土木の風景

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土の基礎講座

6.土の物理的性質(その5)

《土の湿潤密度》


 土の密度とは、土の単位体積当たりの質量をいいます。

土の密度には、土粒子の質量と間隙に含まれている水の質量との両者を考える場合と、土粒子の質量だけを考える場合があります。

 前者を土の湿潤密度ρt、後者を土の乾燥密度ρdといいます。

 
 土の湿潤密度は、土の基本的な物理量のひとつであり、土の締まり具合を判定する指標として利用されます。

 また、土の湿潤密度は、地盤の支持力、圧密沈下、土圧や安定解析などの構造物設計に必要な土の単位体積重量の算定に利用されるばかりでなく、間隙比、飽和度といった土の状態量を示す指標を求める際にも利用されます。


 我が国における代表的な土の湿潤密度と乾燥密度はおおよそ表6.5のとおりです。


 一般に、湿潤密度が大きい(ρt=1.7〜1.9g/cm3)場合は、地盤は硬くよく締まっていることを示し、湿潤密度が小さい(ρt=1.2〜1.6g/cm3)場合は、地盤は軟弱であまり締まっていないことを示しています。また、高有機質土ではρt=1.2g/cm3よりも小さくなる場合があります。


 一方、土の乾燥密度は、土の体積変化を伴わずに間隙水が完全に排除された状態を想定したもので、土の締まり具合を絶対値で示す指標として、土の締固め度の判定などの品質管理に利用されます。


【表6.5 わが国における土の密度のおおよその範囲】
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(出展:土質試験の方法と解説-151頁より)




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6.土の物理的性質(その4)

《液性限界・塑性限界》


 土は含水比の違いにより状態が異なります。

 特にシルト粒子や粘土粒子を多く含む細粒土は、含水比が十分に高いと流動化を生じて液体と同様な性質を示す液性状態となり、含水比が低下すると力を加えた後の変形が残留する塑性状態に変わります。

 さらに含水比が低下すると、もろい半固体の状態を経て含水比が減少しても体積が変化しない固体の状態になります。

 このような状態変化による硬さや変形に対する抵抗の大小を総称してコンシステンシーといいます。

 コンシステンシーの各状態の変移点をコンシステンシー限界といい、コンシステンシー限界には、液性限界・塑性限界・収縮限界があり、次のように定義されています。


 液性限界ωL:土が塑性状態から液性に移る時の含水比をいい、試験方法では、流動曲線において落下回数25回に相当する含水比と規定している。

 塑性限界ωp:土が塑性状態から半固体に移る時の含水比をいい、試験方法では、土のひもが直径3mmになった段階で、ひもが切れ切れになった時の含水比と規定している。

  収縮限界ωs:土の含水量をある量以下に減じてもその
     体積が減少しない状態の含水比をいう。

 


 

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【図6.2 各限界の定義と実際の状態】

(出展:土質試験の方法と解説-93頁より)

 

 一般にコンシステンシー限界は、粒度や土粒子の形状、比表面積、粘土鉱物の種類と含有量、間隙水中の塩類の種類と濃度、有機物の種類と含有量、土粒子表面の荷電の強さと吸着水層の厚さなどによって影響を受けるとされています。

土粒子の粒径が小さく比表面積が大きいほど液性限界、塑性限界は大きくなる傾向にあります。
また、吸着陽イオンのイオン価数および塩類濃度の増加は土粒子の周囲に形成される電気二重層の厚さを減少させ、土粒子間の引力を弱めるため液性限界を低下させます。

さらに有機質土においては、有機物含有量が増加するほど液性限界、塑性限界ともに大きくなることが報告されています。



【表6.4 液性限界・塑性限界の測定例】
(出展:土質試験の方法と解説-103頁より) 

 

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6.土の物理的性質(その3)

