インターネットで「吉祥寺」、「イルミネーション」と書き込んだところ、検索キーワードの候補に「ださい」という言葉が表示されて驚いてしまった。駅前のイルミネーションについて、アンケートを行なった結果も考えると、再考しなくてはならない。


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■税金を使う、配分する側の視点ではダメ

gakudou2 武蔵野市は、吉祥寺駅北口、三鷹駅北口、武蔵境駅の南北で年末年始に点灯されるイルミネーションへ補助金として事業費の半額、約1200万円を支出している。この補助金について、効果を検証する事務事業評価をしているのだが、その結果は、お金の配分を商店街連合会に一括して払うのではなく、三駅ごとに払うという見直しだった。

 これでは、税金は正しく使われているか。効果的かの視点が全くない評価でしかない。

 そもそも補助金という税金をイルミネーションに支出するのは、駅前商業を活性化することが目的。その結果として市民の満足度や税収があがるなどの成果へとつながる。この目的に異論はなく、より活性化するために税金の支出はすべきだと私は思う。

 27年度予算、商工費の審議のさい、この補助金について、これでは税金を使う側、配分する側だけの視点でしかない。納税者や市民の視点で検証をしたことがあるのかと質問をしてみた。イルミネーション事業について疑問を持つ人が多いからだ。

 答弁では、その視点では検証したことはないというものだった。これでは、誰のために税金を使っているか。税金を使う、配分することが目的になってしまう。


■ネットアンケートでは、「税金を使うな」が最多

 駅前のイルミネーションについて、ネットを使い独自アンケートを行なった。
 設問内容は、事業費の半額、1200万円を市は補助金をだしてイルミネーションを行なっているとの前提で下記の答えからひとつを選ぶという内容だ。

 ・もっと補助金を出して華やかにすべきだ
 ・やってもいいが、税金からの支出はすべきではない
 ・イルミネーションは必要ない
 ・このままでよい

 回答数は、180件だった。

 まず、アンケートの自由記述欄にあった意見を紹介しよう。

「イルミネーションは楽しみなのでしてほしい。補助金も現在くらいでいいと思う。イルミネーションは町の活性化にもつながり必要だと思います」との意見があったが、現状には満足しない回答のほうが圧倒的に多かった。その概要が下記だ。

・いまのイルミネーションは率直にいってセンスがよくありません。駅前は街の顔ですから、センスよく。あわせて、そのコンペのプロセスを市民ほか公にも公開するとよいと思います。ただ、最終的決定は、多数決ではなく、まちづくりの観点から、つまりセンスよくお願いします。
・イルミネーションは嬉しいが、デザインが下世話。お金だけかかっている印象。多摩センターのイルミネーションのようなデザイン性のある安価なプロジェクトはできそう
・イルミネーションは必要だが、吉祥寺駅前の趣味が悪いイルミネーションは廃棄処分して、内容を見直すべき。あんなに悪趣味のイルミネーションは吉祥寺以外に見たことはない。武蔵境のような落ち着いた雰囲気のものが良い。
・イルミネーションは必要と思いますが、税金からの支出は少し減らした方が良い。
・お金をかけている割には良くない。
・お金をかけるなら、今のようなダサいのやめてください。
・これ以上に派手にすべきではない。補助金は出してもよいが、今より少なくすべき。
・これ以上予算を入れるべきではない・
・スポンサーを見つけて補助金を削減すべき。
・やってもいいが、もう少しシンプルにしてほしい。特に三鷹駅北口の色使いは趣味が悪いと思う。
・やるならばむしろ名所として話題になるくらいデザイン性を高めるべき、ただし税金からの支出は出来る限り抑えるべき、もしくは支出すべきではない。
・やるのは賛成だが、アピールをして集客力をより上げて欲しい。
・税金から出すのは構わないがデザインがひどい。
・補助金は減らしてほしい。
・防犯に必要なものにとどめ、派手な装飾は必要なし。下品極まりない。


 設問に対する解答結果は次のようになった。

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 もっと補助金を出して華やかにすべきだ 18.3%
 やってもいいが、税金からの支出はすべきではない 50%
 イルミネーションは必要ない 20%
 このままでよい 11.7%  


 現状でいいと思っているのは11.7%だけ。もっとも多いのは税金をかけていることに驚き、支出すべきではないが半数となった。

  
 アンケートは私が独自に行なったもので、調査が万全とはいえない。だが、これが市民の大方の考えだろう。


■市民視点

 予算の審議では、このデータを示し、税金を支出している以上、より効果的になるよう市から指示をすべきだ。この事業だけではなく、納税者、市民目線で検証することが必要ではないかと提案した。イルミネーションのデザインをネットを使い投票する。AKBではないが選挙方式にして事前から盛り上げることも考えられるし、市民にお金を出してもらい、電光掲示板でメッセージを表示するなど改善策はいろいろと考えられるからだ。

 理事者答弁では、検証については検討はしたいとしていた。27年度では、その検討結果を待ちたいと考え予算案には賛成をした。しかし、そもそもからの見直しは必要だ。

 事業の評価は、税金を使う側、配分する側だけの視点だけであってはならない。納税者、市民からの視点が何よりも重要だ。イルミネーションであれば、見る側、まちへ訪れる側の視点がないと「ださい」と言われてしまう。
 そして、市民の代表としての議員には、この視点が何よりも必要であり、感覚ではなく数字で示すことも求められていると私は考えている。

 この考えから示した今回の数字は、行政側にはショックかもしれないが、税金から支出される補助金だけではなく、事業の評価手法の再考もすべきことなるデータだろう。

 常に誰のため、何のために行なっているのか。効果的なのか、適正額なのかを今後も考え示していきたい。




※画像は武蔵野市事務事業(補助金)評価 実施結果集(平成26年度評価実施版)より、この事業のページ。

実施結果集はこちら(PDF 4.7MB)