野原から

自然の中に生きる野鳥を自然のままに・・・。

オオコノハズク

オオコノハズク交尾の「キュリリリ」と交尾ではない「キュリリリ」

過去の図鑑にはオオコノハズクの声について様々な解説があり、混乱していたわけですが、そのうちの一つに、高野伸二さんが書いた『秋にはキューリンと鳴く』というのがあります。

高野伸二さんが書いているのだから、実際にその声を聞いたことがあって書いたのだろうと思いますが、いまとなっては高野伸二さんに直接確かめることはできません。

私は秋にオオコノハズクの録音に成功したことがなく、この『秋にはキューリン』が気になっています。

私は最初にオオコノハズクの交尾の声を聞いたときに、これを高野伸二さんはキューリンと表現したのかな?と思いましたが、交尾の声は繁殖期ですので『秋には』に当てはまらないのです。

もうひとつ、交尾の時以外に「キュリリリ」と鳴くことがあります。

まずは両方を聞いてみてください。

交尾の時のキュリリリ  
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交尾ではないキュリリリ
20170726OokonohaKyuririri

この「交尾ではないキュリリリ」は幼鳥も似た声を出します。井の頭動物園で飼育個体を録音させていただいたときに、飼育係のAさんに「幼鳥はもっと小鳥のような声を出す」と聞き、後日Aさんがスマホで録音した幼鳥の声を聞かせてくれました。それがこの声と同じだったように思います。しかし、この声は幼鳥だけでなく、成鳥も出します。それは下記の録音ですが、飼育個体の録音で、このケージには成鳥の雌雄しか入っていないので、間違いなく成鳥もこの声を出すと言えます。

飼育個体(成鳥)のキュリリリ
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↑「チャン」「チャン」という音はオオコノハズクがケージの中を飛び回って金網につかまる音です。

「高野さん!キューリンはこれですか?」と天国に添付ファイル付きでメールできたらしたいものです・・・

オオコノハズク雄の犬鳴と雌の犬鳴

「ワッホッホッホッ」というようなオオコノハズクの犬鳴、あるいは笑い鳴きとも言われていますが、これは雄が発する声だとされていました。(1981年の樋口 広芳教授、百瀬 浩氏による論文など)

雄が犬鳴きするのは間違いないのですが、それより高音で雌が発する犬鳴もあるようです。

はじめのころ私は「ポッポッポ鳴き」という名称で呼んでいたのですが、録音される頻度は低く(つまり少ない)、雌なのか?雄なのか?それとも両方なのか?もわかりませんでした。

2017年と2018年に録音した膨大なデータの中で、やはり「ポッポッポ鳴き」は雌が発しているだろううとわかる部分がありましたので、アップします。

これは交尾の時の録音です。
交尾の時の録音で多いのは、雄の犬鳴→猫鳴き(雌)→短い木魚鳴き(雌の背中に乗って鳴いている雄の声だと思われる)→交尾声(雄)→猫鳴き(雌)、というパターンが多いのですが、この録音では雌の犬鳴「ポッポッポ」が最初に入っています。
雄の犬鳴(低音)と雌の猫鳴きがかぶっていますし、高音のほうは雌が鳴いている可能性が高いことがわかると思います。

20180513MaleDogFemaleDog



犬鳴は雌雄のコミニュケーションで使われているとおもいますが、外敵に対してモビングするときにも発します。普通の犬鳴は雌雄とも音程が下がっていく鳴き方ですが、威嚇としての犬鳴は、あまり音程が下がらずほぼ一定の音程で鳴きます。
下記は雛の巣立ち時期に飼い猫に対して威嚇している声ですが、高い声は雌、低い声は雄、と考えてほぼ間違いないと思っています。
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オオコノハズク雌雄の威嚇声とウィング・クラップ 追記あり

ご無沙汰しています。
この約1か月半は本当に忙しくて、ブログの更新もできない状態でした。
ここへきて、やっと時間の余裕が少し出てきた感じ、さっそく調査で録音した膨大なデータのチェックを再開しています。
世の中は冬鳥が到来して、日に日に気温も低くなってきていますが、データチェックしているのは鳥の繁殖期なので夏鳥の声を聞きまくっていて、変な感覚です(笑)

今日記事にするのは2年前のタイマー録音で、オオコノハズクの自然繁殖を録音した時のものです。
こちらのレコーダーは夜中の0時から明け方までのタイマー設定したレコーダーで、録音開始時点から1時間ぶっ通しでオオコノハズクの雌雄が連続して『威嚇犬鳴き』をくりかえしていました。

この録音の日は私は観察はしていなくて、タイマーレコーダによる録音のみなのですが、別の日に同じような連続する威嚇を暗視スコープで観察しています。なぜ、このような激しい威嚇が続くのかというと、実はこの場所には飼い猫がいて、幼鳥の巣立ち時期にオオコノハ成鳥は地面にいる猫を排除したいと威嚇しているのです。しかし、この『威嚇犬鳴き』は飼い猫にまったく効果が無く、猫は地面でまったりくつろぐばかり、オオコノハは猫の真上3メートルくらいのところにとまってずっと猫を見ながら威嚇犬鳴きを続けていました。
この日も、おそらくまったく同じシチュエーションなのだろうと思います。

威嚇犬鳴きは普段の犬鳴きと違って、音程があまり下がらないのが特徴です。
「キュッキュッキュ」という『威嚇犬鳴き高音』と「ウォウォウォ」という『威嚇犬鳴き低音』がありますが、高い方が雌で、低い方が雄で間違いないと思います。リップシンクロはとれていませんが(もっともリップシンクロがとれても姿で雌雄識別できませんが)、別の録音で威嚇犬鳴き高音に続いて雌の猫鳴きが始まる、あるいは威嚇犬鳴き高音の間に猫鳴きが入る個所などが多数あります。

