5月20日に『議会図書室改革を始めよう! 〜全国調査結果と活用手法〜』が開催され、議員の他、議会事務局職員、図書館関係者が参加し、基調講演を行った江藤俊昭山梨学院大教授は「今日は、議会図書室を変えていくスタートであり記念日」として、これから議会改革のテーマとして議会図書室が注目されると話されていた。

DSC_0084_original


 議員を対象にしての研修会だったが、図書館関係者が多く、図書館側からも注目されていることが分かった。その理由は、議会に図書室があるのを知らなかった。専門図書館としての機能を発揮して欲しい。図書館との連携で議会を支援できるのではないかなど理由はさまざまだったが、これまで注目されていない議会図書室への関心が高まっているのは確かだった。

 内容については、今後、何回かに分けて書いてみたいが、今回は、議会になぜ議会図書室があるかだ。


■法律で設置義務がある議会図書室

 地方自治法第100条に以下のように規定さえている。

○17  政府は、都道府県の議会に官報及び政府の刊行物を、市町村の議会に官報及び市町村に特に関係があると認める政府の刊行物を送付しなければならない。

○18  都道府県は、当該都道府県の区域内の市町村の議会及び他の都道府県の議会に、公報及び適当と認める刊行物を送付しなければならない。

○19  議会は、議員の調査研究に資するため、図書室を附置し前二項の規定により送付を受けた官報、公報及び刊行物を保管して置かなければならない。

○20  前項の図書室は、一般にこれを利用させることができる。


 この19項により、設置が義務付けられている。

 この法律は、昭和22年の地方自治法の一部を改正する法律(昭和22年法律第169号)により設けられたもので、国会では以下のように提案説明があった。


■昭和22年から活動していないと指摘されていた

--------------------------------------------------------

 地方公共團體の意思機關であるにかかわらず、從來とかく閑却されがちであつた地方議會の積極的活動と圓滑な運營を期することは、新しい地方自治の健全な發展を期する上において特に必要でありますので、この點に關し、地方自治法の規定をさらに補足する必要があると存ぜられるのであります。

 今後地方議會の議員は、條例の制定等について、積極的活動を行うことがいよいよ多くなつてくるであろうと豫想されますので、そのための調査研究を行い議員としての識見を養うことは、議員として當然の責務であります。また議會と執行機關との關係におきまして、殊に多くの問題を捲き起すものは、豫算の議決に關する事項であります。

 よつて政府は、地方議會に對し、官報及び政府の刊行物を地方公共團體の議會に送付し、圖書室を必ず設置しなければならないこととしました。また知事、市町村長等の發案權を侵害しない限り、地方議會は豫算の増額修正をすることを妨げない旨の規定を設けたのであります。

--------------------------------------------------------
(画像は当時の議事録)議事録-2_ページ_1議事録-2_ページ_2

 閑却(カンキャク)とは、デジタル大辞泉によれば「なおざりにすること。いい加減にほうっておくこと」との意味。つまり、あまり活動していない地方議会の積極的な活動を期待していること。その活動は、条例の制定であり、調査研究を行うのが当選のせきむだ。また、執行部と揉めるのは予算のことが多い。
 そのため官報を送付するので、これを読んで、調査研究をして欲しい、そのために議会図書室の設置を義務づけるという概要だ。
 
 話はずれるが、長の発案権を侵害しない限り、予算の増額修正もできると書かれているのも興味深い。

 さて、予算の話は別の機会として、調査研究のために設置が義務図けられたのが議会図書室だ。官報を使うかどうかは別問題だが、実際にはどうだろうか。

 都道府県議会の図書室は、かなりの蔵書があり専門のスタッフが在中しているが、区市町村の場合は、倉庫となっている場合が多いように思えている。視察で訪れた議会の図書室を拝見させてもらうとこれを実感することがほとんどだ。武蔵野市議会でも同じようなものだ。


■図書室がない議会もある

 画像は、マニフェスト研究所に依頼して全国の議会図書室をアンケートした結果から、「議会図書室の専用として使っている」割合をみたもの。


文書名 _gikaitosho2015_1


 市議会の5割、町村は2割程度が専用の図書室となっている程度で、会議室や控室としても兼用している状況が分かる。最初から調査研究にするための部屋ではないことでもある。

 もうひとつ、「議会図書室に専門の職員(司書)がいる」議会も調査してみた。

文書名 _gikaitosho2015_1-2


 結果は、都道府県は8割程度、政令市は4割程度あるが、市は1%、東京23区と町村は0%との結果となった。調査を頼むことや情報を得るために職員が必要となるが、この項目からも調査はし難いことが分かる。
 とはいえ、このご時世で、職員を増やすことは難しいだろう。


     ◆

 調査研究は図書室があればできるものではないが、調査研究のために義務図けられている以上、その目的を果たすべきだろう。手法は本だけでなくネットを使うことや他の機関との連携など様々な方法がある。

 このことをこれから考えてみたい。今回は、一回目として設置の趣旨をまとめてみた。

研修会の主催はローカルマニフェスト推進地方議員連盟。私は今回のコーディネートを担当した)