2012年11月10日

●万里の長城遭難 責任は参加者にも

 中国の万里の長城付近でパック旅行の日本人参加者が遭難し、3人が亡くなった。ご冥福を祈りたい。
 しかし、逝去された方に鞭打つようで誠に忍びがたいことだが、その責任は参加者にもある。
 
 その理由は、以下のとおり。

1)過去に北海道のトムラウシ山で8名の死亡者を出した前科がある旅行社の企画に参加した。避けるべきだろう。

2)遭難現場は北緯40度(秋田県、岩手県レベル)、標高1000mと報道されている。時期は晩秋、しかも変化の激しい大陸性気候だ。これはまず冬山登山という認識が必要だ。

 とすれば、たとえ晴天でも万一の天候急変に備えて完璧な冬山装備と非常食持参で行くのは当たり前。薄物のフリースや全員で一人用の簡易テント一張りだけというのは言語道断、自殺行為だ。旅行社の準備品の指示も悪いが、無配慮の参加者も良くない。

3)私はかねがね登山用のパック旅行は、あるべきではないと思っている。参加者は遠方から高額な参加費を払ってきているので、天候等条件の急変でも「引き返す」という決断がパーティとしてしにくい。「せっかく来たのだから」という参加費惜しさに、計画を強行せざるを得ないことが多いだろう。トムラウシ遭難がまさにそうだった。

 登山は、気心が知れ、経験のあるリーダーと行くべきだ。そうすれば、実行当日まで天気予報に注意し、いざという時には、その朝、中止という決断も下せる。私もリーダーとしてそうした無念の決断は何回もしている。

 登山は、物見遊山の観光ではなく、一歩間違えば命に関わる危険と隣り合わせのスポーツということを忘れてはいけない。登山歴52年、遭難もしそこなった経験から、そう思う。

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