液状化という言葉がこれほどメジャーになるものか・・・地震災害の時、必ず発生する自然現象です。
 
 この液状化という現象が土木・建築関係者に衝撃を与えたのは昭和39年(1964)6月、新潟地震の時でした。がっしりとした箱状のアパートが転倒し、また大きな橋が落橋するなどの大被害をもたらしたものです。
 
 その後、研究は進歩し、基準や指針も対応策も発展しています。
 しかし、構造物に対する対策を行うことは普通となりましたが、埋め立て地全体を改良することは不可能なことです。お金がいくらあっても足りません。
 
 今回の巨大地震は東京湾岸の千葉県側に甚大な被害を及ぼしました。液状化現象のもっとも厳しい被害を受けたのが浦安市です。テレビや新聞で大きく報道されており、一度は見られたことと思います。千葉市側も幕張メッセを中心とした埋め立て地がやられています。

湾岸



 今回は、少し専門的な用語も出しながら液状化現象について船橋海岸を紹介します。
 
 船橋市は海岸寄りの地区で噴砂がたくさん見られました。道路や駐車場の沈下は液状化によるものです。風が吹くと砂漠のような状態がしばらく続きました。

船橋


 現在は砂の片づけが終わり、道路や構造物の修復待ちの状態です。

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 さて、ふなばし三番瀬海浜公園の道路を挟んだ反対側の空き地に液状化現象噴砂跡を発見しました。全くそのままの状態です。地面の割れ目に沿って噴砂したもので、模式的な形状をしています。

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 さて、液状化現象とはなんでしょうか・・・
 簡単な説明は<ウィキペディア>の記事を。
 【 液状化現象(えきじょうかげんしょう)とは、地震の際に地下水位の高い砂地盤が、振動により液体状になる現象。これにより比重の大きい構造物が埋もれ、倒れたり、地中の比重の軽い構造物(下水管等)が浮き上がったりする。単に液状化(えきじょうか、liquefaction)[1]ともいう。 】で、いかがでしょうか。
 
 ただし、噴砂(ボイリング)については上記の説明では不足です。
 
 そこでまた、<ウィキペディア>の記事を。
 【 下層の地盤が砂質土で表層を粘土質で覆った水田等で液状化が起きた場合は、液状化を起こした砂が表層の粘土を突き破り、水と砂を同時に吹き上げるボイリング(噴砂)と呼ぶ現象を起こすことがある。1964年の新潟地震では県内の各地でボイリングが観測された。】
 と言うことで、液状化した層が過剰間隙水圧(一時的な高い圧力)を発生し、逃げ場を求めて噴出してくると理解して頂く方がわかりやすいかもしれません。
 逃げ場で一番近いのが地表面というわけです。都市部の場合は舗装やコンクリートが地面にふたをしていますからその隙間や舗装を破壊して噴出してくるわけです。
 
 噴砂直後の周辺一帯は一面の海となります。砂は水と同じように動き、粒子が大きくて重いものが噴出口近くに堆積し、軽いものは遠くへと流されます。今度は護岸近くの噴砂跡をもう一度見てください。

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 公園から海岸の護岸近くに行くと同じような液状化現象が異なる被害をもたらします。がっしりとした構造物も、支えている地盤そのものが流動化すると変状を来してしまいます。構造物は、支えのない方向に動く・・・ごく当たり前の変位をするのです。
 
 まずは、この付近の液状化現象はこのようになっています。

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 護岸から遠いと公園近くの噴砂と同じですが、護岸に近い場所では地割れを起こし、構造物を押し出す動きとなっているようです。この場所では地割れの深さが最大60cm、延長は30m位でした。
 
 この水平方向への砂の流動(側方流動)が護岸構造物を押しだし、また液状化による噴砂で地盤に空隙が生じて地盤や構造物の沈下を起こしています。
 
 以下、船橋港護岸(大型ブロック積み擁壁・トライアン型)の被災状況を紹介します。
 明らかに護岸が張り出し、また傾いているのが分かります。

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 さらに、護岸裏のコンクリート舗装は液状化現象によってがたがたの状態です。もちろん、大きな空洞も発生しています。

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 最後は、破壊の激しい場所です。

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<ウィキペディア>記事
 液状化のプロセス [編集]
緩詰めの砂粒子が振動によって液状化する様子(模式図)砂を多く含む砂質土や砂地盤は砂の粒子同士の剪断応力による摩擦によって地盤は安定を保っている。このような地盤で地下水位の高い場所若しくは地下水位が何かの要因で上昇した場所で地震や建設工事などの連続した振動が加わると、その繰り返し剪断によって体積が減少して間隙水圧が増加し、その結果、有効応力が減少する。これに伴い剪断応力が減少して、これが0になったとき液状化現象が起きる。この時、地盤は急激に耐力を失う。また、この時間隙水圧は土被り圧(全応力)に等しい。この状態は波打ち際などで水が押し寄せるまでは足元がしっかりとしていても水が押し寄せた途端に足元が急に柔らかくなる状態に似ている。また、雨上がりの地面 を踏み続けると、地面に水が吹き出てくる状態にも似ていると言える。

地震や建設工事などで連続した振動が砂地盤等に加わると前記の液状化現象が生じる場合があり、地盤は急激に支持力を失う。建物を地盤に固定する基礎や杭の種類は地質や土地の形質に合わせて多種にわたるが礫層や岩盤等の適当な支持層に打ち込む支持杭と異なる摩擦杭等では建物を支えていた摩擦力を失い、建物が傾く不同沈下を生じる場合がある。重心の高い建物や重心が極度に偏心した建物ではより顕著に不等沈下が生じ、阪神・淡路大震災による中高層建物のように転倒・倒壊に至る場合がある。

地震に伴って液状化が発生しうる地点の震央距離R(km)とマグニチュードMの関係はlogR=0.77M-3.6 で表す事が出来る[2]とされている。


 また、より詳しい解説を知りたい方は、吉見吉昭氏 東工大名誉教授の記事をどうぞ。

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