《含水比》

 土の含水比は、土塊を構成している土粒子・水・空気の三相のうち、土粒子に対する水の質量比を百分率で表したものです。

土粒子の質量は恒温乾燥炉または電子レンジにより乾燥して残留する質量であり、水の質量は失われる質量になります。

含水比試験の主な操作は、試料を乾燥させることと乾燥前後の質量をはかることです。
土の含水比ω(%)は次式で算定することができます。


        ω=(ma-mb)/(mb-mc)×100

 ここに、ma:試料と容器の質量(g)

          mb:乾燥試料と容器の質量(g)

     mc:容器の質量(g)

                             

 

 

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        6.3-1 土を構成する要素】              【6.3-2 含水比の測定例】

            (出展:土質試験の方法と解説-66頁より)
   

 

 

 

 土の含水比は、土のおかれている諸条件によって異なるが、砂分・礫分の混入が多いほど含水比は低く、細粒分の混入が多いほど含水比は高くなるのが一般的です。

また、特殊土としてローム・黒ぼく・泥炭は含水比が高く、まさ土・しらすなどは含水比が低くくなる傾向を示します。

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6.土の物理的性質(その2)

《土粒子の密度》


 土粒子は無機質分と有機質分で構成され、無機質分の主な鉱物は表6.2に示すように2.7g/cm3付近の値を示します。

我が国の代表的な土粒子の密度は同表からもわかるように、一般的な無機質土であれば2.6〜2.8 g/cm3のごく狭い範囲の値を示します。

また、泥炭(ピート)のように多量の有機物を含むものは小さく、黒ぼくやしらすも一般的な土より小さい傾向の値を示します。


【表6.2 主な鉱物と土粒子の密度の例】

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 (出展:土質試験の方法と解説-58頁より)

 

 

  土粒子の密度は土の固体部分を構成する土粒子群の平均値であり、固体部分の組成により異なります。

つまり、鉱物の種類や含有量および鉱物の風化の程度、有機物の含有量などの影響を受けるのです。

したがって、土粒子の密度は、密度の大きい鉱物を多く含んでいる土ほど大きくなり、まさ土では鉱物の風化が進むと小さくなる傾向を示し、有機物を含む土では、土粒子と固体有機物の含有割合により変化するため、有機物量が多いほど小さい値を示します。

含有鉱物の組成が類似していれば自然含水比が大きいほど土粒子の密度が小さくなるという報告もあります。

 

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6.土の物理的性質

6.土の物理的性質


 一般に、土の物理的性質とは、物理的測定方法を利用して求められる性質をいいます。


 土は土粒子、水及び空気の三相から構成されるため、狭義の物理的性質の中にも多くの種類の試験方法があります。

 その代表的なものが下の表6.1です。

 大きくはその土の固有な性質(固有な性質)と与えられた状態に依存する性質(状態量)に分けられます。

 固有な性質は、実験誤差やばらつきなどを除くと一つの土に対して一つの物性値が求められます。

 これに対して、状態量は含水比や湿潤密度のように土の状態によって変わる性質であります。


 次回よりここでは、土の物理的性質として土粒子の密度・含水比・液性,塑性限界・湿潤密度について述べていきます。

 <表6.1 物理的性質の主な物性値と試験方法>
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(出展:土質試験の方法と解説-52頁より)

 
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土はどのようにして出来るのか。(その3)

《堆積構造の変形》


 堆積構造の変形は、堆積の進行中および堆積層形成後かなりの時間が経過しても生じます。

堆積の進行中に生ずる場合、変形はある程度堆積が進行してから発生し堆積運動の停止とともにやむのであるから、変形した構造は正常な堆積によって形成された単一層の上面と下面に挟まれることになります。


