akita3 日本一学力が高い秋田県の教育をはどのように行われているのか。市議会文教委員会で、秋田市の教育について視察させていただきた。理由はひとつではないようだが、教育委員会による学校の支援が要となっていた。

 


 まず秋田市の学校教育だが、人口は約32万人。小学生は約1万5000人で市立小学校は45校。中学生は約8000人で中学校24校があり、他に市立の高校2校と専修学校1校がある。私立学校はなく、塾は市内中心部にはあるものの学校教育は、公立学校が担っていることになる。

 視察に対応してくださったのは秋田市教育委員会で、調査で学力が高い理由には、考える授業を行っていること。30人学級としていることで教師の目が児童生徒に届くことがあるとされていた。
 考える授業とは、例えば、今日は織田信長を学びます、という授業の仕方ではなく、織田信長がなぜこの場所に城を築いたのかとの問いかけで始まるような授業だという(比喩は実際の説明とは異なる)。




■家庭学習
 
 これらに加え、武蔵野市と比較して秋田市の特徴と思えたのは、家庭学習が毎日おこなれていること。教育委員会の指導主事が各学校の全授業を参観し、改善点や情報などを提供する支援を行っていることや全教師が授業を他の教師に参観してもらうこと、他の教師の授業を参観するなど教科ごとの研修会が盛んであることだった。

 家庭学習は、宿題とは別に子どもが好きな教科を選び自宅学習を行い担任教師に毎日提出。担任もかならず見てコメントを書き戻しているという。保護者は共稼ぎがほとんどされていたので、家庭による努力の大きいのだろう。時間は子どもによってそれぞれだそうだが、学年プラス10分が平均的な時間とされていた。


■指導主事の支援

 指導主事の支援は、かなり手厚いと思えたが、その理由には、指導主事が16名配置されていることで成り立っている。他自治体と指導主事の人数を比較したデータを持っていないが、この人数はかなり多いはずだ。市の担当者に確認すると、県の職員に加えて市として採用(県からの出向)することで、この人数となっているとしていた。全員が県と市の正規職員で各教科ごとに担当を置いていた。

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 さらに学力調査で分かった各学校の課題や改善点、テストでは分かりにくい課題の指摘と、授業改善のポイントを冊子といてまとめ教師へフィードバックしている。学力調査を行っても、結果や改善点の分析を各学校や教師に任せるほど学校や教師には時間がない。そのため、指導主事が中心となって行っているのだそうだ。実際のどのように授業を行えばいいのかの事例集も発行していた。

 この支援に加えて、各教科ごとに研修会が盛んなことが秋田市の教育の力となっているのだろう。学力調査への対策を行っていることで結果が良いのかと思ってしまうが、あくまでも、授業改善のヒントに使うのが学力調査であり、結果に過ぎないと話されていたことも印象的だった。


■調査順位が発奮材料

 では、なぜこのような支援体制になったのか。
 このことを伺ったところ、かなり前になるが調査で秋田市の学力が低いことが明らかになり、教師の発奮だけでなく、市として支援強化を行ったことが今日へつながっているという。
 指導主事を市が単独で増やすには、当然だが人件費が増え、市の財政負担が増える。それをあえて行うという政治的な判断もあったことになる。

 このような特徴がある秋田市の教育だが、課題は少なくないという。そのひとつは、ベテラン教師が今後は定年で退職してしまうことで、授業のノウハウが若い教師に伝えられるかだ。教師をその分採用すれば対応にはなるだろうが、少子化となっているためままならいという。また、市域は武蔵野市の9倍ほどとかなり広く、複式学級の学校があるなど教育環境が異なり、一律には対応できないこともあるそうだ。


■塾と学力

 武蔵野市の学力も高い。しかし、それは学校教育によるものなのか、たくさんある塾のおかげないのか私には明確に判断できない。もちろん、武蔵野市の教育委員会や各学校での授業は評価しているが、どのように結果に結びついているか分かりにくい。秋田県の調査によると塾があり教育環境が整っている中心部よりも郡部の小さな学校が強くといったデータが公表されている(秋田魁新報 2007年11月27日)。

 このことも考えていくと、学校教育、教育委員会、さらに市全体としての対応が学力には大きく影響することは確かなようだ。学力が全てではなく、子どもがそれぞれに生きていく力を持てるようにすることや仲間づくりなどが優先されると考えるが、できることをやったことへの結果としては評価指数にはなる。秋田市による説明のように改善への道具として考え、市としての支援がやはり重要なのが改めて分かった視察だった。

 武蔵野市での教科ごとの研究や指導主事の仕事については今後の調査としたい。