野原から

自然の中に生きる野鳥を自然のままに・・・。

2017年08月

フクロウ雌のゴロスケホッホと交尾の声 その2(内容訂正あり)

いままでオオコノハズク、アオバズク、フクロウの「キュリリリ」という声を録音できていましたが、交尾の声なのか?餌渡しなのか?などと考えつつも、タイマー録音による録音ゆえに、確信が持てていませんでした。

先日オオコノハズクとアオバズクの『キュリリリ』 という記事を書き、その記事に東京のYさんから「キュリリリの声は交尾時に聞くことができます」とコメントをいただきました。
その後Yさんとメールのやりとりをした後、先週末にはYさんと会うこともできました。

Yさんは東京の山間部でフクロウ類や猛禽類を調査研究されている方で、観察と録音を積み重ねていられます。
野鳥の声については(とくに夜間に鳴く鳥の声については)数々の謎がありますが、先に観察をされた方の観察経験を教えていただけるのは大変ありがたく、そういった観察経験や録音を相互に報告することで、次のステップへと進めるように思います。
いままでもこのブログを通じて新潟のFさん、栃木のAさんなど、生態と声の記録をされている方と出会うことができ、観察の記録、方法、意欲など、勉強させていただきながら、ときに襟をただし、また意欲が湧いてきて、感謝しています。

そして、本題のフクロウの交尾の声ですが、きのうフクロウの「キュリリリ」の発声が2重になっているのを見つけて「雌雄の2羽がこの声を出しているのか?」と、新発見した気分で、勢い込んでブログにアップしました

しかし、Yさんから連絡いただき、Yさんが過去に録音されたフクロウの「キュリリリ」には、キュリリリの発声とかぶって「ホッホッホッホ」の発声があるとのことでした。
さっそく聞かせていき、スペクトログラム表示も確認しましたが、たしかに「キュリリリ」は1羽で、もう1羽は「ホッホッホッホ」を続けているようです。

そうして自分の録音を再考してみますと、高音の「キュリリリ」という発声は2重に発声されているのは間違い無いと思いますが、2羽では無く、1羽が2重発声しているようだと思いました。
同じ音源を何度も聞き返しました。昨日は「これは2羽に違いない!」と感じていたのですが、今日はあっさり「いや、これは1羽だな」と感じます。

思いこむ力って怖いなと思います。

ということで、私のブログには、とくにタイマー録音の記録からの記述には、立証とは程遠い内容のものも散らばっていますので、読む時はぜひ半信半疑で読んでいただければと思います。
でも、野鳥の声にまつわる「あーでもない、こーでもない」という話題は、面白いので、今後も懲りずに続けたいと思っています。



フクロウ雌のゴロスケホッホと交尾の声

夏休みが終わって、今日から仕事です・・・。
この夏休みは天気が悪くて野鳥観察にはほとんど出かけられずでしたが、そのかわり調査で収集した膨大な録音データを片っ端からチェックする毎日でしたので、毎日野鳥観察している気分でもありました。

東京都山間部の録音で、フクロウの声は非常に多くの場所で録音され、ほんとうに「多い!」という印象でした。
しかしほとんどが雄の「ゴロスケホッホ」で、雌のしゃがれ声の「ゴロスケホッホ」はほとんど入りませんでした。

今回アップする音源は東京都調査のものでは無く、3月に他県でおこなったタイマー録音です。

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20170304Fukurou
↑3月4日
この場所のフクロウ雌は、じつに良く「ゴロスケホッホ」と鳴く雌で、ほぼ毎日録音されています。
それはこの雌の個性なのか?それとも巣に近い場所にタイマー録音を設置すれば、他の雌も頻繁にゴロスケホッホと鳴いているのか?はわかりません。

同じ雌のしゃがれたゴロスケホッホでも、雄の縄張り宣言に加勢しているようなときは比較的声量も大きいのですが、雌雄のコミニュケーションで鳴いているときのゴロスケホッホは、わりと小さい声のように思います。

上記は雌が小声の「ゴロスケホッホ」で、雄も小声の「ホッホッホッホッホッ」です。
雌雄が接近して、交尾でもするのか?という感じですが、高音の「キュリリリリ」は録音に入っていません。

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20170330Fukurou
↑3月30日
同じ場所のフクロウですが、雌雄接近の声のあと、最後」(1分14秒め)に「キュリリリが入っています。
「キュリリリ」の部分を何度も再生して聴いてみると、1羽では無く、どうも2羽ともが発声しているように聞こえます。

この録音の「キュリリリ」の部分をコピペで5回繰り返したのが下記のファイルです。

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20170330Fukurou02
↑若干時間がずれて、2羽が鳴いているようだとおもうのですが、どうでしょうか?

