海岸保全、と言うと大仰なタイトルになってしまいます。
 海岸は動くものですから、人間としては、出来るだけ固定しておきたい・・・。
 
 むかしから
 いろいろな対策を施して浸食を防止し、また堆積を抑制するなど、河川海岸の専門技術者は大変です。海や川を相手にした工事は莫大なお金がかかります。それ故に、国家や地方自治体などの役所が担当することが普通ですし、普通の工事に比べると工事費の桁が違うのは当然です。
 
 海岸や河川の災害はその被害範囲と規模が甚大です。その事を人は大昔から知り、知恵を出し、必死に防災工事を継続してきているのです。
 
 最近、河川海岸の自然災害で死者が出たり大災害になることがほとんど無くなりました。国民と土木技術者達の成果と言っても過言ではありません。
 
 しかし、最近の世論は災害のないことは当たり前のことであり、当然の権利として安全を求めます。自然災害の恐ろしさを知らない都市住民が大半を占める昨今、「感謝」という言葉が死語になりつつあります。自分たちの税金でやらせているのだから当然だ!、そんな感覚かも知れません。
 
 土木技術者もそのことで生活しているわけだから、国民のために奉仕する義務があります。だが、あまりにも当然の権利として土木に責任を押しつけるのはおかしいことです。
 道路を主とした土木バッシングの中、良い人材は集まらず、技術レベルがどんどん落ちた時、災害防除の役割を果たせるのかどうか心配です。もっと長期的な視点で議論する必要があります。
 
 目先の「お金」で議論している国民的議論が一般化してはいないでしょうか。建設会社が利益を出すのは悪だ!という暴論がメディアを中心として蔓延している現状です。
 
 このままでは日本の土木力は衰退します。
 歴史的に見て、多くの大国がそうであったように、土木が崩壊した社会は滅亡しています。いま、地球温暖化の影響として地球環境が激変している時、日本の土木力が落ちて良いものでしょうか。
 
 社会の基盤が如何に大切なものであるかを認識しなければ、日本の将来はないはずです。土木業界も、襟を正し、無駄な自己満足を無くし、政治的な癒着を無くし、本来の役割を再認識しなければなりません。
 
 誰のための土木か・・・。

天津・城崎海岸天津・城崎海岸2

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 美しい海岸にゴミの固まりが転々と並んでいます。地元のどなたがされたことか・・・、これが海岸保全の原点です。この国土は全国民のものです。
 
 海岸保全の努力は、関係機関だけの責任ではなく、国民全員が責任を負うものだと考えます。そのためには、出来ることはやりたい・・・そして任せることは任せたい。
 
 社会全体が縮小する世界では、フラストレーションが溜まりやすいかも知れません。だが、こういう時期だからこそ、大局に立った長期的視点を持ちたいものです。私達のためにではなく、子孫のために、です。

天津・城崎海岸3

 【参考】
 千葉県海岸保全基本計画
 太平洋岸を千葉東沿岸海岸保全基本計画
 東京湾岸を東京湾沿岸海岸保全基本計画 
 として千葉県はまとめています。

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