IMG_8368 幼稚園、児童館、学童クラブ、全児童対策事業(武蔵野市でのあそべえ)を小学校施設で行っている中央区立明正小学校を会派で視察してきた。建替えにより複合施設にしている例だが、高層化への考え方が武蔵野市での可能性を左右しそうだ。

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■歴史的建造物

 明正小学校は、関東大震災後の1927(昭和2)年に建てられた小学校。震災後に当時の東京市の復興事業の象徴として建てられたため、当時最高の耐震、防災を考え不燃化のためにRC造(鉄筋コンクリート構造)を採用していた。また、曲面を多用した独特のデザインが特徴で歴史的建築物としても知られてきた小学校だった。そのため新しく建てられた小学校もそのデザインを継承しているのも特徴となっている。

 建替えられたのは、しっかりした建物とはいえ年月が経過していることから、校舎の老朽化や教育環境の向上、バリアフリー化、防災拠点にすることなどが理由となっている。しかし、旧校舎の存続を求める住民も多く、議会に請願が出されたものの不採択となった経緯もあったほどだ。







■人口の急変

 建替えには、校舎の問題だけでなく中央区の人口の変化も大きい。現在は約14万人と武蔵野市と同じくらいだが、ひところは約7万人まで減っていた。それが高層マンションの建設などにより人口が増え、今後もさらに増えることが予想されているため、現在のままでは対応できないことも背景にあったからだ。建替え前の小学校は6学級だったが、将来的に12学級が必要になることが予測されていた。

 そのため、人口増が予想されている地域で建替え計画を作り、現在でも他の建替えが進行中となっていた。

 この背景のほかに中央区ならではの課題もあった。それは建設できる土地が極端に少ないということだ。小学校の建替えで、一教室の面積を59平米から72平米へと増やす計画としていたが、既存と同じ校舎では広げることができない。同時に児童数増から同じ小学校内にある区立幼稚園の拡充が必要であるばかりか、近隣にある児童館や学童クラブの拡充も必要となる建替え用地がない。同じ場所で建設するにしても仮施設がないと建設期間中に事業ができなくなってしまう問題があった。

 そこで、明正小学校を4階建てから6階建てにすることで延べ床面積を5.147平米から約11.900平米へと約倍に増やし、12学級が可能な床面積にしている。さらに、児童館も433平米から約2100平米と5倍近く増やし学童クラブ(児童館に併設)や乳児室の拡充、中高校生の利用ができるようにもしていた。

 建替え時は、近隣で建替えたばかりの小学校を間借りして行ったという。近隣に小学校があるからできたことになるが、この手法は参考になる。また、二校を建替える場合、一校の床面積を増やすことで2校分の機能を果たすことができるので、建替え時の教室としてしばらく使い、他の学校を建替える手法も参考になる。
現在の児童数は多くなくても、将来的に増やると想定する場合には有効な手法だろう。これは先を見通す計画を作れるか、作れないかが成功の可否を握ることになる。


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■階によって小学校と幼稚園、児童館を分ける

 新しい校舎は、1,2階が区立幼稚園(幼稚園の設置基準があり1,2階としていることや園庭が必要なため)、児童館と学童クラブを5,6階(入り口は学校とは別に設置)、体育館を3,4階、プールを屋上に設け、小学校のスペースのなかに全児童対策事業(プレディ)の部屋を設けるなど狭い敷地ならではの設計となっていた。

 実際に見させていただいた感想は、校舎内が広々としていることだった。校庭は広いとは決していえないが、特に廊下は通常の倍近くの幅があろうかという広さだった。これは災害時を考えると狭い廊下では機能しないために作られたという。武蔵野市でも参考になる設計だろう。

 学校の建替えは地域住民から多様な意見があり、すんなりとは進まないことが多い。明正小学校でも旧校舎の存続意見があったことでも分かる。これが複数をひとつにまとめる統廃合となるとなおさらだろう。


