5月です、大型連休も終わりましたが、気持ちの良い季節です。
 まずは、男の子の健やかな成長を願って、鯉のぼりを・・・。

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 さて、
 ここは大多喜県民の森です。
 林道沿いに切土の崖面がたくさん見られます。自然崩落もあるのですが、人為的にはぎ取ったあとも散見されます。
 
 まずは、自然崩落の姿です。
 これには文句もつけられません・・・。

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 しかし、次の一枚は人間がはぎ取ったものです。

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 なんと言うことを・・・おおかた犯人の想定はついています。
 せっかく着生した地衣類や植物をはぎ取ってそのまま放置するのです。緑で覆われるのにどれほどの時間が必要か・・・そんなことは考えないのです。
 
 そう、真犯人は地質屋です。
 房総半島の中央部・大多喜地方は地質上は非常に新しく、第四期の最も古い方に当たります。第三期にも含まれない、ほぼ単一な地層がほとんどでして・・・そんなにおもしろくもないかも知れないのですが・・・。

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 それでもこうして研究するのですから学生の巡検か、高校生か・・・地質を志す人がいること自体にはうれしい気持ちが湧き上がります。今回の3.11東日本大震災によって、地学に興味を持ってくれる子供たちが増えてくれればと願うものです。

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 しかしです、研究とは言え露頭はもっとあるはずです。先ほど出てきた自然崩落の崖面を使うとか、もっと探すべきです。指導者は研究者のマナーをしっかりご教授願いたいと思います。
 
 次の写真を見てください。

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 安房地方にある小さな神社です。
 本殿の裏側と側面は泥岩を削り取った崖面です。この地方は第三紀に入っている泥岩層ですから相当に固い状態です。その表面に地衣類がびっしり取り付いています。
 
 安馬谷八幡神社・・・承久二年(1220年)頃からあるそうです。
 そこまで古い地衣類ではないとしても、人間の時間軸とは次元の異なる「時」が必要かと考えます。
 
 地球の時間から見ると一瞬なのかもしれませんが、自然の回復には大変な時間が掛かります。
 いずれは緑化されてしまうものですが・・・見る人によっては痛々しく感ずるでしょう。研究や開発がすべて悪いという話ではなく、節度を持ったやり方をして行きたいものです。
 
 以下、人間の作った崖面と自然のがけ面とを並べてみます。
 植物たちのたくましさ・しぶとさ、そして生命力のありようには脱帽してしまいます。

 まずは人間・・・。

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 最後は自然の崖面・・・植物たちも勝てない崖面があります・・・(笑い)。

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 なお、地質に興味のある方には全国の情報がこちらのサイトにあります。

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 露頭 ろとう    <大百科全書>
地層や岩石が、土壌や植生に覆われることなく、直接露出している場所をいう。沢筋や岩石海岸など侵食が盛んな所、あるいは道路沿いの崖(がけ)や人工的切割りなどに好露頭がみられる。地質学者は、この露頭を丹念に観察して地質調査を行う。岩石が、崖崩れや土石流により、地山から遊離して移動してきた場合は転石といい、どんなに大きくても露頭とはいわないのが一般である。しかし、これは基盤地質を対象とする地質調査の場合であって、表層地質調査にとっては、こうしたマスムーブメント堆積(たいせき)物の露出もりっぱな露頭である。→地質調査〈岩松 暉〉

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