野原から

自然の中に生きる野鳥を自然のままに・・・。

スズメのお宿の謎

  スズメは秋冬には群れを作り、道端の灌木などだいたい決まった場所を塒としています。

 早いと13時半くらいにすでに塒の木に集まり始めていることもあり「もう寝る準備?ほんとに寝る気でここに集まってるの?」と疑問がわきます。その時間から日没までずっと観察すればその疑問の答えは出るのですが、根気もないし、忙しくてゆっくり観察する時間も無いしで、いまだ疑問のままです。

 ほかにも、スズメのお宿で謎に思っていることがいくつかあります。
それは塒入りした時、騒々しいくらいのおしゃべりをしますが、あれは何を話合っているのでしょうかね?というのがまず一つの謎です。
 塒の灌木は常緑樹で枝が込み合っている樹種が好まれているようで、うちの近所の、最近観察しているスズメのお宿はキンモクセイです。そのような、住宅周りで「目隠し」の役目も担っているような常緑樹ならばスズメのお宿になりうると思います。なるほどその中ならば猫も近づけない、カラスもとまりにくい、そういう安全な木、安心感のある木を選んでいるのだろうと思います。
しかし、外敵から身を守るという意味では、「騒々しいおしゃべりはまずいんじゃないの?」と私は思ってしまいます。「私らはここにいます!」と世間にバレバレになります。塒入りしたらすぐ静かにして寝てしまうほうが外敵に気が付かれにくいのになぁと私は思います。しかし、ムクドリもそうですが、塒入り後にものすごいおしゃべりをするのは毎日のルーチンなので、おそらく彼らにとっては必要な、なにか意味があるんだろうと思います。
 セキセイインコは群れの中でも鳴き声のオリジナリティで配偶者を確認している、という話を聞いたことがあります。スズメもムクドリも塒入り後に「はーい!中村家はこっちだよ!中村さんいませんか?、中村さんはこっちの枝に集まってください!」というように家族を呼び合っている、あるいは配偶者を確認し合ってる、そういう可能性もあるかもなぁと思います。

 そしてもう一つの謎は、その騒々しいおしゃべりが突然ピタッと止まることがありますが、何を合図に鳴き止んでいるのか?が謎なのです。人が近づいてきたときなど、危険を察知して鳴き止んでいるのだろうと思うのですが、何度も聞いても鳴き止むときの「shut up!」にあたるようなアラート声が聞こえないのです。
 シジュウカラなどは幼鳥に対して親が「シーーッ!」と危険を知らせると幼鳥がピタッと鳴き止んで静かになることがあります。これはシジュウカラ親が「Shut up!」と言っているのがよくわかります。

 群れの機能としては、目の数が多いから危険を察知しやすい、ということが言われています。それは、全員が同時に危険を察知するのではなく、危険を察知した個体がなんらかの合図で仲間に危険を知らせているという事だと思いますが、スズメはその合図がほんとに聞こえないのです。
灌木の中で、オーケストラの指揮者みたいなスズメがいて、声ではなく指揮棒(タクト)を振って鳴き止むタイミングを皆に合図しているか?という想像さえしてしまいます。
いま観察しているスズメのお宿は地元のスーパーの駐車場の片隅にあるキンモクセイなので、車を直近に停車して、窓を開けてスズメの声をきくことができます。同時に録音もしているのですが、今年1つだけ「もしかして、これが『shut up!』なのか?」という声が録れました。


Suzumenooyadoのコピー




↑この録音の14秒目あたり、鳴き止む前に「チュイチュイ」というような声が聞こえます。
これが「shut up!」なのか?
鳴き止むときに毎回この声があれば確信できるのですが、合図っぽい声がまったく無いままピタッと鳴き止むことのほうが多いです。


