地盤が液状化する・・・実に怖いことです。
 不安定の代表選手であります。
 
 液状化現象は新潟地震(昭和39年・1964年 M=7.5)の時脚光を浴び、解明が進んできました。コンクリート造のアパートが沈んだり傾いたり、そういう光景を初めて見ました。ウィキペディアより写真を拝借しました。

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 当時の学者先生も驚いたことでしょう。
 
 なお、古い万代橋がびくともせず、新造の昭和大橋が落橋・・・これにも驚かせられました。先人の知恵はたいしたものでありました。
 
 
 さて、2011.3.11の東日本大震災では大規模な液状化現象が各所で見られました。東北地方は液状化の痕跡を津波で消し去られてしまいましたが、関東地方では甚大な被災現場を残しました。
 
 今回は千葉県の液状化被災状況および現象の実態とメカニズムを紹介します。
 
 まずは千葉市内の埋め立て造成地等の被災状況です。

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 次は船橋市内と港湾。
 こちらも激しい液状化現象を起こしています。

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 そして、最も被害の大きかった浦安市はほとんど埋め立て地ですが、埋め立て年代によって液状化の程度が違っていました。古い時代の地区は被害が少ない現状でありました。
 
 都市の機能はライフラインの復旧が生命線ですが、電気、水道、ガスが復旧しても、下水道が復旧しなければ生活に窮します。一つの盲点でもあります。建物がしっかりしているからといって安心はできません。

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 さて、上記までの東京湾岸の埋め立て地など(新しい地盤地域)と同じように被災が大きかったのが利根川流域の沖積平野地区です。
 
 内陸の印旛地区は利根川流域に含まれます。印旛沼周辺の軟弱地盤が広域に液状化していました。特に、護岸堤防は損傷が激しくなっています。

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 利根川の周辺地区は本堤防を含め甚大な被災をしていました。国交省の緊急修復には感心したものですが、その他はずいぶん遅くまで修復ができていませんでした。
 
 以下の写真でわかりますが、基礎部分が液状化すると道路や堤防はいかにも脆弱です。

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 そして、香取市内も大きな被害を受けています。
 特にひどかったのが旧利根川の河跡であった地区です。現在の利根川と昔の利根川は位置的に変化していますから旧河道では激しい液状化を起こしています。
 
 次の写真はいずれも旧河道に位置する地区の被災写真です。

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 そこで、その年6月に千葉県農林水産部が農地の液状化調査を大規模に実施しました。二日間にわたり、延べ約200人を動員して水田を中心に液状化被災の実態調査を行ったものです。

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 上の位置図で示す着色部が旧河道で液状化した区域の一つです。
 水田と畑ですから液状化した跡は当時のまま、噴砂跡の断面を見ることができました。噴射した堆積物に腐石が混入しており、かなり深部から液状化噴出したものと推測されます。

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 さて、最後に液状化の現象はどのようなものでしょうか。
 釈迦に説法ですが、簡単な模式図と簡易な発生条件を示してみました。

現象模式


発生条件



 そして、ある講習会(技術士会)で液状化の実証実験が行われました。
 簡易な装置ですが、実によく考えられたものです。
 
 粒子の大きさ、地下水位の高さ、そして起震、いろいろと条件を変え、6種類のパターンで試験するものでした。
 
 起震機は人間でありますから、それはそれは大変です・・・。
 しかし、結果は上々、粒子が細かくて地下水位が高い試料がまず液状化してくれました・・・関係者がほっとした瞬間です(笑い)。

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 最後に、甚大な被災をした香取市小野川の液状化現象を紹介して終わりとします。
 まず位置関係は、利根川旧河道部にあります。

現在地形



旧利根川



千葉県データ位置




国交省データ


 
 上のように、軟弱地盤が数十メートルあり、砂層もゆるい状態にあります。地下水位も高いですから、これでは液状化しない方がおかしいという条件を有しています。
 
 小野川の液状化、側方流動の模式は下図の通りです。

液状化現象



被災




被災2


 小野川は緊急浚渫をしていますので、被災直後の状態は別の河川で見られました。
 下の写真の状態を大規模にして想像していただくと当時の小野川被災状況が見えてくると思います。

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 なお現在、小野川は完全に復旧されています。
 途中段階の復旧状況を紹介して「液状化」の終わりです。

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 えきじょう‐か【液状化】‥ジヤウクワ  <広辞苑より>
砂の地盤が地震の衝撃で流れ易くなる現象。砂粒の間に飽和していた水の圧力の変化で水が動き、砂の粒間結合が破られて、砂全体が液体のようにふるまうと考えられる。地震動が大きいと液状化のため建物が被害を受け、砂が地上へ噴出し噴砂となる。特に埋立地などで見られる。

 <ウィキペディア記事より>
 液状化現象(えきじょうかげんしょう)は、地震の際に、地下水位の高い砂地盤が振動により液体状になる現象。これにより比重の大きい構造物が埋もれ、倒れたり、地中の比重の小さい構造物(下水管等)が浮き上がったりする。ゆるく堆積した砂質土層では、標準貫入試験で得られるN値が10程度以下と小さい場合が多い。一般に、液状化現象が生じるかどうかは、FL値、液状化の程度はDcyやPL値などの指標を用いて判定する。単に液状化(えきじょうか、英: liquefaction)[1]ともいう。

なお、この現象は日本国内では新潟地震の時に注目されたが、当時はまだ「液状化現象」の言葉は使われておらず、行政やマスコミは「流砂現象」という言葉を使っていた。

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