ソーラーシェア (1)
 自然エネルギーのなかで最も注目されているのが太陽光発電だろう。メガソーラー発電も実際に始まり期待は高い。しかし、問題となるのは場所だ。休耕田を活用して発電とのプロジェクトもあるが、自給率の低下が懸念されるなか、農地を他に使っていいのかの課題もある。
 そこで、農地を使って太陽光発電と農作物を一緒につくることが可能との理論から実証実験を行っている農地を見させていただいた。

 この理論は、CHO研究所所長の長島彬さんにより提唱され、千葉県市原市で実証実験が行われている。太陽光を作物と発電とでシェアする、ソーラーシェアリングという考え方で2003年に長島さんが特許を出願。現在では多くの人に使ってもらいたいと無償で公開されている。

ソーラーシェア (2) 話を伺うと、植物には一定量(光飽和点という)までの太陽光があれば十分生育をする。一定量以上は不要であり、かえって育成を阻害する場合もある。そこで、生育に必要な分を除いた太陽光を発電に使おうというのがその理論なのだそうだ。
 具体的には、農地の上に細長いスリット状の太陽光パネルを設置することで発電と耕作が両立するというもの。稲でいえば、農地面積の四分の一の面積を発電に使えるという。スリット状の太陽光パネルの陰は農地に落ちるが、曇り空でも同じことが起きるのであり問題にはならない。実験の結果、収穫に影響はなかった。夏の間、水やりが必要になることがあるが、これは太陽光が強すぎることでもある。太陽光パネルを設置したほうが適切な光にもなるという。

 このことはさらに、農家の新たな収入源にもなるという。農作物だけの収入ではなりたたないことが多いが、太陽光パネルによる売電で収入が得られるので生計が成り立つというのだ。例えば1000平方m(一反)の水田の四分の一に太陽光パネルを設置すれば、年間約140万円の収入になり、これは米の数十倍の収入になる(※)。農家の後継者不足や自給率低下が解消することにもつながるとしている。
 農地に太陽光パネルを設置すると農地として認められなくなり税金の優遇策がなくばるように考えられるが、長島さんが国に確認したところ、地面が土で耕作が可能であれば農地となるの見解を得ているという。ビニールハウスと同じ考え方のようだ。

 長島さんの計算によれば、日本で使用される電力の使用量の最低ラインを発電するには、日本中の農地約460万ヘクタールの13%でソーラーシェアリングをすれば発電ができるのだそうだ。すべての農地で行えば、石油の輸入が必要なくなり、それこそ、原発は不要になるのだという。ソーラーシェア (3)


 話を伺い、実証実験の場所を見た感想は、可能性がかなり高いと思う。農地だけに設置すると送電線がないこと、設置補助金は屋根に設置することを想定しているため、農地は対象になっていないなど細かな課題はあるが、大きな問題にはならないと思えた。今後は、より大規模な農場での検証が必要だろう。どこかの農地でできないだろうか。
 

 詳しくは、『ソーラーシェアリングのすすめ』をご参照のこと
 

※設備投資を考えると実際にはこの半額程度の収入になるが、太陽光パネルの価格が下落しているため、さらに収入は増えるはずだ。

ソーラーシェア (4)
写真:上から
・実証実験場で農作物から見る太陽光パネル
・日陰はこのように落ちるが、雲の流れと同じように太陽の動きで移動していく
・スリット状に配置した太陽光パネル
・駐車場でも実験が行われている。より大きなパネルを使えるので発電効率は高い。パネルを設置しているのは、建築現場で使われている足場パイプ。手作業で設置したという。パネルの角度が調整できるので強風への対策も考えられていた