 図5-1は、細粒土の上に砂が堆積するときに生ずる自重変形構造の例です。

リップルの形成による局部的な砂の堆積の不均一が細粒土層の破壊を引き起こし、徐々に砂が細粒土層の中へ埋没していくことになります。

このような自重変形構造は、砂と細粒土の堆積が繰り返し生ずる比較的水深の浅い所で形成されやすいです。

自重変形構造は、砂の堆積層がそれほど厚くならないときに生ずるので、砂の埋没深さは数mm〜数十cmのことが多いです。

砂がかなり厚く堆積してから下の細粒土層の破壊が生ずる場合には、砂の細粒土への埋没は数cm〜数mと深く大きくなり、図5-2のようなまくら状変形構造が形成されます。

図5-2は、まくら状変形構造を水槽の中で再現したKuenen(1965)による有名な室内実験の結果です。

振動と局部的な堆積による不均一な載荷のために砂は細粒土中へまくら状に没することになります。

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   図5-1砂堆積による自重変形構造の形成模式図   図5-2水槽中での砂堆積まくら状変形構造の形成                     
            (Kuenen(1965)による)



堆積直後の砂や粘土は非常にやわらかで、わずかな外力の作用によって変形してしまいます。

しかし、堆積の進行とともに上載荷重が増えるので、これらのやわらかい堆積層は徐々に密になってくるのです。

ここに、堆積の進行中の場合とは異なる堆積層の構造変形が生ずることになります。

堆積層が形成されてかなり時間が経過してから、自重による圧縮のために生ずる変形は、土粒子間接点の移動を含む土粒子の再配列を中心とした微小変形が主です。

しかし、現在、土質工学的に問題になる自然堆積地盤の多くは、形成後すくなくとも数千年以上経過しており、地下水汲み上げによる地盤沈下などの例を別として、微小変形の著しい進行を見いだすことはありません。

土はどのようにして出来るのか。(その2)

堆積構造の破壊》



 堆積構造の破壊は、表面の破壊が堆積物の内部構造までの破壊に関係している場合と、表面の破壊だけに限定される場合に分かれます。


 前者は、内部からの破壊が堆積土表面の破壊を引き起こしたものなのか、あるいは表面の破壊が内部構造の破壊にまで発展したものかを区別する必要があります。

堆積層内部からの粘土や砂の噴出は、内部構造の破壊が表面破壊を引き起こしている代表的な例です。

これは、急速な堆積の進行によって多量に沈積した土砂が上載荷重として作用するために堆積土層中に発生した過剰間隙水圧が特定の水みちを通って上向きに強制排水されるときに生じる局部的な液状化現象や、地中ガスの噴出、上向きの地盤内浸透流によって起こることが多いです。

これらは局部的な現象であるが、地震などによる液状化の場合には地盤全体として大規模に発生します。


 表面の破壊が堆積層構造内部へ進行する例としては、収縮クラックを考えることができます。

水で飽和した土が乾燥すると、収縮クラックのために地表面は数cmの大きさの多角形の面に分割されます。

クラックの大きさは、幅数mm、深さ数cmであることが多く、このようなクラックは、堆積物とは異質な物質で充填されます。

収縮クラックは、細粒土が沈積しやすく堆積表面がしばしば地上に現れるような環境にある干潟、潟、湖、転位河川流水路跡などに生じやすい。


 後者の表面破壊だけに限定される例としては、地上に露出した堆積物表面の雨滴によるかく乱、わずかに水をかぶった堆積物表面に対しての風によるひだ状変形、粘性土堆積表面の流水によるはぎとり表面侵食、堆積表面にまよい込んだ小石や木片などによるひきずり破壊などがあげられます。

しかし、これらの表面破壊の痕跡が、堆積土中に保存されることはまれである。


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5. 土はどのようにして出来るのか。(堆積地盤の形成)

5.土はどのようにして出来るのか。(堆積地盤の形成)


