現在、武蔵野市議会は平成28年度予算を審議しているが、消費税増税により増えた市の歳入(収入)は何に使おうとしているのだろうか? 予算の概要もまとめてみた。

■市独自財源

 武蔵野市の一般会計予算は、667億6600万円。前年に比べ6.2%、38億8,800万円が増え、過去にないほどの巨額の予算案となった。

 歳入を見ると市民からの税金(市税)が増えているだけでなく、消費税増税による歳入も増えていることが分かる。


 市税は391億2,400万円、前年度当初予算比6億700万円(1.6%)が増えている。
 内訳は、個人市民税168億円4700万円。大型マンションなどが建設されたことで納税義務者が増え、前年比3.6%、5億8500万円が増えている。

 さらに、固定資産税は大型マンション、新築家屋が増えたことで前年比1.6%、2億4000万円が増え、153億円5200万円となっている。

 市税は国に頼る歳入(地方交付税、国庫補助金など)ではなく、武蔵野市独自の収入減で、これが多いほど独自の政策を行えることになる。他市に比べて、この市税が多いのも武蔵野市の特徴だ。

 一方で会社などの事業所からの法人市民税は、前年比7.5%、約2億3000万円が減り28億2600万円となっている。減った理由は、税制改正より収める税金が少なくなったことや景気がさほど上向いていないことが想定できる。


■消費税

 消費税が5%から8%へと増税されたが、主な目的は、社会保障の充実(子ども・子育て支援の充実、医療・介護の充実、年金制度の改善)とされていた。また、8%のうち1.7%が地方消費税とされ地方(都と市町村で2分の1)へ配分されることとなっている。

 武蔵野市の場合、消費税5%時に市に入る金額は約17億円だったが、8%になり約30億4600万円と増えた。差額は13億4600万円だ。この額が社会保障の充実に使われているかが、自治体予算のポイントの一つだろう。お金に色はないので、何に使っても分からないからだ。


 武蔵野市の予算関連書類から、この増収分を何に使ったかが分かる。
 
・障害者福祉費=4億円(障害者自立支援給付等事業の財源)
・老人福祉費=1億円(特別養護老人ホーム施設整備費補助金及びテンミリオンハウス事業)
・児童福祉費=8億4600万円(認証への運営費補助、認可外保育施設入所児童保育補助金へ3億円。認可保育所などへ5.43億円を充当。

 ぴったりと13億4600万円だ。社会保障の充実にしっかり使おうとしていることが分かる。評価できることだ。


taikiyosann■待機児対策費用

 28年度予算案から待機児対策費用をまとめてみた。

28年4月認可保育所「武蔵境コスモ保育園」(定員99名)
認証保育所「グローバルキッズ武蔵境園」の認可可(定員40名⇒62名)
28年4月小規模保育事業4施設の開設(「みらいえ保育園吉祥寺南」、「ひかり保育園武蔵境」、「マミーぽぷら保育園」、「チャイルドホーム武蔵境」(定員計76名)
な神29年4月認可保育所2園の開設
ゴ存の民間保育所の建替え(3歳児枠拡充)
29年6月に開設する特養に事業所内保育

 総額で約9億円だ。


 予算概要には、歳出増となった主な事業として「障害者自立支援給付等事業」「待機児童対策」「新武蔵野クリーンセンター(仮称)建設事業」「市民文化会館改修事業」があげられている。

「障害者自立支援給付等事業」は国の制度であり、クリーンセンターと市民文化会館の改修はこれまでの施策を継続するためのものと考えれば、待機児対策が28年度予算の大きな目玉事業とも言える。消費税増税による財源増に加えて市の予算を加配していることにもなり、これも評価できることだ。

 しかし、これでも待機児ゼロにはならないだろう。補正予算などで早期の対応が必要だ。


■主な新規事業

 予算は、歳出(支出)の目的別に「款」の枠に分けられている。この中から主な「款」ごとに歳出の増減と新規の主な事業を28年度予算案から簡単にまとめてみた。
(▼=減、▽=増)


