2012年03月16日

●ニューヨーク訪問記 (3/4) 英語社会での日本人の発言力

 NYについてから思い付き30年振りの女性(Wさん)に合うことにした。アポはfacebook でとった。

 30年ほど昔、業界雑誌『宣伝会議』の企画でこういうのがあった。広告業界を目指す学生の参考になればと、模擬面接を男女何人かの学生に行ない、この質疑応答を誌上で再現し、さらに各学生に個別のコメントをする、というものだった。

 企画は当時の編集長の加藤瞭次氏。電通、博報堂と外資系代表としてJ.W.トンプソンから人事担当者が出席、架空の広告代理店を構成、面接官の役を果たした。私はトンプソンの人事部長として出席した。

 その時の学生の1人がWさんで、3人の面接官が、試験を受けなくても自社にぜひ来て欲しいと太鼓判を押した。

 前置きが長くなったが、そのWさん、今はNYのコロンビア大学の1部門で英語を学ぶ日本人のサポートに携わっている。

 話で出たのが、英語をNYで学ぶ日本人の一番の弱点は、英語を話せても、外国人と対等に渡り合える思考形態が出来上がっていない、ということだという。日本人は情念的な人種なので、論理的な外国人を説得したり論破する事がなかなかできない。これは私も前々から感じてきた。

 外資系企業にいたり、留学の経験があり、英会話も上手いが、なぜか外国人への説得に欠ける人は多い。自分が英語に習熟するにつれ、英語は発音や慣れも必要だが、何分にも相手を説得したり、論破する技量は別物だと気づくようになってきた。

 日本人は相手の考えにも、ひとまず同調するお人よしがあり、「それは違う!because 何々」と論破する事はまずしない。だから外国人も日本人は一体何を考えているかわからない、とよく言われる。

 彼女のポイントはおそらくそこであろう。この度、4日滞在した友人H氏とも同様な事を熱っぽく話した。彼の地の幼稚園では「Like and Tell」という遊戯というか訓練があるという。

 これは園児に「わたしはこれが好きでーす」と適当なものを手で上げさせ「Because 何々」と言わせるそうだ。そんな事を子供のころからしている連中には、よっぽど努力しないと勝てないだろう。

 「黒を白と言いくるめる」程の迫力が外国人にはあるとH氏はいう。北方問題のロシア、慰安婦問題、竹島問題の韓国、領海侵犯の中国、日本では軽自動車をなくせという米国、そういえばみんな、「黒を白と言いくるめる」程の迫力で迫る。

 日本人のように大人しい羊では、いつまでたっても自国に有利な交渉はできまい。
 

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