房総半島中央部を北流する養老川は千葉県にある二級河川の中では最も大きな川です。
 中下流域に西広堰があります。

西広堰



 
 稲刈りもほぼ終わり、そろそろ水を落とす時期になっています。
 現在は、まだ堰き止め中・・・降雨も多く、盛んに越流している現状です。

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 さて、今日の主題は魚道・・・明確に定義すれば魚梯です。
 「梯」とは「はしご」のことですから、堰止めによる段差を魚がはしごで登るということになりましょうか(笑い)。

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 なぜはしごなのでしょうか。
 ただの斜路でも良さそうなものです。以下は、専門の方々には釈迦に説法で恐縮ですが、ご容赦を・・・。
 
 詳細に水流を見てみましょう・・・相当な水量であります(増水時)。

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 鯉が滝を登る風景を見たことがおありかと思いますが、魚が段差を越えるのは大変な力が必要です。なぜ飛び上がれるのか、それは自然の場合は深い滝壺があるからです(イルカやシャチの大ジャンプを思い出してください)。
 
 西広堰のような人工の堰には滝壺がありません。そこで斜路を造って魚の遡上を可能にするのですが、水量がなかった場合などは水深が浅く遡上できません。また、長い斜路では魚たちの休息ができません。
 
 そこで、斜路全体に滝壺を連続させてやるという知恵が働きました。

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 西広堰魚梯の階段には常時水がたまるようになっています(プール式)。
 要は、形状はいろいろあっても魚が休息できる低流速の場所があれば良いということになります。
 
 西広堰の魚道は「プール式魚道−越流式−階段式」という分類になりそうです。
 なお、詳細な解説はウィキペディアの「魚道」をご参照ください。
 また、落差工魚道no.171 台風11号と落差工魚道no.232 もあります。
 
 魚道 ぎょどう  <大百科全書より>
河川の中途にダムをつくるとき、ダムの一端に主として魚類が遡上(そじよう)したり降下できるように設けた水路。魚道の形式は水路式が一般的で、これには導壁のある階段式と斜面式とがあり、両方とも梯子(はしご)のようにみえるので魚梯(ぎよてい)ともいう。導壁のない水路式もあり、これは舟や筏(いかだ)を下らせることを主目的とするもので、舟通し、筏通しなどとよばれている。アメリカやヨーロッパには、水路式のほかにエレベーター式の魚道もある。この形式は、魚溜(うおだま)りの容器を設置し、それを動力で上下させて、それぞれの水位に魚群を導く仕組みであり、産卵期に移動する魚類に有効である。なお、漁場で魚群がもっともよく通過する道筋をも魚道という。海の場合、魚道は海底地形のほか、季節や海況とも深いかかわりがある。回遊魚のブリ、イワシ、マグロなどを漁獲対象とする定置網漁業は魚道を利用するものであるが、ほかの漁業においても、漁獲性能をあげるには魚道を的確に把握することが重要である。〈出口吉昭〉

 ぎょ‐てい【魚梯】  <広辞苑より>
河川に滝・ダムなどがある場合、魚類をそこで止めないために、その河の一部に別に傾斜のゆるいまたは幾段にもなった水路を設けて、魚が遡上しやすいようにしたもの。魚道の一種。

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