そして、この日の録音には、ウィング・クラップが3回入っていました!。威嚇犬鳴き低音と調子が合うので、雄がウィング・クラップをやっているのだろうと思います。これも現場を見ているわけではないのですが、雄の警戒犬鳴きと同調して出るパチッという音が三か所も入っているので、オオコノハが翼で出している音で間違いないだろうと思います。
ウィング・クラップは「パチッ!パチッ!」という高い音で聞こえますが、スペクトログラムを見るとかなり低い音が同時に出ていることがわかります。下の画像の低音部分(底辺のほう)が黒くなっているところがウィング・クラップの場所ですので、目で追いながら録音を聞いてみてください。

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オオコノハズクとアオバズクの『キュリリリ』

夜の鳴き声はリップシンクロを確認しにくいので確証を得るのは容易ではありません。
誤認や誤解釈が起こりやすいというのは、今までの鳥類学でも、今後の鳥類学でも、共通して言えることだろうと思います。

特に私が行っているタイマー録音は、現場にいないで機材任せの方法ですので、そこから野鳥の生態を論じるのはかなり危険であり、学術的な立証まではたどり着けないだろうと思います。

しかし、タイマー録音も毎年毎年おこなって、繁殖全期間を録音するなどして、データを集積していくと、あるていどの推定ができます。
立証にはならないけれどタイマー録音をきっかけにして、仮説やテーマが生まれていくのは、解明への第一歩になるかもしれませんし、とても楽しいことです。

ということで、下記の「キュリリリ鳴き」についての記述は現時点で推定していることですので、将来的には否定されるかもしれません。自分自身でもチャンスがあればフィールドで確認したいテーマです。

オオコノハズクの「キュリリリ」について

オオコノハズクに「キュリリリ・・・」という高音の鳴き方があるのは去年までの動物園飼育ペアの録音と、野生ペアの録音と、両方に録音されたのでオオコノハズクが鳴いているのは間違いないと思います。
このキュリリリは、どんな時に出す声なのか?は謎でしたが、繁殖の全期間を録音してみると、繁殖の前半だけにこの「キュリリリ」があり、多くは雌雄が接近しているときに鳴いています。(キュリリリだけ録音されて前後になにも声が無いケースもまれにあります。)
現在の推定として、キュリリリ鳴きは交尾、疑似交尾、求愛給餌、などのときの声であろうと思っています。

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Ookonoha001
↑上記録音の終わりの部分のスペクトログラム
4月4日の録音です。
キュリリリ鳴きは3分45秒のところにあります。
木魚鳴きは雄、猫鳴きは雌で間違いないと思います。

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Ookonoha02001
↑同じく、録音の後半部分
4月4日の録音です。
キュリリリ鳴きは1分06秒のことろにあります。

アオバズク「ポッポー」の音程について

アオバズクの声は雌雄とも「ポッポー」が基本ですが、繁殖している場所で録音すると、その音程に高低の差があり、私は高い音程(700hz前後)のほうが雄、低い音程(500~600Hz)のほうが雌であろうと推定しています。

飛来直後には高低両方の「ポッポー」デュエットや、「ポー ポー ポー」と一声連続鳴きのデュエットが毎晩録音されます。
その後抱卵期になると、デュエット鳴きはほぼ無くなります。
おそらく雌が抱卵して、明け方の縄張り宣言などは雄だろうと思います。その抱卵期の縄張り宣言は音程が高い方なので、高い方=雄、低い方=雌、と私は推定しています。

アオバズクの「キュリリリ」について

最初はこの声が録音されていると「わっ!!もしかしてオオコノハ!?」とドキドキしていたのですが、その録音地に他のオオコノハズクの声は無く、アオバズクの繁殖地なので、アオバズクもキュリリリと鳴くのだと今年確信しました。
アオバズクのキュリリリも繁殖期前半だけに多くあり、オオコノハのキュリリリと同様に雌雄が接近しているときに多く録音されます。
音程がオオコノハが2500Hzあたりが基音であるのに対して、アオバズクのキュリリリは6000Hzあたりが基音で、より高音です。
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↑上記録音の22秒めにキュリリリがあります。
5月9日の録音です。

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↑上記録音の30秒めにキュリリリがあります。
5月9日の録音です。

過去に「バルタン星人の声」と言う記事で「ピィピィピィピィ」という高音の声をアップしたことがあります。この時もフクロウ雌雄が接近していたので、私はフクロウの高音鳴きだと思いました。その可能性もあるのですが、その場所は同時にアオバズクも繁殖している場所だったので、フクロウ雌雄の鳴き交わしとアオバズクの「キュリリリ」が偶然同時になった、という可能性もあると、今年になって思い始めました。

上記のオオコノハズクとアオバズクは自信がありますが、フクロウのは自信がないです。

それから、コノハズクを観察された経験のある方から「コノハズクもキュリリリという声を出す」と教えていただきました。その方も「おそらく交尾で間違いないと思う」とおっしゃっていました。

過去に自宅マンションの前の公園でツミが繁殖し、数年にわたって観察したことがありました。ツミは飛来してペア成立したあとには、造巣行動をしながら、何度も疑似交尾を繰り返していました。
今回の記事のオオコノハズク、アオバズクのキュリリリも同日に複数回録音されることがあり、その頻度がツミの疑似交尾に似ているなぁと思いました。

ということで、フクロウ類の「キュリリリ」をテーマのひとつとして来年も探求したいと思っています。そして、できれば赤外線撮影でその瞬間を記録したいと思っています。


子どもたちはオオコノハズクの声をどう表すか?

