自他のグナワを計らずに如何に飲み込めるか (鼓動)④からの続き

少し話しをマーレム・アブデルマジッドに出会う前の日に戻します。

この街には夜中遅くに着いたので余裕がなく選んだホテル・タルダント。近くにWi-Fiが使えるカフェがあり、なおかつ人と待ち合わせするには中心地が都合良いと思ったのであまり煌びやかではないのですがここを選びました。でもお湯はちゃんと出て水不足とは何ぞや?のごとく一旦シャワーを使うとどんなに右にひねっても丸一日中お湯がシトシトと出続けるという大サービスな部屋でした。

ジャマ・エル・フナのミニチュアと言われたアサラグ広場の真ん前にあるので毎朝、ファジル(夜明け前のお祈り)のアザーンが爆音で聞えるので目覚ましは一切要りませんでした(、、、慣れるまでは)。慣れたら普通にファジルですら寝過ごしそうになるようになってました。

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(ホテルの中庭)

取りあえず連絡先はおろか、3人の名前しか知らない状態でタルダント入りしたのですがこのままではいかんと焦り、急遽東京在住でタルダント出身のグナウィであるムスタファにメール。彼がさっさとミルードというスークでバブーシュ屋さんを営む方に連絡をとってくれました。

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街の規模とタイミングの魔法が手伝って何も苦労もなくミルードとはばったり会う。彼に色々と事情を説明したら”スークで石細工売っているラルビという人が多分マジッドと繋がっているので彼にきいてみよう”という話に。

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(パンを焼いている窯とそれに使う木。毎日美味しいパンを食べれて幸せでした)

後日、時期を改めてスーク内のラルビの店へいきました。このスークというのは大きな街だと相当難しいけど脳みそをフルに使えば道順はなんとか覚えられるものですね、、、まだ。

このラルビ氏もまたグナワ奏者です。前回の記事でも書きましたがグナワは多種多様でも皆、アッラーと預言者、ビラール、そして数々のジンや精霊や聖者に導かれてその道を歩み続けるグナワに変わらない。色々な状態のグナウィがいても皆、兄弟としての認識があって心のどこかで繋がっています。歌、踊り、過去への敬意、笑い、祈り、色気。何時でもゲンブリが歌い出すと皆、時を忘れて違いを超えて一つの生命体のように動きだせるジャンルというか”道”ですね。グナワ道。

ラルビ氏は可愛らしい石細工を静かに自分の店内で作っており、店の隅にはものすごく簡易的に作られたゲンブリがありました。壁にはグナワのシャシーヤ帽子とタカラ貝で装飾が施されたグナワ特有の肩掛けのたすきも飾ってありました。

とても静かでゆっくりとしたラルビ氏ですが紹介されるや否や、そのガチャガチャとした店の奥の棚から色々と掘り返してはミントティーを火にかけて用意してくれました。一見くたびれた水の容器(ネコの右側)と既に利用されているコップだろうと、こういうところで飲むミントティーはおもてなしの気持ちが入っててとても美味しい。

そこに置いてあるゲンブリを私が弾くとそれはそれは嬉しそうにして膝を叩き、静かに伴奏をしてくれました。なんと説明して良いかわからないけど彼のような”グナワ奏者”にも会えて良かったです。ミルードが紹介してくれたこのラルビ氏の店でこそ、ムーレイ・イブラヒームでの大きなイベントを終えてタルダントに帰ってきたばかりのアブデルマジッドさんと出会えた訳ですから。

(ラルビ氏とその店内。とても良い雰囲気でずっと座ってられるような店でした)

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