 土粒子の堆積には、必ず運搬作用を必要とします。
土粒子の運搬は水中だけで生じるとは限らず、空中または地表面の場合もあります。

堆積の場所も水中と陸上に分けることができます。

運搬の道程や堆積場所の位置によって、堆積物は水成、風成、陸成などと称せられることになります。

このように堆積層は、任意の運搬手段によって特定の性質を有する堆積環境のもとに運び込まれた土粒子が、沈積することによって形成されるものなのです。

堆積層は形成過程を反映して、堆積土粒子の粒子特性と、個々の土粒子が沈積集合して形作る幾何学的形状特性の二つによって代表される固有の構造を持つことになります。

粒子特性とは、粒子の大きさ、形状、組成、粒子表面組織などを含み、幾何学的形状特性は堆積層の表面形状と内部構造の二つの特性に分けることができます。


 堆積層が固有の内部構造を持つであろうことは、でこぼこに変形した堆積層表面の形状を観察すれば、容易に理解できます。

一般に、堆積層の表面はリップルと称する波状の凹凸であることが多いです。

リップルは、土粒子の堆積過程で形成されるので、当然、内部構造にも影響を与えることになります。

堆積の進行が一時的に停止すると、外力の作用によって堆積層表面のリップルは乱されます。

その後、土粒子の供給が始まれば、変形破壊したリップルの上に再び新しいリップルを形成しながら堆積が進行します。

つぎからつぎへと変形破壊して形成されるリップルの積み重ねによって堆積層はその厚さを増加することになるのです。

 
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土の種類(その5)

《泥炭》


 泥炭という語は、もともと地質学用語で、石炭生成の第1階程にある植物遺体をさします。

 これは湿潤、低温あるいは乾燥などの環境条件のため、枯死した植物の生化学的分解が、十分に行われないまま生成した有機質土です。

したがって、泥炭の土塊には一般に肉眼で容易に識別できるような植物繊維が含まれています。


 わが国の泥炭は、いわゆる沼野泥炭であって、洪水による土砂の混入や、火山活動による降灰などの作用を受け、無機物を相当量含んでいます。

よって、工学上、有機物含有量20%以上を泥炭の一応の目安とすることが多いようです。


 泥炭に無機物が混入したために、有機物が完全に分解し黒色のペースト状を呈する有機質土に黒泥と呼ばれるものがあります。

泥炭と黒泥の性質は、成因からわかるように類似しているところも多く、工学上この両者を厳密に区別して取り扱うことは困難です。

したがって、ここでは広義に黒泥も含めて工学上の泥炭と呼ぶことにします。


 
泥炭は、比較的まとまった広い地域に厚く堆積し、せん断強さが小さく圧縮性の大きな軟弱地盤を構成しています。泥炭の堆積した地盤を泥炭地盤といいます。


 泥炭地盤に盛土を行なうと、はなはだしいときは、一夜のうちに盛った高さだけ沈下してしまい、翌日はもとの平坦地にもどっていることも珍しくありません。

また、溝を掘削すると底面のふくれ上がりや側壁の押し出しによって、つぶれてしまう現象もよく見られます。

戦前は、このようなことから、北海道では泥炭地盤の土工現場を「お化け帳場」と呼んで、なるべく避けて通るようにしていました。

開拓当時の鉄道が平野部の泥炭地盤を避けて、山麓沿いに敷設されたのもその一つの例です。


 わが国の泥炭地の多くは、湖沼がその周辺に生育した植物の遺体によって埋められ、陸化してできたものです。

そのすべては地質学的に第四紀の沖積層に属しています。

泥炭地は模式的につぎのような発展過程をたどります。
いまここに、周辺の比較的浅い沼があると、水辺にはヨシ、ガマ、スゲなどの植物が繁茂します。

夏期に生育したこれらの植物は秋には枯死凋落して水中に沈積し、泥水中の土砂も混じって水深を減じて行くことになります。

このように周囲の浅いところから順次陸化していき、ついに全湖沼が植物遺体で埋めつくされるようになります。
このようにしてできたのが低位泥炭といわれているものであります。


 ヨシ、スゲなどの遺体が堆積して地盤が高くなると、次第に湿潤でなくなり、植生は変化してヤチハンノキ、ヤナギなどの小かん木などもまじえるようになります。

そして、これらの枝葉も漸次堆積していくことによって下からの水分の供給が次第に困難になると、植生の主体はワタスゲ、ヌマガヤに変わります。

またヤマドリゼンマイ、ヤチヤナギなどもまじえます。
この時期にできた泥炭を中間泥炭といいます。

このような中間泥炭形成の時期を経過することによって、河川氾濫の影響がなくなると鉱物質養分の不足を来たし、また下方からの水分の供給はさらに不十分となり、雨水のみにたよることになります。

