富津市上総湊は古い町です。
 もともとは湊町、次に天羽町、そして富津市となっています。
 現在の市街地は湊といい、中央部を湊川が西流し、東京湾(浦賀水道)に接します。
 
 むかしは、この地に富津市役所もあったのですが、東京湾岸の埋め立てが進み、人口も市の北側に集中することとなりました。そのため、市役所は旧大佐和地区の丘陵地に移動しています。

地図



 さて、JR内房線の線路は湊川を渡るのですが、「湊川鉄橋(橋梁)」といいます。
 まずは、漁港の方から湊川鉄橋の全景を・・・そして雰囲気はこんな感じです。
 橋梁形式はワーレントラス、プレートガーター、L=162mだそうです(設計は鉄道省)。

湊川橋梁


湊川橋梁2



湊川橋梁3



湊川橋梁4



湊川橋梁5


湊川橋梁6



 
 といいながら、よくよく見ると古い橋脚が並んでいるのが見えます。
 これはしたり、いつ架け替えたのでしょうか。現在の橋脚もそんなに新しくも見えません。疑問が湧き出してくるのです。
 
 次の写真を見ていただければ、旧ルートがこの古い橋脚を使ったことがよく分かります。しかし、いろいろと調べてみますが、架け替えたという記事を見ることが出来ません。
 
 そして、湊川橋梁の建設は大正14年、1925年となっているのです。橋脚・橋台はコンクリート製・・・現在の姿です。この古い橋脚群は何でしょうか・・・。

湊川橋梁7


湊川橋梁8



湊川橋梁9



湊川橋梁10



湊川橋梁11



 考えはストップ・・・、その間に列車が通過して行きました、特急・さざなみ号です。
 列車の写真や動画は「湊川橋梁」でたくさん出てきます。残念ながら橋梁に関する記事というものは本当に少ない現状でした。

湊川橋梁12


湊川橋梁13



湊川橋梁14

  
 ようやく、あるサイトにたどり着きました。
 歴史的鋼橋一覧<千葉>
 http://library.jsce.or.jp/jscelib/committee/2003/bridge/12.htm
 
 この中にありました。『歴史的鋼橋:T5-062 湊川橋梁』です。旧国鉄関係者のサイトかと存じますが、どうしてもトップまで行けません。
 
 この記事に形式、その他の情報が入っています。開通は1925年と明記されています。
 橋脚の基礎は木杭だそうで、大正の時代としては当然の基礎杭だったのでしょうか。
 
 また、一般平面図を公開していただいておりますから、見てみると、古い橋脚・橋台がしっかり残っています。大正14年、湊川橋梁を建設する時にはこの古いルートがあったと言うことです。
 
 そして最後に、「記事:鉄道開通は1916.10.11」とありました。これは、大正5年にあたります。つまり、独断と偏見で推論すると、9年間は古い橋脚のルートを使用したと言うことになります。
 
 なぜ架け替えたのか・・・それは分かりません。
 橋脚基礎の変位などの支障があったものでしょうか・・・。
 
 ここより千葉寄りの「小糸川鉄橋」の橋脚がこの古い橋脚と同じ造りです。土木の風景no.236「小糸川鉄橋」に掲載している写真がまったく同じです。
 
 小糸川鉄橋は、今も健在です。
 だが、
 湊川橋梁は、10年保たなかったということです。
 
 現在のようなしっかりした地質調査手法が確立していなかった大正時代です。思わぬ落とし穴があったものと推定するものです。

湊川灯篭流しもきれいですよ! さんからご教授をいただきました。大正の大震災(関東大震災) による河床の上昇が原因と言うことです(詳細はコメントにあります)。ありがとうございました。
 
 それにしても、明治から大正にかけての土木構造物には惚れぼれとするような魅力があります。小糸川鉄橋でも同じことを書いていたような初夏の空・・・。


湊川橋梁15



湊川橋梁16



湊川橋梁17



湊川橋梁18


 なお追記です。
 大正5年の橋脚と大正14年の橋脚を見比べてみると、時代背景が透けて見えるようです。前者は明治の気風が強く残っており、職人芸のような土木工事です。それに比べて後者は、昭和にはいると、ますます軍国的な動きが強くなりますから、戦争のキナクサイ匂いもしてくるのです。明治の気風を守る余裕などなかったものと考えます。
 
 しかしです、突貫工事だったかも知れない大正14年の湊川橋梁は85年を経過しています。古びたとは言いながら、まだまだしっかりしています。
 
 現代土木でここまで保たせられるのかどうか・・・少しだけ疑問が残るのです。
 宮大工さん達は、1,000年保たせる・・・という気概で仕事をするそうです。われわれ土木屋も、そういう気概を学びたい夏の空・・・(「そんなの当たり前だ!!」と、先達に怒られそうです・・)。

   <土木の風景TOPへ>