□総務費 19億5,100万円、20.6%の増
(市役所やコミセン、市財産の維持管理、戸籍管理、税金の徴収、他の款に入らない経費)

▼芸能劇場舞台照明改修工事8,100万円
△市民文化会館改修工事21億6,700万円(総額42億円)、コミセン改修工事7,200万円、公会堂改修工事4,500万円

・文化振興基本方針(仮称)策定に向けた調査研究312万円
・ホストタウン構想の推進660万円(ルーマニア)
・男女共同参画基本条例(仮称)の検討162万円
・公民連携による武蔵境駅北口市有地の有効活用336万円
・コミュニティ未来塾(仮称) 40万円
・コミセンにエレベーター設置(緑町、関前) 683万円
・コンビニで証明書発行1454万円(要マイナンバーカード)


□民生費 22億7,300万円、9.1%の増
(障がい者、高齢者、子育て支援などの福祉経費)

▼生活保護8,500万円、小規模保育事業開設準備経費補助金6,800万円
△民間認可保育所施設整備補助金4億6,000万円、民間認可保育所運営委託3億5,600万円、臨時福祉給付金等支給事業3億3,200万円、障害者自立支援給付等事業2億4,900万円

・テンミリオンハウス1箇所開設1億円1200万円
・特別養護老人ホーム1箇所開設1億円
・いきいきサロン事業659万円
・重症心身障害者(児)在宅レスパイト事業144万円(訪問看護師派遣)
・障害者GH医療体制強化補助事業120万円
・障がい者グループホーム防火対策の推進750万円
・吉祥寺レンタルベビーカー600万円
・学童クラブ19時まで延長、3施設で連携への試行、増築など3億5911万円


□衛生費 19億8,400万円、26.4%の増
(環境、健康、クリーンセンターなどの経費)

▼クリーンセンター焼却・粗大施設改修費1億5,200万円、クリーンセンター運転管理業務委託4,800万円
(クリーンセンター建替え総額=103億円。解体工事=12億円)

・地中熱利用(むさしの自然観察園) 700万円
・生物多様性基本方針の策定200万円
・ごみ収集総合的検討事業611万円
・粗大ごみ収集受付システムの構築1865万円


□土木費 27億2,900万円、29.9%の減
(道路や公園の建設、維持管理、ムーバスなどの経費)

▼武蔵野市開発公社貸付金8億円、都市計画道路3・3・23号線土地購入費7億8,200万円(境北口)、公園
等建設事業土地購入費7億6,700万円、景観道路事業土地購入費7億3,200万円
△武蔵境地区道路整備事業土地購入費3億6,300万円、緊急輸送道路沿道建築物耐震化助成金3億2,200
万円

・自転車走行空間ネットワーク計画の策定540万円
・住宅確保要配慮者への住宅確保事業(高齢者などへの民間賃貸住宅を活用した入居支援) 575万円
・井の頭恩賜公園100周年記念啓発事業340万円(漫画冊子)


□教育費 5億800万円、7.8%の増
(小中学校、図書館などの生涯学習の経費)

▼図書館システム更新作業委託7,800万円、文化財収蔵庫新設工事5,700万円
△旧桜堤小学校校舎等解体工事1億1,600万円、小学校校舎等改修工事1億400万円、学校
情報システム更新作業委託7,800万円、給食施設改修工事6,600万円

・旧桜堤小解体工事1億3389万円
・スクールソーシャルワーカー1名増員で2名に0.07億円
・吉祥寺図書館リニューアルの推進200万円
・東京オリンピック・パラリンピック等国際大会関連事業1859万円
・非構造部材(特定天井)耐震化事業28年度=井之頭小、1中、3中、西部コミセン体育館
・学校施設整備基本計画(仮称)の策定600万円(小中一貫校の検討)


□国民健康保険特別会計
・国民健康保険データヘルス計画(仮称)策定459万円

□介護保険特別会計
・シニア支え合いポイント試行232万円


 予算審議で論点となった事業については、後日。
 図は予算概要から待機児対策費用のページ。