今日は小学4年生11名のクラスで野鳥の授業第三回目でした。

今日は鳴き声をテーマに話したのですが、みんな興味もって真剣に聞いてくれて、とても盛り上がりました。

前にこのブログで「オオコノハズクの声の探求 現時点でのまとめ」という記事を書きましたが、鳴き声をカタカナで擬音表記すると、書き手のセンスと読み手のセンスが食い違うので、それがかえって混乱を招いてきたのかもしれない、という内容を書きました。

それで、今日はオオコノハズクの声について、まったく先入観を持たない小学4年生11名にオオコノハズク3種類の声を聞いてもらって、どう聞こえたか?カタカナで書き表してもらいました。
音源を聞かせる前に「これは正解や不正解があるわけではなくて、みんなの聞こえ方がどれだけ同じか?あるいは、どれだけ違うか?を知りたいだけだから、自分が思った聞こえ方を自由にパッと書いてくれれば良いから」と付け加えました。

以下、聞いてもらった音源と、11名の表記です。
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↑オオコノハズク木魚鳴き
『ドードードードーウ』
『ホーホーホ』
『ヴォウヴォウヴォウヴォウヴォウ』
『ゴーゴーゴー』
『オゥオゥオゥ』
『クンクンクン』
『ヴォウヴォー ヴォウヴォー』
『ボンボンボンボン』
『ウーンウーンウーン』
『ゴィーゴィー』
『ドォードォードォードォー』

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↑オオコノハズク猫鳴き
『アァーオ アァーオ』
『アーオ』
『アーオ』
『オーオ』
『クァーオ クァーオ』
『アーオ』
『クーォ クーオ』
『キャーオ』
『クァ~オ クァ~オ』
『アーウ アーウ』
『アーア』

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↑オオコノハズク犬鳴き
『ウヮッ ウォッ』
『ハンハン』
『ルァフ ロォフ』
『オッオッオッオ』
『ワァッウォッ』
『オッオッオッオ』
『ワゥーワォウー』
『ワンオン』
『ワン、ウォン、ウー』
『ワォッ ウ ゴホッ』
『ヴァン ヴォン』

ちなみに、この学校はシュタイナー教育の手法を取り入れた学校なので、一般の小学校よりもカタカナ名の登場人物が出てくる物語などを多く読んでいるかもしれません。
みんなの表記を見て「こんなカタカナの使い方するんだぁ!」と驚くとともに、一人一人の感覚の違い、個性も素敵に思えました。
そして、ますますオオコノハズクって魅力的だなぁ!とも思いました。

このみんなの表記を歴代の図鑑製作者の諸先生方に読んでもらいたいなぁ・・・(笑)。

次回はそのほかの鳥の聞こえ方編になります!

オオコノハズクの声の探求 現時点でのまとめ

  オオコノハズクの鳴き声は歴代の図鑑に書かれている解説が多種多様であり、どれが正解でどれが間違いなのか?あるいは全部正解なのか?非常に混沌とていました。

コノハズクの声がブッポウソウのものだと長年思われていたのと同じで、夜間に鳴く鳥の声は、鳴いている姿(リップシンクロ)の確認が難しいので、誤認も起こりやすいですし、図鑑で用いられたカタカナ表記を読者がどう読むか?どんな声だと想像するのか?という不確定な要素があるので、混迷に拍車がかかり、オオコノハズクの声は「実際はどんな声なのか?」長く謎な状態が続いてきたのだろうと思います。
今もなお、ミゾゴイの声をオオコノハズクとして投稿されているケースもあります。

以前も記事にしましたが、歴代の図鑑の表記です。

≪歴代の図鑑表記≫
黒田長禮:声の記載なし

内田清之助:夜間ポーッポーッポーッと無気味な声で鳴く

清棲幸保:ポスカス、ポスカス、又はポウ、ポウ、ポウ、ポウと鳴き立てる

宇田川竜男:ワン、ワン、ワン

榎本佳樹:鳴声は頻々鳴かないので充分に研究されてゐないが、低い声でフーフー又はホーホーと鳴いたり、ガサカ、ポスカス等の声も出すようである。

下村兼史:ポスカス、ポスカス、又はポウポウ、ポウポウと聴こえる。(アオバズクのホウホウより高音である)

中西悟堂:低声でヴォウ、ウォウ、ウォウ、ウォウと鳴く。

小林桂助:夕方から夜間にかけホッ、ホッ、ホッ、ホッとだんだん低くなる声でなくが、この声は近くではウォッ、ウォッ、ウォッと聞こえる。

高野伸二:ウォッウォッという声やポッポッポッポッ…という連続音を出す。秋冬にはキューリンという細い声も出して鳴く。

中村登流:ウォウ・ウォウ・ウォウと三連音


≪木魚鳴きの正体を求めて≫
その後2011年あたりから『朝の小鳥』のパーソナリティーである松田道生さんと松田さんの日光のお仲間を中心に『木魚を叩く音に似た声で鳴く鳥がいる』という木魚鳥の探求が始まり、実際に野生個体の声の録音にも成功され、「木魚鳥はオオコノハズクで間違いない」という結論に至りました。
しかし、まだこの時点ではリップシンクロを確認できていませんでした。

その後、2014年の12月に井の頭動物園のオオコノハズクが異例な真冬繁殖をするという話を入手し、私は「これは木魚鳴きを確認できるかもしれない」と思い、閉園ギリギリの時間帯での観察をしたところ、雄が巣箱の巣穴から顔を出して木魚鳴きをするところを確認できました。


