8月31日午後2時過ぎ・・・房総の東部をかすめるように台風11号が北上して行きました。夷隅地方は、暴風圏域に入ったような、激しい風と雨だったのです(→「土のうた」;【台風11号通過 大原漁港】)。

大原漁港


暴風雨


 大原漁港から山を越えて、落合川(いすみ市国吉付近で夷隅川に合流)に至ります。

いすみ市

いすみ市2


 市道が落合川を渡る付近(長志地区)に落差工魚道があります。

落差工場所


 そして、雨のない普通(常時)の状況は、こんな風景でした。
 2008.06.12にエントリーした【no.171】です。

落差工


 しかし、台風のような豪雨が来ると川は一変します。ここが落差工だ・・と分かる形の水面ですが、魚の逃げ場はなさそうです。

落差工2


 コンクリートの護岸は安全のようですが、自然生物には冷たいことがよく分かります。
 人間の意志は、「早く下流に流し去ってしまいたい・・」でしょうか・・・。
 魚たちは、夷隅川本流まで流され、どこかに避難するのかも知れません。魚道があるので、また戻ってこられますが・・・。
 
 ただ、護岸の整備が進むと何が起こるのか・・・、夷隅川本流に余裕がなくなり、この落合川との合流点は高水位が続くのです。今後の異常気象を考えると、河川の能力をオーバーすることが危惧されるのです。
 
 水田の役割認識と水を地中に返すという思想がなければ、コンクリートと洪水のいたちごっこは終わることがありません。「下流に早く流し去る」という発想は、高度経済成長期以来の人間の傲慢ではなかったでしょうか。
 
 自然とともにあった日本人が、都市化の進展に伴い隔絶した都市空間を"普通の世界"であると勘違いをし出したのです。これは、恐ろしいことであり、その結果は過去の多くの文明が示してくれています(→砂漠化は人間の責任です)。
 
 このままの考え方で行くと、自然は猛威をふるい、人間は自然の怒りを初めて知る・・・そして、ようやく考え方を改めていくのです(それでは遅いのです)。
 
 希望的観測を言えば、
 人間の都合だけで川を制御しようなどと言う事は、これから変わってくるはずです。
 自然がまずあり、その自然に合わせるのがわれわれ人間のイキザマではないかと思うわけです。
 
 自然を利用し、活用するのはよいことですが、人間中心の作用は自然からの反作用を必ず受けてしまいます。
 
 台風のような時、自然の猛威を知ることは人間を素直にさせてくれます。この暴風雨に対して、何も出来ないのです・・・。人間はとてもちっぽけです。

落差工3

落差工4


 最後に、この豊富な水を大地・山林に残し、地中に残す工夫が必要です。大渇水の時、その自然貯留水がわれわれ人間を助けてくれます。木を植え、水田を残し、都市では地下浸透の雨水対策を真剣に致したいものです。
 残念ながら、都市の河川対策は、水を敵と考えている様子が見えます・・・水のおかげで生きていることを忘れて・・・。
 
 
 なお、書籍の紹介です。
 富山和子氏 「環境問題とは何か」PHP新書 660円 「水と緑と土」の作者。

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