3重にうれしい東京都初記録としてのセグロカッコウ

2017年と2018年に、私は東京都の山間部に25台のタイマーレコーダーを設置して夜に鳴く鳥の声を録音調査しました。
そのときの調査論文はこちら

 このとき調査の対象としたのはフクロウ類、ミゾゴイ、ヨタカなどでしたが、それ以外の種でもいくつかの種の声が深夜に録音さました。それはアカショウビン、ヤイロチョウ、セグロカッコウと、かなりの珍鳥たちでした。野鳥観察をしている人だったらいつか見てみたい、叶うなら写真撮ってみたいと思うような鳥たちです。これらの鳥が「春の渡りの時期には‘’深夜に鳴くこともある」ということがわかったことも、この録音調査の成果の一つだと思います。
 

あきる野市と青梅市の2か所で記録されたセグロカッコウの声


↑2018年5月26日 あきる野市での録音


↑2018年5月27日 青梅市での録音

 この録音調査は松田道生さんに研究顧問になっていただいて実施したものです。
 2016年の暮か2017年の年初のころだったと思いますが、とうきゅう環境財団さんから研究助成金の決定通知が届き、喜んで急いで松田道生さんに電話したのをついこの間の出来事のように覚えています。そして松田道生さんから実は癌に罹患していることを初めて聞かされたのもその電話ででした。

 録音されたデータをチェックしていく作業の中、セグロカッコウの声を見つけて、すぐに松田道生さんに報告したところ、松田さんも大変喜ばれて、そして『録音でも正式な記録として認められるようになった第一号がセグロカッコウで、鳥取の中学生が裏山で鳴いているセグロカッコウの声を録音し、蒲谷先生がそれをセグロカッコウだと認定して日本初記録となった』というエピソードを話してくれました。 加えて『それ以前は剥製標本が無いと日本記録として認められない時代もあった。しかし確実にそれとわかる写真や録音があれば、日本の記録として認めて良いはず、となってきたのが高野伸二さんや蒲谷鶴彦さんの時代から」とも教えていただきました。

 あれから月日が経ち、松田道生さんも亡くなられて、くしくも「松田さんを偲ぶ会」の時に野鳥の会東京代表の大塚 豊さんから『鈴木さん、セグロカッコウの記録がまだ東京にはないので、鈴木さんの録音を東京初記録として扱わせてください』と言われまして「そうなんだ!」と驚きとともに嬉しく思いました。
 今月発行された野鳥の会東京の『ユリカモメ』に、私の録音が東京初記録として紹介されました。

 鳥取の中学生がセグロカッコウを録音して「日本初記録」となったのが1978年。そのちょうど40年後に私が録音したものが「東京初記録」となったわけです。
 録音する者として、自分の録音が記録になったことがまず嬉しいことです。 そしてさらに、録音でも正式記録となった第一号のセグロカッコウで自分も記録者になったという奇遇も、嬉しいことです。
 それから『ユリカモメ』には『本調査では、故松田道生氏の指導により、25台の録音機材を使用』という風に紹介されました。最初で最後になってしまいましたが松田道生さんと共同で取り組めた調査から記録が出たことも嬉しく、3重の嬉しさを感じているところです。

ガチャガチャ

 毎年お盆を過ぎたあたりになると「今年も鳴いているのか?」と気になって、ガチャガチャを聞きに行きます。

 ガチャガチャと言えば、私にとってはクツワムシなのですが、一般的にはカプセルに入ったおもちゃを買う機械のことになるようですね。

 今年2025年の夏も元気よく鳴いていました。


↑普通の距離での聞こえ方


↑レコーダーをクツワムシに近づけての録音(あまりの爆音だったのでレベルを下げました)。
バッタの仲間は人の気配を感じただけで鳴き止んだり、ぴょんと飛んで逃げて行ったりすることが多いですが、クツワムシはけっこう鈍感で近づいて行っても鳴き続けることが多いです。体が大きいし長い距離を飛ぶのは不得意そうです。もしかすると、それが生息地を拡大しづらいことにつながっているのかもしれませんね。