↑声が小さいのでヘッドフォンやイヤフォンで聞いてください。

その後、井の頭動物園飼育担当の方や様々な方のご厚意で飼育オオコノハズクと野生オオコノハズの声の録音を重ねることができ、オオコノハズクの声についてある程度分類できるようになってきました。

現時点でわかったことを整理したいと思っています。

《オオコノハズクは複数の声を出す》

その1・・・・木魚鳴き
DNA鑑定で雄と鑑定された井の頭公動物園飼育個体は巣箱に入り、巣穴から顔を出してこの木魚鳴きをします。
野生環境下でも、木魚鳴きが聞こえるのはいつも一定方向からで、これはつまり巣穴から顔を出して雄が鳴いているものと思われますが、野生環境下での視認はまだ私には無く、視認できたとしてもオオコノハズクは見た目での雌雄識別ができないので、今後も動物園でDNA鑑定により雌雄が確定した個体の観察が必要だとおもいます。
雄は確実に木魚鳴きします。
雌は木魚鳴きしないのだろうと思われますが、まだ確証は無いです。

秋にも木魚鳴きがあると聞きますが、野生個体では私はまだ未確認です。
野生繁殖の継続録音では、繁殖に突入すると木魚鳴きは無くなりました。おそらく産卵を機に雌がもっぱら抱卵し巣から出なくなるので、雄が巣に入ることがなくなり、木魚鳴きが無くなるのではないか?と私は想像しています。

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↑飼育個体の木魚鳴き(低音ですのでパソコンのスピーカーでは聞こえないと思います。イヤフォンかヘッドフォンでお聴き下さい)(ガラケーやスマホだと音声の再生ボタンが表示されない場合があります。パソコンで聴いてください)

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↑野生個体の木魚鳴き


その2・・・・猫鳴き
この鳴き声はさえずりというよりは地鳴きに分類されるものだろうと思いますが、野生録音でも最も録音頻度が高く、いろいろなコミニュケーションに使われているのだろうと想像しています。
現在まで「ポーゥ」「ヒャー」「ミャー」「クィー」など様々な表記が用いられてきました。鳴き声の最後の音程が下がることが多く、猫の「ニャー」という声の印象がありますので、『猫鳴き』というのを今後の呼称として統一していったら誤解が少なくなるかと考えています。

猫鳴きにはバリエーションがあって、声を伸ばす長短、音程の尻下がり、尻上がりど、変化に富んでいます。

猫鳴きは1981年の樋口 広芳教授、百瀬 浩氏による論文「日本にすむオオコノハズクの鳴き声について」によると雌雄ともにこの声を発するとなっていて、蒲谷鶴彦先生の『野鳥大鑑』にも佐渡島での繁殖ペアの録音で猫鳴きで鳴き交わす声が収録されています。
しかし、井の頭動物園で猫鳴きを確認できたのは、いまのところいつもDNA鑑定で雌と確定してる個体のみです。
本当に雄も猫鳴きするのか?しないのか?というのも今後の課題です。

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↑飼育個体の猫鳴き

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↑野生個体の猫鳴き

その3・・・・犬鳴き
フクロウやアオバズクも「ワンワン」と表現される鳴き方がありますが、オオコノハズクも「ワンワンワン」があります。あるいは「『オッ ホッ ホッ』と人間の笑い声のよう」と表現されるケースもあるようです。
だんだん音程を下げながら3回
「ワンワンワン」というのが基本ですが、「ワン」1回のときも、2回のときも、4回以上の時もあります。
樋口 広芳教授、百瀬 浩氏による論文によると「雄が巣の近くに戻ってきた時に発する」となっています。野生個体での録音結果でも、この犬鳴きのあとに「キュリリリ」というような声、そして猫鳴きへと続く場面が多くあり、雄が餌を持ってきて雌が受け取っているのではないか?と想像できる録音が多くあります。
しかし、タイマー録音によるものなので、実際見たわけでは無く、想像に過ぎません。
この犬鳴きも今後の観察で雌雄どちらか?あるいは両方か?追及していかなければならない課題です。

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↑飼育個体の犬鳴き(猫鳴きも入っています)(この録音で猫鳴きした個体と犬鳴した個体は、おそらく別個体であろうと思います。)

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↑野生個体の犬鳴き

その4・・・・その他の鳴き声

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↑飼育個体の「キュリリリ」という声(「チャン!」という音はケージ内で飛翔したオオコノハズクがケージの金網につかまる音です)

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↑野生個体の「キュリリリ」という声(その後猫鳴きも入っています)

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↑飼育個体の巣立ち雛の声「シーーッ!」というのがオオコノハズク雛の声、親の猫鳴きと、隣のケージのメジロ、ツミの声も入っています。(友人の録音)

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↑野生個体の巣立ち雛の声(ヒヨドリやウグイスなども鳴く時間帯の録音です。「キュリリ」という声も入っていますが成鳥の声なのか?雛の声なのか?は不明です。「シーーッ!」というのは間違いなく雛の声だと思います。)



≪歴代の図鑑製作者はどの声を聴いていたのか?≫
オオコノハズクの声についてだいぶわかってきた現時点で、もう一度歴代の図鑑をみて、どの声に相当するのか?を考察してみました。
私のようなアマチュアが先生たちの解説を再解説するのはほんとうに恐れ多いのですが、先生方も声の認識が広まることを望まれるだろうとおもいますので、書いてみます。