次の記事に内容の訂正があります。
フクロウ雌のゴロスケホッホと交尾の声その2



トラツグミは何羽いるのか?その2

先日、録音データの中にあった高中低の3つの音程で鳴くトラツグミの声、これをスペクトログラム表示してみると、発声が重なっている部分を見つけ、確実に2羽いると確信できて『トラツグミは何羽いるのか?』という記事を書きました。

しかし、これだけでは誤解を招くので、追加記事を書きます。

トラツグミの鳴き声は場面によって、ずっと同じ音程で鳴いていることもあります。

低い方の1600~2000Hzの声だけで長時間鳴いているときもあれば、中音程の3000Hz前後の声だけで長時間鳴いているときもあります。

最高音程の5500~6000Hzの声だけで鳴き続けた録音結果は今までに無いです。

この音程を変えずに鳴いているケースは、おそらく1個体が鳴いているのだろうと想像しています。
リップシンクロを確認したわけでは無いので、もちろん2羽が交互に同音程で鳴く、という可能性も無きにしもあらずですが、一声と一声の間隔がきれいに均等で、発声間隔が短くなったり、長くなったりしないですし、もちろん発声が重なる部分も無いので、まぁ1個体が鳴いていると考えて良いだろうと思います。

問題なのが、中音程と低音程の2つの音程で鳴いている場合です。

先日の記事のように発声間隔も微妙にずれるし、発声が重なっている部分があれば2羽いると確信できますが、どう聞いても1羽が鳴いているように感じられるケースもあります。
以下の録音がそうです。

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20170414toratugumi20003000

↑クリックで拡大できます。
スペクトログラム表示を見るとわかるように、基本2000Hz弱の声で鳴いていて、時々3000Hzの声になるのですが、3000の声が出ているときは2000の声は抜けます。
この状態で長ーく続くのですが、一度として声が重なることはありません。

もし2羽が交互に鳴いているのだったら、思わず声が重なってしまうことがあるだろうと思うのです。

ということで、音程2種類(中と低)が聞こえても、2羽いて鳴き交わしているわけではない、と思います。
先日の記事の録音はたまたまま2羽が鳴きあっている場面だった、ということです。

結局、場面によって違うということなのだろうと思います。

今年は現地で何度もトラツグミの生声を聞きましたが、そのときは「あ、トラツグミだ」と思う程度で、このような「何羽いる?」という問題を意識しないで聞いていました。
今後はもっと注意しようと思っています。

春先は深夜も鳴くヤブサメ

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20170616Yabusame
↑一般的なヤブサメのさえずり
7000Hzくらいから始まって尻上がりに10000Hzくらいまで音程が上がり、1回のさえずりは4.5秒くらいです。録音は6月16日のものです。

繁殖期間中はこの鳴き方で、だいたい日の出の30~40分前に1~2回だけ鳴き、その後しばらく鳴かなくなり、日の出後にヒヨドリやオオルリなど他の鳥も盛んに鳴く時間帯になるとまた鳴きだして、何度も何度も繰り返して鳴くというパターンが5~6月には多いです。

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20170417YabusameSpring
↑春先だけはこのように尻上がりにならず「ジジジジジジジ」と、ずっと同じ音程で鳴きます。1回の発声は10秒くらいから、長いときは30秒以上続きます。
録音は4月17日の日の出後、ガビチョウなども盛んに鳴いている時間帯です。

このヤブサメの早春鳴きについては松田道生さんのブログなどで紹介されていたので知っていたのですが、今回レコーダー調査で初めて深夜に早春鳴きするヤブサメの声が録音できました。

