《しらす》

 「しらす」は白砂を意味する鹿児島地方の方言であり、地質学的には火砕流堆積物の非溶結部と定義されています。

狭義には、火砕流堆積物の中でも約2.4万年前に姶良カルデラを起源とする入戸(いと)火砕流堆積物の非溶結部を示すことがあります。

「しらす地盤」とは、火砕流堆積物の非溶結部であるしらすを含む地盤のことです。

一般にしらす地盤は表層に完新世(1.1万年前〜現在)に供給された火山噴出物とその風化物や腐食物からなる表層土、その下にはしらすや火砕流堆積物の溶結部である溶結凝灰岩、更新世(200万〜1.1万年前)や第三紀(7000万〜200万年前)の火成岩(安山岩、花崗岩など)や堆積岩から構成されています。沿岸域の沖積平野では、後背地の一次しらす(しらす台地を形成しているしらす)が浸食・運搬作用を受けた二次しらすが数十mの厚さに堆積しています。



 しらすが特殊土としてとりあげられる理由は、ひん発する災害のためであり、これまでに大小さまざまな災害が起きています。

しらす地帯に災害が起きやすいのは、斜面が極端に浸食されやすいこと、地震時に斜面が崩壊しやすいこと、沖積層におけるしらすが液状化しやすいことが主な要因になっています。


 しらすの分布域として、広く知られているのは以下の図4.2に示す九州南部地域の姶良カルデラを噴出源とするものや阿蘇カルデラ形成に伴うものですが、他にも北海道道東の屈斜路カルデラに由来するものや道央の十勝岳周縁部、関東北部〜北西部の浅間山、那須岳周縁にも狭い範囲で見ることができます。

 

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      4.2 九州南部地域のしらすの分布

      (出展:土質試験の方法と解説-779頁より)


 しらす粒子は火山噴出物であることに起因して多孔質であり、土粒子の密度が他の砂質土のそれよりも小さく、したがって、土粒子自身の強度が小さく、粒子破砕を生じやすいです。

粒子破砕を生じやすい土からなる地盤は破砕性地盤といいます。

すなわち、しらす地盤は破砕性地盤の一つとみなすことができます。

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