表現が当たっています。
 険しい崖面が海岸にならび、国道127号線は要注意運転区間です。
 
 付近の地図と航空写真をyahooから拝借。

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 崖面も厳重な防護をしているのがわかります。

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 そんな現地で今年5/24(木)に土砂崩落がありました。
 千葉国道事務所の報告によると一時通行止め、大きな迂回を強いられたようです。
 現在は片側交互通行で、海側に仮拡幅工事を行っています(車が止められないので取材はできません)。
 
 崩落現場は過去に紹介したロックシェッド、明鐘隧道の館山側入り口の付近でした。
 それがこの写真です。
 残念ながら崖面の写真はありません。

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 こういう難所には長大なトンネルの代わりにロックシェッドが採用されます。落下するものは仕方がない、けれども道路は守るよ・・・という構造です。
 千葉県では主要地方道(県道)32号大多喜君津線(市原市)にも規模の大きなロックシェッドがあります。こちらは河川(養老川)の崖面です。

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 さて、鋸山は石切場でも有名でした。
 房州石(第三紀凝灰質砂岩)といって、盛んに切り出されたそうですが今は廃鉱です。
 
 館山道を館山方面に走っていると荒々しい黒い断面が現れ、惹きつけられます。しかし、道路は左へカーブしながら、スッとトンネルに吸い込まれてゆきます。
 停車して写真を撮りたいのですが、かないません・・・危険なのです(そのうち紹介します(笑い))。
 
 なお、このあたりは天気がよければ三浦半島、伊豆大島などよく見えます。
 三浦半島は、房総半島と地形・地質がよく似ておりまして、兄弟のようなものです。

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 鋸山 のこぎりやま     <大百科全書より>
千葉県南部、富津(ふつつ)市と安房(あわ)郡鋸南(きよなん)町にまたがる山。内房海岸に面し、標高330メートル。第三紀砂質凝灰岩からなり、その名のごとく鋸の歯を立てたような山容を呈する。山麓(さんろく)の北側にかつて房州石(ぼうしゆういし)を切り出した石切場跡があり、垂直に切り立った断崖(だんがい)となっている。頂上付近に十州一覧台があって、東京湾、三浦半島、房総の山並みを展望でき、僧行基(ぎようき)創建の日本寺、千五百羅漢や百尺観音(かんのん)などの仏像群がある。浜金谷(はまかなや)から頂上へロープウェーが架設され、また有料登山道路も開かれている。南房総国定公園に属し、県指定名勝でもある。内房観光の中心地をなし、浜金谷はフェリーで久里浜(神奈川県)と直結している。〈山村順次〉
【地】2万5千分の1地形図「保田(ほた)」

  <ウィキペディアより>
 覆道(ふくどう)とは雪崩や落石、土砂崩れから道路を守るために作られた、トンネルに類似の形状の防護用の建造物。北海道や東北地方、北陸地方に多い[要出典]。覆い工、洞門工、シェッド、シェードともいう。雪対策のものはスノーシェッド、岩石対策のものはロックシェッドという。両者を兼ね備えるものもある。
 主に、海岸沿いや川沿いで山や崖が道路や鉄道の近くまで差し迫ったところに作られる。トンネルの一種と捉える説もあるが、覆道の谷側は完全に吹き抜けになっていることが多い。トンネルに接続するものも多く見られるが、覆道とトンネルで断面が変わるためにすぐに見分けがつくことも多い。覆道は断面が長方形のものが多いのに対し、トンネルは円形のものが多い。天井部分が完全に土砂に覆われているものもあるが、万が一のときのために作られた、山から数m離れたところに有る覆道もある。通常鉄骨または鉄筋コンクリート製で相当な強度が求められる。上部は落石や雪崩の衝撃を吸収または速やかに側方へ受け流す構造となっており、通行中の自動車や列車の安全確保を図っている。建設費用も莫大である。

老朽ため池 no.350

 いすみ市の山奥です。
 夷隅地方は泥岩の地層のため地下水が多くありません。そのことから古いため池がたくさん存在しています。灌漑用というわけです。
 
 小さなため池ですが、現代の技術ではなく「いにしえ」の作品を紹介します。
 ため池堤体は機械施工で改修されています。

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 しかし、昔の人が作った隧道が現役で残っているのです。洪水吐きとして、また取水した水の誘導路としてしっかり働いています。
 