このような状態でもよく生育するのはミズゴケ類が主であり、それにツルコケモモ、ホロムイスゲなどをまじえることになります。

これらのものは水を求めて泥炭地の周囲に向かって繁茂していき、全泥炭地を覆うことになり、また雨水によって生長をつづけるので、その表面は従来の水面よりはるかに高くなります。

このようにして形成されたものが高位泥炭といわれているものであります。


 このような泥炭地盤生成の場となる湖沼としては、砂丘の発達などのために生じた海岸沼沢地、河川の自然堤防の後背湿地や蛇行跡、沖積平野に存在する沼地などがあげられます。

また、火山作用によって谷がせきとめられたり、陥没などによって生じた湖などもあります。


 山腹の傾斜部などでも、わき水のあるところが湿地化し、泥炭地が生成発達することがあります。

下層が不透水層のところに多く、小面積です。


 わが国の泥炭地盤は、泥炭層の下に粘土層が厚く堆積し、その境界には薄いヘドロ層を挟んでいることが多いです。

また泥炭層の下が、シルトや砂のこともあります。
泥炭層は、粘土やシルトの層を挟むことがあります。


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        図4.4 日本の泥炭地の分布
            (出展:土質試験の方法と解説-731頁より)

 わが国での泥炭地の分布は、図4.4に示すように大部分が北海道にありますが、小面積ながら東北地方から九州までにわたって散在しています。

関東・東海地方では、おぼれ谷のようなところに発達した小面積のものが多いですが、海岸沼沢地には比較的面積の大きなものも見られることがあります。

一般的には土砂の混入が多く、分解が進んでいます。
東北・北陸地方では、やや大面積となります。

北海道の泥炭地の主なものは、石狩川、釧路川および天塩川の下流部に広く分布しています。


 

 

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         (出展:土質試験の方法と解説-第8編より) 

 

 


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土の種類(その4)

《まさ土》

 まさ(真砂)土という名称は古くから文学的表現に用いられており、それは海岸の砂や川砂のようなきれいな砂を意味しています。

 しかし、土質工学的にみると語源は明らかではありませんが、おそらくまさ土地帯の現場で用いられていたものが一般化したものと推定さます。


 まさ土とは、花崗岩質岩石が風化してその場所に残留している残積土、あるいはこれと同質の崩積土を意味します。

 しかし、どの程度の風化状態の花崗岩から残積土とするのか、明確な定義はなく、土工に利用できる風化度範囲をまさ土と呼んでいるのが現状です。

 一般には、リッパーで掘削し、機械的に細粒化できる程度の風化花崗岩をまさ土と呼んでいるため、かなり岩的色彩の濃い風化岩までを範囲に含めています。

 その結果、一口に「まさ土」と言っても、風化の程度に応じて風化岩から砂質土、粘性土と様々な性質を示すものがあり、それぞれの風化段階で著しく異なる物理・化学・工学的性質を示します。

 さらに、様々な風化層を形成し、不均質な風化状態のものが多いため、多種多様な性質を示します。
このことが、まさ土を特殊土とする最大の理由となっています。

 
 まさ土になりうる母岩は各種の花崗岩、花崗閃緑岩、閃緑岩・花崗斑岩、片麻岩などの結晶性深成岩あるいはこれと同質の変成岩などです。

 これらの鉱物組成は一次鉱物である石英、正長石、斜長石、黒雲母、角閃石と、これらからもたらされたカオリナイト、ハロイサイト、イライト、バーミキュライトなど、粘土鉱物の種々の組合せからなっており、地域によってあるいは同一地域でも採取場所によって鉱物組織が異なっています。


 まさ土が花崗岩の風化物である以上、その分布地域は花崗岩質岩石の分布する地域となります。

 

 

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4.3 花崗岩とまさ土の分布図

(出展:土質試験の方法と解説-762頁より)
 