黒田長禮:声の記載なし

内田清之助:夜間ポーッポーッポーッと無気味な声で鳴く
これは『不気味な声で鳴く』という表現から、私はミゾゴイの声を聴いたのではないか?と想像しています。あくまで想像です。
木魚鳴きであれば『ポ』は使わないだろうし、『ポーッ』と伸ばす表現は使わないと思われます。
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↑ミゾゴイのさえずり

あるいは、猫鳴きを聴いた可能性もあります。猫鳴きも幽霊が出るときの効果音のような、物悲しい、不気味な声、と言えないこともないと思います、しかし、オオコノハズクの猫鳴きは間隔が空き、その間隔も不規則です。ポーッポーッポーッと三回連続で書いているので、猫鳴きではないだろうと思います。
もしかするとアオバズク1声鳴きを聞いた可能性もあります。

ここからTABキー1回Enterキー1回で音声が再生されます

↑アオバズクのペアでの鳴き交わしから1声鳴き
後半の1声で連続する部分だけ聞くとポーッポーッポーッと表現できると思います。

清棲幸保:ポスカス、ポスカス、又はポウ、ポウ、ポウ、ポウと鳴き立てる

この「ポスカス」という表現は木魚鳴きを至近距離で聞くとそう聞こえる(?)可能性もありますが、良くわかりません。私の録音には該当する声はありません。
後半の『ポウ、ポウ、ポウ、ポウと鳴き立てる』と書いてあることからやはり上記のアオバズクの1声鳴きをオオコノハズクだと誤認したのかもしれません。

宇田川竜男:ワン、ワン、ワン
これは間違いなく犬鳴き

榎本佳樹:鳴声は頻々鳴かないので充分に研究されてゐないが、低い声でフーフー又はホーホーと鳴いたり、ガサカ、ポスカス等の声も出すようである。

榎本佳樹氏はご自身では聞いたことが無く見聞や引用であることが判ります。
『ガサカ』もいまのところ該当する録音はありません。

下村兼史:ポスカス、ポスカス、又はポウポウ、ポウポウと聴こえる。(アオバズクのホウホウより高音である)

この下村兼史氏の『アオバズクより高音である』という記述はいままで大きく影響してきたものだと思いますが、木魚鳴きを聴いたのであれば『アオバズクより高音』とは言えないし、猫鳴きであれば『ポウポウ』というような2声連続の表記にはならないだろうから、おそらくアオバズクの声を誤認したのだろうと私は想像しています。
アオバズクの声も至近距離で聞くと、息継ぎ音が聞こえて、印象が変わります。
それからアオバズクの「ポッポー」も個体によって音程にかなり差があります。
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↑至近距離のアオバズク(息継ぎ音が聞こえる)
ここからTABキー1回Enterキー1回で音声が再生されます

↑アオバズクのペアでの鳴き交わしから1声鳴き
前半部分の鳴き交わしで、レコーダーに近い個体は500~600Hzで低い声です。遠い個体は750Hzの高い声です。

実際に私が録音したオオコノハズク野生繁殖の場所でも、オオコノハズクの巣から約20メートルという近い距離にアオバズクの営巣木がありました。
オオコノハズクが繁殖する環境は、同時にアオバズク、フクロウ、ミゾゴイ、これらがすべて同時に生息しているいる環境でした。

中西悟堂:低声でヴォウ、ウォウ、ウォウ、ウォウと鳴く。
これは間違いなく木魚鳴きだろうと思います。

小林桂助:夕方から夜間にかけホッ、ホッ、ホッ、ホッとだんだん低くなる声でなくが、この声は近くではウォッ、ウォッ、ウォッと聞こえる。
これは犬鳴きでまちがいないだろうと思います。
カタカナ表記だと木魚鳴きも犬鳴きも「ウォ」があてはまってしまいます。ですので中西悟堂氏のも小林佳助氏のも「ウォ」を使っていますが、片方は木魚鳴き、片方は犬鳴きの解説だった、と理解できます。

高野伸二:ウォッウォッという声やポッポッポッポッ…という連続音を出す。秋冬にはキューリンという細い声も出して鳴く。
これらの表記は木魚鳴きと猫鳴きの短いパターンと「キュリリリ」についてだろうと思います。
『ポッポッポッポッ』はもしかするとホトトギス雌の声の誤認の可能性もあると最初考えましたが、ホトトギスの「ピピピピピ」は高野伸二さんの図鑑にも書かれているので、ホトトギスの誤認ということはないです。

「キューリン」については『秋冬』と明記されているので、今後の秋冬の録音で「キューリン」に相当する別の声が録音されるかもしれません。いまのところ該当する録音としては「キュリリリ」という声が近いと思います。

中村登流:ウォウ・ウォウ・ウォウと三連音

これは間違いなく犬鳴きです。

《まとめ》
鳴き声を伝えるのに文字を使うしかなかった時代から、録音機器とネットの発達によって実際の声を録音配信して共有することができる時代になりました。
これにより、長く混沌としたオオコノハズクの鳴き声についても理解が進み、今後はオオコノハズクの発見も多くなっていくことだろうと思います。

オオコノハズクの最大の特徴は、声量が小さい、ということです。
ほかのフクロウ類と違い、大きな声で縄張りを宣言することはなく、さえずりである木魚鳴きもほんとうに小さい声ですし、頻度の高い猫鳴きでも頻繁に発声するわけではなく、一晩に数回~十数回の記録がよいところです。
犬鳴きが一番声量が大きく目立つ声ですが、これも一晩に数回です。

「秋にも木魚鳴きする」と聞きますので、今後は秋の録音により確認ができるか?試みていきたいと思っています。それから「キューリン」「ポスカス」「ガサカ」に相当するような別の声もあるかもしれないので、引き続き録音を積み重ねていきたいと思っています。