 この地方の泥岩は軟岩以下の扱いやすい地質のため、人力での掘削が可能です。
 高さ1.8m 横幅1.0m 勾配をちゃんとつけて・・・、昔の人の技量には驚くことが多い土木遺産、中まで入って行けます。
 
 残念ながら、懐中電灯を忘れたので、途中まで・・・。

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 手抜きの記事で失礼いたしました。
 懐中電灯必携を思い知らされた初夏の森・・・です。

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極相林 渡海神社 no.349

 時には静かな神社も良いものです。
 小さな神社ですが知る人ぞ知る・・・有名な?渡海(とかい)神社です。
 
 いつも、人が居たことはありません。
 宮司さんは神社の裏手にお住まいのようで、時おり竹箒をもって掃き清めておられるようです。意外にお若い宮司さんだったと記憶していますが、お見かけしたのは一度だけ・・・。
 
 さて、この神社を有名にしているのが「極相林」です。
 難しいことは最後の辞書記事を見ていただくとして、森林が最終的に安定する形と思えば良いかも知れません。
 
 極相まで行くには人間のスケールとは違う時間が必要であり、人の手が全く入らないという条件も必要です。
 
 
 しかし、日本全国には天然の森が点のようにしか残っていないのです。一般的には何らかの人の手が入っているのが普通です。そういう意味で極相林というのは貴重です(千葉県には同じような極相林が州崎神社に残っています・・・ no.144)。
 
 人間も自然の一部と考えれば、目くじらたてることでもないのですが・・・最近の人間は傲慢で、どんどん自然から乖離していますね〜困ったことです。
 
 
 
 さて、遅くなりました、渡海神社・極相林の紹介です。
 まずは、位置関係から。

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渡海神社


 細長くこんもりとしているのが渡海神社の境内になります。地形的には台地面の縁にあり、崖地の上、と言えば良いでしょうか。十分な日照と海洋性の温暖な気候、湿り気もあります。スダジイやタブノキの最適地と言えます(房総半島の太平洋岸はほぼ同じです)。
 
 神社正面を見ても、「昼なお暗し・・」の境内は次のようです。

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 なお、「渡海神社の極相林しおり」によると
  『 私たちの郷土銚子の渡海神社は今を去る約千参百年の昔・・略・・ 』とあり、
  ずいぶん古い神社らしいことが分かります。

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 皇紀??  こちらも戦中派はよくご存じでしょうが、平成24年は皇紀2,672年だそうです。西暦よりも古く、歴史があるのです・・・。古い方は親父お袋に、新しい方はおじいさん、おばあさんにお聞きください(笑い)。
 
 さて次は樹木の形がおもしろいので並べてみました。年輪を重ねると人も同じで味が出てきます(味が出てこない人も中にはおります・・・)。


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 そして、最後に極相林の雰囲気を・・・すべて大きい画像ですのでクリック拡大可能です。

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 極相 きょくそう <大百科全書より>
 極盛相、クライマックスともいう。遷移の結果到達する最後の段階となる群落のことで、遷移途上の不安定な群落(途中相)とは異なり、安定し、永続性がある。水分条件が適当であれば、一般的には、極相は中生的な立地に成立する耐陰性のある樹木から構成される森林となる。極相では、生物量(生物群の量を重量ないしはエネルギー量で表したもの)はその土地での最大量に達し、生産量と呼吸による消費量とはつり合っている。食物連鎖は複雑で網目状になる。群落の階層構造(垂直的な配列状態)も4〜5層に分化する。極相はその土地の気候条件下でもっとも効率的に生活できる生態系であるため、最終的に到達する極相は、土地によって特徴的な群落となる。これを気候的極相とよぶ。逆に、同じ気候条件下であれば、系統的に異なる植物群でも同じような相観を示すように進化する。世界の地中海式気候下でみられる小型で、葉の厚い硬葉樹低木林は、この典型的な例である。この現象を生態系の収斂(しゆうれん)とよぶ。極相群落の再生、維持はかならずしも平衡状態で連続的に行われているわけではなく、極相林の林冠木(上部を構成する木)の寿命よりはずっと短い時間間隔でおこる攪乱(かくらん)要因によって林の一部が破壊され、その部分の好転した光条件下でのみ再生が可能になるということが明らかになっている。
 極相に関してはクレメンツの気候的極相だけを認める単極相説、タンスレーA. G. Tansleyの気候以外の条件、たとえば土壌条件、地形条件などにより規定される極相も認める多極相説、ホイッタカーR. H. Whittakerのいろいろな群落が複合したのが極相であるとする極相パターン説などがある。それぞれ一理はあるが、遷移の過程を群落の発達モデルと考えれば、単極相説がすっきりとしている。〈大沢雅彦〉
 
