まずは台風の被災を受けられた方々にお見舞いを申し上げます。
 
 房総半島の全域にわたり被害が拡大しました。
 今回の台風15号の特徴は、強烈な風でした。
 
 中でも大きかったのが樹木の倒壊、それによる道路遮断、電線切断、法面崩壊です。
 そして長期の停電が大きな被害をもたらしました(筆者の在所は10日間の停電でした)。
 また、強風による屋根の損壊が目立ち、南房総方面はブルーシートの連続です。
 
 
 千葉県内には山武杉(さんむすぎ)のように昔から杉が植林されてきています。しかし、木材価格の低迷や所有者の高齢化などで間伐すらされていない山林が多くあります。
 管理が行き届かない杉は日光を十分に受けることが出来ず、弱くなり、「溝腐れ病」が拡大しているそうです。それでなくとも横風に弱い杉ですから病気になればなおさらです。
 
 次の写真は千葉県安房郡鋸南町の奥深い山中の被災状況です。
 ここは携帯電波も来ていません。

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 上の写真のように根こそぎ斜面や谷が滑り落ちる形が見られます。大木が折れて倒壊、そして落下、という大きな災害を生んでいます。復旧の目途は全く立っていません。道路を通行可能にするのが精一杯というところです。
 
 この地方は軟らかい泥岩が多く、表層の土が薄い特徴があります。このため、樹木の根は下方へ深く根を張ることが出来ず、浅く広がる形態になります。そのため、杉が倒れると根元から土砂を伴って斜面を崩壊させることになります。
 
 斜面崩壊災害のほとんどが洪水(雨)ではなく、強烈な風による樹木倒壊が原因となっています。
 下に示す写真は全て樹木倒壊による斜面崩壊です。

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 なお、東京電力の対応に批判が出ていますが、莫大な量の倒木では復旧に時間が掛かるのは当然です。最初の見通しが甘かった事による情報齟齬はありましたが、東京電力は頑張ったと思います。
 
 被災した杉林の多くが民有林です。管理が十分ではない杉林は全国あらゆるところにあります。同じような災害が全国どこに発生してもおかしくない現状があります。今回の災害を教訓として普段のパトロールや処置などの対策と強化が必要です。
 
 千葉県が特別ではないことを強調させていただきます。

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