武蔵野市第五期長期計画・調整計画案について、策定委員会と議会との意見交換となる全員協議会が10月30日に開催された。
 議会からの意見は多分野にわたったが、なかでも待機児対策と桜堤児童館をテーマとする議員が少なくなく、調整計画の大きな論点であったことが分かる。
 一方で、現在の策定方式に課題が残されていた。曲がり角に来ている。

■次はやりたくない

 何ごとも完全はなく、常に改善を進めていくことは必要。それは、長期計画や今回の調整計画策定についても言えることだ。その前提で策定委員に計画を策定するさいに今後解決すべき課題を全員協議会で聞いてみた。

 策定委員からの意見は、やはり、委員に負担が大きいこと。議会との関係性が今ひとつはっきりしていないなどがあげられていた。なかには、次はやりたくないとの発言する委員もいたほどで、現状の策定方式を改善しなければならないことは明白だった。

 また、この全員協議会では、すべての策定委員が出席することはなく、途中参加や途中退席する委員もいた。市民との意見交換でも同様に全委員がそろうことはなかった。
 策定委員はそれぞれの仕事や生活があり、多くの時間を策定にかけられないのかもしれない。しかし、武蔵野市の最上位計画であり今後の4年を決める重要な計画を策定するにあたって、これで良かったのか問われれば、疑問は残ると言わざるを得ない。

 武蔵野市は条例で、この最上位計画に書かれてなないことは、緊急時を除いてやらないと規定している。この計画で議論した結果が、市民全体に大きく影響することになり、議論できなかった、議論する時間がなかった、気が付かなかったでは済まされないとなるからだ。

 全ての計画づくりに策定委員が関わるべきとは思わないが、どこからどこまで、策定委員は何を求めているのか、どこまで責任を持つのか明確にしておく必要がないか。そうすることで、負担も明確になり、委員候補の人が計画策定を受ける、受けないを判断できるようにすべきではないか、と思う。

 策定委員からは、分野別に議論したほうが良かったとの意見もあった。確かに全分野を一度に行うと議論は散漫になってしまう。分野別にすることで、担当する策定委員は参加し、他の分野の策定委員の参加は任意としておけば、策定委員の負担も減るだろう。

 議会側からは、一日ではなく、複数の日程で開催してはどうかと議長から執行部からに伝えていると聞いている。残念ながら策定委員の日程の都合か理由は分からないが一日で終えることになってしまったのが今回だ。
 今回のように一日で終えようとせずに、複数の日程で行い分野ごとに意見交換をするのも改善策のひとつだろう。


■吉祥寺図書館の指定管理は議論していない

 策定委員が全ての課題やテーマに議論ができていたのかの疑問も残った。

 例えば吉祥寺図書館について指定管理者制度の導入を検討すると計画案には書かれている。以前出された討議要綱では、導入を図ると断定的だったのに比べると一歩後退した記載だが、それにしても、どのような課題があるから検討すると書かれているのか、その理由について質問してみた。

 指定管理者制度はあくまでも道具であり、目的とミッションを明らかにしたうえで、達成できないのであれば導入を検討すべきで、目的とミッションが明確でないうちに検討すべきではない。まして、現場の運営を議論したり評価したりする図書館運営委員会(市民委員もいる)と図書館を管轄する教育委員会で検討をしていないのに、頭ごなしで策定委員会が検討を指示するべきではない。削除すべきとの私の意見も示しての質問だった。

 これは先の文教委員会で吉祥寺図書館の特徴を出すために指定管理者制度の導入を検討したいとの行政報告があったのだが、いつ、検討を決めたのかと質問したところ、今年の7月、8月の教育委員会で議論した結果だったと答弁があったからだ。
 策定委員が指定管理者制度の導入を図ると書いた討議要綱が出されたのは今年の2月。つまり、現場も教育委員会の議論よりも先に策定委員会が決めていたことになる。このことも含めての質問だ。

 策定委員からの返答は、この点については議論していない。指定管理者制度は道具であり、指摘されるとおりというものだった。

 ということは策定委員が議論もせず、決めてもいないことが計画に滑り込まれていることになる。他にも、討議要綱と変わった点について質問した議員に対して、なぜ変わったのか分からないとの答弁もあった。

 議論もしていない、策定委員が知らないことも含まれている計画となる。これは問題だろう。実際の文章は事務局である市職員が書いているのだろうが、策定委員が議論していない、知らないことを書いてはならない。いったい策定委員の役割は何かという根本的なことなってしまう。計画の内容よりも、この現実から策定方式を考え直すべきと思った返答だった。


■変えられない部分もある

 策定委員会は市長の諮問をうけて計画をつくる役目で、最終的には市長(=市)が判断する。策定委員会でまとめたとしても、市が修正することは可能だ。
 実際に中身を変えてしまうことはないようだが、これは策定委員にとっても、どこまで書き込めばいいが分かりにくいのではないか。課題はどこにあり、選択肢はこのようなことが考えられるので、策定委員会で議論し方向性をまとめてほしい、とすべきではないだろうか。現状では個別具体的な事業まで踏み込むことが多く、下位計画との住み分けが明確でないからだ。

