課題が浮き上がり、政策につなげることができる新たな議論の手法、沖縄方式の円卓会議ついて伺ってきた。

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■円卓が会議を変える

 沖縄方式の円卓会議を開発し、行っているのは、那覇市にある公益財団法人未来ファンド沖縄。マルチ・ステークフォルダーが円卓で会議を行うことで先入観にとらわれない課題抽出が行われ、解決するため政策に結びつくのだという。

 関係者が集まり協議することで課題解決をめざすことはどこの自治体でも行われていること。沖縄方式の違いは、行政関係者は一人だけの参加で、有識者と関係者といった参加者ではなく、地元の大学(研究テーマにしている現場の研究者、メディア(取材者ではなく参加者として)、商工関係者など課題とは直接的には関係がない人が話し合うのがまず異なる点だ。

 関係者での協議は、行政と当事者、関係者といった二者間の対立になり、結局はお金を増やせるか、増やせないかの議論や批判と言い訳の応酬になったり、提言はできても、あいまいな内容で、何時になったら実現するか分からない結論になったりすることがあるが、沖縄方式の円卓会議で行うと、行政関係者以外の参加者から視点を変えた意見やアイデアがでるので、二者間対立にならず、それも具体的な解決策に結びつくという。

 例えば、沖縄では台風時に停電が起きる地域がある。人工呼吸器を使っている人は停電が命にもつながる問題になるので、台風時には病院の廊下に人があふれているという課題がある。これを解決するにはどうしたら良いかが話し合われたことがあった。

 二者間対立だと、電気の安定を増すには発電所を拡充するとか送電網を強化すべきとなり費用面から実現は難しい。そこで円卓会議で協議していたさい、参加者にいた技術者が最低限必要な電力はどの程度かと確認すると、小型の発電機を用意しておけば対応ができることが分かった。
 しかし、行政が行うと管理責任をどうするかの別課題として出てきてしまう。それも、万全策を求めてしまうので費用もその分、増えてしまう。

 そこで、当事者の方とリスクを共有化して地域住民の手、もしくはNPOなどで行うことにすれば、行政へのリスクが減り、費用も削減ができ、地域へお金が回り地域共同体へつなぎもできるようになった。参加者がそのまま地域課題を解決するチームになったとの例だという。


■課題を宙に浮かせる

 この例は課題解決へ結びついた例で、同じようになることが沖縄方式の最大の目標だ。しかし、普段の円卓会議は解決までは求めず、課題を「宙に浮かせる」ことが、まずの目標だという。

 課題が浮き上がれば、政策も作りやすい。浮き上がらせた後は議会や行政に手法を考えてもらう、という住み分けにもなるという。
 
 この説明を聞いていて、報告書を作ることが目的化し、事務局の行政が用意した文章に質問と要望をぶつけて、行政が検討しますと持ち帰ってさらに作文。結果的にはあいまいな文章がならび、いったい何時までに何をするのか全く分からない報告書が出来上がることがあるが、報告書の体裁にこだわらず、課題は何か。解決するには何を誰がするかといったシンプルな投げかけをして議論をスタートさせること特徴だと思えた。
 
 同じようなことは、普通の会議体でも不可能ではないが、円卓会議にすることで参加者が同じ立場になり、対立から同じ方向を向くチームになること。それもいつものメンバーではなく、異業種やそれまでには関係のなかった地域の専門家(研究だけではなく現場を知る人)をメンバーにすることで、で今までになかった関係性ができるのだろう。


■休憩も特徴

 しかも、円卓で会議をするが、途中で休みがあり、周辺で議論を聞いていた人とメンバーが意見交換を行い、議論を再開するのも異なる点だ。

 このことで、メンバー以外も当事者として考えるようになることやメンバーも新たな視点が得られることや、一度、論点を整理することができるのだろう。円卓会議だけでなく、普通の会議でも取り入れて良いと思える手法だった。

 このようなことは、会議の形を円卓にすれば可能になるのではない。参加するメンバーをどのように集めてくるか。集まった人がエンジンになり、チームになって事業計画を作れる、それも地域にいる人だけで動かせるようにできるメンバー発掘が重要なポイントだ。 この発掘こそが未来ファンド沖縄の価値とも言えるのだろう。


 沖縄方式の円卓会議を紹介していたみらいファンド沖縄の平良斗星副理事長は、根拠と言えるほどの検証はされていないという前提だが、二者対決で課題が分かるのは30%ぐらいと肌感覚では考えている。課題設定を間違えるとコンサルでも解決できない。課題を解決するのは、どこに何の課題があるかを見出すこと。議論で課題を「磨き宙に浮かせる」ことが解決への早道とされていた。この発想をまずできるかも、課題解決ができるかの重要なポイントになりそうだ。

 そして、もう一つのポイント。それは、会議は2時間30分で終えるということ。経験値からこの時間がベストだとされていたが、私も同じように体感している。長ければいい内容になるとは限らない。時間内にまとめるように協議内容のポイントを絞りおきな、求められているものを参加者全員が共有してスタートすることも必要だろう。

 以上は、沖縄方式の円卓会議の概要。参考になることが多かった。一方で、実際に会議を見てみないと、まだまだ分からないことが多い。これは別の機会に伺ってみたい。



(2016年1月31日と2月1日に開催されたローカルマニフェスト推進地方議員連盟主催、沖縄特別勉強会で伺ったもの)