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20170419YabusameSpring
↑4月19日、3時に設定したタイマー録音がスタートした時点のヤブサメ早春鳴き。

4月19日の日の出時刻は5時06分ですので、日の出2時間前の真っ暗な中で鳴いていることになります。一晩中鳴いているのか?は判りません。

この録音の声はずっと続いていますが、1羽ではなく、複数個体が同時に鳴いているので、声が途切れない結果となっているのだと思います。

この夜中のヤブサメを生で聞いてみたいものだと思います。
調査用のタイマー録音ですとフォーマットも16bit/44100hzですし、マイクも安価なものですので、あまり音質が良くありません。
この深夜のヤブサメを良い音で録れるZoomH6のほうで録音してみたいです。







トラツグミは何羽いるのか?

タイマーレコーダーでの調査で4月にはトラツグミの声がよく入りました。

トラツグミの声には音程が低中高と3種類あって、1600Hzくらい、2800Hzくらい、5000Hz強、という音程です。

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↑トラツグミの3種類の音程


これを現地で聞いた時には「2羽が鳴き交わしている」と感じたのですが、本当にそうなのか?と思って、まず普通のサイズでスペクトログラムを見ました。以下のようになります。
20170410ToratugumiHighMidLow00
↑クリックで拡大できます。

これを見ると、どの声も全部ずれている、つまり高中低の3種類の声を1羽が鳴いている可能性もあるな、と最初は感じました。
現地で鳴き交わしていると感じたのは錯覚だったのか?と自分の耳を疑いました。

でもスペクトログラムを拡大すると
20170410ToratugumiHighMidLow02
↑クリックで拡大できます。

音が重なっている部分があるので、やはり2羽が鳴いていると確信できました。
良く見ていくと、最高音程の5000Hz超と中音程の2800Hzは重なることが無く、低音程の1600Hzの声は2800Hzや5000Hzと重なっています。

この2羽はおそらく雌雄なのだろうと思いますが、どちらが雄で、どちらが雌か?はDNA鑑定された飼育個体で調べるなどしないと結論は出ないと思います。

トラツグミの声は音程に高低があるので『鳴き交わしている説』と『1羽が鳴いている説』と、二つの説があったそうですが、1羽説を唱えた方は、おそらく上記の5000Hz超と2800Hzの声を出すところを観察したのだろうと思います。







ノイズを生かした音声加工


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001

↑この録音はタイマーレコーダーのすぐ近くで鳴いてくれたヤブサメですが、朝のゴールデンタイムなので、同時にガビチョウやらニワトリやらが激しく鳴いています。

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B001
↑ヤブサメの帯域である7000Hz以上を残し、7000Hz以下はバッサリ切り取ると、こういう感じになります。
これをスピーカーを通して聞くと「まぁまぁ良い感じ」となると思います。なぜなら、聞いている部屋のグラウンド・ノイズとスピーカーから出てくるヤブサメの声をミックスして一緒に聞いているので、違和感が軽減されるのです。
しかし、これをヘッドフォンやイヤフォンで聞くと、この低音が全く無い世界というのは自然界には無いので、なんとなく違和感を感じるだろうと思います。

よくマイクの性能を表すスペックに「周波数特性:80Hz~15kHz」というような数値があると思いますが、これはマイクがどれくらいの範囲の音を拾うのか?という数値です。本当はこの数値だけでは良いマイクかどうかの判断はできないのですが、大雑把に言えば、この数値の幅が広いほど良いマイクであるとも言えます。

上記の加工のように7000Hz以下をバッサリ切ってしまうのは、周波数特性7000Hz~15000Hzという高音だけしか拾わないマイクで録音したのと同じになってしまいます。

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002
↑そこで、同じ日のまだ鳥が何も鳴いていない時間帯の無音(グラウンド・ノイズだけ)の部分を用意します。
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A007
↑そして、このノイズにヤブサメの声の部分だけをコピー、ペーストするとヘッドフォンやイヤフォンで聞いてもより自然な感じに聴こえると思います。
もっとも、これも「深夜のノイズの中でヤブサメが鳴いている」ということになるので、不自然と言えば不自然です。
でも「ヤブサメの声はこういう声」と示すにはノイズを生かした加工をするのもの有効だろうと思います。
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