 さらに、変えられない部分を認識して議論しているかの疑問も残った。

 調整計画は、第五期長期計画の実行計画部分の修正(時の状況による調整する)するものだ。基本的な理念や政策の大綱部分は、議会が決める議決範囲で、この部分を修正する場合は議会に条例の修正案を出さなければならない。
 そのため、議決の対象ではない下位部分を議論してきた調整計画であるはずなのだが、策定委員に伝わっていたのか、理解されていたのか。市民にも理解されていたのかの疑問だ。

調整計画には、分野ごとに今後の方向性が書かれているのだが、その前段には上記のように策定委員会では修正できない文章がある(大綱部分)。この文章を理解し、この文章に続けて長計画の文章が続くのかと考えると、文脈が違っているように思えてしまう。

 例えば、調整計画案には、「施策の大綱」に「健康・福祉」分野があり、そこに「基本施策1 支え合いの気持ちをつむぐ」が中項目としてあり、以下のように書かれている。

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基本施策1 支え合いの気持ちをつむぐ

 団塊の世代が後期高齢者となる平成 37(2025)年に向け様々な問題が顕在化する中、地域包括ケアシステムの構築が法律に明記され、また、介護保険制度の大幅な改正がなされるなど、社会情勢の変化とともに、福祉施策を巡る状況も目まぐるしい変革の時期を迎えている。これらの変化に対応するためには、誰もが地域を支える担い手となり得るという意識を持ち、また、それを実現可能とするための仕組みづくりが必要である。
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「基本施策1 支え合いの気持ちをつむぐ」の言葉は、議決した長期計画の施策の大綱と同じなので問題はないのだが、議決したのは、この中項目に加えて、下記の見出し文がある。

--(長期計画・議決部分)------------------------
1 支え合いの気持ちをつむぐ
 地域福祉活動推進協議会やNPOなどと連携して市民同士の良好なコミュニケーション構築への支援や地域福祉力の向上に取り組んでいく。また、お互いを認め合い、誰もが地域でいっしょに暮らしていくために、心のバリアフリーを推進していく。
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 両者を合体してみると次の文章になる


1 支え合いの気持ちをつむぐ
 地域福祉活動推進協議会やNPOなどと連携して市民同士の良好なコミュニケーション構築への支援や地域福祉力の向上に取り組んでいく。また、お互いを認め合い、誰もが地域でいっしょに暮らしていくために、心のバリアフリーを推進していく。
(ここまで修正できない議決部分。以下が調整計画案)
 団塊の世代が後期高齢者となる平成 37(2025)年に向け様々な問題が顕在化する中、地域包括ケアシステムの構築が法律に明記され、また、介護保険制度の大幅な改正がなされるなど、社会情勢の変化とともに、福祉施策を巡る状況も目まぐるしい変革の時期を迎えている。これらの変化に対応するためには、誰もが地域を支える担い手となり得るという意識を持ち、また、それを実現可能とするための仕組みづくりが必要である。

名称未設定-1


 なんとなく分かるような、文脈がずれているような微妙な文脈だ。これは他の全分野でも同じだ。策定委員会の議論を何回か傍聴したが、この変えられない部分を前提にしていたとは思えなかった。

 しっかりと理解して議論していたと言われれば、それまでなので、今の時点では何とも言えないが。これから調整計画を策定し冊子にしたときにはどうするのだろうか。この点についても確認してみた。

 この大綱部分を調整計画に記載をするのか、それとも、調整計画の冊子と長期計画の冊子の2冊を見比べながら読むのかを確認したところ、このことは想定されていない返答だった。
 市民側からすれば、一冊の冊子で調整計画を読み理解したいだろう。2冊を持ちながら読むことはしたくないはずだ。となれば、実際に完成した際の調整計画がどのようになるのか。その前に現在の計画案にも、変更ができない記載があることも記しておかないと市民意見も言えないし、理解もできないとなってしまう。

 答弁では記載方法を検討するとしていた。出来上がりに期待するしかないが、大きな課題だ。

 今回の調整計画は、長期計画条例が制定されてから最初となる。次の第六期長期計画策定にむけて、策定委員の負担やどこまでを記載するのか、六期の調整計画の作り方、冊子の編集の仕方も含めて早急に考え直すことが必要だ。


■議会との関係

 もうひとつ、次の長期計画にむけて議会との関係も考え直すことも必要だ。

 今回の調整計画は、議決の対象ではないので議会側からの意見が反映されるのかどうか分からない。そのため、あくまでも意見交換であり結果がどうなるか冊子になるまで議会は分からないことになる。策定委員にしても、どこまで聞いて反映すべきか判断に迷うのではないだろうか。

 長期計画条例の議論のなかで、調整計画も議決の対象にすべきと私は主張していたが、議決対象にすると自由度が聞かなくなるとの意見やまずやってみてといった意見もあり、現在となっている。

 やはり、調整計画も議決の対象にすべきとも思えた全員協議会だった。議会が議決機関であるのなら、最終決定は議会が行う責務だからだ。最終的には議会が決めるから、策定委員とも執行部とも途中で意見交換をしながら、よりよい計画にしていくとすべきではないか。議会側の負担や力量も考えなくてはならないが、今後の議会で提案し議論をしていきたい。


 さて、どのような調整計画になるのだろうか。12月にはまとめられ、来年度の予算から反映されていく予定だ。