IMG_8338IMG_8327IMG_8341■区立幼稚園の存続と児童館拡充の理由

 このことはさておいて、気になったのは、幼稚園と児童館の存在だ。財政難から公立幼稚園や児童館をなくす例が多い中、続けていくことを示していたからだ。

 幼稚園は区立であり、先生は公務員の身分となる。人件費削減などもあり公立から民間へ、あるいは、待機児対策として保育園や認定子ども園にすることは考えなかったのか伺った。

 民営化は区内に民間幼稚園がないことから想定していなかった。待機児対策は民間に担ってもらっているとの考えとの返答だった。

 中央区は土地がなく、さらに地価が高いこともあり民間の幼稚園はないのだろう。そのため、区立が幼児教育を担っており、小学校に併設されている幼稚園がほとんどで併設されていない幼稚園は公共施設との複合施設となっている。保育園はビルなどでも開設できるが幼稚園は二階までが原則で園庭がないとできないなどの規制があることも背景にはある。
 幼稚園ではなく保育園機能も持つ認定子ども園の選択肢はなかったのかを伺ったところ、古くから親しまれていることから幼稚園となっているといった答えだった。
 
 明正小学校改築準備協議会の資料を読むと、『稚園型認定子ども園機能に対応するスペースついても検討します』と書かれており、認定子ども園も想定したのだが、実現しなかったことになる。正式理由は視察時では分からなかったが、住民の幼稚園への思い入れが強かったからだろうと推測している。  児童館は、経費削減からなくしてしまうことや全児童対策事業へとしてしまう例が多いが、児童館を拡充した理由についても聞いてみた。  理由は、利用者が多いことや中高校生の居場所が必要と考えているとしていたが、地域との関係が深いことが大きな理由に思えた。お祭りなどの地域行事に児童館職員や子どもが参加していることで地域に必要な児童館との認識になっているようだった。児童館の日頃の活動が大きいともいえる。




■複合化のメリットと課題

 幼稚園、小学校、児童館、学童クラブと同じ地域の子どもが同じ施設で育つことにより各事業の連携や安全性を保てること。管理運営を考えると複合化で経費的にもメリットが多いいのではないかと思えた視察だった。

 ただし、複合化し中に入る事業を拡充しようとなれば床面積を増やさないとならない。中央区ほどとは言わないまでも、武蔵野市には土地に余裕はないことから高層化することが必要となってくるだろう。建築物の高さはいろいろと問題が起きることもあり、簡単にはできそうにもないか、とも思えた視察だった。


■公営、民間の事業者が混在

 明正小学校では、幼稚園とは違い児童館と学童クラブは民間委託されていた。その理由は、経費削減だ。

 事業内容について今回は調査しなかったが、幼稚園は民営化せずに児童館や学童クラブは民営化となる背景には国の補助金制度や23区特有の背景があるのだろう。公立の児童館や学童クラブは国からの運営費の補助金がないことから民営化し経費削減することや事業廃止が優先されるが23区の幼稚園の場合、職員採用が区ではなく23区で行うことから区立幼稚園を続けなくてならないことが背景にあるのかもしれない。このことは別課題だ。
 その結果として、同じ小学校施設に区立幼稚園と民間委託された児童館、学童クラブ、全児童対策事業が入っていることになる。さらに、児童館と学童クラブを委託する事業者と全児童対策を委託する事業者は別々に委託していた(偶然で同じ事業者が受託していたが)。小学校を含めた全体での意思疎通や事業の連携に課題がありそうに思えてしまった。

 施設内では小学校と全児童対策事業と児童館・学童クラブとでは直接行き来ができないように区切られていた(災害時などでは開放できる)。事業目的や開設時間がことなるため、いたし方がないのだとは思うが、複合施設をより活用するために何とかできないのかとも思った。


 今回の視察は、民主生活者ネット会派で行ったもの。視察の成果を今後に、各自の視点から活かしたい。


写真は上から
・L字型の校舎と校庭
・特徴的な曲線は旧校舎から引き継いでいる
・広い廊下が印象的
・広くなった教室
・屋上にはプール他に遊び場やプランターなどがある
・自校式給食だった
・児童館の入り口は学校とは別。エレベーターを使う
・児童館には子育て交流サロンもある
・学童クラブの入り口
・全児童対策事業、プレディの部屋