 図4.3のように花崗岩は北海道から九州まで分布していますが、とくにまさ土が目立つのは中国、近畿地方です。

 特定の地域に多く分布することは、まさ土の分布が種々の条件によって支配されることを意味します。
以下にその条件を示すと、

 

・岩質:粗粒で酸性よりも中性の岩質のところは風化されやすい。

・地形:平坦な場所で準平原などに多い。

・地質構造:断層破砕帯付近はとくに深部まで風化している。

・地史:地質時代のうちで長時間風化を受ける機会があり、しかも新しい堆積物で覆われて保護されているところに多い。

・侵食度:地形が平坦で、雨量が少なく侵食の機会が少ない所


 以上のような条件のそろったところは、中国地方と近畿地方です。

この地方は一般に地形が平坦で、一度準平原化した所であり、雨量が少なく、風化層が侵食されずに残存している所です。

 したがって、まさ土が存在するかどうかはまさ土の生成条件と侵食の相互関係で決まるもので、生成の条件としては岩質や地質構造、侵食は地盤変動の歴史や気候条件によることになります。

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土の種類(その3)

《しらす》

 「しらす」は白砂を意味する鹿児島地方の方言であり、地質学的には火砕流堆積物の非溶結部と定義されています。

狭義には、火砕流堆積物の中でも約2.4万年前に姶良カルデラを起源とする入戸(いと)火砕流堆積物の非溶結部を示すことがあります。

「しらす地盤」とは、火砕流堆積物の非溶結部であるしらすを含む地盤のことです。

一般にしらす地盤は表層に完新世(1.1万年前〜現在)に供給された火山噴出物とその風化物や腐食物からなる表層土、その下にはしらすや火砕流堆積物の溶結部である溶結凝灰岩、更新世(200万〜1.1万年前)や第三紀(7000万〜200万年前)の火成岩(安山岩、花崗岩など)や堆積岩から構成されています。沿岸域の沖積平野では、後背地の一次しらす(しらす台地を形成しているしらす)が浸食・運搬作用を受けた二次しらすが数十mの厚さに堆積しています。



 しらすが特殊土としてとりあげられる理由は、ひん発する災害のためであり、これまでに大小さまざまな災害が起きています。

しらす地帯に災害が起きやすいのは、斜面が極端に浸食されやすいこと、地震時に斜面が崩壊しやすいこと、沖積層におけるしらすが液状化しやすいことが主な要因になっています。


 しらすの分布域として、広く知られているのは以下の図4.2に示す九州南部地域の姶良カルデラを噴出源とするものや阿蘇カルデラ形成に伴うものですが、他にも北海道道東の屈斜路カルデラに由来するものや道央の十勝岳周縁部、関東北部〜北西部の浅間山、那須岳周縁にも狭い範囲で見ることができます。

 

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      4.2 九州南部地域のしらすの分布

      (出展:土質試験の方法と解説-779頁より)


 しらす粒子は火山噴出物であることに起因して多孔質であり、土粒子の密度が他の砂質土のそれよりも小さく、したがって、土粒子自身の強度が小さく、粒子破砕を生じやすいです。

粒子破砕を生じやすい土からなる地盤は破砕性地盤といいます。

すなわち、しらす地盤は破砕性地盤の一つとみなすことができます。

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土の分類(その2)

《火山灰質粘性土》

 わが国には火山が多いために、丘陵部や火山山麓に火山灰起源の土が分布している地域がかなり広い面積に及んでいます。

しかもそれらの多くが風化して粘土化が進んでおり、多雨多湿な気象条件も関係してか、特異な高含水比粘性土となっています。

これら火山灰質粘性土地帯は多くが農耕地となっており、農業的に人間と密着した土壌であったために、多くの俗称を持って親しまれてきたし、地質的にも関東ロームというようにその地域の名を冠して身近な土として取り扱われてきました。

 

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 4.1 火山灰質粘性土の分布
(出展:土質試験の方法と解説-746頁より)


 