君がいてくれたら

『君がいてくれたら、それだけで幸せ』
最近野鳥への気持ちを綴れば、ラブソングの歌詞が出来上がるのではないか?と考えています。


ここからTABキー1回Enterキー1回で音声が再生されます

↑オオコノハズク♂野生個体

ここからTABキー1回Enterキー1回で音声が再生されます

↑オオコノハズク、ヨタカ、コノハズク
再生開始と同時にセンターにオオコノハズク、6秒あたりから左にヨタカ、右にコノハズクが同時に鳴きだします。
35秒から45秒あたりの鳥が鳴いていないところにはカジカガエルとタゴガエルの声が聴こえます。

このような自然が残っていることへの感謝
この場所に導いてくれる暖かな人の繋がりへの感謝
幸せと感謝を同時に強く感じる夜でした。

オオコノハズク2種類の声の雌雄判別について

日没前後に鳴いてくれる飼育オオコノハズクの観察を続けていますが、いつも片方の個体が巣箱の中に入って、巣穴から顔を出して『木魚鳴き』をし、もう片方の個体は外で『ポーゥ鳴き』をします。


ここからTABキー1回Enterキー1回で音声が再生されます

↑オオコノハズクの木魚鳴き(低音ですのでパソコンのスピーカーでは聞こえないと思います。イヤフォンかヘッドフォンでお聴き下さい)
途中で「ピッ!」という音が入っていますが、それは私がリップシンクロ携帯動画で撮影した、スタートの音です。
動画スタートの「ピッ!」という音の直後に鳴いているのは隣のケージのメジロです。あと遠方でヒヨドリの声もします。


ここからTABキー1回Enterキー1回で音声が再生されます

↑オオコノハズクの「ポーゥ」鳴き

この2種類の声の、どっちが雄でどっちが雌なのか?
『木魚鳴き』と『ポーゥ鳴き』のどっちがさえずりなのか?という問題がありました。

松田道生さんは「『木魚鳴き』のほうが雄で『ポーゥ鳴き』が雌だろう」とおっしゃっていましたが、夜間にタイマー録音した結果を聞くと、夜中もポーゥ鳴きがけっこう頻繁にあって、それを聞いているとポーゥ鳴きのほうが雄でさえずりではないか?という気がしていました。

オオコノハズクの羽衣は雌雄同色で、見た目での識別ができないので、交尾の瞬間とか産卵の瞬間を観察しない限り雌雄の同定はできないだろうと思っていました。

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↑外でポーゥ鳴きをするほうの個体は左頬に白い点があり、個体識別ができます。
この個体が交尾の時に上になるのか?下になるのか?観察できればなぁ・・・と思っていました。

そうしたら、禽舎の前に掲示されている説明板に「赤いリングをしているのが雌」と書かれているのを仲間が教えてくれました。灯台元暗し!。

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↑見ると、外でポーゥ鳴きをする、左頬に白い点がある個体が赤いリングをしていました。

ということは、巣箱で木魚鳴きするほうが雄、外でポーゥ鳴きするほうが雌、ということになります。

後日、飼育担当のAさんに「赤いリングのほうが雌と書かれているけど、この雌雄判別はどのようにやったのでしょうか?」と質問しましたら「動物園では、鳥類は羽毛を採取して、羽軸にある細胞からDNA鑑定している」と説明していただきました。
ということで、雄が木魚鳴き、雌がポーゥ鳴き、で間違いないです。
私の憶測は間違いでした・・・(笑)。



オオコノハズクのその他の声

繁殖期を迎えたオオコノハズク飼育個体のケージの前にタイマーレコーダーを設置させていただきました。
毎晩6時間、1週間続けて録音する予定だったのですが。なぜかレコーダー不調で、1晩と半分くらいしか記録されていませんでした。
しかし、それだけでも、けっこうワンワン鳴きが録れていました。

オオコノハズクのワンワン鳴きについては、松田道生さんが今年の春に野生個体で録音成功されています。動物園のオオコノハズクのところでも、同じ声が録れたということで、確認になると思います。

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↑オオコノハズク「ワン!」
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↑オオコノハズク「ワン!」
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↑オオコノハズク「ワンワン!」
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↑オオコノハズク「ワンワンワンワン!」
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↑オオコノハズク「ワンワンワンワン!」
『オオコノハズクは、ふぁっふぁっふぁっという人間の笑い声のような声を出す』という文献もあるそうで、もしかすると、この音程が下がっていくワンワン複数回鳴きを距離をとって聴くと人間の笑い声のように感じるのではないか?と思いました。

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↑参考までに、こちらは今年の春に録音したフクロウのワンワン鳴き。これは野生個体です。エナガにモビングされて発していた声なので、フクロウ類のワンワン鳴きは、威嚇や警戒の意味があるのだと思います。

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↑こちらはオオコノハズク飼育個体のタイマー録音に入っていた声で、オオコノハズクで間違いないと思うのですが、ムササビの出す声にも似た、不思議な声です。
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↑こちらはもオオコノハズクで間違いないと思うのですが、この声もムササビを連想するような声です。
自然界では生息域や巣穴が競合するオオコノハズクとムササビですが、似た声を出すとしたら、これは識別が難しいと思います。
ちなみに、このオオコノハズク禽舎の近くにムササビの飼育場所はありません。

