no.424に続く記事です。
陸地が消えることを止めると違う場所に大きな影響を与える・・・これが自然の摂理です。
今回のテーマは「砂浜が消える」です。九十九里海岸について見てみましょう。
まずは九十九里全体の地形をyahooから・・・。
矢印が入っているのは海流の動きを表しています。南北から中央に集まっているのがわかります。
南側は太東から東浪見、一宮地区です。北側は旭地区、そして中央部は白里、蓮沼片貝地区になります。

まず、現在の海岸の様子を見てみましょう。
南の地区は太東から東浪見、一宮方面の海岸です。




そして中央地区。





さらに北部の旭地区は次の通りです。



以上のように砂浜がやせている南北とそんなに変わっていない中央地区とが対照的です。九十九里海岸には流入する大河川がありません。銚子にある利根川の流下土砂は九十九里に届きません。
また、夷隅地区にある夷隅川も中小河川であり、その浜も最近はやせ衰えています。


ということで九十九里海岸に堆積している砂は陸地が削られて発生した土砂に起源を持っていることが推察されます。北の屏風ヶ浦、南の太東他の浸食海岸からの土砂です。その発生源を止められてしまったというわけです(→no.424)。
消える砂浜では海水浴場も消えて行きます。
東浪見海岸を見てみましょう(海水浴場はなくなりました)。




特に浸食されている砂浜はよくわかります。


砂浜が浸食されると遠浅がなくなり、急に深くなって非常に危険です。
砂浜があるからと言って安心はできないのです。また、ヘッドランドなどの構造物ができると海流が変化します。

さて、行政としての対策はいかがでしょうか。
航空写真に見るようにヘッドランドや離岸堤を各所に設置し、砂の流失を押さえ込もうとしています。しかし、一時的に止まっても構造物周りに残るだけで中間部の浸食は止まりません。
やられたらやり直す・・・いたちごっこにも似た厳しい対応になっています。








将来はどのようになるのか・・・砂浜全体が護岸を必要とする時代も想定しなければなりません。コンクリートの護岸、また消波ブロック(テトラポッド)の海岸を想像するのはつらいことです。








それでなくとも日本中がテトラだらけという悪評が蔓延しています。やむにやまれぬ対策なのですが一般市民からはなかなか理解されていないのが現状ではないでしょうか。
少ない予算で何とか対策をしなければならない行政の苦労を理解してもらいたいものであります。
なお、英国ではよっぽどの重要施設がない限り自然のままにしているのだそうです。
削られるところは致し方なし・・・ということです。
ただ、狭い国土と人口密度の高い日本おいては、簡単なことではありません。
これからも苦闘が続くものと思われます。
最後に、房総半島にも安定した砂浜がありますのでそれを紹介して終わりにします。






なお、おまけです。
6年前の白里海岸、地引網の風景です(現在も4〜10月やっています)。



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陸地が消えることを止めると違う場所に大きな影響を与える・・・これが自然の摂理です。
今回のテーマは「砂浜が消える」です。九十九里海岸について見てみましょう。
まずは九十九里全体の地形をyahooから・・・。
矢印が入っているのは海流の動きを表しています。南北から中央に集まっているのがわかります。
南側は太東から東浪見、一宮地区です。北側は旭地区、そして中央部は白里、蓮沼片貝地区になります。

まず、現在の海岸の様子を見てみましょう。
南の地区は太東から東浪見、一宮方面の海岸です。




そして中央地区。





さらに北部の旭地区は次の通りです。



以上のように砂浜がやせている南北とそんなに変わっていない中央地区とが対照的です。九十九里海岸には流入する大河川がありません。銚子にある利根川の流下土砂は九十九里に届きません。
また、夷隅地区にある夷隅川も中小河川であり、その浜も最近はやせ衰えています。


ということで九十九里海岸に堆積している砂は陸地が削られて発生した土砂に起源を持っていることが推察されます。北の屏風ヶ浦、南の太東他の浸食海岸からの土砂です。その発生源を止められてしまったというわけです(→no.424)。
消える砂浜では海水浴場も消えて行きます。
東浪見海岸を見てみましょう(海水浴場はなくなりました)。




特に浸食されている砂浜はよくわかります。


砂浜が浸食されると遠浅がなくなり、急に深くなって非常に危険です。
砂浜があるからと言って安心はできないのです。また、ヘッドランドなどの構造物ができると海流が変化します。

さて、行政としての対策はいかがでしょうか。
航空写真に見るようにヘッドランドや離岸堤を各所に設置し、砂の流失を押さえ込もうとしています。しかし、一時的に止まっても構造物周りに残るだけで中間部の浸食は止まりません。
やられたらやり直す・・・いたちごっこにも似た厳しい対応になっています。








将来はどのようになるのか・・・砂浜全体が護岸を必要とする時代も想定しなければなりません。コンクリートの護岸、また消波ブロック(テトラポッド)の海岸を想像するのはつらいことです。








それでなくとも日本中がテトラだらけという悪評が蔓延しています。やむにやまれぬ対策なのですが一般市民からはなかなか理解されていないのが現状ではないでしょうか。
少ない予算で何とか対策をしなければならない行政の苦労を理解してもらいたいものであります。
なお、英国ではよっぽどの重要施設がない限り自然のままにしているのだそうです。
削られるところは致し方なし・・・ということです。
ただ、狭い国土と人口密度の高い日本おいては、簡単なことではありません。
これからも苦闘が続くものと思われます。
最後に、房総半島にも安定した砂浜がありますのでそれを紹介して終わりにします。






なお、おまけです。
6年前の白里海岸、地引網の風景です(現在も4〜10月やっています)。



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