September 30, 2013
福島レポート:禁止「野生キノコ」も|食品と暮らしの安全2013.10 No294より
食品と暮らしの安全2013.10 No294より(定期購読をオススメいたします。)
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◆福島レポート ジャーナリスト吾妻博勝氏
◆禁止「野生キノコ」も
イノシシはキノコが大好き。
旺盛に食べるキノコで、イノシシ肉は高濃度に汚染されています。
ところが、人間用にも、福島の野生キノコが出回っているのです。
9月中旬、福島県のある農村部で秋祭りがあり、最終日の夜、祭典執行委員会が開いた宴席に招かれました。その席で「キノコ狩りの名人」と評される50代の男性を紹介され、採取した野生キノコがどこへ行くのか、その裏話を聞くことができました。
これからがシーズン真っ盛りですが、県やこの男性によると、原発事故前、一般に流通してきた県内産の野生キノコは、マツタケ、ホンシメジ、マイタケ、ナメコ、ヒラタケ、ブナハリタケ、ハタケシメジ、シシタケ(コウタケ)、チチタケの9種類で、県外にも相当な量が流れていました。他に45種類が県内の直売所、青果店などで売られてきました。
■多くが出荷停止だが
ところが原発事故後は、モニタリング検査でセシウム濃度が異常に高いキノコが次々と見つかり、多くの種類が出荷停止に追い込まれたのです。
会津地方の直売所で、20数年前から野生のマイタケ、ヒラタケを売ってきた男性は、「9~10月の2カ月間で200~250万円稼いできたのに、これじゃ家族も養えない」とボヤいていました。
しかし一方で、販売禁止のチチタケを栃木県へ流していたケースも多かったのです。
実は、宴席で会った男性も、禁を破った一人です。
チチタケは9月初旬にシーズンがほぼ終わりますが、原発事故が起きた年、中通りの棚倉町、浜通りのいわき市で採取したものから、それぞれ1万3900ベクレル、6200ベクレルのセシウムが検出されています。
セシウム汚染濃度が高いため、国は、県内全域のイノシシ肉に対して、出荷停止を指示していますが、イノシシが内部被曝を起こすのは、野生キノコを旺盛に食べるのが大きな原因とされています。
チチタケはシーズン到来が最も早いことから、イノシシにとって絶好のエサとなります。
そして、栃木県民にとっても待ち遠しいキノコなのです。
なぜ、汚染チチタケが栃木県へ流れるのでしょうか。原発事故後も流し続けてきた先の男性はこう言います。
「栃木県では、ウドンの本格的なダシ作りにはチチタケが欠かせないという。普段は野菜を扱っている卸業者が栃木県からわざわざ引き取りに来てくれる。福島県内で売れば、1kg当たり2000~3000円だが、その業者は1万円も出してくれる。どうやら、それが相場で、それでも『しっかり儲かる』と言っている。後ろめたさがあるのか、積んだキノコが外から見えないようにスモークガラスのワゴン車で引き取りに来る」
男性が売るチチタケは、「一度もセシウム検査をしたことがない」が、業者もそれを承知で買い取っていると言います。
「ダシを取るだけだから大きさ、形は関係ない。形が崩れたものでも同じ値段で引き取るから、どんどん採ってくれ」と業者から言われ、原発事故が起きた一昨年は、チチタケだけで売り上げが約170万円。昨年はぎりぎり200万円に達し、「今年は8月末までに250万円に届いた」と、悪びれずに話します。
■競争相手が減って「助かる」
売値は1kg1万円ですから、採取量は250kgになりますが、それだけの量をどこで採るのか、聞いてみました。
「キノコ狩りは父親に連れられて中学生の時からやっているから、40年以上のキャリアがある。どのキノコがどの山にあるか、頭にちゃんと入っているので、中通り、浜通りの全域を回る。高濃度のセシウムが出た棚倉町のチチタケも売り渡した。キノコのシーズンが来ると、本業の野菜作りはほとんど女房任せにして、朝早くから山ばかり歩いている。そのほうが収入は上がるから女房も喜ぶし、暇ができたときは女房も一緒に山に入る。春の山菜と同じで、競争相手が減っているので助かっている」