オオコノハズクの鳴き声動画

その後も動物園の冬場繁殖のオオコノハズクの声を聞きに何度か動物園に行っています。


↑オオコノハズク(飼育個体)の木魚鳴き
パソコンスピーカーだと木魚は聴こえないかもしれませんので、ヘッドフォンかイヤフォンで聞いてください。
こちらはコンデジをスコープからはずしてズームアップして撮影した動画ですが、日が落ちてからだったのでIso3200にしても液晶モニターは真っ暗で、録ってみたものの完全に使い物にならないだろうと思っていました。
しかし、パソコンに取り込んでから明るさをアップしたら、なんとかオオコノハズクと確認できるくらいにはなりました。ズームアップしすぎた後半は、なんだか良く判らない状態です・・・。
『木魚鳴き』は、いつも巣箱の中に入って鳴いています。
2羽同時木魚というのは無いので、「木魚鳴き」と「ポーゥ鳴き」は雌雄による鳴き方の違いだろうと思いますが、どちらが雄で、どちらが雌なのか?よくわかりません。
交尾の瞬間や産卵の瞬間を観察しないと、雌雄は判らないですね。

Sony RX100のマイクはけっこう音をよく拾うなぁと思います。

↑こちらはデジスコ動画撮影した「ポーゥ鳴き」
こちらのほうが見やすいので、次回はやはりデジスコで録ろうと思います。

オオコノハズクの2種類の声

オオコノハズクはどういった声を出すのか?。

歴代の図鑑に書かれている声の解説も多種多様です、
参考までに私の持っている図鑑のオオコノハズクの声の表記です。

黒田長禮:声の記載なし

内田清之助:夜間ポーッポーッポーッと無気味な声で鳴く

清棲幸保:ポスカス、ポスカス、又はポウ、ポウ、ポウ、ポウと鳴き立てる

宇田川竜男:ワン、ワン、ワン

榎本佳樹:鳴声は頻々鳴かないので充分に研究されてゐないが、低い声でフーフー又はホーホーと鳴いたり、ガサカ、ポスカス等の声も出すようである。

下村兼史:ポスカス、ポスカス、又はポウポウ、ポウポウと聴こえる。(アオバズクのホウホウより高音である)

中西悟堂:低声でヴォウ、ウォウ、ウォウ、ウォウと鳴く。

小林桂助:夕方から夜間にかけホッ、ホッ、ホッ、ホッとだんだん低くなる声でなくが、この声は近くではウォッ、ウォッ、ウォッと聞こえる。

高野伸二:ウォッウォッという声やポッポッポッポッ…という連続音を出す。秋冬にはキューリンという細い声も出して鳴く。

中村登流:ウォウ・ウォウ・ウォウと三連音


これらは著者が実際に聞いて書いたもの、人から聞いた話を書いたもの、他の図鑑から引用したもの、などが混在しているだろうと思われます。
それから野外で声を聞いても、本当にオオコノハズクなのか?、夜間に鳴いている姿を見つけてリップシンクロを確認することはかなり難しいので、誤認が含まれている可能性もあります。
逆に、オオコノハズクは多種多様な声を実際に出し、書かれているこれらは全部正解だ!という可能性もあります。リップシンクロがとれていないだろうオオコノハズクの声は、聴く機会も少なく、良く分からない状態が続いてきたのだと思います。

そのようなミステリーと魅力にあふれたオオコノハズクの声ですが、今年の春に松田道生さんが『オオコノハズクの木魚鳴き』を見事に録音されました。
その松田さんのブログの記事はこちらです。『その1』から『その5』まであります。
この松田さんが録音された木魚鳴きやワンワン鳴きを聞いたら、ますますオオコノハズクの魅力に憑りつかれて、一度はこの声を聞いてみたいと思うようになりました。

先日『オオコノハズクの真冬繁殖』という記事を書きましたが、井の頭公園の動物園で1月3日孵化という季節はずれの繁殖があったので、11月~12月頃には、もしかしたら鳴いてくれるかもしれないと思い、昨日11月24日日曜日に出かけました。

オオコノハズク2羽のうち1羽は巣箱の屋根の上、いつもの定位置で目を閉じていました。
もう1羽は巣箱の中に入り、穴から顔が見える位置で寝ていました。
以前は2羽とも巣箱の屋根の上にいたのですが、片方が巣箱の中にいるので、その変化は、もしかすると繁殖の前触れではないか?と期待を抱かせるものでした。しかし、2羽とも目をつむって微動だにしない状態で、そう簡単に声を聞かせてくれるわけないよなぁ・・・と思いました。

しばらくしたら、飼育係のAさんと会うことができて、Aさんからオオコノハズクやフクロウのいろいろな話を伺い、そして、そろそろ帰ろうか?という時間になったのですが、Aさんから「4時半を過ぎると巣箱の中のフクロウ雌が外に出てくる」と伺ったので、せっかくだからフクロウ雌を見てから帰ろうと思い、そのまま禽舎の前の花壇に腰かけて待機しました。
ここの禽舎は左からフクロウ、ツミ、オオコノハズクという順番で並んでいます。
与えられた餌を食べるツミの姿などを見ながらフクロウ雌が出てくるのを待っていました。

そうしたら木魚の音がしました!。

オオコノハズクの禽舎を見ると、巣箱の中にいる1羽の喉元が膨らんだりへこんだりしているので、木魚鳴きをしているのは巣箱の1羽だとすぐにわかりました。
そして、外にいるもう1羽は「ヒャー」あるいは「ピョー」あるいは「ポー」というような声を出していました。


