5月7日、細川護熙元首相や小泉純一郎元首相が発起人となり設立した「一般社団法人 自然エネルギー推進会議」の設立記念フォーラムに参加してきた。都知事選挙で終わるのではなく、さらに続けることに敬意を表したい。だが、具体的に何をするのか、この日の話を聞いただけでは分からなかった。


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「自然エネルギー推進会議」の目的は、『この会のめざすところは、まず第一に、再稼働に反対し、原発から自然エネルギーに転換することによって今までとは質の違う豊かな国づくりをめざしていくものです。特に地方が元気になるように、地方での自然エネ事業のエンカレッジ・地域需要のサポートや原発に依存しない立地地域の応援などやるべきことはたくさんあります』(同会議公式サイトより)というもの。
 細川元総理は、自民党は2012年の公約で「原子力に依存しない経済・社会構造をめざす」と示していたのに『言っておられることとやっておられることが、だいぶ違う』と批判。
 小泉元首相も『原発コストは安いというが、東電をはじめ日本の原発会社は、国民の税金の負担なしにやっていける原発会社はひとつもない。どの原発会社も金まみれ、金食い虫だと言っても誰からも文句が来ない』『日本の原発は世界一安全と言っているが、福島の事故でそうではないことが分かった。現実に地震、津波、火山の噴火などがある日本を考えれば、世界に比べてもっとも弱い、脆弱だ。 さらにテロに対して考えていない。このことを世界は危惧している』といった趣旨で発言し、現状の原発の状況から原発をなくすべきと主張していた。

 これらの発言は都知事選挙で訴えていたことで、特に目新しい内容ではないが、特に小泉元首相の話術は上手く分かりやすさで言えば、多くの人に伝えわりやすいと思うものだった。都知事選挙の時も思ったがが、もっと早くから、そして多くの場所で訴えることでこのムーブメントを拡大できたのだろう。過去は今さら仕方がないが、今後の活動には期待をしたい。

 残念なのは、この日の二人の元首相の発言は、批判がほとんどで、具体的に何をするのかがこの日には示されなかったことだった。新聞報道などでは来年の統一地方選挙も視野に入れているとしていたが、どうするのだろう。国政ばかりに目が行ってしまい、地方自治体のことに注目しない政治家が多いが(特に民主党)、原発立地自治体だけではなく電気を消費する自治体の政治判断も脱原発には重要だ。このことの重要さにも気付いて欲しい。


■新しい座標軸

 二人の元首相の話のあとは、桜井勝延さん(福島県・南相馬市長)、ロバート・キャンベルさん(日本学者)、香山リカさん(精神科医)、金子勝さん(慶應義塾大学経済学部教授)、湯川れい子さん(音楽評論家)によるパネルディスカッションが行われた。話としては、こちらの方が面白いものだった。

 例えば、金子さんは巨大なスーパーで利益を上げることから身近なところにあるコンビニのほうが利益を上げられるように経済構造が変わってきている。今までのように巨大な施設を作ることでの経済成長を考える55年体制のような産業構造からの座標軸を変えるべきだ。これは電気も同じで原発を作るよりも身近なところでできる再エネを普及させるほうがいい。アメリカの海軍は、バイオディーゼルの導入を検討しており、実現すれば、「環境にやさしい殺人兵器」ができてしまうとし、原発に頼っていると技術的に立ち遅れることを指摘していた。

 そして、香山さんも同じことを話していたが、小泉首相当時の政策を批判していた私たちが同じ活動をしている。当時では考えられなかったこと。ドイツの緑の党は、革新の人たちと自然を守りたいという本来の保守のひとたちが手を結び国を大きく変えた。同じように今まではとは違う座標軸が必要だと話していたが、このことは同感だった。

 原発に頼る、頼らないは、科学的な検証が必要だとしても、とにかく作る、動かすことを考えるのではなく、どのような社会が人として幸せなのかを考えて判断すべきなのだ。桜井市長が、原発事故で家族がバラバラになり、南相馬には若い人が帰ってこられなくなっている。戻ってきた高齢者には孤独死になる人もいる。東京の人は、現場を分かっていない人ばかり。二度と悲劇を繰り返してはならない。なにもって幸せかを考えて欲しいと訴えていた。

 東京の人、それは政治家や官僚だけではなく、電気を消費する私たちの判断、地方自治体の判断がこれから重要なのだとあらためて思った設立会だった。原発事故を忘れかけていないか。今使っているエネルギーは、どこまで必要なのか。なくてもいいものが多いのではと問い直せば、おのずと脱原発と私には答えはでているが、多くの東京の人はどうなのだろうか。



写真は、会が終わった時の様子。400人の会場は満員で参加者は応募のなかから抽選で決まった


(下記は細川元首相、小泉元首相のあいさつ)