武蔵野市公共施設等総合管理計画の修正版について、市議会全員協議会が開催された。議員から様々な意見が出されていたが、今後の大きな問題になることが予感される内容だった。その大きな論点が先に示された施設一体型の小中一貫校についてだった。


2016年04月05日公共施設床面積の近隣自治体比較(参考)

■370億円削減ありきか

 計画案では、今後30年間の公共施設の建替えや維持管理コストで約370億円の縮減が必要。内訳は、総床面積の削減や複合化、多機能化で約180億円、整備水準や管理水準の見直しで約190億円の歳出削減を目標値としている。

 さらに、これまでにも書いてきているが、「学校教育施設が床面積の概ね半分を占めている」とあり、学校が公共施設縮減の主役であることが分かる。その状況で、突然と施設一体型小中一貫の導入を検討すると市教育委員会の考えが出てきたこともあり、この計画で、とにかく370億円削減が目的となり小中学校を含めて縮減が決まっていくのか、との論点が多く出されていた。

 特に実行計画のページには個別施設の計画も書かれているため、これまでにあった個別計画(福祉総合計画、子どもプランなど)との整合性やどちらが上位計画なのか不明確だった。今の記載では、個別計画の内容を無視して、施設を先に削減してしまうのか、と受け取られてしまうように思えてしまう。

 また、当初はこの5月に計画を決める想定で動きていたこともあり、市民や議会との意見交換もしないまま決まるのかと危惧する意見も多かった。


■これから議論

 答弁では、5月に決定する予定だったが、市民の意見も聞いていくので5月にはこだわらないとしていた。計画策定は総務省から28年度に策定が求められているので、この考え方は評価できる。

 そして、370億円ありきではなく、施設維持の考え方や工夫によってもこの金額は変わるのかと私が質問したところ、あくまでも総務省のソフト(※1)により試算したもので、工夫などにより金額は変化するといった答弁だった。金額という数値目標は重要だが、この数字だけが目標ではないことが分かった。どうやって工夫していくか、これからが問われそうだ。

※1 一般財団法人地域総合整備財団<ふるさと財団>による公共施設更新費用試算ソフト 

■隠れコスト

 370億円は総務省のソフトで計算したもので、標準的な施設で考えていることも分かった。となると、例えば大野田小学校のような学校を今後も作るとなると、この金額はより増えることになる。大野田小学校は、文科省の国庫補助金の水準の1.8倍となっている。これは標準的な学校よりも1.8倍のコストをかけていることにもなる。
 同じような学校を今後も作り続けるとなると、370億円はさらに増えてしまうことになり、他の公共施設の建替えにも影響することになる。これは市民も考えていくべきことだろう。

 また、この計画には、吉祥寺駅南口広場まちづくり経費は算定されているものの、他のまちづくり経費は算定していないことが分かった。武蔵野公会堂なども含めた吉祥寺の再開発や三鷹駅北口の駐輪場を活用して公共施設建設を考えるとなると、民間活用したとしても、370億円以上に膨らむ可能性もあることになる。本当に必要なのかの議論やその場合の財政計画をどうすべきかが今後の課題にもなりそうだ。


■都市計画道路

 計画には、都市計画道路については「着実な整備が必要である」と書かれている。武蔵野3・4・24号線の優先整備路線を市は求めていないとしてきたが、このことと矛盾していないだろうか?
 
 質疑のなかで都施行(東京都が工事を行う)ので武蔵野市から支出がないことから、整備は進めたいとの考えが分かったが、武蔵野市からの支出はなくとも、都民の税金、つまりは市民が結局は建設費を負担することになる。武蔵野市の財布が痛まないからいいとの考えも変えるべきではないだろうか。
 武蔵野市が施行する道路(区画道路)は、必要性の検証や廃止も視野に入れた見直しが必要と書かれていることとは正反対な考えには疑問を持った。


■市民との意見交換の手法

 今後、計画案から修正された案を元に市民と意見交換をしていくとしている。しかし、これまでと同じようにしていては、結局、話が伝わらず、議論もできないように思えている。
 それは、これまでと同じでは、市が策定した計画を説明するだけ、行政感覚による会で市民には何も面白くないからだ。市民が求めているのは何か、どのように議論をすれば市民が理解していけるかを第三者的な立場の人を入れて議論できる場にしてはどうかと提案をした。

 例えば静岡県牧之原市では、市民ファシリテーターがワークショップを仕切り、公共施設のマネジメントを考えている。このような手法は、武蔵野市の自治のあり方としても参考になるのだろう。参考にして欲しい。


 公共施設の管理は、これから数年が山場。市民にも知ってもらい、理解してもらい一緒に考えていく対話の場づくりが重要になる。その場づくりは、行政だけでなく議会から必要だ。


図は、全員協議会に出された参考資料。「公共施設床面積(類型別)の近隣自治体間比較【参考】
 


【参考】
牧之原市 公共施設マネジメント基本計画の策定
政治山 公共施設のあり方を市民との「対話」で考える〜牧之原市の公共施設マネジメント