土木の風景

from civil engineers 築土構木、土木技術は社会生活の基盤をささえています。

2019年10月

刑部岬 ぎょうぶみさき

 台風19号が過ぎ去ったあとの旭市飯岡地区刑部岬です。
 まだ波荒く、海水も濁っています。

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 この場所から銚子方面へと屏風ヶ浦の断崖が連続します。地層がはっきり見えるのが分かります。第三紀と洪積層の境が上段に見えます。

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 なお、砂浜に小さな穴を見つけました。あちらこちらにあります。
 住人は誰?

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 スナガニと言うそうです。
 体の大きさに合わせた穴の大きさになっています。
 
 最後は、東日本大震災の爪痕もなくなっている飯岡漁港です。全ての写真が逆光でした・・・。

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 スナガニ <大百科全書より>
〔砂蟹〕 【学】Ocypode stimpsoni
(大図鑑 P525参照)
節足動物門甲殻綱十脚(じつきやく)目スナガニ科に属するカニ。東北地方の太平洋岸から九州、朝鮮半島、台湾、中国北部にかけて分布し、砂浜にごく普通にみられる。甲幅2.5センチほどで、甲の輪郭はほぼ正方形。甲面は肉眼でようやくわかるほどの丸い顆粒(かりゆう)で密に覆われている。眼柄(がんぺい)は長く、角膜部が大きい。雌雄ともはさみ脚(あし)は左右で大きさが異なる。掌部(しようぶ)の内面には細い隆起線が帯状をなし、これを座節にある稜(りよう)でこすって発音する。小さいほうのはさみ脚は砂上の有機物をすくい取るのに適した形態である。歩脚はじょうぶで、指節は長く、湾曲していて穴を掘るのに役だつ。第2、第三歩脚の基部には軟毛の束があって呼吸水の浄化をするといわれる。南方系のミナミスナガニO. cordimanusは、インド洋まで分布する。眼窩(がんか)外歯が丸みを帯び、はさみ脚に発音装置がない。奄美(あまみ)大島以南に多いツノメガニO. ceratophthalmusは、眼柄の先に長い突起があり、はさみ脚に発音器がある。〈武田正倫〉
 
 
 土木の風景過去記事
 http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/51805648.html 刑部岬
 http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/51955628.html 屏風ヶ浦
 http://blog.livedoor.jp/gijutunohiroba/archives/51159244.html 地形の妙

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台風とサワガニ

 台風15号、19号と東日本へ相次いで来襲し、大きな被害をもたらしています。
 被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 
 15号は「風」台風、19号は「雨」台風でした。
 
 やはり、風より雨の方が災害の状況を深刻にします。
 洪水ほど恐ろしいものはありません。命を守ることが最優先ですから、早めに逃げるのが一番の方法です。そして、近づかないこと、「見てくる」というのは禁物です。
 
 地球温暖化が影響しているのでしょうか、降雨量や流量、洪水量などの数値を見直すときが来たのかもしれません。100年に一度が、頻繁に発生することもあり得ます。早急な対応をお願いいたしたいものです。
 
 
 
 さて、次の写真は何でしょうか?

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 千葉市郊外の小さな部落の神社、鎮守の森の崖下に小さな小さな泉があります。台風や干ばつなども関係なく、いつの時もちょろちょろと絶えることがありません。その場所に台所の流しくらいのポリBOXが置かれ、水が満杯になっています。
 
 上の写真はその水面を上から覗いたものです。空と樹木は鏡に映った風景です。
 左下を見ると小さなカニが見えます。
 
 自然のサワガニです。
 部落の人達が見守っている、みんなの「ペット」のようなものです。

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 普段は枯れ葉がたまり、次第に浅くなります。そのため、時々部落の人が枯れ葉を掻き出してくれますが、カニも一緒に掻き出すようで、カニの数がぐんと減ってしまいます(上の写真は掻き出した直後です)。
 
 それでもまた、数が増え、多い時は30匹以上になります。
 周辺の用水路などからやってくるのでしょう。
 
 ただ、時に不届き者がおり、自分で飼おうと持ち帰る人間がいます。そして、結局は生かすことが出来ず死なせてしまう、身勝手な人間なのです(まさか、食べるために捕る人はいないと信じたい)。
 
 しかし、自然は偉いです、強いです。
 また、どこかからサワガニはやってきてくれます。
 
 神社にお参りに来てサワガニを見て数える・・・そんな楽しみを持った人が多いと思います。大切にして見守る、それが暗黙の約束事です。

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 最後に<大百科全書より>辞書記事を添付しましたが、『 色彩はすみ場所によって微妙に異なるが、紫黒褐色、朱赤褐色、淡青灰色が基本型である。』となっています。
 この池で見ていると、大人になったカニは青みがかってきます。小さいカニは大体が茶系統です。
 
