南房総市丸山地区の丸山川上流に築造されています。
 国道410号線のすぐそばにあり。
 建設年代は 1972(昭和47)年、ずいぶん古いアースフィルダムです。
 
 農業用に千葉県農林水産部(当時;館山土地改良事務所)が灌漑を目的として建設したものです。均一型のアースダムとして、建設には随分苦労をしたと聞いています。
 
 さて、全景はこのような感じです。風景写真はクリック拡大できます。

安房中央ダム


安房中央ダム2

安房中央ダム3

安房中央ダム4


安房中央ダム5


 堤高32m、堤長110mは立派です。
 流域面積も広く、大雨の時は大変ですから洪水を速やかに排水する施設が必要です・・・それが余水吐(ヨスイバキ)といいます。
 本ダムでは側水路越流式を採用し、その長さ何と50mもあります。増水してくるとコンクリートの上を越流して放水路へ流れて行きます(200年確率最大流量Q=308.7t/秒)。

 豪雨の時は壮観で、一見の価値はあるかも・・・。

安房中央ダム6


 そして、農業用水は表層の温かい水を取れるようにフローティングタイプ(可動式取水塔)を採用しています。【→鴨川の可動式取水塔
 作りが古いけれど、当時は最先端の施設です。ここから取水して、館山市、南房総市の広大な面積(976ha)を灌漑しています。

安房中央ダム7


 以上の構造を模式的に示してくれているのがさび付いてきた案内板です。イメージとして見て頂ければ幸いです。

安房中央ダム8


 さて、本ダムはいろいろの施設老朽化問題があります。取水塔の写真を見て頂ければお分かりのように相当の錆が出ており、また用水路の途中施設も多くの問題を抱えています。
 
 
 一番の悩みは上流から流下してくる土砂、つまり堆砂問題です。ダム機能が次第に損なわれて行くわけで、浚渫排土するか、上流で止めるか、対応策の模索が続いています。さらに、予算不足は構造的な問題として、地元農家(安房中央土地改良区)に大きな負担を強いています。
 
 千葉県も新規事業(H18年〜)として努力をしているのですが、地元負担を考えると大規模な改修工事や対策を打ちにくい現状です。そして、もう一つ重要なことは農家の世代交代と耕作放棄、放棄水田の増加です。農家の意思統一も困難な状況になりつつあります(これは、全国的な話しです)。
 
 「自己負担をしてまで・・・」、そんな会話も聞こえてきます。
 
 農業の置かれた現状を縮図のように見せてくれる安房中央ダム・・・しかし貴重な先人達の遺産なのです。何とか守り抜き、後世に残して行きたいものです・・・農業が復活する時を信じて・・。
 
 最後に、ダムサイトの脇から周辺農道につながる長いトンネルがあります。農家の軽四輪が通過できるだけの大きさです。
 
 農業の未来を予測しながら・・・最後にエントリーします。


安房中央ダム9


安房中央ダム10


安房中央ダム11


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