武蔵野市議会総務委員会は5月12日に継続としていた「武蔵野市産業振興条例」を審議し、議員提案による修正案を全会一致で可決した。審議でポイントなっていたのは、「商店街」とは何か、ということだった。

修正案

■駅前の商店街だけを支援すべきではない

 市から提案された条例案には、「近接して集積した区域」と定義しており、このような地域を考えれば、駅前の商店街が容易に想像できる。

 しかし、駅前だけに商店街があるわけでない。さらに、近接して集積されていない区域にも商店があり、このような商店は支援しないのかとなってしまう。もちろん、やる気のない商店に支援をすべきとは考えないが、店舗がひとつでも頑張っている商店はあり、このようなところへの支援は必要だろう。

 この考えに委員会で異論はないようだったが、どのような言葉で定義をするのか問題となっていた。


■定義されていない商店街

 そもそもで考えていくと、商店街の定義がないことが大きい。商店が加盟する団体として商店会はあるものの法律でどのような形態なのかが定義されていないからだ。
だが、商業統計表(経済産業省経済産業政策局調査統計部)では、近接して30店舗以上あるものを一つの商店街と定義していることや商店街振興組合法第六条にも「商店街振興組合の地区は、小売商業又はサービス業に属する事業を営む者の三十人以上が近接してその事業を営む」あることから、30がひとつの目安となっている。

 この30で考えていくと武蔵野市の商店街の約3割が30店舗以下だという。しかも、近接していない商店街もある。となると、「近接して集積」していないことになり、産業振興の対象外と読み取られる可能性があるのが原案だった。

 そのようなことはない、といくら議会答弁で示されても、条文を見る人は条例策定時の人は限らない。条例制定の背景が分からない人が見ても、理解できるようにしておくのが条例というものだ。


■「近接」と「集積」。二重に規定する条例はない

 また、産業振興条例は、武蔵野市だけで施行されるものではなく、他自治体では多く施行されており、どちらかというと遅い方だ。そのため、先行して制定されている条例を調べてみると、商店街を規定しない条例が半数程度あった。規定しないのは、一般的な言葉なので必要がないとの判断だろう。
 さらに「商店街」と記載している条例を調べてみると、「集積した」と書かれており、「近接して」まで書き込まれている条例を見つけることはできなかった。「集積」も「近接」も同じような意味だが、二つを重ねることで、より範囲を限定する、あるいは、意味を重くすることになり、先に書いたように駅前を連想させてしまことになる。
 このことを考えれば、「商店街」を規定するのであれば、二重にすることはない。その意味で修正案は適切だ。

■農家の庭先販売も対象に

 他に、計画を作成するのは「市」ではなく、「市長」に修正された。これは「市」となると市長をはじめとする執行機関だけでなく、議会や教育委員会、選挙管理委員会など執行機関とは本来は別の機関も含めて対象になるため、執行機関で定めるべきことなるために修したもの。

「商店街」から「商店街等」にしたのは、商店街に加盟していない事業者にも対象を広げることを可能とするためだ。最も分かりやすい例が、農家の庭先販売だ。食材の地産地消としての販売形態だが、商店ではないので産業振興の対象とならなくなってしまうために修正をしたもの。他に条例が施行される日を定めた、附則を修正した。

 
 細かな言葉の問題と思う人は少なくないかとは思うが、条例を決定するのは議会。市長ではない。議会が一言一言に責任を持つのだ。そう考えれば、今回のようなことは、より必要だろう。武蔵野市議会は議会改革を進めているが、そのひとつの結果とも言える修正となった。


 画像は修正案。6月の本会議で成立して正式に決まる。  

【参考】
集積地で買い物を求める? 産業振興条例は継