 
 こう‐き【皇紀】クワウ‥     <広辞苑>
日本の紀元を、日本書紀に記す神武天皇即位の年(西暦紀元前六六○年に当る)を元年として起算したもの。

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屏風ヶ浦の魅力 no.348

 千葉県には景勝地がたくさんあります。
 その中でも屏風ヶ浦は犬吠埼からの連続海岸として野性的な風景を魅せてくれます。
 
 典型的な浸食海岸です。
 犬吠埼も同じなのですが、大きな違いがあります。
 
 そう、ご存じのように古生代、中生代の地層である犬吠埼は岩質が堅固です。
 次の写真のように、荒れた日も何の防護もなく自然状態で十分に耐えています。

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 それに比べて屏風ヶ浦はどうでしょうか・・・第三紀;この地層は固くても軟岩、一般的には固結層と言うくらいに軟らかい岩層です。砂層を挟んだりすると水の浸食に弱い形となります。

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 下の地質図を見ると一目瞭然、犬吠埼が突き出してくる理由がよく分かります。

地質図屏風ヶ浦



 さて、屏風ヶ浦に足を踏み入れてみましょう・・・この場所が気に入っている人は多いはずです。釣りをする人もここから入っているようですが・・・知る人ぞ知る穴場のスポットです。

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 ここは、崖の上にも、崖の下にも行けます。
 まずは、崖の上に行ってみましょう。

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 そして、崖の端に出てのぞいてみます。
 足がこわばります・・・高所恐怖症の方にはおすすめできません。

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 さらに崖下へ・・・うねり高く、水しぶきが飛来しています。
 屏風ヶ浦はほぼ東南東から西北西に連なっていますから、時間帯によっては太陽の光が順、逆いずれかによって風景は異なってきます。
 
 この日は午後ですから太陽は崖面の見え方は全く反対の状況です。
 日の当たる方は犬吠側・・・犬吠埼の半島までよく見えます。

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 波を挟んで飯岡方面を見ると暗い迫力のある崖風景が見えます。

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 なお、時間帯が午前中だと次のように見えますので参考に・・・。

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 おまけは崖面に張り付くハマボッス(浜払子)という花をご紹介。

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 最後に、みなさんお気づきの通り、屏風ヶ浦は消波ブロック(テトラポッド)で守られています。賛否両論、いろいろとありますが、ここではなくてはならない防護なのです。
 
 この防護をなくすと一年間に数メートルは海岸が後退すると言われています。
 最初に挙げた岩質をよく見ていただくとご理解をいただけると思います。
 
 関連記事はno.61、no.148、n0.194、no.203、no.215(土木の風景 目次)と多くあります。
 いずれも未熟な記事ですが、コメントをたくさんいただいていますから、消波ブロックに対する市民の環境意識は大きいものと感じます。

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天津ループ橋 no.347

 平成24年5月末時点の天津・坂本2号ループ橋の姿です。
 上部工本体も架橋完了し、上部への接続道路が未着工となっています。

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 上部の接続道路は山を切り開いての迂回ルートとなり、県道81号線の途中に合流する計画です。今後、このループ橋を仮設道路として活用すると聞いています。

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 なお、まだ仮設鋼台は残されており、橋脚の高さなどの特色(見栄え)が出ておりません。下から見上げる構造物としては興味を引かれます。
 細長い橋脚が4本並んだ美しい全体像・・・早くみたいものです。

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 最後に一枚・・・、仮設鋼台の横にシナアブラギリという樹木が自生しています。
 ピアが最も高い、つまり、谷が一番深い場所です。

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 仮設鋼台の高さが谷底から25m、シナアブラギリはあと5mくらいで到達しそうです。
 最初に見た頃は小さな木であったと記憶していますから、工事開始から何年が経過したのでしょうか。
 
 途中の休止を含め20年以上になっています。本来の計画は2010年完成・供用開始の予定でしたが、未だ完了に至っておりません。急ピッチで建設継続されるはずです・・・。
 
 なお、工事途中の関連記事はno.208no.247no.252にあります。
 またおまけは、シナアブラギリの花です(成長がとても早い樹木です)。

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