 わが国における火山灰質土の分布は、九州と関東以北の東側の沖積地域を除くほぼ全域、北海道では東南側の約半分、また、中部地方山岳部と山陰地方の一部にもそれが見られ、わが国面積の約40%近くが火山灰質土に覆われています。

火山灰土の分布は、堆積時の地形や堆積後の浸食などによって一定しませんが、原則的には火山源の東側にひろがり、層厚も東方だ円形にのびています。

東側に分布している理由は、日本の上層気流が偏西風であることによります。



 火山灰質土は堆積年代、堆積場所、供給源、堆積環境などによって性質は著しく異なります。

火山灰質土の性質に変化を与えるおもな原因の一つとして粘土化の進行があげられます。

この粘土化は堆積年代の古いものほど進行しており、生成条件や堆積環境によって違いがあります。

火山灰の鉱物組織によって粘土化は違いますが、一般に新しい火山灰から古い火山灰への粘土化には一連の系列に沿った変化がみられます。

古い火山灰では堆積が河成であったか、海成であったかということで著しく性質を異にし、また堆積後の地下水の影響も粘土化の進行に関係があります。


 火山灰質粘性土は、日本統一土質分類法では液性限界によって80%未満の?型と、80%以上の?型とに分けられています。

?型の代表的な土は灰土で、自然含水比も50%前後と少なく、締固めによる乾燥密度も1t/m3を超えますが、?型の代表的な土である関東ロームは、自然含水比も100%を超えるものが多く、締固め性もよくありません。
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4.土の分類(その1)

 4.土の分類(その1)
 土を人間の生活に密着した材料という対象として取り扱いはじめたのは、工学よりも農耕という立場から土に接していた農学の分野でした。
 
 日本では、1879年に地質調査所が設立され、1882年地質調査所に土性系が設けられました。土性系の任務は、土壌・鉱脂の調査を行ない、土性図をつくって土壌と植生の関係を調べることでした。


 1926年には、「土壌の分類ならびに土性調査及び作図に関する調査報告」という題目のもとに、農学会によって土壌調査のための農学会法が制定されています。
 
 土工事を対象とした土の分類に関してまとまった記述が行われたのは、日本道路協会編「道路土工指針(1956)」が最初でした。その後、1966年土質工学会・土の判別分類法委員会が一般土工事を対象とした土の判別分類基準を作成するための委員会活動を開始し、1973年日本統一土質分類法が制定されました。
 
 土質分類は、土壌学の素材特性に関する研究成果を工学的に利用することから研究がはじまっています。
 ここでは、一般的に利用されている土の分類法として、日本統一土質分類法による工学的土質分類基準を表4.1に示します(→次の続きを読むページ)。
 
 土の分類には、主体となる粒子の大きさにより礫質土・砂質土・粘性土に大分類され、そこに混入する土質の割合により〜質〜、〜混じり〜といった土質に区分されます。また、その土の特徴や性質により有機質土・火山灰質土などに分類されています。
 
 なお、日本の国土は、その社会と同様に、多くの特殊な性格をもっています。活発な火山活動、急峻な地形、多雨多湿等の諸条件のため、各地方にはこの諸条件による典型的な土や特徴的な土が見られます。
 
 以下次号から、日本の特殊土をいくつか紹介します。

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3.土と岩の違い

3.土と岩の違い

 

 土と岩石は、共に私たちが住んでいる大地を形成しているものです。

土には石ころ(礫)も入っていますが、土と岩石は違うものです。硬い軟らかいの違いだけではなく、岩石には草木も生えず物理的で無機質な印象を受けますが、土は緑にあふれ生物的で有機質な印象を与えます。

 

 

 岩石は主に鉱物粒子が集合した塊です。

岩石はそのできかたによって、_仞岩、堆積岩、J兩岩の三つに大別されます。

 

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 ・火成岩は、地下深部のマグマの上昇貫入、あるいはそれに引き続く冷却固結という過程でできた岩石の総称であり、それを産状で分類すると火山岩、深成岩、半深成岩に分類される。

 

 ・火山岩は、マグマが地表あるいは海底に噴出して、空気中あるいは水中で急激に冷却されできた岩石で、流紋岩・輝石安山岩・玄武岩などに代表される岩石である。

 