セシウムが凝縮されたダシ汁でウドンを食べる栃木県民が気の毒でなりませんが、男性が売っているのはチチタケだけに限りません。チチタケのシーズンが終わりかけたころ、白っぽい笹シメジが採れるので、これを「1kg1500~2000円で売る」と言います。
これも数千ベクレルという高濃度汚染のものが各地で見つかっています。
「笹シメジは、ヤブシメジ、シロケシメジモドキとかいわれ、藪の中や杉林に生えている。杉林は放射線量が高いことはわかっているが、『あくまで換金商品』と割り切って売っている。売り先はチチタケと同じ業者で、これは栃木県だけでなく『関東全域に流している』と聞いている。香りはほとんどないが、シャリシャリした食感が好まれ、茹でて大根おろしで食べるか、ナスと炒めて醤油味で食べるのが一般的だね」
■全国へ、炊き込みご飯の具に
男性は、県内ではマツタケ以上の”キノコの王様”といわれる黒っぽいシシタケも売っています。まもなくシーズンがやってきます。
シシタケは特にイノシシの大好物なので、イノシシの内部被曝をさらに加速させています。シシタケは、香りが良いため、他のキノコと混ぜて炊き込みご飯の具に加工され、「全国に流通する」そうです。
人間に無害のはずはありませんが、キノコ複数種を混ぜ合わせた加工品ゆえ、産地表示で福島の県名が出ることはありません。
野生キノコだけでなく、県内産の栽培栗が、栗の産地で有名な茨城県産として流通しているのですから、消費者を愚弄するのも「いい加減にしろ!」と大声で叫びたくなります。
----------ここまで----------食品と暮らしの安全2013.10 No294より(定期購読をオススメいたします。)
誰が悪いのでしょう。
原因は、放射性物質を垂れ流している東電にありますが、そんな危険な原発に対して無関心過ぎた国民が悪いのだろうなぁと、私は思っています。
事故がなければ、原発の危険性を全く気にしなかった国民が大多数でしょう。
トリチウムも、常に原発から放出されています。原発をやっている側には常識でも、普通の国民は知らなかったことでした。そんなことがたくさん・・・。
無知は罪、最近はそう思います。
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◆福島レポート ジャーナリスト吾妻博勝氏
◆禁止「野生キノコ」も
イノシシはキノコが大好き。
旺盛に食べるキノコで、イノシシ肉は高濃度に汚染されています。
ところが、人間用にも、福島の野生キノコが出回っているのです。
9月中旬、福島県のある農村部で秋祭りがあり、最終日の夜、祭典執行委員会が開いた宴席に招かれました。その席で「キノコ狩りの名人」と評される50代の男性を紹介され、採取した野生キノコがどこへ行くのか、その裏話を聞くことができました。
これからがシーズン真っ盛りですが、県やこの男性によると、原発事故前、一般に流通してきた県内産の野生キノコは、マツタケ、ホンシメジ、マイタケ、ナメコ、ヒラタケ、ブナハリタケ、ハタケシメジ、シシタケ(コウタケ)、チチタケの9種類で、県外にも相当な量が流れていました。他に45種類が県内の直売所、青果店などで売られてきました。
■多くが出荷停止だが
ところが原発事故後は、モニタリング検査でセシウム濃度が異常に高いキノコが次々と見つかり、多くの種類が出荷停止に追い込まれたのです。
会津地方の直売所で、20数年前から野生のマイタケ、ヒラタケを売ってきた男性は、「9~10月の2カ月間で200~250万円稼いできたのに、これじゃ家族も養えない」とボヤいていました。
しかし一方で、販売禁止のチチタケを栃木県へ流していたケースも多かったのです。
実は、宴席で会った男性も、禁を破った一人です。
チチタケは9月初旬にシーズンがほぼ終わりますが、原発事故が起きた年、中通りの棚倉町、浜通りのいわき市で採取したものから、それぞれ1万3900ベクレル、6200ベクレルのセシウムが検出されています。
セシウム汚染濃度が高いため、国は、県内全域のイノシシ肉に対して、出荷停止を指示していますが、イノシシが内部被曝を起こすのは、野生キノコを旺盛に食べるのが大きな原因とされています。
