2022年07月23日

札幌エルプラザ 2022.7.3

開会に先立ち元駐日大使のRodowicz(ロドヴィッチ)氏よりメッセージ。
第1部はポーランドのミツキェヴィチ作品『祖霊祭』ヴィリニュス篇第二部の朗読劇。祖霊といわれるとお盆のことかと思うが、しかしスラブ地域信仰に対してキリスト教が緩やかに取り込み、霊を天の国に導くために酒や食べ物を用意する宴。しかし台本には4種類の霊が出現し、いずれも祖霊ではない。なもんで、”亡霊”を祖霊の手前である”死霊”と捕らえてみると、成る程、迷える霊であり、悪しき霊であることが分かる。
役柄にコロスとあるのだが、古代ギリシア劇の合唱隊のこと。歌ミサとして考えると、歌は祈りである。ただ今回の配役では村咲紫音氏一人で担うので、合唱にならない。なかなか難しいことになった。
老人・声・木菟の複数役を落語家の林家とんでん平氏が声色を変えながら演じる。天使役の氏間多伊子氏は衣替えして、その後の娘役のシルヴィア・オレーヤージュ氏と交互に声を出し合う。亡霊役は骸骨の衣装でラファウ・ジェプカ氏。大鴉・鳥たちのコロスを菅原未榮氏が演じた。
ラストの連れ出される喪服の女と亡霊に注目し、独立しての演技として取り上げることに。祭司役は村田譲が務めたが、本来であれば祭司が亡霊を導くのだろうが、この喪服の女は亡霊を祭る子孫かなにかであるのだろうか、ミツキェヴィチのストーリーは重複性の高いものなのかもしれないと思ったり。
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第2部「希求・日本」。霜田千代麿氏が「ジェラゾヴァ・ヴォーラの空」など若松丈太郎作品三篇を独特の響きで部屋に広げる。菅原未榮氏は自作詩「アムールへ」の大地を披露する。氏間多伊子氏は、太宰治作品「待つ」を時代背景に合わせた服装で登場した。
第3部「希求・ポーランド」。佐藤レミリアちゃんが、ユリアン・トゥヴィム作品「メガネ」を読む、さてさてメガネはどこにある? 思った通りのところですよ(笑)。ミハウ・マズル氏の読んだユリアン・トゥヴィム作品「平凡な人へ」は、かなり政治批判的な内容を含んでいる。
レナタ・シャレック氏がズザンナ・ギンチャンカ作品「私の何もかもが死ぬわけではない」を紹介する、部屋に残ったものと自分の通夜と。ラファウ・ジェプカ氏がマリア・コノプニツカ作品「お騒がせのステファン君」を、野獣と戦っていたと思えばどうもホラ吹き? お騒がせのボーヤ。いずれも日本語字幕が用意されていて、助かりました。
その後「Dzieje hymnu polskiego ポーランド国歌の歴史」をビデオ鑑賞。「ドンブロフスキのマズルカ」は、第3次分割によってポーランドが領土を失い、1797年にドンブロフスキ将軍がイタリアで率いた亡命ポーランド人部隊の軍歌として作詞されたもの。ナポレオンと手を組み、北イタリアでイタリア・ポーランド軍団を編成・指揮し、1807年にワルシャワ公国として復活するのだ。であるので自国以外の人物名が出てくるちょっと変わった国歌であり、興味深い。


M0814gliding_flight at 19:03│コメント(0)朗読・ポエトリーリーディング │

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