 ・深成岩は、マグマが地下数kmの深所で、比較的ゆっくり冷却され固結した岩石で、花崗岩・閃緑岩・カンラン岩などに代表される岩石である。

 

 ・半深成岩は、火山岩と深成岩のできた場の中間程度の深さまでマグマが上昇してきて、岩盤の比較的せまい割れ目に沿って貫入し固結してできた岩石で、花崗斑岩・花崗閃緑斑岩・粗粒玄武岩などに代表される岩石である。

 

 

◆埖論儡筺

堆積岩は、堆積物や堆積過程において、主に次の三つに分けられます。

 

 ・砕屑性堆積岩

 地表にあった岩石が、水や風の作用でこわされてできた破片を砕屑物といい、この砕屑物が積もったものを砕屑岩という。砕屑岩は、礫岩・砂岩・泥岩などが代表的な岩石である。

 

 ・有機質堆積岩

 陸上あるいは水中に生物の遺骸が集まって堆積した岩石で、チャート・石灰岩・石炭などに代表される。

 

 ・火山性堆積岩

 火山灰や溶岩のかけらなどが、陸上や水底に積もったり、火山泥流によって押し流されてできたものを火山性堆積岩という。凝灰岩・凝灰角礫岩などに代表される。

 

 

《変成岩》

 既存の岩石が、地下深部で強い加熱、圧縮、変形などの諸作用を受けた結果、鉱物組織や鉱物の配列状態がすっかり変わった岩石を変成岩といい、このような変化を起こさせた働きを変成作用とよぶ。

 

砂岩や頁岩などの堆積岩は、熱変成作用によって元の堆積岩の特徴である層理が見えなくなり、与えられた温度条件に適した新しい鉱物が生成(再結晶作用)して、岩石は結晶質粒状組織をもった「ホルンフェルス」になる。

 

 1億年ないしそれ以上の長期間にわたって高温高圧のもとで、激しい圧縮変形を受け続けた堆積岩や火成岩は、元の岩石が変化を起こし、岩石全体がある方向に薄くはがれやすくなり、きらきら輝いた緑や黄緑、赤などのきれいな鉱物ができる。

 

 このような性質をもった変成岩を結晶片岩という。代表的な変成岩としては、黒色片岩・緑色片岩・片麻岩・千枚岩などがある。

 

 

 土は、これら岩石の細かい粒子が母材となり、火山灰、動植物や微生物の遺体や排泄物・微生物により分解された腐食物などの有機物等によって構成されるのです。また、混入する素材の違いや粒子の大きさ、その混合割合などにより、土は分類されています。  by Ohno>

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2.土は有機物と無機物が混合した物

2.土は有機物と無機物が混合した物

 微視的に見ると、土はケイ素、アルミニウム、鉄などの無機元素及び炭素や窒素などの有機元素からなります。

 これらは相互に結合し、より大きな無機化合物や有機化合物を形成します。さらにこれらは鉱物や岩石などの無機物と腐食物や生物などの有機物といった巨大な化合物となり、土(土壌)を構成している訳です。

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1.土とはどういうものか?

1.土とはどういうものか?

 

 土は、岩石が地表に現れ、太陽や風雨にさらされ風化が進み次第に細かい粒子になります。この細かい粒子の集合体が、土および土の元となる物質となります。岩石のように土の骨格材料となる物質のことを土の母材といいます。

 

 土を水の入ったコップに入れると、底に土粒子がたまります。土粒子は火山の噴出物か岩石の風化生成物であり、その大きさ(径)により、礫(径75〜2mm)、砂(径2〜0.075mm)、シルト(径0.075〜0.005mm)、粘土(径0.005mm以下)に区分されます。土はこれら土粒子の接触集合体から構成されるのです。

 

 ちなみに、新鮮な花崗岩が「マサ土」と呼ばれる細粒の状態に変化するまで、おおよそ百万年の月日が必要であるといわれています。 (by Ohno)

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