利根川は、群馬県と新潟県の県境にある大水上山(1831m)を源とし、群馬県、埼玉県、
茨城県、千葉県を経て太平洋に注いでいる全長約322km(信濃川に次ぐ日本2位)、
流域面積約16,840
(日本最大)の日本を代表する河川です。
この利根川は、首都圏の水道にとって、非常に重要な河川となっています。
今回は、水道の視点から利根川を見てみたいと思います。
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水上の地図
図1:利根川源流域の地図(GoogleMap)

天神平からの奥利根源流
写真1:天神平から望む奥利根源流域(3つの頂き、左から笠ヶ岳、朝日岳、白毛門)


    暴れ川

明治のころ、日本に招かれたオランダの河川技師ヨハネス・デレーゲは、日本の川を見て、「滝のような川」であると云ったとされています。
日本の河川は急峻で、頻繁に洪水を起こし、民を苦しめました。利根川を例にしますと、1kmで平均5.7mの勾配を流れ下っていることになります。

板東太郎(利根川)、筑紫次郎(筑後川)、四国三郎(吉野川)は、日本3大暴れ川と称され恐れられていました。

古来より「水を治める者が国を治める」と云われ、利根川も幾多の治水事業や東遷事業が行われ、現在は、関宿で江戸川に分流し、利根川本川は、千葉県銚子市と茨城県神栖市の境の鹿島灘へ注がれています。


 

    利根川最上流部

利根川の最上流部の源流域は、ブナ林など落葉樹に覆われた原生林で豊かな水源林となっています。水源林は保水能力が高く、森林への降雨を森林土壌などで滞留し、河川への流出量をコントロールしています。しかしながら、自然の保水能力には限界があり、治水、都市用水の確保、電源開発といった日本の高度成長に伴う需要のため、この一体には、矢木沢ダムや奈良俣ダムが建設されました。

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奈良俣ダムの実施計画認可は、昭和53年(1978年)です、水需要の逼迫を反映し、多くの都県が参画(ダム乗り)し短期間に完成しています。

水道用水の参画事業体を水資源機構の資料(2009年版)から、詳しく見てみますと、群馬県、高崎市、みどり市、茨城県、埼玉県、千葉県、印旛郡市広域市町村圏事務組合、長門川水道企業団、東総広域水道企業団、神埼町、九十九里地域水道企業団、北千葉水道企業団、東京都となっています。

ダム事業に参画することで、利根川から、水道用水を取水する権利(水利権)が確保され、取水できる地点(開発地点)の下流から、配分(アロケーション)に従った量の水道用水を取水できることになります。

水道事業にとって、上流の水源林、ダム、河川は一連なのです。

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写真2:矢木沢ダム(奥利根湖)

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写真3:奈良俣ダム(ならまた湖)

水源涵養林

ブナ林の保水能力は一番とよく耳にしますが、保水能力は、その地勢、樹種、樹齢などで一概にブナ林が一番と決めつけることは、どうかと思いますが、ブナの特徴が水源涵養林に向いていることは間違いありません。

ブナは、成長が遅く、実生から5年でも樹高1m程度、100年で直径40cm高さ30m程度となり、原生林では、樹齢200年と想定される高木も見られます、枯れると、腐りやすい性質から、そのぽっかりと空いた空間に、実生からブナの新しい芽が育ち、世代交代していきます。こうして、ブナの原生林が何世紀と受け継がれていきます。(極相林:森林の樹木群集構成が変化しない状態になった事を極相に達したといい、こうした森林を極相林といいます、白神山地の原生林が世界遺産に指定されたのも頷けます。)


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写真4:ブナ太郎(奥利根水源の森)

 様々なところで、植樹、植林が行われていますが、豊かな森になるためには、地勢にあった樹種を選ぶ必要があるでしょう。日本には、いろいろな地域に、ブナなどの原生林が残っています。これらの原生林を乱開発から守り続けることが、水循環には最も重要ではないかと思っています。


 

・ ブナの芽吹き

参考までに、5月頃のブナの芽吹きを紹介します。

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 by:m.nakao


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