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↑オオコノハズクの木魚鳴き(低音ですのでパソコンのスピーカーでは聞こえないと思います。イヤフォンかヘッドフォンでお聴き下さい)
ウエストバックから録音機(Sony D-50)を慌てて出して録音したものです。
フェードインとフェードアウト以外はまったく加工していません。
録音機とオオコノハズクの距離は3メートル強くらいです。非常に小さい声だと松田さんから聞いていたのですが、本当に想像していたよりも小さな声で、これでは野外ではなかなか聴こえないだろうと思いました。
途中で「ピッ!」という音が入っていますが、それは私がリップシンクロ携帯動画で撮影した、スタートの音です。
動画スタートの「ピッ!」という音の直後に鳴いているのは隣のケージのメジロです。あと遠方でヒヨドリの声もします。


↑木魚鳴きを聞いた感動と興奮のなかで動画撮影したので、なぜか携帯を横にして撮影していました(笑)。
ズームアップするとデジタル・ズームが効いてしまったようで画質が悪いですが、巣箱の中でオオコノハズクの喉元が膨らんだりへこんだりしているのがかろうじてわかると思います。木魚の音もヘッドフォンなら聴こえます。
ハシブトガラスが鳴いたところで木魚鳴きは止んでしまいます。
再び鳴きだすことを期待して録りつづけましたが、木魚鳴きしているのはハシブトガラスとハシボソガラスの声がするところまでですので、後半部分は無視して下さい。

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↑オオコノハズクの「ヒャー」鳴き
巣箱の外にいた1羽が発していた声がこちらです。
録音機との距離は1メートルくらいです。それでこれだけの音量なので、この鳴き方も非常に小さい声量です。

この声をカタカナで表すとしたら、みなさんはどう書かれますか?
この録音はかなり近かったので、「ポー」や「プー」や「ホー」に属すると思いますが「カタカナで書いてみろ」と言われたらかなり悩むと思います。
音質的にはオカリナやおもちゃの笛のようでもあります。
2~3メートル離れたところで聞くと私の耳には「ヒャー」という感じで聞こえました。

4時半ころから閉園時間の5時までの間に木魚鳴きは2回ありました。
日没の早い今の時期だから開園時間内に鳴いてくれて、聞くことができたのです。通常繁殖期だと、この時間帯には絶対に鳴かないだろうと思われます。

それから与えられた餌を食べる姿も見られました(巣箱の外の1羽)。
フクロウ類は口を大きく開けて餌を丸のみするイメージでしたが、この日のオオコノハズクは、ちょうど隣にいるツミと同じく、足で餌を押さえて嘴で引きちぎって食べていました。


オオコノハズクの真冬繁殖

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今年の1月3日に井の頭動物園でオオコノハズクの雛が孵化したというニュースを見つけました

野生だと5~6月に繁殖するオオコノハズクですが、飼育環境下だと真冬に繁殖することもあるのだと驚きました。
先日動物園に観に行ったとき、禽舎の前に飼育担当の方がいたので、オオコノハズクの声を聞いたことがあるかどうか?質問しました。
すると、今年の10月に昼間から鳴いていた日があったそうで、去年に続き、繁殖が始まるのか?と期待したそうですが、結局産卵も無く、それ以降は鳴かなくなってしまったとのことでした。

それはどんな声だったか?聞くと、いわゆるフクロウ類の「ホウ ホウ ホウ」というようなものだったそうです。
私は例をいろいろ挙げて、声の質について聞いたのですが、どうやら松田道生さんが録音に成功した『木魚鳴き』とは違う鳴き声のようです。

もしかするとオオコノハズクは縄張りを宣言するさえずりと、ペアの相手に対して求愛や求交尾するさえずりと、別の鳴き方があるのかもしれません。

ツミ雌が雄が餌を持って帰るのを待つ間に発する「キーキーキーキー」という声は、縄張り宣言や戦闘中に発する「キーーキーーキッキッキキキ」という最後の間隔が短くなり、音程が下がる鳴き方とは違います。
それと同じようにオオコノハズクの鳴き方も、縄張り宣言と求愛と、何種類かの声を発するとすれば、過去の図鑑の表記がバラバラになっていることの一因として、納得できるだろうと思います。まだ確証を得ていませんが。

それから、餌についての質問もしました。
動物園だと1年を通して、一定の質の良い餌が与えられます。
しかし、自然界は冬は昆虫やカエルなど多くの生き物が姿を消すので、いったいオオコノハズクは何を食べているのか?。夜間に寝ている小鳥や、ネズミやヒミズなどを狙うのか?詳しい生態は分かりませんが、春夏秋に比べると冬はかなり餌が少なくなると想像できます。
そういった話をしていたら「冬にはむしろ、餌を増やしている」とのことでした。

去年の暮れから今年のお正月に起こった真冬繁殖は、この給餌パターンによっておこったのだろうと思いました。

先週末に観に行った、ドキュメンタリー映画『鳥の道を越えて』には囮に使うツグミの買い方についての取材も出てきました。
それによると、鳥猟が行われる10月に盛んに鳴く状態にするため、冬、春夏は粗末な餌で飼い、9月くらいから、くるみ、卵黄、魚粉など高脂肪、高たんぱくな餌に切り替えると10月にさえずるのだそうです。

オオコノハズクの真冬繁殖にしても、囮ツグミにしても、そういった栄養状況が影響して、季節外れの繁殖のきっかけになっているというのは間違いなさそうです。

カイツブリも真冬に繁殖する例があり、地元でも数年前にバレンタインデー孵化というのがありました。これも冬になって池の魚の動きが鈍くなって、冬にもかかわらずけっこう餌が獲れるぞ!となって、それで繁殖し始めたのだろうという想像ができます。

動物園オオコノハズクや囮ツグミは、あくまで飼育個体ですが、飼育個体からもその生理について色々知ることができるのだと思いました。
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