公共施設等総合管理計画案について、先に市議会全員協議会が開催され、多方面での意見交換があった。この中で、注目したいのが、公共施設を統廃合した場合、いくらのコスト削減になるのか、との質問があったことだ。

■お金という数字で考える

 答弁では、取得時の費用は分かるがコストは算出していない。可能性があるとすれば、路線価で計算することだが検討したいという答弁だった。
 路線価とは、道路に面する宅地の評価額のことで、税金を課税するための基準値だ。実際に売却するとなると周辺の環境や土地の形状、さらにいつ売却するかによっても異なるので路線価のままでの価格とはならない。確実な価格は答弁のように示せないのだが、市民的に考えれば、いくらという数字がないと判断がし難いのではないだろうか。あくまでも参考値としてではあるが、私も必要だと考えている。

 公共施設等管理計画は、公共施設等を現状のままで維持管理し改修、改築をするとなると平成57年度には累積で369億円の財源不足となり、市財政が危険水域になることから、統廃合や管理の見直しをしようというのが目的だ。369億円という数字への対応する計画なのだから、対応策も数字、お金で考えていくことが分かりやすいからだ。
 もっともお金だけでなく、何のための、どのような効果があるのか、市民合意が得られるかなど数字だけでは決定はできないが、判断材料、参考値としては重要だ。


■東洋大学PPPセンター報告書で示されていた

 さて、その数字としての金額だが、じつはすでに、東洋大学PPPセンターが「武蔵野市公共施設再編に関する研究報告書」を発表し、平成25年の路線価を元に試算を行なっている。
 この報告書は、武蔵野市が委託し、公共施設の再編の具体的な方法について研究したもので2013年10月に公表されているものだ。

 この報告書はネットに掲載されているので、多くの人が知っているとは思うが、市は特に公表はしていない。その理由には、統廃合についての具体的な提案があるなど具体的な施設名があるため微妙な問題になる。第三者の研究成果としては参考になるものの、そのまま公表すると誤解や混乱を生じさせるおそれがあることから公表してはいないと議会の答弁でしている。

 市としては、今後の大きな争点になることを理解しており、確実にやっていこうとの考えなのだろう。この考え方について、理解はできる。だが、公表の手法によっては混乱が起きるかもしれないが、市民をもっと信用していいのだと思う。報告書が公表されて、すぐに私も読んだが、数字はあくまでも参考として考えれば、これからの議論に役立つと受け止めていた。

 行政も議会も市民が身近な存在であるため、身近な公共施設の廃止とは言いにくいが、だからこそ、第三者の客観的な意見が重要になる。その意味でも、この報告書は参考になるものだ。市民にもオープンにして考えてもらういい材料だろう。


■すでに小中一貫での統廃合が記されている

 武蔵野市の公共施設の半分は学校施設であるため、学校の統廃合がこれからの大きなポイントになることはすでに何回も書いてきた。

gakkou3gakkou2 この報告書には、統合基準を定め、具体的な学校名も書き、小中一貫にして場合のコストも掲載されている。小中学校の配置図もあるので、より分かりやすくなっている。


 <統廃合基準>
 (1) 単学級(1学年1学級以下)が生じない学校規模とする。
 (2) 概ね1km以内の近距離に小中学校がある。小中学校が近接している場合は、小中一貫の対象とする。
 (3) 老朽化が進んでいる学校から統廃合する。

  具体的な統廃合案とコストは図のとおりだ。小中一貫校の案として、5小と5中(5小の閉鎖)、2小と6中の一貫校(6中の閉鎖)が示され、一貫校により約10億円の建替え費用の削減、年間の維持管理コスト約4000万円が削減できると試算している。

 
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 あくまでも試算であり、金額は確定したものではない。統廃合も小中一貫校も決まったものでもない。このことが重要だが、第三者による提案としては、これからの参考になる例だ。


■大切なこと
 
 報告書の巻末には、下記が書かれていた。先送りがどのような結果になるのかを市民、行政、議会が考えなくてはならない。

 大切なのは、客観的に考え、いろいろな立場の人の意見と対話(ダイアログ)していくことだ。その先に結論が導きだされるに違いない。心配しているのは、反対さえすれば市民感情が盛り上がることでの政治利用だろう。

 まずは、学校について情報提供させていただいた。



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『少子高齢化で税金の収入は伸び悩む一方社会福祉の費用は年々増加しているため、公共施設の建て替えに回せる財源がないからです。武蔵野市でも、ここ10 数年、公共施設に投資可能な財源は小さくなってきています。それどころか、近隣の自治体よりも多くの施設を抱えている分、より厳しい状況にあります』

『武蔵野市の公共施設は、人間の健康にたとえると、とても健康とは言えません。それどころか、かなり深刻な症状です。しかし、市民の皆さんがそれを自覚して努力すれば、健康を回復できる可能性はあります。現状に目をつぶって結論を先送りすることもできます。
しかし、事態は一向に改善しません。それどころか、先送りされた負担はそのまま皆さんのお子さんやお孫さんに降りかかっていきます。そうした姿勢は、武蔵野市民がとるべき姿勢だとは思いません。
研究では、健康を回復できる処方箋を示しました。後は市民の皆さんの責任です。この機会に、市民の皆さんが自分の問題として事態を直視し、問題の解決に取り組んでいただくことを強く期待いたします』
(東洋大学PPP 研究センター センター長 根本祐二)

(『市民の皆さん、「おわりに」に代えて』より引用)



【参考】
東洋大学 武蔵野市 公共施設再編に関する研究報告書発表
武蔵野市公共施設等総合管理計画