 小さいカニがどんどん増えて欲しい秋の空・・・。
 

 サワガニ <大百科全書より>
〔沢蟹〕 Japanese freshwater crab 【学】Geothelphusa dehaani
節足動物門甲殻綱十脚(じつきやく)目サワガニ科に属するカニ。本州、四国、九州にすむ唯一の純淡水産の種。南限は吐か喇(とから)列島口之島で、かつて沖縄諸島や台湾まで分布するとされたのはリュウキュウサワガニG. obtusipesの誤りである。甲幅2.5センチほどの丸みのある四角形で、前側縁が丸く膨らむ。眼窩(がんか)外歯に続いて痕跡(こんせき)的な切れ込みがあり、そこから小顆粒(かりゆう)が連なって細い稜(りよう)を形成する。はさみ脚(あし)は雄では左右不同で、右が大きい個体が多く、また十分に成長すると不動指が曲がって可動指との間にすきまが残る。色彩はすみ場所によって微妙に異なるが、紫黒褐色、朱赤褐色、淡青灰色が基本型である。
 雑食性で生命力が強く、大形個体は水からやや離れてすむ。産卵期は夏で、抱卵数は40個前後のことが多い。海産のカニに比べると卵数がはるかに少ないが、卵径は3、4ミリもあり、稚ガニとして孵化(ふか)する直接発生である。抱卵雌は約1か月間川岸の石の下などで過ごし、水中で稚ガニを孵化させたのちもしばらく腹部に抱いて保護する。稚ガニは甲幅4、5ミリで、2週間くらいあとに脱皮し、5〜7ミリになる。翌年2、3回の脱皮で8〜11ミリに、3年目も同様の脱皮で12〜17ミリに成長する。4年目で甲幅2センチほどの成体になり、5年目で成熟する。から揚げや佃煮(つくだに)などにされるほか、最近ではペットとしての需要が多い。〈武田正倫〉

 
 
 なお、台風余話
  私の在所は台風19号でも3日間の停電でした(15号の時は10日間です!)。
  大好きなラグビーをラジオで聞くことになりました。
  それにしても、日本の強さは本物です。なぜなら、勝って浮かれてもいないし、はしゃいでもいません。
  大きな自信を付けたようです。
  
  10/20(日)、ラグビー日本の健闘を祈ります。

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台風15号災害 杉林倒壊(2)

 
 千葉県北部方面、山武地方などは、安房方面の南部と異なる杉林倒壊風景でした。
 関東ローム層が堆積するこの地区は、根の張り方が良好で、安定しています。
 
 しかしながら、好事魔多し、強烈な風は樹木の弱点を狙ってきます。管理の行き届いていない杉は密植状態となり、幹の発達が遅れ、モヤシ状態となります。根はそのままにして幹の途中で切断される形となります。溝腐病(千葉県は非赤枯性溝腐病)も関係しています。

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 また、切断された杉が連続して線上に並ぶ場所が見られます。被害の出た杉のすぐ隣は大丈夫であったりしますから、瞬間的に竜巻のような烈風が吹き付けた可能性もあります。
 

 千葉県によると「サンブスギスギは非赤枯性溝腐病が蔓延している」そうです。そのため、苗を育てる段階で駆除する必要があるとか。
 溝腐病(千葉県は非赤枯性溝腐病)を発症して弱くなった杉は特に大きな被害を受けています。

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 非赤枯性溝腐病  ***ウィキペディア記事より

千葉県特産の山武杉には赤枯病菌によらない溝腐症状があり非赤枯性溝腐病と呼ばれる。幹に現れる窪みは縦にまっすぐで白色腐朽となり黄褐色雲形の帯線が現れることが特徴。1960年に茨城県で赤枯病の症状とは異なる腐朽被害が初めて確認され非赤枯性溝腐病と命名された。
病原体は担子菌に属するチャアナタケモドキである(学名Phellinus punctatusと同種とされてきたが遺伝子情報の分析でFomitiporia torreyaeと同定された)。この病気による被害は全国的ではなく、千葉県と茨城県の一部に限られる。2019年の台風15号による千葉県での停電被害の拡大の背景には、林業の衰退によるスギ非赤枯性溝腐病の蔓延による相次ぐ倒木の発生があるともいわれている。


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台風15号災害 杉林倒壊

 まずは台風の被災を受けられた方々にお見舞いを申し上げます。
 
 房総半島の全域にわたり被害が拡大しました。
 今回の台風15号の特徴は、強烈な風でした。
 
 中でも大きかったのが樹木の倒壊、それによる道路遮断、電線切断、法面崩壊です。
 そして長期の停電が大きな被害をもたらしました(筆者の在所は10日間の停電でした)。
 また、強風による屋根の損壊が目立ち、南房総方面はブルーシートの連続です。
 
 
 千葉県内には山武杉(さんむすぎ)のように昔から杉が植林されてきています。しかし、木材価格の低迷や所有者の高齢化などで間伐すらされていない山林が多くあります。
 管理が行き届かない杉は日光を十分に受けることが出来ず、弱くなり、「溝腐れ病」が拡大しているそうです。それでなくとも横風に弱い杉ですから病気になればなおさらです。
 
 次の写真は千葉県安房郡鋸南町の奥深い山中の被災状況です。
 ここは携帯電波も来ていません。

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 上の写真のように根こそぎ斜面や谷が滑り落ちる形が見られます。大木が折れて倒壊、そして落下、という大きな災害を生んでいます。復旧の目途は全く立っていません。道路を通行可能にするのが精一杯というところです。
 
 この地方は軟らかい泥岩が多く、表層の土が薄い特徴があります。このため、樹木の根は下方へ深く根を張ることが出来ず、浅く広がる形態になります。そのため、杉が倒れると根元から土砂を伴って斜面を崩壊させることになります。
 
 斜面崩壊災害のほとんどが洪水(雨)ではなく、強烈な風による樹木倒壊が原因となっています。
 下に示す写真は全て樹木倒壊による斜面崩壊です。

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 なお、東京電力の対応に批判が出ていますが、莫大な量の倒木では復旧に時間が掛かるのは当然です。最初の見通しが甘かった事による情報齟齬はありましたが、東京電力は頑張ったと思います。
 
 被災した杉林の多くが民有林です。管理が十分ではない杉林は全国あらゆるところにあります。同じような災害が全国どこに発生してもおかしくない現状があります。今回の災害を教訓として普段のパトロールや処置などの対策と強化が必要です。
 
 千葉県が特別ではないことを強調させていただきます。

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