チチタケはシーズン到来が最も早いことから、イノシシにとって絶好のエサとなります。
そして、栃木県民にとっても待ち遠しいキノコなのです。
なぜ、汚染チチタケが栃木県へ流れるのでしょうか。原発事故後も流し続けてきた先の男性はこう言います。
「栃木県では、ウドンの本格的なダシ作りにはチチタケが欠かせないという。普段は野菜を扱っている卸業者が栃木県からわざわざ引き取りに来てくれる。福島県内で売れば、1kg当たり2000~3000円だが、その業者は1万円も出してくれる。どうやら、それが相場で、それでも『しっかり儲かる』と言っている。後ろめたさがあるのか、積んだキノコが外から見えないようにスモークガラスのワゴン車で引き取りに来る」
男性が売るチチタケは、「一度もセシウム検査をしたことがない」が、業者もそれを承知で買い取っていると言います。
「ダシを取るだけだから大きさ、形は関係ない。形が崩れたものでも同じ値段で引き取るから、どんどん採ってくれ」と業者から言われ、原発事故が起きた一昨年は、チチタケだけで売り上げが約170万円。昨年はぎりぎり200万円に達し、「今年は8月末までに250万円に届いた」と、悪びれずに話します。
■競争相手が減って「助かる」
売値は1kg1万円ですから、採取量は250kgになりますが、それだけの量をどこで採るのか、聞いてみました。
「キノコ狩りは父親に連れられて中学生の時からやっているから、40年以上のキャリアがある。どのキノコがどの山にあるか、頭にちゃんと入っているので、中通り、浜通りの全域を回る。高濃度のセシウムが出た棚倉町のチチタケも売り渡した。キノコのシーズンが来ると、本業の野菜作りはほとんど女房任せにして、朝早くから山ばかり歩いている。そのほうが収入は上がるから女房も喜ぶし、暇ができたときは女房も一緒に山に入る。春の山菜と同じで、競争相手が減っているので助かっている」
セシウムが凝縮されたダシ汁でウドンを食べる栃木県民が気の毒でなりませんが、男性が売っているのはチチタケだけに限りません。チチタケのシーズンが終わりかけたころ、白っぽい笹シメジが採れるので、これを「1kg1500~2000円で売る」と言います。
これも数千ベクレルという高濃度汚染のものが各地で見つかっています。
「笹シメジは、ヤブシメジ、シロケシメジモドキとかいわれ、藪の中や杉林に生えている。杉林は放射線量が高いことはわかっているが、『あくまで換金商品』と割り切って売っている。売り先はチチタケと同じ業者で、これは栃木県だけでなく『関東全域に流している』と聞いている。香りはほとんどないが、シャリシャリした食感が好まれ、茹でて大根おろしで食べるか、ナスと炒めて醤油味で食べるのが一般的だね」
■全国へ、炊き込みご飯の具に
男性は、県内ではマツタケ以上の”キノコの王様”といわれる黒っぽいシシタケも売っています。まもなくシーズンがやってきます。
シシタケは特にイノシシの大好物なので、イノシシの内部被曝をさらに加速させています。シシタケは、香りが良いため、他のキノコと混ぜて炊き込みご飯の具に加工され、「全国に流通する」そうです。
人間に無害のはずはありませんが、キノコ複数種を混ぜ合わせた加工品ゆえ、産地表示で福島の県名が出ることはありません。
野生キノコだけでなく、県内産の栽培栗が、栗の産地で有名な茨城県産として流通しているのですから、消費者を愚弄するのも「いい加減にしろ!」と大声で叫びたくなります。
----------ここまで----------食品と暮らしの安全2013.10 No294より(定期購読をオススメいたします。)
誰が悪いのでしょう。
原因は、放射性物質を垂れ流している東電にありますが、そんな危険な原発に対して無関心過ぎた国民が悪いのだろうなぁと、私は思っています。
事故がなければ、原発の危険性を全く気にしなかった国民が大多数でしょう。
トリチウムも、常に原発から放出されています。原発をやっている側には常識でも、普通の国民は知らなかったことでした。そんなことがたくさん・・・。
無知は罪、最近はそう思います。