 クツワムシもクズなど豆科の植物が好きだとネットには解説がありますが、この場所に今年はクズが見当たりませんでした。それから、近くの河川にはカンタンが多くいた場所があるのですが、そちらもクズがまったく無くなってしまい、去年までけっこう何匹も鳴いていたのに、今年は1個体の声を聞いたのみでした。
 クツワムシはクズが減っても個体数は維持している印象。カンタンはクズの量に比例して激減した印象でした。
 ここ数年、クズクビボソハムシという外来種が急増していて、これが大群でクズを食べると葉脈だけが残ってレース状になり、そういう葉を良く見かけるようになりました。外来種が繁栄することで貴重なクツワムシやカンタンが抑圧されてしまうのは嫌だなぁと思います。
 クズはどんどん広がる植物なので、公園管理者や河川管理者が抑制する植物でもあります。しかしクツワムシやカンタンがいる場合にはクズを絶やさないようにしてほしいと思いました。



  

カンタンな話

 昆虫のカンタンといえばクズが食草で川沿いの草地で鳴いているイメージですが、東京の住宅街の中にある農地の片隅で鳴いていていることもあります。
 「えっ?こんなことろにカンタン?」と、驚くのですが、間違いなくカンタンだとおもいます。
 去年も今年も聞きました。




↑2025/08/18 西東京市の住宅街の中の農地で鳴いていたカンタン

 鳴いていた農地は柿の苗木がやや過密に植えられていて、下草は帰化植物のヒメムカシヨモギでした。その場所にも、その付近にもクズは見当たらず、私は「クズが無くてカンタンは大丈夫なのだろうか?」と思いました。

 帰宅してからネットでカンタンについて調べてみると、食草はクズ、ヨモギ、ススキ、カナムグラとあり、草のほかにアブラムシなど肉食もするので雑食性、となっていました。

 今日声を聞いた場所には上記の食草は見あたりませんでしたが、もしかしてヒメムカシヨモギでもヨモギの代用品となり得るのかな?と思いました。名前はどちらもヨモギが付きますが姿は似ても似つかないものです。しかし、さらに調べてみると、どちらもキク科でした。そして、カンタンがヒメムカシヨモギの花や種を食べている画像と解説もありました。ほかにもメマツヨイグサの花粉を食べている画像もありました。
 クズが無くても「簡単に死んでたまるか!」と、けっこう色々食べるようです。

 それにしても、ですが、カンタンの声は美しいので「鳴く虫の女王」と呼ばれているようです。 でも鳴くのは雄ですよね?、雄なのに『女王』と呼ばれることを本人はどう思っているのだろうか?と思います。
 「鳴く虫の王様」で良いのではないか?と私は思いますが、なぜ、あえて「女王」と呼ぶのでしょうか?。さっぱりわかりません。ムツカシイ話です。



フクロウ雄の警戒・威嚇鳴き

 もう10年以上前ですが、あきる野市のお寺の裏の雑木林でこの声を聞いたことがあります。
 その時はまだ、何の声だか判っていなくて「なんだろう?けものの声かな?」など考えながら声のする方向に双眼鏡を向けて声の主を探していました。そうしたら背後で「パチン」「パチン」という音がするので振り返ると、遊歩道の手すの上に何とフクロウの雛がいました。私の背後1メートルくらいの至近距離でした。私は驚いて20メートルくらい離れました。
 最初に聞いていたのはフクロウ雄が雛に対して「気をつけろ」と警戒させる意味か、あるいは「雛に近づくな!」と私に対して威嚇した声だったのだろうと思います。
 しばらくして声の主であるフクロウ成鳥も双眼鏡で発見しました。その時は雄なのか雌なのか?わかりませんでした。

 数年後のタイマー録音に、そのときと同じ声が入っていました。


005_180523_1900A0 (BaltanAlartGorosukeEdit)のコピー



↑ フクロウ雄が餌を持ってきたときや、交尾前に雌に対して鳴くバルタン星人のような声から始まり、普通のゴロスケホッホのあとに「警戒・威嚇鳴き」があります。
 警戒威嚇鳴きだけ聞きたい場合は40秒あたりから聞いてください。
 この録音を聞く限り、この威嚇鳴きは雄が発声しているものと思います。ただし、タイマー録音なのでリップシンクロを確認しているわけではありません。「バルタン星人鳴き」や「ゴロスケホッホ」は間違いなく雄ですが、近くに雌がいて威嚇鳴きだけは雌が発しているという可能性も完全否定はできません。でもたぶん雄だろうと思います。



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